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2012/02/13

すべてを「なかったことにする」
原子力マフィアの恐るべき体質

ここ最近、福島第一原発2号機の圧力容器の温度がじわじわと上がってきた。
東電はホウ酸を投入したり、注水量を増やしたりという対応をしており、昨日は日曜日にもかかわらず会見をしていた。
東電や政府は、事故を起こした原発は「冷温停止“状態”」にある、つまり収束に向かっているというプロパガンダをしている手前、この温度上昇というのははかばかしくない。
温度を測る計器には20℃の誤差があるということで、当面、80℃をこえるかどうかが注目されていわけだが(100℃以下であることが冷温停止“状態”の条件)、昨日、夕方にはついにこれをこえてしまった。

だが、そもそも──。
冷温停止“状態”などとういものが、まったくのまやかしであるから、それをこえるこえないという議論は私にしてみればバカバカしいものだと思う。しかし、とにもかくにも自分たちで言い出した基準をこえてしまう事態に直面したわけだ。すると今度は何を言い出したか。NHKのニュースを引用すると、

これについて、国の原子力安全・保安院の森山善範原子力災害対策監は、「80度を示した温度計は大きく変動を繰り返していて、異常があると考えられる。原子炉そのものは、ほかの場所でも複数の温度計で測っていて、温度は高くなく、今の段階で『冷温停止状態』に問題ないと考えている」と話しています。 原子力安全・保安院は、東京電力に対し、原子炉の温度を把握する方法について、80度を超える数値を示した温度計を監視の対象から外すことも含めて検討し、報告するよう指示したほか、専門家からも意見を聞くことにしています。

これは凄い! 
そもそも温度上昇していた計器をなかったことにするというのだ。

しかし、考えてみればこの不都合なことはすべて「なかったことにする」というヤリ口こそが、原子力マフィアの体質なのである。

原発の建設予定地の周辺に地震の活断層があっても、なかったことにする

過去、原発立地点に地震による大津波が何度も起きていることは歴史が証明しているのに、なかったことにする

原発を運転すれば、放射性廃棄物が出てくるが、その最終処分地など日本中のを見渡してもどこにもない。しかも、この廃棄物は十年や二十年管理すればいいというものではない。千年、万年単位での管理が必要なのである。その処分地がない。すると原子力マフィアはどうしたかというと、「いつかなんとかなるだろう。どうせ自分たちの死後のことは知ったことではない」ということで問題を先送りにする。つまりそんな問題はなかったことにする

あるいは原発で働く下請け、孫請け労働者。原発を運転する上で、実はもっとも重要な仕事をしているにもかかわらず、この人たちは重層的な下請け構造のなか、被曝環境で過酷な労働をしているにもかかわらず、賃金をピンはねされている。だが、電力会社は「それは関連企業がやっていることで、自分たちの知ったことではない」とシラを切る。つまりこの問題もなかったことにする

怖ろしい産業だ。
しかもこの原子力マフィアには政府も含まれているからさらに怖ろしい。

東京電力福島第1原発事故で作業員全員が退避せざるを得なくなった場合、放射性物質の断続的な大量放出が約1年続くとする「最悪シナリオ」を記した文書が昨年3月下旬、当時の菅直人首相ら一握りの政権幹部に首相執務室で示された後、「なかったこと」として封印され、昨年末まで公文書として扱われていなかったことが21日分かった。複数の政府関係者が明らかにした。

元記事は↓
【最悪シナリオを封印】 菅政権「なかったことに」 大量放出1年と想定  民間原発事故調が追及

そして今、「官民+報」一体による史上最大の「なかったことにする」プロジェクトが進行中だ。それが、

福島第一原発事故はなかったことにする

ことだ。
なにしろ、この手を使えば、天文学的な額になる補償もなかったことにすることができる。
従来の法律に則れば広大な地域で人が住めなくなるが、それを認めてしまえば、もはや原発など一基も動かせなくなるから、なかったことにする

究極の無責任が、現に今、この国を支配している。

そして、この状況が続く限り、近い将来、放射能の影響による凄まじい健康被害が起きても、政府、電力会社はすべてなかったことにすることは間違いない。

もっとも、私はこれがいつまでも続くとは思っていない。
かつて旧ソ連がチェルノブイリ事故から5年後に崩壊したように、日本もそのぐらいのスパンで体制が崩壊するのではないかと予測している。
なぜなら、これから起こる放射能の被害というのは大変なものになるはずで、もはや「なかったことにする」ではすまされないレベルになることは間違いないからだ。

ここで話は突然、飛ぶが、先週末、ブログ「くろねこの短語」のくろねこさんと一献傾けた。
くろねこさんと私とは大変に主義主張が似ているので、意気投合することが多く、今回もいくつかの点でまったく同じ認識だったのだが、その一つが「これまで日本は少なくとも経済的には世界で一流だったけど、福島第一原発事故が起きてしまったことで、三等国以下に転落せざるを得ない」ということだ。

原発が、それも複数機事故を起こしてしまうということは、歴史上、あり得なかったことで、いったいこの事故がいつ結末を迎えるのかは誰もわからない。未来に生きる、たとえば数百年、あるいは千年後の人びとでさえ、この影響に苦しむことは間違いない。それほどに日本の国土は汚れている。
杜甫は「国破れて山河あり」と書いたものだが、

原発破れて山河なし

なのだ。
野田政権は消費税を増税することで、将来の世代にツケを残さないようにするなどといっている。
しかし、であれば何よりも最優先されなければならないのは、とにかく福島第一原発事故の被害、影響を現状、できうる限り小さくするために全力を投入することである。
それこそが政策のフォースト・プライオリティでなければならない。

少し前に、消費税増税の見え見えの複線として、厚労省が少子化のデータを持ち出したことがあった。これをメディアは一斉に垂れ流していたものだが、はっきりいって今後起きる少子化はそんな政府予測の比ではない。
なぜなら、原発事故は若い人たちの出産意欲に間違いなく大きな歯止めをかけるはずだから。
それを少しでも食い止めるには、とにかく福島第一原発の事故に真正面から立ち向かうしかなく、そのためにいくらかかるかわからないがカネを投入するしかない。しかし、これにはいったいいくらかかるかわからない。

となると――。
もはやこれまでのような享楽的な暮らしはもはやできず、本当のことを知った国民は驚愕するかもしれない。
だが、それも仕方がない。
なぜなら、それが原発事故というものであって、それを許容してきたのが今生きる人なのだ。
もちろん、「そんなことは知らなかった」という声が出てくるだろう。しかし、将来世代の人たちから見れば、そんなことは関係ない。
もちろん、国民をさんざん欺いて原発を推進してきた人間こそ超A級戦犯だが、それを見抜けなかった人もまた不作為の罪があるのであって、立派な戦犯なのだ。

長くなってしまったが最後に一つ。
しかし、そういう原発事故の本質をきちんと掴んでいる政治家がいないわけではない。
私は↓の動画を見て、なるほど、この人は真っ当な意見の持ち主だが、だからこそ日本の現在の権力構造は何がなんでもこの人物を排除したいのだなと思った。


