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2011/03/30

東京電力福島第一原発事故について 〜 その1 圧倒的少数派

実に久しぶりのブログ更新となってしまった。
原子力発電というものにかねてから重大な懸念を持っていた人間としては、今こそいろいろな情報を出していかなければならないのはわかっているのだが、、、

まず、最初に書いておくと、私はとくにどこかへ避難したわけではなく、埼玉県南部の地に留まっている。最初は春休み中だけでも妻の実家へ子供を連れて行こうか、、、とも思ったのだが、この妻の実家の場所というのが浜岡原発から30キロぐらいの場所に位置しており、果たしてそこへ行くことがリスクの回避になるのか判断がつかなかった(11日以降、静岡でも比較的大きな地震があったことも影響した)。
そうしたなか、とくに震災から最初の1週間は、恥ずかしながら相当にうろたえた。
地震とともに原子力発電所の問題が出てくることはまことにもって想定内のことであったが、それでも現実に原子炉が爆発する映像を見ると、心の底から恐怖を感じて慄然とした。
1週間ほどは、やらなければならない仕事もまったく手につかず、ただひたすらネットの情報を見続け、親しい友人と「どうしたらいいのか」という相談もした。
また、幼い子供と妊娠中の奥さんを持つ若い友人からは、「関西方面へ家族を移そうかと考えているのだが、、、」という相談を受けた。私は彼にアドバイスをできるような立場ではない。したがって、「これはあくまで個人的な考えで、いろいろな人に意見を聞いて最終的に自分で判断して欲しい」と前置きをつけた上で、「もし、家族を移せる場所があり、しかも金銭的な負担もなんとかなるのならば、そうした方がいいのではないか。何もなければそれでいい。しかし何かあったら必ず後悔する。子供と身重の奥さんはセーフティファーストを最優先するべきではないか、、、」。
結果的に彼は家族を関西に移した。その決断をした時に親族の中には「テレビで安全だと言ってるから心配しすぎじゃないのか?」と言った人もいたという。しかし、そのテレビは長らく「原子力発電がこのようなことになることは絶対にない」と言ってきたのである。で、あれば、そのような言説を信じること自体がナンセンスである。そして案の定、それからしばらくして、これも想定されたことだが、首都圏でも飲料水の問題が出てきた。

さて、ここまでお読みになっていただいた方はおわかりの通り、その文章は相当にグダグダである。ま、それはいつものことだが、この続きもいつにもましてグダグダで脈絡がなくなるはずだ。この点については、それだけ私が現在も動揺しているということでお許しを願いたい。ということで、これから先は話の脈絡は無視して、頭に浮かんでいることを細切れに書いていこうと思う。

この1週間ちょっとの間、頭の片隅からずっと離れない言葉がある。それは「圧倒的少数派」という言葉だ。これは元東芝技術者の後藤政志氏が、CSで放送している愛川欽也の番組に出演した際に使った言葉である。この番組で愛川欽也は「原子力発電がこれだけ危険なものだということを技術者たちは認識していなかったのか?」というような質問を後藤氏にした。すると後藤氏は「自分は設計のグループ長をしていたが、部下も含めてこのような過酷事故はありえないと言っていた。したがって自分のような人間は圧倒的な少数派でした」と述べた。

 圧倒的少数派

この言葉は私の心に深く印象に残った。そうえいば、原子力関連の本を読めば読むほど、そして政治とメディアと原子力産業の癒着を知れば知るほど、これだけ危険だということが素人でもわかるのに、なぜ多くの人が「原子力をやるのは仕方がない」と思っているのかが不思議であった。親しい友人であっても、こと原子力の問題になると、「この人は反原発」というレッテルを貼られていたような気がする。そして、私のような人間は圧倒的な少数派であり、時には嘲笑されたものである。
しかしながら、その圧倒的少数派が懸念していた重大事故(シビア・アクシデント)が現実に起きた。人知の及ばない放射能による影響が千年、ことによると万年単位で続くという意味で、歴史に残る重大な事故であり、それは通常の戦争によって起こる殺戮とはまったく異なる、しかしながら史上稀にみる災害規模になるだろう可能性が依然として高い。
にもかかわらず、、、
この国においては、それでもやはり圧倒的少数派は依然とし少数派のままである。そうしてテレビでは、「ただちに健康に害は及ぼさない」だの「この程度の放射能は大したレベルではない」という御用学者の言説が垂れ流され、果ては「放射能による被曝は、百姓に土がつくようなもの」と言い放つ人物まで登場する次第である。ちなみに、この発言をした石川迪夫という人物の役職名は「日本原子力技術協会理事長」であることを是非、記憶されたい。

