オリンピック誘致、遠隔操作ウイルス事件、陸山会事件判決
~ますます退廃するメディア
私は2020年の東京オリンピック誘致が成功するとはハナから思っていない。
なぜなら、東京電力福島第一原発がその時、依然として苦境のままで、おそらくさらに厳しい現実、将来が見えていることは間違いないからだ。
そんなところへ日本人よりはるかに福島の状況をよく知っている、海外(とくにヨーロッパ)のアスリートや観光客が来るわけがない。
ところが、昨日、「久米宏ラジオなんですけど」のオープニングトークを聴いて、オリンピックが東京に来ないもっと大きな理由、最大のネックがあることを知った。
不覚にも私は知らなかったのだが、2018年の冬季オリンピックは韓国の平昌(ピョンチャン)で開催されるのである。
だったら──
その2年後に再び東アジアでオリンピックが開催される可能性などまったくないだろう。
久米宏はこの点にふれて、「これが最大のネックだということを、なんで(マスコミが)言わないのか、不思議なんですよね」といっている。
・久米宏ラジオなんですけど
3月16日オープニングトーク
※オリンピックに関する話は7分過ぎから。
さらに付け加えるならば、2019年には日本でラグビーのワールドカップが開催される。
となると、カレンダーは以下のようになる。
2018年 韓国 冬季オリンピック
2019年 日本 ラグビーワールドカップ
2020年 日本 夏季オリピック
普通に考えれば、このようなスケジュールはあり得ない(ついでにいえば、ラグビーは7人制ではあるが、リオデジャネイロ五輪から正式種目になる)。
そして、メディアを含めて誘致関係者もみんなそれをわかっているはずだ。
にもかかわらず、なぜ誰もそれを言わないか? その理由は「カネの匂いがする」からである。
この不景気のさなか、オリンピックの誘致となれば大きなカネが動く。当然、広報予算もつくわけで、それはメディアへと流れる。そして、この手の予算(政府広告やそれに準ずる広告)は当ブログでは何度も書いているがごとく「定価」で出稿される。
しかして広告を出す方も、「東京にオリンピックは来ない」と本当のことを書くメティアにはカネを出すはずがない。
そこでメディアの側は「どうせ来ないことはわかってるけど、そんなことを言ったらせっかくの広告を取れなくなる。そんな野暮なことはしないで、もらえるものはもらっておこう」となるわけだ。
しかし、、、この五輪誘致の予算も、結局のところ都民の税金だ。久米宏は、「自分の納めた税金を、五輪誘致にだけは使って欲しくない」と言っているが、世界一情報操作されやすく、しかも素直で、かつ諦めのいい国民は、そんなことぐらいでは怒らない。
つまり、徹底的になめられているのである。
それにしても、、、
ここのところのマスメディアの退廃は、ますますもって呆れるばかりだ。
逮捕時点であれだけ大騒ぎして、容疑者のプライバシーを暴きまくった「遠隔操作ウイルス事件」。
だが、その後の経過はほとんど報道されない。
なぜなら、この事件は冤罪の可能性が高くなっているからだ。
逮捕されたK氏は、江ノ島で猫に首輪をつけたと言われた。
警察としては、一度、誤認逮捕をしているたげに失敗が許されない案件。そこに浮上した容疑者には前科があり、しかもその風貌や行動がマスメディアには「久々に叩き甲斐がある」と映ったのだろう。
一斉にスイッチが入り、逮捕前から狂乱の取材合戦を始めた。
では、その逮捕された案件はどうなったのかといえば、拘留期限が来ても警察は立件できず、処分保留で釈放されたが、その後、即座に別件で逮捕された。
この間、メディアはどうしていたかというと、容疑者に佐藤博史弁護士(足利事件で無罪を勝ち取った主任弁護人)、さらに木谷明弁護士(東電OL殺人事件でゴビンダ氏の勾留請求を拒否した元判事)がついたあたりから、ほぼ一斉に撃ち方止めに入った。
というのも、もし容疑者が無罪だった場合に名誉毀損の訴訟を起こされるのが怖くなったからである。
およそ、メディアにとって人権などというのは二の次だが、唯一怖いのがこの訴訟で、逆にいえばそこで負ける可能性がある時にだけ取材に歯止めがかかる。
つまり今回は、メディアから見ても相当に危ない案件なわけで、であれば警察の手法も当然ながら厳しく問われべきだ。
ところが、メディアはそれもしない。なんとなれば、ここで警察批判を書けば情報がいただけなくなるからだ。
かくて彼らはただ沈黙する。
私に言わせれば、この遠隔操作ウイルス事件というのは、検察が西松事件で吹っ飛び、あわてて陸山会事件に転進したがあえなく撃沈。最後は検察審査会への捜査報告書虚偽記載事件で自爆した経緯に酷似している。
そこで、最後はこの陸山会事件について。
先週、石川知裕氏らに対する控訴審判決が出た。結果は控訴棄却。
一審の「推認有罪」を追認した、この高裁の裁判長は、東電OL殺人事件で一審無罪のゴビンダ氏に有罪判決を下した判事の一人である。
そんな人物がまだのうのうと裁判官をやっていることが驚きだが、そういう人物を陸山会事件の裁判長にするシステムは、民主主義的手続きをも飲み込んだ上で成立する霞ヶ関独裁の真骨頂だ。
そして、こういう事実には一切触れぬまま、「しごく当然の判断である。」と社説に「当然のごとく」書く朝日新聞社は、退廃したメディアの象徴だと思うのである。
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