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コメント

「腐った司法試験合格者による腐った司法談合犯罪と政治談合犯罪」

まあ日本の腐った司法試験合格者の愚劣な司法レベルでは裁判そのものが腐った汚職談合犯罪の無法国家になるのも当然だ。野田も枝野も仙谷も橋下も腐れ弁護士なのは悪い冗談以下のお笑いぐさだし。しかし橋下以外の国会議員の奴らの法匪腐敗談合汚職政治犯罪もすべて棄民テロそのものときては、もはや笑ってる場合じゃなくこいつらも告発して全員逮捕しなくちゃならんね。

投稿: 通りがけ | 2012/02/18 08:38

「指定弁護士を逮捕せよ」

>小沢被告を有罪にするのに証拠は要らないということか?(新時代創造さま)
http://soubiken.blog20.fc2.com/blog-entry-1142.html
>日本テレビ系(NNN) 2月17日(金)19時35分配信

>検察官役の指定弁護士は「池田被告の調書は一部採用されており、調書以外の間接証拠でも小沢被告を有罪とすることはできる」とコメントしている。

これが事実なら刑事裁判の証拠審理の否定を指定弁護士が自白したのであり、特別公務員職権濫用の誣告罪で直ちに指定弁護士を逮捕しなければならんね。警察に告発し逮捕させて21日間勾留身柄拘束取り調べしよう。もちろん証拠隠滅工作の恐れが極大だから接見禁止釈放なしでね。

投稿: 通りがけ | 2012/02/18 07:27

野豚政権がなぜここまでアメリカべったりに擦り寄るのかその理由を考えてみましょう。
野豚が何が不思議かといって、馬鹿でもわかるデフレ下の増税は自殺行為という単純な真理を無視して増税増税と大偽迷文を振りかざして鼻息が荒いのか?
こいつはホントの知能障害か精神障害か両方か、それとも白人と同じく「人間ではない」存在か。
まあ、最後でしょうな、ニンゲンモドキでしょうw

さて、増税しなくても日本はギリシャと違って金はあるんだという議論が巷間に流れています。本当に金があるんでしょうか?

アメリカの財政破綻はクリントン以前からの不治の病です。アメリカ財政はとっくに死んでいても不思議じゃない。アメリカはいつも戦争を起こしてその特需で風説を流布しドル高を創りだしてしのいできました。しかしクリントン時代大きな戦争を起こすのに失敗したアメリカは対日貿易赤字の踏み倒しと対日制裁でブッシュまでをしのいだのです。
この時期の日本の防衛予算と思いやり予算の総額は突出したものになっているはずです。
で、ブッシュ時代にいよいよ日本にあの稀代の詐欺師小泉純一郎が登場し、ブッシュの911対テロ世界大戦の戦費調達に協力してその結果貯蓄国家日本の虎の子の郵貯に大穴を開けてアメリカに大半を流失させたのです。

菅内閣も野田内閣もいずれも小泉と同じ首相モドキアメポチスパイ内閣ですから、とにかくアメリカ軍へ裏金を大量に流すことしか考えていません。菅内閣の原発輸出強行という狂行はアメリカへ原発利権の大部分を流すためです。

小泉、管と裏金流出内閣が続いたあとの野田内閣の増税の不退転の大偽は、実はもう日本に金が残っていないことを意味すると思いますね。
金がないのにアメリカ軍へ裏金を流さなければならない。もう何が何でもバカでもキチガイでもトン死しても消費税増税しか無いわけです。

まあバカの豚死に巻き込まれたくなけりゃ、日本は直ちに地位協定を破棄して米国債100兆円を売却し防衛予算を全額執行停止して震災復興と福一石棺桶化に全投入し1年で復興を成し遂げるべきです。
それしかないですね。

投稿: 通りがけ | 2012/02/17 20:51

米政翼賛会が報道しない極東米軍の最近の動向です。なぜこれをマスゴミが報道しないかを推理すれば、地位協定は簡単に破棄できますね。

>米国の13年度予算「海・空軍増強し中国封じ込めはかる」

(長周新聞2012年2月15日付け(2)面記事からタイプ転載)

 ▼オバマ米大統領は現地時間の13日、今年10月に始まる2013年度予算案を議会に提出する。メディアが事前に入手した予算案で注目されるのは、総額として国防予算は減額されているが、削減されたのは主に陸軍で、海空軍の支出は昨年度と大差のない水準を保っていることだ。
 ▼新年度の国防予算は5250億ドル(約42兆円)で、前年度より60億ドル(約4800億円)減らしている。だが、海空軍への支出は増えている。メディアによると、少なくとも226億ドル(約1兆8080億円)が、バージニア級攻撃型原子力潜水艦2隻と駆逐艦2隻、沿岸海域戦斗艦4隻を含む海軍艦船の建造に支出される。ちなみに前年度の艦船建造支出は240億ドルだった。空軍の増強にも力を入れる計画で、F35攻撃戦斗機生産に91億7000万ドル(約7336億円)支出し、前年度の92億5000万ドルより微減しただけだった。
 ▼ロシアの新聞は、米国防予算の変化はペンタゴンが海上作戦と空軍の正確な打撃に重点をおくものだというアナリストの見方を載せている。つまり弾道ミサイルの高精度の打撃力が強まったことで、ペンタゴンは世界のどこへでも電撃的打撃が加えられるようになった。それに海空戦力の絶対的優位を保持することによって、アジア太平洋地域でのアメリカの競争相手・中国を封じ込めようとしていると見ている。
 ▼ロシアのメディアはまた、アメリカの新年度予算案で陸軍への支出が減少した要因の一つは、米軍がイラクから撤収しアフガニスタンからも一部撤退したためだが、なにより先の国防戦略にそって米軍が漸次、戦略的重点をアジア太平洋地域に移していることを示していると論評している。

投稿: 通りがけ | 2012/02/17 10:23

原発と米軍基地は米国のウラ利権収奪の源として一体である。

>「過失は刑事有罪であり民事賠償責任を伴う」

班目委員長「指針に瑕疵」と謝罪 原発事故調で誤り認める
http://www.47news.jp/CN/201202/CN2012021501001379.html

「誤り」ではなく「過ち」すなわち過失である。

過失を謝罪したなら賠償責任を認めたことになる。保安院霞ガ関東電が三位一体となって自分たちの資産だけで国民の被曝被害全てについて全額賠償せよ。
この賠償に関しては国民の納めた税金から新たな予算支出をすることは絶対に許されない。東電は保安院が全権で監督する「私企業」だからね。東電と関連会社企業の株全てを賠償金支払いに充当し、結果東電が破産しても債務は保安院予算と関連業界私財を動員して全額弁済されなければならないのである。

