電力会社が電気料金を値上げしたい本当の理由
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「日本人ってやっぱりけじめってつけることが下手な人間だと思いましたね。やっぱりね、東電の社長がいまだに、、、まあ替わりましたけど、東電って会社があって社長がいて、社員の給料が半分になったとか、90パーセント減ったなんて話はまったく聞きませんし、、、平然と東電の社員が歩いてるってこと自体がね、日本人ってけじめをつけなさすぎますよ。」
2011年12月31日 「久米宏ラジオなんですけど」
今週のスポットライト(黒鉄ヒロシとのゲストトーク)内での久米宏の発言
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年明け早々、またぞろ地震が頻発している。そして、ネットでは福島周辺での(首都圏も含む)セシウムの降下量が増えているという情報もある。
武田邦彦教授
「速報 福島中心にセシウム急増 マスク必要!!」
武田邦彦 「東電は日本から出て行ってください」 2012.01.06
ところがテレビは、「食べログ」のランキング操作や大間のマグロの最高値で大騒ぎをしている。
私はこの映像を見て素直に「凄いナ」と思った。
「原発の破局事故は終ったことにするべく国民を洗脳する」という権力の意向を、テレビは何も報じないことで見事なまでに実現している。
さて、私は年末から年始にかけては妻の実家に帰省していた。
場所は静岡県、つまり中部電力管内である。
ちょうど義妹が家を新築しており、ほぼ出来上がったその家を見物すると、家の脇にエコキュート、つまりオール電化住宅の機器の一つが設置されていた(↓CMの青い人形が持ってくる機器)。
その後、近所の家電量販店へ行ってみると、オール電化住宅の展示コーナーが設置されていた。
つまり、中部電力では、依然としてオール電化を推進しているわけだ。
一方、東京電力は、さすがに3.11以降、オール電化の営業を中止していいる。
その表向きの理由は「節電をお願いしている時に勧められない」ということらしいが、本音は違うはずだ。
そもそもオール電化住宅は原発と密接不可分な関係にある。
くわしくはこちら(「原発事故とオール電化住宅」)をお読みいただければと思うが、簡単にいうと原発が作り出す深夜帯の余剰電力対策として推進されたのがオール電化住宅なのである。
したがって原発の稼働率が下がれば余剰電力も減っていく。
そしてこのままいくと、国内の全原発は4月に停止する可能性が高い。
こうなると余剰電力は完全になくなるわけで、つまり深夜の電力料金を割り引いてまで電気使用を促進させる必要もなくなるわけだ。
というか、、、
もしこのままいけば、今度はオール電化住宅利用者のために深夜帯に割引した電気を作り出す必要が出てくる。
ここで思うのだが、実は電力会社が電気料金を値上げしたい大きな理由は、そのコストを転嫁したいためなのではないだろうか?
電力会社としては、「深夜の電気が安い」ことを“売り”にオール電化を促進してきたわけだが、その割引制度は原発と深い関係があったとは認めたくないだろう。
ところが、東京電力管内だけでもオール電化を推進した結果、原発2基分の消費増となったという。
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・オール電化住宅、普及裏目…原発2基分の消費増
東京電力が、給湯や調理などすべてを電気でまかなう「オール電化住宅」の普及を推進してきたことが、今回の電力不足に拍車をかけている。
この3年間で戸数が倍増し、最大で原子力発電プラント2基分にあたる約200万キロ・ワット分の電力消費能力が増えた可能性がある。東電は、東日本巨大地震後、計画停電をせざるをえない状態で、オール電化の普及策は抜本的な見直しを迫られている。
東電によると、管内9都県のオール電化戸数は2002年3月末時点で1万3000戸だったのが、08年3月末に45万6000戸になった。10年末には85万5000戸に倍増した。「原子力は発電時に二酸化炭素を排出せず、地球温暖化の防止につながる。省エネにもなる」とアピールし、電気料金の割引を適用してきたが、急速な普及策が裏目に出た形だ。
(2011年3月23日14時42分 読売新聞)
