原発の廃炉、放射性廃棄物の処理コストを無視する「再稼動恐喝者」たち
日経を読んでいると、カラスが泣かない日はあっても、原発再稼働恐喝記事が掲載されない日はない。
今日も「有利子負債2兆円増 電力9社、震災後1年半で 原発停止が財務圧迫」(2面総合1)、「電力再値上げ 簡略査定 原発停止長期化で 経産省方針 再稼働進めば値下げ」(5面経済)の2本の記事があるが、それぞれの記事のリードは以下のようになっている。
電力9社、有利子負債2兆円増
電力各社の連結有利子負債が東日本大震災後に急増している。原子力発電所を持つ9社の2012年9月末の残高は25兆円超と、震災直後だった昨年3月末からの1年半で2兆円弱増えた。原発停止に伴い、代替の火力発電に使う液化天然ガス(LNG)の輸入代金などを手当てしているためだ。原発停止が長引けば、電力会社の財務を圧迫する状況が続きそうだ。
電力再値上げ 簡略査定
経済産業省は原子力発電所が電力会社の想定通りに再稼働できず燃料費がかさんだ場合、電気料金に反映しやすい査定制度を設ける。通常の値上げ査定でコスト全般を切り詰めた電力会社の再値上げ申請に限り適用し、審査を簡略化する。「再稼働が想定以上に進めば、速やかに料金を下げる」確約も求める。電力会社の経営が不安定になるのを防ぐための措置だ。
要するに「原発停止で燃料調達費上昇」→「電力会社の経営悪化」→「電力料金値上げ必至」→「原発再稼働すればすべて丸くおさまる」という論法で、この手の記事を日経は連日書きまくっている(要するに洗脳ですね)。
つまり依然として原発はコスト競争力があるという前提に立っているわけだ。が、このコストには原発の廃炉コスト、放射性廃棄物の処理コストは算入されていない。
そして、これが本当のところどのぐらいの金額になるのかは、まったくもって不明だ。不明だから算入していないのかもしれないが、間違いなく言えることはこれが莫大な金額(天文学的といってもいいかもしれない)になり、電力会社は必ず国に泣きつくということ。
なにしろ放射性廃棄物の最終処分地は、いまだ候補地がない。したがって、どのぐらいのカネがかかるかもわからない。この廃棄物は万年単位で管理する必要があるわけだが、その技術を開発している連中は千年単位ですら「想定外」(これ自体もまやかしだが)という無能ぶりを、つい最近さらけ出したばかりだ。
しかも日本には、この狭い国土の上に原子炉が50基以上ある。どんなに運転年数を誤魔化してしても、この原発はいつか廃炉にしなければならない。
「だけど、このまま原発を動かさなければ、日本の経済成長はさらに停滞して、国民生活は大変なことになる」という意見は当然あるだう。しかし、自分たちの生きている時代さえ良ければ、あとのことは知ったことではないという態度は許されない。
そういう意味では、少なくとも現在ある原発(もちろんこれには「もんじゅ」や六ケ所村の再処理工場施設も含む)の廃炉コスト、放射性廃棄物の処理コスト試算する必要があり、その上で他の発電方法との比較をするべきなのである。
都知事の職を投げ出して太陽の党とやらの党首におさまった80歳の老人にとって「原発はささいなこと」だろう。野田、枝野、細野といった現在の民主党の連中、あるいは安倍、石破以下の自民党の連中にとっても自分たちの死後のことなどどうでもいいのだろう。
だが、これからの時代を長く生きていかなければならない若い人たち、あるいは後世の人たちにとって、これは最重要の問題だと私は思う。
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コメント
廃炉にしたほうが莫大な量の廃棄物が出ると思うけどな~
投稿: | 2013/01/27 16:20
それでも日本人は、原発の再稼働を選んだ。
一億総ざんげへの道。動き出したら止まらない。
この道は、いつか来た道。ああ、そうだよ、民族の歴史は繰り返す。
意思のあるところに方法はある。(Where there’s a will, there’s a way).
意思のないところに解決法はない。
意思は未来時制の内容であり、日本語には時制がない。
それで、日本人には意思がなく、解決法が見つけられない。
自然鎮火を待つのみか。
耐え難きを耐え、忍び難きを忍んで、もって万世のために太平を開かんと欲す。
不自由を常と思えば不足なし。
座して死を待つか、それとも腹切りするか。
私の父は、玉砕した。何のお役に立てたのかしら。
安らかに眠ってください。過ちは繰り返しますから、、、、
わかっている、わかっている。皆、わかっている。
ああしてこうすりゃこうなると、わかっていながらこうなった、、、、、
十二歳のメンタリィティには、知恵の深さが見られない。教養がない。
わかっちゃいるけど やめられない。ア、ホレ、スイスイ、、、、
白く塗られた黒いオオカミの足を見破ることは難しい。
だます人は悪い人。だまされる人は善良な人。おとり捜査は難しい。
この調子では、人の命はいくつあっても足りるものではない。
我々は、自らは望むことなく危機に陥る民族なのか。
http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://3379tera.blog.ocn.ne.jp/blog/
投稿: noga | 2012/11/15 12:01