投稿: 通りがけ | 2012/02/16 12:42

「アメリカ政治史は戦争犯罪史である。平和憲法国日本は直ちに地位協定破棄決議すべし」TPPも地位協定破棄で。

建国以来戦争政治侵略外交しか知らぬ米国が、合衆国軍法の交戦中敵国占領規定である『日米地位協定』を使って70年近くも日本と世界中で人種差別人権無視非人道戦争犯罪を続けている破廉恥醜悪な米国史が、占領統治の過去事実を証拠に明確に書き記されている長周新聞TPP解説記事をタイプ紹介します。

>『TPPに見る米国の食料戦略』
【食料自給できぬ国にして縛る】
第二次大戦と占領以来「戦後一貫して日本を標的に」
(長周新聞2012年2月13日付け(4)面記事タイプ転載)

【TPP(環太平洋経済連携協定)をめぐる批判論義のなかで、日本の農業と国土がアメリカの食料戦略の標的となってきたこと、それが食料自給率40%という惨状に示されていることが、第二次世界大戦と戦後の歴史的な経験と重ねて深められている。この問題をめぐるさまざまな事例や専門家の発言、意見を振り返ってみたい。】

 ▼鈴木宣弘東京大学大学院教授、木下順子コーネル大学客員研究員の両氏は、著書『よくわかるTPP48のまちがい』(農文協)のなかで、「アメリカの食料戦略の一番の標的が日本だといわれてきた」ことを強調。ブッシュ前大統領が、農業関係者に対する演説で日本を皮肉るような話をよくしていたことを紹介している。ブッシュは次のような発言をしていた。
 ▼「食料自給はナショナル・セキュリティに直結する問題だ。皆さんのおかげでそれが常に保たれている米国はなんとありがたいことか。食料を自給できない国なんて想像できますか?---どこの国のことかわかると思うけれども---食料自給のできない国は、国際的圧力と危険にさらされている国だ」
 ▼また1970年代末、ウィスコンシン州大学の農業経済学の教授が授業で「君たちはアメリカの威信を担っている。アメリカの農産物は政治上の武器だ。だから安くて品質の良いものをたくさんつくりなさい。それが世界をコントロールする道具になる」とのべ、「東の海の上に浮かんだ小さな国はよく働く。でも勝手に動かれても不都合だから、その行き先をフィード(家畜のエサ)で引っ張れ」とあからさまに語ったことを紹介している。
 ▼事実、その後20年を経た時点で、日本がアメリカから輸入した穀物3000万トンの三分の二以上を家畜のエサが占めるようになっていた。
 ▼それは、アメリカが第二次世界大戦で日本国民に対して行使した「飢餓作戦」から、戦後占領期以後の余剰農産物の押しつけに見られるアメリカの食料戦略に一貫したものである。
 ▼そこには食という人間の生活の根源に関わる問題を制するかどうかが、その国の運命を決定的に左右するという、古今東西の戦法の原則を貫くものであった。

[戦中にはアメリカの「飢餓作戦」]

 ▼1941(昭和16)年の日米開戦を前後して、日本国内ではコメはもちろん、塩、砂糖、味噌・醤油など、すべて配給制になった。そして、戦争末期になるとコメの飯は食卓に上がらなくなり、麦、コーリャン、アワ、ヒエなどと合わせたご飯があればよしとされるまでになった。
 ▼これは日本を戦争にひきずり出すための経済制裁に続く、アメリカの「飢餓作戦」と呼ばれる封鎖によるものであった。こうした事態は米軍の潜水艦や、関門海峡など日本湾岸の機雷封鎖によって、日本本土の穀物の後方補給地とされた満州、朝鮮、台湾からの輸送船がことごとく撃沈されるなかでひき起こされた。
 ▼戦争体験者は、敗戦後はアメリカの占領の下で、「さらにひどい食糧難」を経験したことを語っている。コメの遅配、欠配が続き、どこの家庭でも買い出しに出て、「闇米」を手に入れなければ食べていけない状況が続いたのは、いうまでもなくアメリカの占領政策によるものであった。
 ▼マッカーサーは、GHQに到着してすぐの1945(昭和20)年9月22日、「日本は産業、通商、軍事その他いかなる部門においても、完全に壊滅の状態にある。食糧供給はほとんど止まり、破局寸前の状況にある。日本が犯した罪に対する懲罰は、始まったばかりであり、長く厳しいものになるであろう」と公言し、懲罰としてこの様な状態を強いる意図を隠さなかった。GHQが貿易を全面的に禁止したことは、日本人の食糧事情を戦前の水準以下におしとどめるためでもあった。
 ▼名古屋に駐留した米第25師団長モラン少将は「連合国軍の日本占領を成功させる手段としては、まず日本の食糧不足を利用し、当面は食糧を封鎖して、日本人の抵抗意欲の抑止を第一目標とする。つまり、食糧攻めにすることだ」とのべた(中西薫著『名古屋戦乱物語』)。
 ▼モランはさらに、「(日本の)軍国主義体制を崩壊させ、武装解除が完了した段階で、徐々に米国の余剰農産物を活用し、無償・有償援助を実施して日本人に恩義を感じさせる。それまではたとえ日本農業の米麦が増産されたとしても、配給量を増加する許可を絶対に日本政府に与えてはならない」と訓示していた。名古屋では、熱田造兵廠に備蓄されていた大量の古米、小麦がすべて没収された。それは日本国内の食料難に供するのではなく、「損害賠償物資」として国外に流された。
 ▼GHQは、「闇米が出回るから、遅配・欠配が続く」などといって、買い出し列車に警察官を乗り込ませるなど、「闇米」の徹底的な取り締まりとともに、直接ジープで農家に乗りこみ、強制的に供出させることまでやった。

[戦後余剰農作物を日本に押しつけ]

 ▼こうしたなかで1946(昭和21)年、元大統領フーバーが食糧事情調査団として来日。予定どおり「食糧援助」への布石を打った。そしてこの年11月30日「ララ物資」第一便としてミルク・衣類・薬品など450トンが横浜港に到着した(写真あり:学校給食用の脱脂粉乳などの「ララ物資」第一便の歓迎に動員された横浜の子供たち)。戦後、学校給食に使われた脱脂粉乳はこの「ララ物資」によるものであった。
 ▼マッカーサーは「経済的扼殺」の成果を踏まえて、1947年2月23日、「飢餓は社会不安、混乱、暴動を生み出すに違いない。国民はどんなに邪悪な思想だろうが、食べ物を与えてくれるものに、安易に走るのだ」と「食糧援助」を本国に要請した。
 ▼こうして11月6日、「アメリカに感謝いたしましょう」と放出された輸入食糧の多くは、もともと家畜飼料で栄養値に劣るコーリャンやトウモロコシであった。それはアメリカでの市場買付け価格の二倍の高値で日本国民に押しつけられたが、「我慢して食べてもたちまち胃腸をこわす」という悪質なものであった。
 ▼「米価審議会委員」「食品流通審議会委員」などを歴任した岸康彦氏は著書『食と農の戦後史』のなかで、「フーバーは単なる慈善のために食糧援助に力を入れたわけではない。第一次大戦後、米国は大量の余剰小麦を抱え込んだ。食糧援助は飢餓救済と合わせて、米国の倉庫から、余剰小麦をへらして国際市況の低落を防ぐこと、さらには共産主義の浸透に対する防壁として農産物を利用することも狙っていた」と指摘している。
 ▼国会での感謝決議をおこなって受け入れたこれらの「援助物資」は、ガリオア・エロア基金という「見返資金制度」によるものであった。それは、物資に相当する金額を日本側が積み立てて、その30%は在日米軍基地の費用にあてるなど、資金の運用はすべてアメリカの許可を必要とした。
 ▼アメリカはそのうえに1953年、「ガリオア・エロア返済」を日本政府に要求した。そして60年「安保改訂」後の1962年、「日本はアメリカの妾(めかけ)みたいなものだから、だんなのご機嫌をとるのは当然だ」と放言した池田勇人が首相となって、4億9000万ドルの返済を実行したという屈辱的な事実も消し去ることはできない。

