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2012/01/26

歴史的総選挙で「改革を騙った」野田佳彦

まずは下記の動画をご覧いただきたい。
この動画はかつて当ブログ一度紹介したことがあるが、改めてもう一度、貼ってみる。
2009年の衆議院選挙の最終日、最後の小沢一郎の演説である。場所は石川2区。森嘉朗と闘った田中美絵子の選挙区で、場所は田んぼの真ん中の広めの駐車場。そこに6000人もの有権者が集まったという。

この演説はいま見てもグッとくる。
実際、2009年の夏は熱かった。

当ブログを少し前からご覧いただいている方はご存じかと思うが、私もまたこの総選挙では東京11区(板橋)で有田芳生さんの応援をした。
残念ながらこの選挙では有田さんは最高惜敗率で落選してしまったが、あの時の有権者の反応は未だに覚えている。道行く人がチラシを受け取り、激励の声を運動員にまでかけてくれたものである。

それは有田さんが当選を果たした一昨年の参議院選挙とはまったく異なる空気だった(なによりも当時の総理である菅直人が、いきなり消費税という銃弾を味方の背後からぶっ放したのだからたまったものではなかった)。

2009年の総選挙に話を戻すと、この時、小沢一郎と同じく改革を「騙った」男が民主党にはいた。

小沢と野田――両者の動画を見ただけで、器の違い(逆に言えば独裁官僚による操りやすさ)は歴然としているが、まあそれはこの際、置いておこう。

本来ならば総理大臣になるはずだった小沢一郎は検察とマスメディアに狙い撃ちされ、2009年時点では誰もが想像だにしなかった男が首相の座についた。
そして一昨日行なわれた施政方針演説で↓のように言ったのである。

「これらは、私の言葉ではありません。三年前、当時の麻生総理がこの議場でなされた施政方針演説の中の言葉です。私が目指すものも、同じです。

今ごろになって、野田という男は、

「ホントのこというと、麻生さんや歴代の自民党総理と同じだったんだよね」

と言ったのだ。
驚愕の告白である。

では、なぜ2009年にはこの男は心にもないことを言ったかといえば、要するに権力が欲しいかった、つまり政権奪取の単なる方便だったとしか言いようがない。

一方、野田と同じだった麻生は、その主張が正しいかどうかは別にして、従来の自民党の政策で勝負したのだから、少なくとも野田よりもはるかに真っ当だと言えるだろう(まさか私が麻生を評価するような時代が来るとは思わなんだ)。

そして、野田という政治家の最大の問題は、この「歴史的位置づけにある衆議院選挙において、心にもない政策を騙って国民を騙した」いう点にあると思う。

いま、メディアの中には、「自民党も本当は野田と一緒なのだから、大人の対応をすべきだ」というような論調もある。
しかし、保守政治家にとって何よりも優先すべきは信義であり秩序であるはずだ。
自分たちが良かれと思って打ち出した政策で大惨敗したのと同じ選挙で真逆の大ウソをついておいて、後になってから、

「実は自分も心の中では同じだったんだよね。で、今回はあんたたちと同じことを言ってるんだから、協力するのが筋でしょうよ」

などというのは、信義を重視する立場にあれば許されざることで、道徳の問題である。

今後、世論を詐称するマスメディアが、自民党にも「野田と同じ土俵に乗れ」という圧力をますますかけてくるだろう。
しかし、野田のような政治家を野放しにしておけば、日本は故・小室直樹博士が言うところのアノミー(無秩序状態)に陥ってしまう(まあ原発事故後の世界は、歴史的犯罪企業が野放しになっているという点で、すでに十分にアノミー状態だが)。それは保守政治家にとって断じて好むところではないはずだ。

ということで、私は少なくとも現時点で、自民党は野田のかけてくるモーションに対して保守の良識を存分に発揮して欲しいと思う。
それを貫くことが、自民党にとって捲土重来の第一歩になるのではないだろうか。


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コメント

野田豚胃転の覚悟消費税増税の化けの皮を一皮むけばこんなもの。

野田政府 消費増税で米国と財界に貢ぐ TPPや米軍再編も (1月27日長周新聞)
>>http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/syouhizouzeidebeikokutozaikainimutugu.html
(一部抜粋)
「消費増税で大企業だけ大儲け 増税するほど還付金が増えるしかけ 」

 自民党が与党だった時代から、消費税増税は財界や米国が要求する至上命令であった。増税と法人税減税路線を突っ走った自民党が鉄槌をくらったが、民主党では鳩山が引きずりおろされると菅直人が「消費税増税」を主張して首相に抜擢された。参院選で惨敗したのちも開き直って推進していたところに東日本大震災が起きると、今度は「がんばろうニッポン」「痛みを分かち合う」といって、「復興財源のために消費税増税が必要なのだ」と主張していた。野田政府になってからは「社会保障のために必要だ」「全額を社会保障費に充てる」とコロコロ使途や理由は後付けされている。
 消費税増税をもっとも叫んできたのは経団連で、これまでも消費税は法人税の減税に見合うものであった。経団連は、法人税の実効税率を30%まで下げる穴埋め財源として消費税に転嫁することをもくろんできた。2010年代半ばまでに16%までアップさせ32兆円の財源を捻出せよという主張を一貫していっている。野田政府の、「あと6%分足りない」がこれに符合している。
 消費税を増税すると、海外輸出に依存している大企業群はもうかる仕組みになっている。「輸出戻し税」といわれる制度によって、海外で売れた輸出製品に対する消費税は免除され、原材料など国内での仕入れ時にかかった消費税分は国から還付されている。
 トヨタは年間2000億~3000億円ほどの還付を受け、その他の自動車産業でも1000億円をこえる金額が、毎年のように国から還付されている。リーマン・ショック後、エコポイントといって企業群は年間6300億円もの補助金を投入されてボロもうけしたが、消費税還付金としてこれらの企業に還付されている総額がおよそ3兆円といわれる。消費税率を10%にするなら6兆円(同規模の販売台数で推移した場合)、15%にすれば9兆円と上昇していく関係である。
 「輸出国と輸入国で付加価値税・消費税を二重どりされることを避けるため」という建前になっているものの、実質的には輸出企業への補助金になっている。大企業は下請や仕入れ業者に消費税分は自腹を切らせて過酷な単価を押しつけ、「輸出戻し税」分は決して分配せず、丸もうけしている問題が指摘されている。
 さらに非正規雇用を大量に使っている大企業にとっては、消費税が上がれば上がるほどメリットが得られる仕組みがある。正社員給与は雇用関係であるため消費税がつかないが、派遣社員への報酬は企業の物品仕入れと同じ扱いになり、納税する際に報酬総額の五%分が消費税分として控除されることになっている。控除された分は企業の利益になり、一段と非正規雇用化に拍車をかけるものとなっている。増税によって国民生活が窮乏化するのとは裏腹に、もうかって仕方がないのが大企業となっている。
(抜粋終わり)

投稿: 通りがけ | 2012/02/07 17:44

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