宮台真司 ~ 「やはり今回の過剰反応はあまりにも醜い、『だったら米長の時に何黙ってるんだよ』ということですよね。」
・「宮台真司 「天皇と政治」 2013.11.01」
「実は天皇陛下が政治的な発言や行動に関係してくる、そうしたいろんな経緯がいままでもありました。
今回の事件とよく似ているのは、2004年に園遊会で、当時、今は亡くなっていますが、将棋の名人であった米長邦雄名人が、「教育委員会のお仕事、ご苦労さま」というふうに陛下に言われて「日本中の学校で国旗をあげ、国家を斉唱させることが私の仕事です」とかですね、私に言わせればあさましくも「陛下のために私はこんなに頑張っている」というふうな政治的な発言をしたところが、陛下は「やはり強制になるということではないことが望ましい」というふうに述べられているんですね。
今回、山本太郎議員のことについてこれほど激烈に反応するのであれば、なぜ2004年に激烈に反応しないのかということになりますので、このような恣意性、まあいいとこどりというかご都合主義な、まさに天皇の政治利用そのものだということをまず最初に申し述べておきましょう。
さらに翌年、陛下がサイパン島をご訪問になった際に、周囲、とりわけ宮内庁の強い反対を押し切って「バンザイクリフ」、つまり兵隊さんたちが「天皇陛下万歳」と言って海に飛び込んでいったそういう場所で慰霊をされたんですね。これもですね、これを一生懸命押しとどめようとしたことがきわめて政治的な行動ですよね。」
(中略)
「さて、先ほどの米長さん、あるいは今回の山本さんの行動。あのね、みなさん、天皇陛下をもっと信頼なさったほうがいいですよ。米長さんは僕に言わせればあさましくさもしい発言に対して諌めましたよね。で、今回も何か手渡し時にですね、なんにも反応されなかった。そういう態度によって十分に自らの意向を示しておられるし、最終的には「バンザイクリフ」の慰霊を宮内庁が止めたような形で天皇陛下、あるいは皇族の意向が表に出ることがないようにブロックされていますけれども、いろいろな立ち居振る舞いから僕たちはその意志を忖度することが、実はできないわけではないんですね。そうしたことを考えあわせますと、やはり今回の過剰反応はあまりにも醜い、「だったら米長の時に何黙ってるんだよ」ということですよね。平等にやれっということです。恣意的に反応しているかぎりこれはすべて天皇の政治利用なんですよ。
しかし先ほど言ったように、天皇の政治利用がいかんと言っているのではないのですよ。うちらは天皇の政治利用なくしては、「近代化」もできなかったし、敗戦後の再近代化もできなかった。その未熟さを私たちは克服しているのか、いないのにね、過剰反応反応をするのは、、、」
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