[60年をピークに自給率は下降]

 ▼戦後、日本の食料自給率は1960年までに79%までに引き上げられた。これをピークにそれは、下降の一途をたどっていった。そして、アメリカの余剰小麦の放出とパン食、粉食の奨励と結びついて、日本の食文化はアメリカ型にとって変えられていった。
 ▼青沼陽一郎氏は『食糧植民地ニッポン』のなかで、CIA(米国中央情報局)が1970年代に作成した食料戦略の秘密報告書に、世界的に異常気象による穀物不作が続くなら「備蓄の余裕のある穀物生産国」が生き残り、「米国は世界に対して第二次世界大戦直前をしのぐ経済的、政治的支配力を持つに至るだろう」「米国政府は食料を求める人々に対し、生殺与奪の力を持つことになる」と明記されていたことを暴露している。
 ▼こうしたアメリカの食料戦略の餌食にされてきた現実は、「食料輸入の大半を日本が依存する米国側から言えば、ゲストがホストに食い物の文句をたれるようなもので、”何を偉そうに”と侮蔑の目で見られる」(青沼氏)という屈辱的な日米の主従関係の根底に、軍事とともに食糧問題があることをはっきり示すものである。
 ▼それがTPPに貫いている(ママ)ことをだれも否定することはできない。(了)

投稿: 通りがけ | 2012/02/15 08:58

グアムについて長周新聞記事からタイプ転載します。

>【人間扱いされぬ先住民】
選挙権も電気も水も奪われ「米軍基地と観光施設が優先」

「グアムと日本人」山口誠著(岩波新書、196ページ、740円+税)
長周新聞2012年2月13日付け(4)面「書評」記事タイプ転載

 ▼「年間100万人もの日本人がなぜグアムに行くのか」との疑問をもった関西大学社会学部准教授が、米領グアムの歴史と文化について学生たちとともに調査した結果をまとめたもの。沖縄の海兵隊の移転問題とも関連して、グアムの実際を知る手がかりになる。
 ▼グアムは太平洋マリアナ諸島の15の島の南端に位置し、面積約549平方キロ、淡路島とほぼ同じ大きさである。米軍基地が島の3割を占める一方で、観光客が訪れるリゾート・タモン湾には20をこえる大型ホテルが立ち並ぶ。島の総人口は17万人で、そのうち1割が米軍とその関係者、4割が先住民のチャモロ人、残りの5割が米本土やアジアから来た移住者。米軍関係者の多さと先住民の少なさが際立っている。

「数千年の歴史を持つチャモロ人」

 ▼グアムには数千年の歴史を持つ先住民のチャモロ人が住んでいた。西洋人がミクロネシア地域にあらわれたのは、1521年3月、スペインのマゼラン遠征隊が最初である。マゼラン隊は、グアム島の住民から水と食料の提供を受けて辛くも生き延びたにもかかわらず、武装兵を上陸させて島の住民を殺害し、住居を焼き払った。
 ▼1668年、スペインの宣教師サン・ヴィトレス神父がグアムを訪れ、1年間で1万3000人もの住民にカソリックの洗礼を施すなど、島の文化・伝統をキリスト教世界観で塗り替えようとしたため、これに住民が激しく抵抗し、二十数年間にわたるスペイン・チャモロ戦争に発展した。強力な火器を持つスペイン軍は、チャモロ人、とくに男性をことごとく殺害した。マゼラン隊到着の頃には5万~10万人いたチャモロ人は、18世紀には約1500人にまで激減した。
 ▼こうしてスペインの植民地となったグアムは、1898年の米西戦争の結果、スペインからアメリカへ譲渡された。アメリカがグアムに派兵したのは、スペインの植民地を解放するためではなく、米大陸から中国に至る太平洋横断航路の中継地を確保するためだった。
 ▼米領となったグアムの行政長は、住民の選挙によらず、米国海軍大差が総督として任命され、議員も総督の任命だった。初代総督はグアムの英語化を指示、全住民に英語表記で自分の名前をサインできるようにさせた。彼らにとって教育制度の確立は必要なく、土地所有制度を整備して土地を奪い取ることが最優先にされたのである。
 
「一世紀以上にわたる米国の占領」

 ▼こうして1941年に日本軍に占領され、「大宮島」とされた三年間を除いて、アメリカは現在まで一世紀以上にわたってグアムを植民地支配下におき、アングロサクソンの法制度と言語によって統治してきた。だが、フィリピンのマニラ麻やハワイのサトウキビのような商品作物の大規模生産は期待しなかった。つまりアメリカがグアムに求めたものは、アジアへの前哨基地として「ただそこに在ること」だけだった。
 ▼巨大な軍事基地が存在し、現地住民の自治権が認められなかったグアムは、1960年代なかばまで、米国市民であっても軍事機密保持のために総督の許可無く島に立ち入れない「立入禁止」の孤島だった。それが変化したのは60年代の大統領ケネディ時代で、ベトナム戦争拡大からくる国際収支の深刻な赤字への対策として、グアムの観光開発が行われ、乳頭制限が解除された。日本のテレビや映画で「南国の楽園」と宣伝され、日本人が観光客の8割を占めた。同時にベトナムへの兵隊と軍事物資の供給地となった。

