福島第一原発の放射性汚染水の漏洩問題が深刻化している。
・<福島第1原発>東電、新たな漏えいで保管計画に赤信号
この問題について、京都大学の小出裕章先生は3.11の直後から、汚染水は巨大タンカーに移して、柏崎刈羽原発にある廃液処理装置に移送して処理するべきだと主張してきた。
なぜなら、福島第一原発の敷地内でこの汚染水を保管しようとすれば、早晩、今日のような事態に陥ることは十分に予見できたからだ。
なにしろ現状の福島第一原発は、核燃料がどこに溶け落ちたかもわからないが、とにかく原子炉にどんどこ水をかけて冷やす以外に手がない。
・参考ビデオ「福島第一原発の現状・核燃料を取り出すまでは予断は許されない」
(インタビューに答えているのは、中央大学元教授の舘野淳氏~専門は核燃料科学)
したがって、小出先生はこの提案を政府にもしている(下記リンク参照)
・小出裕章 (京大助教) 非公式まとめ
5月26日 汚染水は至急タンカーで移送を 小出裕章 (NHKラジオ)
(2011年)
・みんな楽しくHappy♡がいい♪
高濃度汚染水「海に放水」について2/16小出裕章ジャーナル(内容書き出し)
(2013年)
だが、政府も東京電力もこれを一切無視した。
おそらくその主たる理由はコストの問題だろうが、結果、ストロンチウムを含んだ汚染水が漏れ出している。
が、これは繰り返すが、十分に予見可能であって、すなわち人災である。
にもかかわらず、2011年12月16日、当時の総理大臣・野田佳彦は福島第一原発事故が冷温停止したと発表し、あわせて福島第一原発事故の収束を宣言した。その会見の冒頭の発言は以下のとおりである。
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本日は、原発事故に関する大きな節目を迎えましたので、冒頭私から国民の皆さまにご報告をさせていただきます。
福島の再生なくして日本の再生なし。就任以来私はこの言葉を何度も口にして参りました。福島の再生の大前提となるのは、原発事故の収束であります。3月11日に事故が発生して以来、まずは何よりも原子炉の状態を安定させるべく、国の総力を挙げて対応してきたところであります。原発の外の被災地域では、いまだに事故の影響が強く残されており、本格的な除染、瓦礫の処理、避難されている方々のご帰宅など、まだまだ多くの課題が残っていることは事実であります。他方、原発それ自体につきましては、専門家による緻密な検証作業を経まして、安定して冷却水が循環し、原子炉の底の部分と格納容器内の温度が100℃以下に保たれており、万一何らかのトラブルが生じても敷地外の放射線量が十分低く保たれる、といった点が技術的に確認をされました。
これを受けて本日、私が本部長を務める原子力災害対策本部を開催をし、原子炉が冷温停止状態に達し発電所の事故そのものは収束に至ったと判断をされる、との確認を行いました。これによって、事故収束に向けた道筋のステップ2が完了したことをここに宣言をいたします。
・平成23年12月16日 野田内閣総理大臣記者会見
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これに対して舘野淳氏は上記のビデオの中で「収束宣言というのは本当に嘘っぱちだったということですね」と言っている(15分あたりから)。
ところが、この嘘っぱち宣言が大飯原発再稼働へ向けての大きなステップとなり、最終的には「自分の責任で判断した」として再稼働にゴーサインを出したというのだから、野田という政治家の罪は万死に値すると私は思う。
↓こちらも有名な大嘘
一方、安倍晋三は総理大臣就任前に福島第一原発を視察し、「政府は(原発事故の)収束宣言をしたが、とても収束したとは言えない状況だ」と述べたという。
・ウォールストリート・ジャーナル
福島第1原発を視察=「事故収束とは言えない」―自民・安倍総裁
もし、本当にそう考えているのなら、このたびの汚染水の漏洩を深刻に受け止めて、すぐさま大飯原発を停止するべきだろう。
といっても、もちろん原発推進論者の安倍晋三に期待するものは何もないが、夫人の昭恵さんには少しだけ期待している。というのも、4月7日の日経に以下のようなインタビューが掲載されたからだ(一部抜粋)。
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――原発政策や環太平洋経済連携協定(TPP)で首相と意見が異なりますか。
「政策に口を出すつもりは全然ありません。ただ福島県富岡町に行って全く人のいない様子を見て、そこに住んでいた子どもやお年寄りの意見を聞けば『代替エネルギーがあればリスクのある原発から変えた方がいい』と誰もが思うのではないでしょうか」
「そのような方向に変えていこう、という意志がなければ変わりません。今の放射線量が本当に危険かどうかは分かりませんが、実際にそれですごく恐れて家に帰れない人もいますし、2度と起こってほしくありません。できれば原発がない社会の方がいいのではないかと思います」
(中略)
――首相の反応は。
「ふんふんという感じ。私が『暴れるかもしれない』と言っているので『あまり暴れないでね』と。僕の邪魔しないでね、ということだと思います。ただ、たとえ悪者になったとしても、問題提起していきたいと思っています。確信犯的な面もあります」
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