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2017/05/02

北朝鮮問題 ~ 本当に危機なら、なぜ諸外国は3.11と同じ対応をとらないのか?

昨日の朝、テレビをつけたらワイドショーをやっており、相変わらず北朝鮮問題をえんえんと垂れ流していた(その次は森友だった)。
朝食を食べながらこれを見ていて、ホントに日本は北朝鮮とよく似ているナと改めて思ったのだが、改めてというのは、かつて2006年に以下のようなエントリーを書いていたりするからだ。

・誰も通らない裏道 2016/10/26
北朝鮮についての続き

「北朝鮮は尋常でない」という報道を繰り返し垂れ流し、挙句の果てに総理大臣が「情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して、迅速・的確な情報提供を行うこと。航空機、船舶等の安全確認を徹底すること。不測の事態に備え、万全の態勢をとること」などという指示を出し(そのくせ本人や閣僚たちはノコノコ外遊に出かけている)、また「北朝鮮による弾道ミサイル発射事案について」などという記事をホームページにアップする国はまことにもって尋常ではない。

さてしかし、、、
「バカヤロー、彼の国は現実に弾道ミサイルをぶっ放しているじゃないか」という意見に対してひとこと。

もし本当に北朝鮮問題が緊迫しているのなら、3.11の時と同じことが起きます。
しかし現在にいたってもまったくその気配はありません。

では、その同じこととは何か?
3.11を思い出してみよう。
あの時、諸外国は日本にいる自国民に対して避難指示を出し、飛行機まで差し向けた国すらあった。
が、今回、そんな国はどこにもない。

3.11の翌週、電通、博報堂、ADKという日本を代表する広告代理店は数日ではあるけれども、「出社に及ばず」との指示を出している。あの電通ですら。なぜかというと、福島第一原発が危機に陥った瞬間、外資系のクライアントが引いてしまったりつかまらなくなったりしたからだ。みんな逃げることを最優先したのである。
平日にもかかわらず東京駅の新幹線乗り場は大混雑。
つまりあの時には本当に本当の危機だったのだ。
結果、3つの原子炉がメルトダウンするという前代未聞、有史以来、最大の事故が起きてしまったわけで、諸外国の認識は正しかった。もちろん同様の認識は原子力ムラにも日本政府にもあったが、これを公表すると大パニックになるということで情報をコントロールし、御用学者を総動員して嘘をつき続けたわけだ。
不幸中のわずかな幸いは、最悪のなかでも最悪な事態はかろうじて逃れることができたことだった(菅直人というのはろくでもない総理大臣だったけれども、福島から全面撤退をしようとする東京電力を恫喝して引き止めたのは後世に残る業績であろう)。

しかして、先月も今月も広告代理店勤務の諸氏は元気に残業し、電通にいたっては平日は10時以降(だったかな?)は会社にいられないので土日に普通に出勤したりしているわけだ。
都内は相も変わらず外国人観光客が大勢うろつき、彼らに対して大使館が早急な退避勧告をすることも注意を呼びかけることもない。
日本以外で北朝鮮についてここまで大騒ぎしている国はどこにもいないのである。
ま、アメリカは多少、騒いでいるが、この国だって自国民を日本から出そうなどという動きはまったくない。
そして韓国では普通に大統領選挙が行なわれている。
急に止まった東京の地下鉄に乗り合わせた外国人観光客は、さぞかし「ヘンテコリンな国だなあ」と思ったことだろう。
こんな日本はやっぱり北朝鮮とよく似ているナと愚考する次第なのである。

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2017/05/01

ビッグデータ時代の共謀罪

共謀罪の真の目的が、政府にとって好ましからぬ思想の持ち主(その中には反原発や反米軍基地は当然含まれる)を監視して取り締まることにあることは、もはや明らかである。
もちろん法案が成立したからといって、すぐにバシバシと取り締まるわけではなかろう。しかし、これによってさまざまな運動の動きが鈍る可能性は十分にある。
つまりボディブローになるわけで、しばらくしたところで見せしめ的に共謀罪を適用すれば、さらに足は止まることになる。

大変に危ない法案なわけだが、もしこの法案とビッグデータが結びついたら、これはさらに恐ろしいことになるように思う。

たとえば私はAmazonで日常的に本を購入しているが、その傾向によって思想傾向は明らかになるわけで、そのデータを集積して分析すれば、政府が言うところの「一般人でない人間」というのは容易に特定できる。
これは花見の時に地図や双眼鏡を持っている人間をマークするよりもはるかに簡単だ。

などと思っていたら、ちょうどビデオニュース・ドットコムで中央大学の宮下紘准教授の「ビッグデータに支配されないために」という映像があった(ダイジェスト版)。

このなかで宮下准教授がとくに強調しているのは、「一番正確で危ないデータはDNA情報」「DNAの配列を見て、この人は○○政党支持ですと導き出される。これは客観的に性格で本人の意志によって変えることができない。なおかつその子孫にまで予測ができる」ことの危険性である。
となるとこれを敷衍すればDNAのプロファイリングから事前に「危険思想の持ち主」を特定することができるわけで、それはすでに十分に可能な段階に入ってきているわけだ。

いくらなんでもそこまではやらないだろうと思う人もいるかもしれないが、、、

「ホッブスは、国家とはリヴァイアサンであると言った。これは正しく万古不易の明言です。国家権力が自由に動き出したら、それをくい止める手立てはありません。なにしろ近代国家には、軍隊や警察という暴力装置がある。また人民の手から財産を丸ごと奪うこともできる。さらに国家の命令一つで、人民は徴兵され、命を戦場に投げ出さなければならない。こんな怪物を野放しにしておいたのでは、夜もおちおち寝ていることはできないでしょう。」(小室直樹)

これがまさに国家の本質である。

「だからこそ、近代西洋文明は持てる限りの知恵を振り絞って、この怪物を取り押さえようとした。その1つが 罪刑法定主義であり、デュー・プロセスの原則だったりするわけですが、そうしていろいろな法律でがんじがらめにしてもなお不安は残る。そこで法律や制度でぐるぐる巻きにしたうえに、更に太い鎖をかけることにした。それが憲法というわけ」で「憲法とは国家を縛るための命令」(いずれも同前)なのである。

これがまさに立憲主義のエッセンスなのだが、「日本人の多くは、国家権力のことを『お上(かみ)』と呼ぶくらいですから、国家は本来、善であると考えている。ここに大きな誤解がある」(同前)上に、現在日本の総理大臣は「立憲主義は古色蒼然たる考え方」と嘯き、さらに「憲法を国民を縛るための命令」へと書きかえることを自身の政治活動の最上位に置いている人物である。
この状況で国家権力が共謀罪を手にすれば、行き着く先はDNA情報によって「一般人」と「一般人でない人間」が選別される社会なのではないだろうか?

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