「グアム上回る植民地属国の日本」

 ▼現在でもグアムは、アメリカの「未編入領土」という名の植民地である。グアム住民は連邦政府が定める納税義務を果たしているが、アメリカ大統領選挙への投票権は与えられていない。また、普通選挙で選出された「グアム代表」は連邦下院議会に出席はできるが、議決権は与えられていない。
 ▼グアムは観光産業以外に主要な産業がなく、その観光産業は外資企業が占めている。外資企業は客室清掃や調理などのブルーカラーに、チャモロ人ではなく(米国市民権を持ち、最低賃金を保障しなければならない)、フィリピン人や他島からの移民を最低賃金以下で大量に雇うことで、経営コストを圧縮している。先住民のチャモロ人は、おもに米軍基地関係の仕事についている。
 ▼そしてグアムの住民が住んでいる地域は、給水施設が未整備のために断水が頻繁に起こる。また数年に一度大型台風が上陸し、島中の電線を破壊して、長期停電と断水になる。摂氏35度を超える熱帯の島で、水も電気もない状態が数週間から数ヶ月続き、病人や死者も出る。だが他方で、巨大な米軍基地と林立する観光施設には日々大量の水と電力が潤沢に注ぎ込まれ、停電や断水とは無縁である。チャモロ人を始めグアムの住民は、民主主義と人権を享受すべき同等の人間とはみなされていないのである。
 ▼しかし翻って日本の現状を見るなら、アメリカの財政危機を救うために年々膨大な富を吸い上げられているばかりでなく、沖縄や岩国や全国に米軍基地がはりめぐらされ、その維持費も拡張費も奪い盗られ、米政府が想定する対中国戦争ではグアム以上に原水爆戦争の前線基地・米国の盾として火の海にされかねない状態におかれている。グアムを上回る植民地属国の現実を直視しないわけにはいかない。(浩)

投稿: 通りがけ | 2012/02/14 18:06


日本の富奪い尽くす一体改革
消費税で儲ける大企業・年金は支給時に削る詐欺
   米国と財界の為国民搾る  2012年2月10日付長周新聞
>>http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/nihonnnotomiubaitukusuittaikaikaku.html
 
 野田政府がアメリカや財界に尻を叩かれて「税と社会保障の一体改革」を掲げた国民大収奪に乗り出している。消費税増税を柱にして、年金・医療・介護・保育など全分野に及ぶ改悪が内容だ。大企業は半導体など家電大手を先頭に日本国内ではもうけにならないとして法人税や消費税など優遇措置は受けながら、国内工場をつぶして海外進出しボロもうけする動きを加速。アメリカは欧州など世界的な経済危機のなかで自国経済自体がパンクし、軍事面では防衛費を削り日本を矢面に立たせ、財政面では日本から徹底的にたかる姿勢となっている。野田政府の「一体改革」による国民大収奪はこうしたアメリカと財界が日本の富を奪い尽くすTPPの先取りとなっている。それはアメリカが日本をアジア侵略戦争の盾にし廃虚にする日米軍事同盟の具体化に結びついており、独立・平和かどうかの国の進路がかかる問題となっている。

 各地の市場や小売店で消費税増税への憤りが噴出している。北九州市内の飲食店主の一人は「リーマンショック以後の派遣切り、工場閉鎖や東北の震災、就職難などで客が年年減るが、今年は年明けからとくにひどい。高齢者も今後のことを心配し使わない。みなが切りつめて生活している。そこに消費税増税とはなにを考えているのか。まだ消費を落ち込ませる気なのかと思う」と憤りをあらわにした。
 豊前海域の漁業者も「不漁に加え重油は上がり、網やロープなど漁具類は軒並み高騰し金具類の値段も上がっている。東北が被災したから西日本や九州で農漁業に力を入れないといけないのに消費税増税で首をしめる。食料生産がつぶれたら国も都市部も成り立たないのがわからないだろうか」といった。
 農家は天候不順による不作に加え、ビニールハウスに使う重油、肥料や飼料高騰に直面し、小売店もレジ袋、食料品販売に使うパックやラップ類などの出費が増えている。さらに関門地域では東芝やMCSなど大企業が工場閉鎖を打ち出すなか、家のローンを抱えたまま失業するなど生活の困難が拡大し消費落ち込みは深刻だ。ここに打ち出された野田政府の「消費税率を2014年4月に8%へ引き上げ、15年10月には10%に引き上げる」という方針は到底容認できないものとして論議が渦巻いている。
 門司区の市場店主は「売れ残りで消費税が回収できないのに仕入れるたびに消費税はとられる。しかも納税が遅れればすぐ利子がつく。“財源が足りないから増税”と政府はいうが、規制緩和で大型店を増やし、小売店が税金を払えないようにしたのは一体だれか。真っ先に“改革”しないといけないのは、国民から搾って大企業は減税し、米軍にせっせと基地や金を差し出す政治の方だ」と強調した。
 この消費税増税を要求しているのはアメリカと財界である。消費税を増税すると海外輸出に依存する大企業は「外国に売った商品からは消費税が回収できない」として輸出製品に対する消費税は、庶民から徴収した税金で国が還付する仕組みだ。トヨタは年間2000億~3000億円規模の還付を受け、他の自動車産業も1000億円をこす還付を受けている。庶民にとっては消費税増税はとられるものだが、輸出企業にとっては増税すればするほど収入が増える補助金に等しい。
 さらに非正規雇用を大量に使う大企業は、正社員給与とちがってモノ扱いとなる派遣社員の報酬から消費税分5%が控除されるため、消費税率が上がれば上がるほど控除額が増える関係。消費税が上がると笑いが止まらないのが大企業でこのため経団連は消費税引き上げを執拗に要求している。
 財界以上に日本の国家財政にたかってきたのが米国でIMF(国際通貨基金)は「消費税の段階的引き上げが必要」とか「税率の15%に引き上げ」を提言してきた。そもそも日本政府が1000兆円もの借金を背負ったのも、90年代からアメリカが迫った600兆円もの内需拡大要求に従い公共投資をした結末だ。貿易黒字で得たドルは米国債の購入に当てられ、ドル安政策で円売り介入するたびに米国債を買いこみ、500兆~600兆円ともいわれる米国債をため込んでいる。これを売れば消費税増税は不要だが、アメリカは消費税増税で国民から巻き上げた資金で、さらに紙切れ同然の米国債を買わせ、日本の富を奪い尽くそうとしているのである。

大企業や富裕層は優遇 法人実効税減税等

 消費税増税の一方で打ち出されたのが大企業や富裕層への優遇措置である。大企業が払う法人税は消費税導入時にもともと45%だったのを30%に下げてきたがまだ引き下げる方向。法人実効税率はすでに5%削減が進行中で、復興増税(3年期限)で3%増税しても2%の減税。2015年以後は完全に5%減税にするもので、10年間で12兆円規模の減税策だ。また「富裕層を対象とした個人所得税の最高税率を40%から45%に引き上げる」という内容も、消費税導入前に70%だった最高税率を5%ほど元に戻すだけ。そして株・証券売買の利益と株配当の課税は20%と明記されているのに、近年は「景気対策」と称して10%に引き下げたまま。これも「2014年1月から」としてすぐ廃止せず継続している。
 増税では高齢化社会をチャンスとみて、遺産相続で控除対象になる額を5000万円から3000万円に引き下げ、遺族からむしりとる増税策も盛り込んでいる。