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原発の稼働率が高く、深夜に余剰電力をドンドコと作り出していた時には何の問題もなかったが(なにしろそれでも電気の“捨て場”に困って揚水発電所を作っていたのだから)、こうなると割引制度自体をやめないかぎり、その分のコストアップをどこかに転嫁せざるを得ない。
東京電力社長の西澤俊夫は、「原発停止によって火力発電の燃料費が増加するが、電力の安定供給をしなければならないから電気料金を上げる必要があり、その申請は事業者の義務で権利」とのたまった。
しかし、実際は自らが蒔いた種、つまり、
原発推進→深夜の余剰電力拡大→深夜帯の電気料金を値下げしてオール電化住宅促進
というサイクルが頓挫してしまったなか、それでも深夜帯の電気割引を継続するためには、全体の電気料金を上げるしかないというのが本当のところではないのか。
だとすると、電気料金値上げの最大の責任は、電力会社自身にあることになる。
にもかかわらず、その責任をまったく度外視して、利用者に負担を押しつける。
こんな会社がいまだに平然とのさばっていることが、私は信じられない。
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コメント
(ノд・。)いつも拝見しています。
本当にTVのグルメ?番組大復活には驚きます。
原発爆発由来の海水の汚染はなかったことになってますよね。とはいえ、栃木の親戚たちなどに放射能の心配をすると、なんとなく気まずいのです。
触れないで忘れたい・・・みたいな。平気で食品をたくさん送って頂いたのですが、情と放射能汚染の板挟みになり、廃棄もできず食べちゃいました(苦笑
こういう方々いっぱいいるような気が。。。
もうおばさんですからいいですが、子供たちも情の板挟みで苦しむなら、「非情」になるべきだと思います。
投稿: ゆい | 2012/01/11 03:42
[世界中の危機・混乱・戦争は米国のウォール街金融が起こしている。目的は「新世界秩序」]ふじふじのフィルターさま
http://fujifujinovember.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-35b3.html
> 世界の市民の命・生活・経済を破壊している真のテロリストは米国ウォール街の金融資本であるということに私達日本人も
>知る必要があります。米国の市民も彼らの被害者なのですね。
> ウォール街は軍産複合体を支配し、そして、もちろん、原発も彼らが支配してやっていることです。世界中で起きていることは、
>私達に関係しています。関心を持って見ていこうではありませんか。無関心はダメです。
全く同感です。そしてこちらも。
[ショック・ドクトリン、1997~1998アジア通貨危機の場合、]いかりや爆氏の毒独日記さま
http://blog.goo.ne.jp/ikariyax/e/4c9dcac5fa9310468d6caaf329e7c2e8
>その前に、シカゴ学派がしかける金融資本主義の暴発で、アメリカ自身が自滅するかもしれない。(いかりや爆氏)
>帝国の終焉 (トッペイ)2012-01-09 22:51:41イランの革命裁判所が、CIAのスパイ容疑でイラン系米国人に死刑判決を下しました。
>米側もホルムズ海峡閉鎖は断固許さないということで緊張が高まっています。・・・たとえ、イラン戦争をアメリカが引き起こして
>一時的に経済が浮揚したとしてもアメリカ帝国の滅亡への一里塚となるでしょう。
もしアメリカが自滅するなら、座視していないで止めてやるのが本当の友達であり、君子の行う親身親切である。
直ちに地位協定を破棄して米軍への兵站をすべて止め、双頭の鷲の一方の頭米軍の世界に対するテロ攻撃暴走にブレーキをかけてやろう。
アメリカの将来ある若い人たちを軍産複合体が自ら策謀して作り出した戦場の死地に送り込むという愚かな米軍の血と金に飢えた狂乱のテロ犯罪に、平和不戦の憲法を戴く日本人は決して手を貸してはならない。
投稿: 通りがけ | 2012/01/10 17:06
もう電力会社は完全に馬力を落としました。
ネットの普及で「嘘」がバレバレで・・
もうこれからは「オールガス住宅」でガスで電力を賄う!
東電に天下りしている「軽察」は、天下りできなくなる?から早く東電上層部を逮捕せよ♪
by 中風電力
投稿: オール殿下 | 2012/01/10 10:39
素晴らしい考察である。真実をわしづかみにして抉り出して見せてもらいました。
投稿: 通りがけ | 2012/01/08 07:49