若者世代にも影響甚大 中心収入と化す年金

 こうしたなかで年金支給切り捨てが進行し、若者もふくめ全世帯に影響を及ぼす問題になっている。下関市の男性店主は「知人の子が都会から帰ってきても仕事がなく親の年金をあてにしている例が多い。年金が出る偶数月の15日になると郵便局や銀行に親子で引き出す光景も見かける。年金はすでに一家の中心的な収入になっている。これを削ると若者世代にも影響が大きい」と話す。
 年金で息子や義姉の生活を補助してきた元船員男性は「年金受給額は多くても、息子は零細企業の社員で給与は月十数万円でその嫁は派遣社員。これで家賃を払い、食べ盛りの中学と高校の娘2人を育てるとなると生活が厳しい。生活できるまともな仕事がなくて若者が自立できないのが一番問題。だから税収も増えず保険料も足りなくなる。消費税を上げたり年金を下げても解決しない」と話す。大卒でも就職先がなかった息子を年金で養ってきた元鉄鋼労働者も「若者に働く場がなくて、かりにあっても非正規雇用ばかりだ。自立できる働く場を奪っていて、なにが持続可能な社会保障か。際限なく消費税を上げ続ける気か」と指摘した。
 年金支給年齢見直しは、60歳だった支給開始年齢を3年に1歳引き上げ65歳支給開始にする行程が進行中。だがこれを「2年に1歳引き上げ」とし68~70歳にまで引き上げようとしている。支給開始年齢を遅らせ掛け捨てを増やすのが狙いだ。さらに「物価スライド特例分の解消」(物価が下がったことを理由に年金支給額を12年度から3年で2・5%引き下げる)や「マクロ経済スライドの検討」(少子高齢化が進むと“世代間の公平確保”を掲げて年金支給額を引き下げる仕組み)も明記。これまで老後は年金があると信用させて働くだけ働かせて、いざ60歳になると支給しない。支給時には「物価が下がった」「少子化だから」といろいろ理由をつけて大幅に削る。歴代政府が詐欺をやった姿が浮き彫りになっている。

個別家庭に負担押つけ 介護も医療も保育も

 そして介護では「施設から在宅へ」といい、医療では「入院から在宅へ」といい、保育では「公から民へ」といって株式会社参入を促進し、全福祉分野にわたって個別家庭に「自分で世話しろ」と負担増を押しつけ、大幅な予算削減をやろうとしている。
 介護では介護報酬を引き下げて要介護度の低い特別養護老人ホーム入所者の追い出しをはかってきたが、4月からまたヘルパーの生活支援基準時間を四五分未満に短縮(今までは60分未満)して介護報酬を引き下げるもので、ヘルパーから「機械的な作業だけでは介護などできない」「ヘルパーはロボットではない。四五分間ではなにもできない」と強い反発が起きている。
 さらに老人保健施設に6カ月入所したら介護報酬を減らしたり、介護用療養病床を減らすため介護報酬を引き下げるなど、重度者も追い出す方向だ。政府は「24時間体制の巡回型介護・看護サービス」を新設し、安上がりの「在宅」にかえようとしているが、看護師も介護職員も不足している現実のなかで介護難民が増加するのは必至となっている。
 医療も診療報酬改定によって、紹介状なしで大病院を受診する場合の患者の負担料を引き上げ、医療機関への初診時の保険給付額を引き下げることを打ち出し、急性期医療も平均入院日数を九日間に短くすることが目標だ。3カ月を超える入院患者は、今も診療報酬の大幅カットで追い出される事態となっているが、さらに長期入院患者を減らし医療費を抑えることを狙っている。こうした重度要介護者の在宅介護への押しつけ、長期入院患者追い出しによる在宅看護強要は「介護・看病苦」による心中や肉親殺しという悲劇を増やす殺人行為にほかならない。
 「子ども・子育て新システム」も幼保一体化を中心とした幼稚園と保育機能の統合、受入児童数増加による待機児童解消を宣伝文句としているが、公立保育園などの補助金を大幅にカットし、株式会社などの資本参入を認めるのが柱。子どもが少ない地域では保育園や幼稚園の統廃合で通園に時間がかかるため父母の負担が増し、子どもが多い都市部では「これまで認可保育園に入れなかった子を、受け入れていた地場の認可外保育園が淘汰され預ける場がなくなったらどうするのか」と危惧が語られている。保育関係者のなかでは「今の保育体制でさえ、育児放棄、子殺しなどの悲劇が増えている。安ければいいという大型店がのりこんで地元商店街をつぶし、もうからなくなるとまた撤退するというようなことは日本の未来にかかわる保育にとって許されない」と話題にされている。生活保護も「生活保護受給者204万人、地方自治体の負担を軽減する」などと称して、「職業訓練」を受けることを要件にして生活保護の停止・廃止をおこなう改悪に乗り出している。
 こうして国民から搾り上げた使い道は大企業やアメリカへのバラマキに使われていく算段となっている。それは昨年11月に1日だけで政府・日銀が円高阻止で8兆円もの資金をばらまいたのを見ても、同時期に開かれたASEAN(東南アジア諸国連合)の首脳会議で野田首相が各国のインフラ整備に2兆円規模を支援すると約束したのを見てもはっきりしている。こうした消費税増税を柱とする「税と社会保障の一体改革」は、日本国民の大収奪であるとともにTPPや対中国戦争を準備する米軍再編と結びついている。それは日本が経済的には徹底的に搾りとられ、あげくのはてはアメリカの企む対中国核戦争の戦場にされ廃虚になる道にほかならない。

投稿: 通りがけ | 2012/02/14 08:26

「面白きことも無き世を面白く」「では長州男児の心意気をお見せ申そう」高杉晋作「回天」の独立不羈とは。

>攘夷戦争と長州藩の足跡;歴史図録や写真で専門家が解説
「長州維新の道(上)」(図書出版のぶ工房発行、定価2300円+税)
(長周新聞2012年2月10日付(4)面新著紹介「本棚」欄記事タイプ転載)

 ▼幕末の攘夷戦争から明治維新にいたる長州の足跡を歴史図録や写真を豊富にとり入れ、専門家が解説する「長州維新の道」の上・下巻が、福岡市の「図書出版のぶ工房」から発行されている。「九州長州図録撰書」シリーズで、「長州と筑前、維新を歩く三部作」のうちの二冊である。
 ▼「長州維新の道」〔上〕は、関門海峡での幕末対外戦争である攘夷戦争、米英仏蘭四カ国連合艦隊との戦争になった馬関戦争以後の長州藩の動向、とくに高杉晋作と奇兵隊による「回天」へと急激に展開した事情に迫るとともに、巧山寺で決起した奇兵隊が下関から萩城を目指して進撃した「赤間関街道 中道筋」をたどるものである。
 ▼「幕末、日本の情勢はめまぐるしく変わった。黒船来航から戊辰戦争までの十数年の間に、二百数十年ぶりの開国、七百年近く続いた武家社会の終焉という大転換を遂げ、中央集権近代国家へと歩き出したのである」(遠藤順子)。
 ▼文久三(1863)年の攘夷戦争から、文久政変、禁門(蛤門)の変、第一次長州征討と馬関戦争、高杉晋作の奇兵隊結成、さらに俗論党の台頭と第二次長州征討。まさに内憂外患、四面楚歌に見える極限の中から、これと正面から戦い抜き倒幕戦争の勝利へと導いた高杉晋作、奇兵隊と諸隊の動向。このあたりの内的事情については、「長州攘夷戦争」(古城春樹)、「高杉晋作による奇兵隊結成と文久年間の情勢」(田口由香)に詳しく展開されている。
 ▼高杉晋作が、封建制の身分制度に縛られた幕府や他藩では見られなかった「身分を超えた軍隊”奇兵隊”」を結成し、馬関戦争の講和会議でイギリスによる彦島租借を阻止し、四境戦争の大島口や小倉口の戦の先頭にたって幕府軍と戦ったのは、「すべては長州一国のためのみならず、清国の覆轍を踏まず上海の惨状を日本にもたらさないためのものだった」。
 ▼そこでは、高杉晋作が文久2年に上海に渡航し、欧米列強の植民地となった租界や、清国の惨状を直接目撃した体験が非常に大きかったこと、「彼の人生最後の五年間の行動を強烈に動機づけし、方向を決定したのは、まさにこの上海渡航だったといえる」と強調されている。
 ▼田口氏は「上海の惨状を目の当たりにした高杉は”攘夷の策”を主張しているが、欧米諸国との貿易も視野に入れている。・・・・・高杉が主張する”攘夷の策”とは、西洋技術の導入によって欧米諸国と対等な関係に立つための対策であり、いわゆる外国人を追い払うという攘夷の考えとは異なっている」と指摘している。
 ▼このほか、「薩長同盟の功労者、中岡慎太郎」など、薩長同盟がどのような緊迫した情勢のもとで成し遂げられたのかを、筑前の動向や中岡慎太郎の活躍との関連で記している。功山寺決起の直前まで高杉晋作が、筑前の野村望東尼の平尾山荘にかくまわれていた事情、「木戸孝允の人脈と江川太郎左衛門の農兵隊構想」などについての叙述もある。
 ▼伊能忠敬研究会会員・遠藤薫氏(のぶ工房編集長)が、実際に歩いて撮影した下関を起点とし萩にいたる「赤間関街道中道筋」を新地、竹崎、赤間関、長府から小月、清末、神田、さらには奇兵隊の陣屋が置かれた吉田、激戦地の絵堂、大田など主な地点を史跡や風景写真、「伊能図」や現在の地図に照らして紹介している。
 ▼三部作完結となる「長州維新の道(下)」は「萩往還---維新をなした政治と教育」をテーマに構成されている。(一)

参照:劇団はぐるま座「動けば雷電のごとく」>>http://www.c-able.ne.jp/~haguruma/raiden%20pdf.pdf

投稿: 通りがけ | 2012/02/14 07:17

極東米軍の最近の動向です。

【タイで大軍事演習】
米国のアジア重視戦略の具体化「中国を排除し」
(長周新聞2012年2月10日(1)面記事タイプ転載)

 ▼史上最大規模の米・タイ合同軍事演習「コブラ・ゴールド」が、7日からタイで始まった。1982年以来の恒例の演習であるが、日本、「韓国」、シンガポール、インドネシア、マレーシアを含む計七カ国が演習に参加するほか、九カ国が指揮所訓練に加わる。先にオバマ政府がうち出した「アジア重点」の新国防戦略にもとづき、アジアの同盟国を糾合して中国封じ込め態勢を強化する意図があらわとなっている。
 ▼今回の「コブラゴールド」には、タイ軍と米太平洋司令部指揮下の米軍が参加する。米国8948人、タイ3623人、日本74人、「韓国」324人、シンガポール59人、インドネシア73人、マレーシア79人、早慶1万3180人が演習に参加する。
 ▼この他、10カ国が指揮所訓練に参加する。オーストラリア、フランス、カナダ、イギリス、バングラデシュ、イタリア、インド、ネパール、フィリピン、ベトナムである。さらに9カ国がオブザーバーとして、演習を見学する。今年31回目の同演習だが、参加国数や参加人員などで最大規模となっている。
 ▼しかもこれまでのような海上救助、海賊対策、反テロなどではなく、実戦的色彩が濃くなっている。
 ▼中国も02年からこの演習にオブザーバーを派遣してきたが、演習には参加できなかった。アメリカなどは今次円周は正常な恒例の演習であり、特定の国に矛先を向けるものではないとしているが、中国を排除している。特に南シナ海の島しょ領有権をめぐって確執のある国で中国だけを排除している。中国軍の幹部は、今次演習が明白に一方に加担して中国を排除しているが、それは、台湾海峡特に南シナ海の紛争を武力で解決することを煽るものだと非難している。
 ▼アメリカの新国防戦略は、中国を仮想敵から現実的な敵とし、防御から封じ込めにエスカレートした。米軍主力は日本---グアム---オーストラリアの第二列島線に配備し、日「韓」をはじめフィリピン、タイなどアメリカと軍事同盟条約を締結している国をつなぐ第一列島線を対中国の最前線にし、アジア・西太平洋でのアメリカの覇権を確保する鉄砲玉に使おうとしている。そのために、米軍と日本、「韓国」、フィリピン、タイなどアジア諸国との合同軍事演習が段階を画して強化されている。(了)

投稿: 通りがけ | 2012/02/13 19:52

岩国への在沖海兵隊移転【露骨な戦争準備、拠点化】
既に将校宅に地下シェルター、兵舎建て替え
工場地下に軍事道路整備計画も「見切りつける企業」
(長周新聞2012年2月10日(1)面記事タイプ転載)

 【在日米軍再編の見直しをめぐって、沖縄から国内外に分散させる海兵隊3300人のうち1500人を米軍岩国基地に移転させる問題は、岩国市民をはじめ全県、隣接する広島県を含めて重大な関心を集めている。「普天間基地の固定化を避ける」「沖縄の負担軽減」という建前で進められているのは、中国、朝鮮半島を含むアジア・太平洋地域を重視するアメリカの新防衛戦略に沿って各地に軍事拠点を分散させ、全土を「沖縄化」することである。中でも岩国基地は100機を超える戦斗機部隊と1万5000人に及ぶ人員を擁する極東最大の一大軍事拠点へと変貌することになる。岩国市民のなかでは、強度を米軍へ売り飛ばす全市基地化の動きに対して、日本を部隊とした戦争準備の本格化が深く実感され「岩国だけの問題ではなく、広島を含めた周辺広域にわたって軍事要塞化されることを意味する」「日本全体の将来に関わる一歩も譲れぬ問題」として物議を醸している。】

 ▼「岩国移転については日米協議はしていない」とシラを切っていた野田政府だが、8日に発表した日米共同文書では、在日米軍再編を「地理的により分散し、運用面でより抗堪性があり、かつ、政治的により持続可能な態勢を達成する」方向で見直すとし、「日本は歓迎する」と全面的に従う姿勢を明記。普天間基地の移設とグアムなどへの海兵隊の移転を切り離して進めること、グアムに移転する海兵隊の構成や人数について見なおすことなどの複数の課題について「数週間ないし、数カ月のあいだに共同でとりくむ」とした。
 ▼頓挫している普天間基地移設を除いて、再編計画全体を加速させるということであり、岩国基地をめぐっては、普天間移設とパッケージとされてきた厚木からの空母艦載機移転(約4000人)を先行実施させるとともに、「見直し」の中身次第では新たに沖縄の海兵隊1500人(軍属、家族を含めて約4000人)の移駐が今後、交渉の俎上にのぼることになる。
 ▼市長選一週間後、時を見計らったように在沖海兵隊1500人の移転案が表ざたにされ、岩国市民のなかでは「隠れていた本丸がついにあらわれた」「市長選までは隠しておいて、これ以上市民をバカにしたことはない」と底深い怒りが渦巻いている。に一時や福田市長は、「これ以上の負担はない」「艦載機移転も普天間が解決するまで容認しない」としていただけに、「(海兵隊の岩国移転は)拒絶するべき」「岩国が移転候補地からはずされるまでは愛宕山の売却も留保する必要がある」と口裏をあわせて発言するなど火消しに躍起。つい最近まで「国防は国の専管事項であり、地方が口出しするな!」と市民を恫喝し、調子に乗って「国防協力都市宣言」までしてきた市議連中も旗色が悪く、右往左往している。
 ▼米側が打診してきた「1500人」は、沖縄を中心に展開する米海兵隊の第三海兵遠征軍(MEF)の司令部とみられている。有事編成では5万人規模となる部隊であり、移転が実現すれば、横田(空軍)、横須賀(海軍)に並んで、岩国が海兵隊の拠点司令部となることを意味している。
市民からは、「沖合移設で基地面積が二倍近くに拡張され、4万トン級の空母が接岸できる港まで造られた意味がわかった」「愛宕山の米軍住宅化に続いて、米軍基地につながる巨大道路も次々に整備されているが、すべて米軍の受け皿づくりだった」「朝鮮半島に向けた前線基地にされる」と語り合われている。

「広島含めた前線基地化」

 ▼基地内で働く従業員は、「基地内ではこの20年で兵舎や倉庫、スーパー、デパート、ボウリング場射撃場にいたるまで大規模な新築工事がやられてきた。将校住宅などは一戸あたり7000万、8000万円というとんでもない額で、少々の衝撃にはびくともしない重鋼鉄仕様。避難用の地下シェルターもある。北門付近の兵舎は全部取り壊して、これも頑丈なものに建て替えられたし、トタン張りだった旧施設は全て新築された。基地面積も広大になったので、寂れる岩国の中心市街地と比べてもどっちが”岩国市”なのかわからなくなるほどの差だ。それだけを見ても、本格的な戦争準備が始まっていると感じていた」と語る。
 ▼「岩国基地には今は35機の戦斗機があるが、厚木の空母艦載機59機、沖縄の空中給油機12機をあわせると100機を超えて極東最大。さらに海兵隊が来れば、嘉手納基地に並ぶ国内最大の基地になる。海兵隊には移動手段としてヘリ部隊がセットになるので、いずれは普天間に配備するオスプレイも岩国に持ってくるのではないか。グアムや沖縄は島なので攻撃されたら逃げ場がない。だからこそ一番危険な海兵隊の司令部を岩国に持ってきて、市民を立てにして身を守るということだ。戦争になれば、岩国は”ヒロシマ”
の二の舞にされる。広島県を含めて中四国で多県的に問題にしなければいけない」と語気を強めた。
 ▼別の基地内労働者も、「市民の木造家屋と違って、基地内の家は完全な防音で部屋のなかでは戦斗機の騒音も気にならない。また子供たちも含め高価な服を着て、風呂もアメリカ式で水は際限なく使いたい放題。少しでも物が壊れれば修繕するのではなく、新品を調達しようとするが、これらがすべて日本負担だと思うと腹が立つ」と基地内の様子を語った。
 ▼そして「昔は自営業者でも入って仕事ができていたが、だんだんと基地内に入る手続きも厳しくなり、今では利権がらみの業者ばかりが仕事を請けて市内零細業者はどんどんつぶれている。アメリカは日本を守るという名目で日本負担を増やせといってきているが、絶対に突き返さなければいけない」と激しい口調で語った。
 ▼川下地区に住む婦人は、「米兵が増えると子供を安心して育てられないので、岩国を出ていく若者が増えている。川下小中学校も年々児童数が減り、地区には年寄りばかり残されて空き家が増えている。その空き家をリフォームして米兵に貸し付けるビジネスも始まり、新興住宅団地などを中心に1000人以上の米兵が既に基地外で生活している。だが、米兵に囲まれると市民はますます住みづらくなる」と実情を語る。
 ▼また、「今はアメリカ本国に帰っても雇用先がなく、退官米兵などがそのまま基地内に残って雇用されるので、基地が拡大しても日本人の従業員は減り続けている。だから岩国は寂れる一方だ。知り合いの退官米兵でさえ”子供が心配だから、沖縄の海兵隊が来るのなら本国へ帰る”といっていたが、岩国市民はどこへ逃げるのか。このままでは岩国は完全に米軍に乗っとられる」と語気を強めた。
 ▼また岩国市内では日本製紙岩国工場の200人削減や日本製紙クレシアの閉鎖など企業の縮小、閉鎖が相次いでいることも岩国が極東最大の基地になる計画とつながっているといわれている。
 ▼とくに、日本製紙岩国工場の地下にトンネルを掘り、米軍が軍事物資の積み下ろしに使用している新港と基地とを結ぶ臨港道路として整備する計画もあり、「企業が生産拠点としての岩国に見切りをつけている。そうなれば、岩国の経済界の大部分を占める下請け企業は立ちゆかなくなリ、もうけるのは本当に一部の基地利権者のみという江戸時代に逆戻りしたような町になってしまう」と危惧されている。

「鼻息の荒い林参院議員」

 ▼そんななか、林芳正参院議員のファミリー企業であるサンデン交通(下関市)が岩国基地内に開港する岩国錦帯橋空港の航空機誘導や荷物積載などの運搬支援業務を全日空から受託し、社員募集をかけていることが話題となっている。
 ▼近頃、「次期首相候補」と鼻息の荒い林芳正議員だが、衆院山口二区で二度落選した自民党・山本繁太郎氏が二井知事の後継として出馬することに伴い、二区から代議士の座を狙っていると言われ、先月の市長選にも福田市長の応援に駆けつけて「(艦載機を受け入れたおかげで)今年は市民の長年の夢だった民空がかいこうするんですよ!」と絶叫。
 ▼下関市の補助金漬けで「市営バス並」の扱いを受けて成り立つサンデン交通だが、地元業者を差し置いて岩国基地利権にもしっかりありついていることに「自分の夢を形にしただけではないか」と市民の視線は冷たい。防衛大臣経験者でもあり、今後、地元の下関も含めて米軍の受け皿づくりに奔走し、「首相候補への売り込みを図るのではないか」とみられている。
(了)

投稿: 通りがけ | 2012/02/13 18:20

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