原発が過酷な状況に陥って以来、東京電力や原子力保安院が日々、会見を行っている。ま、どうしうもない内容だが、それにしてもここでの記者と東電や保安院のやり取りは、いま日本人にとってもっとも重要なニュースであると思う(東電や保安院のデタラメぶりを知るというだけでも)。
ところが、この会見を生中継で放送する地上波のテレビ局はない。したがって私はいつもニコニコ生放送か岩上安身氏のUST中継を見ている(もう一つ、私がテレビということで唯一評価するのは、CSで放送されているTBSニュースバードである。この番組は会見があると随時、そちらに切り替える)。
これに限らず、まともな情報がマスメディアにはほとんどないというのは、これまた想定された事態ではあるが、まことにもって驚くべき事態である。
しかも、そうした状況の中で、岩上安身氏がフジテレビから、鳥越俊太郎氏がテレビ朝日から、それぞれ姿を消す。TBSラジオでは上杉隆氏が降板する。まあ、マスメディアのほとんどが腐りきっていることはわかっていたが、その惨状は目を覆うばかりである(ただし文化放送は吉田照美、大竹まことなどの充実が目立っている)。

やはりグダグダと長くなってしまった。
今回のエントリーの最後に、東京電力について書いておく。
私はかねがね、この会社は日本一の不敬企業であり、国賊企業だと思ってきた。
その東電の連中、そして他の電力会社、原子力関連企業や御用学者は口を揃えて「今回の地震は想定外であった」と言っているが、大ウソである。
なんとなれば、この事態を想定していた学者や国会議員はいるのだから。
つまり、彼らはこのような事態を無視していたにすぎない。なぜなら、それを考慮に入れてしまうと桁違いのコストアップになってしまう、、、どころか原子力発電そのものが不可能になってしまうからだ。
私が原子力発電に反対して来た理由は、突き詰めれば一つしかない。それは原子力発電の場合、絶対に安全でなければならないが、その絶対を確保することは不可能だということに尽きる。原子力発電の場合、事故の確率論など意味はないのである。なぜなら、事故を起こしてしまえば破局しかないのだから。
東京都知事は「それでも自分は原発推進派だ」と言ったそうだ。その理由は「原発がないと経済が立っていかないから」だという。福島でこれだけの事故が起きれば、もうこの時点で日本の経済は深刻なダメージを受けて「立っていけなくなる」ということが、この人には理解できないらしい。
誤解を恐れずに言えば、、、
今回の地震による被害に原発事故が含まれなければ、復興は十分に可能だった。もちろんこの地震、津波によって亡くなった方々には哀悼の意を表さずにはいられないが、しかし地震という自然災害を避けて通ることは難しい。だが、自然災害というのは回復が可能な災害しかもたらさない(もちろんそれには長い年月がかかるが)。ところが、放射能による災害というのは、復興をきわめて難しいものにする。なにしろ、一度、事故が起きてしまえば、その付近に住むことすらできなくなるのだから。しかも、これだけ事故の規模が大きくなれば、首都圏への影響だって避けられず、放射能の影響が出始めれば関東圏の地価だって下がるだろう。となれば、これはもう経済的にも一大事である。
とはいえ、、、
いまはこの事故の規模をできるだけ小さくすることに全力集中するしかない。
そこで話を東京電力に戻すと(本当にグダグダで申し訳ありません)、私はこの事故を想定しなかった連中に、事故後の後始末を託すということに、そもそも巨大な「?」をつけざるを得ない。
どう考えても、こういうこともあり得ると考えていた人々に、この事故に関する解析と対策を講じてもらった方が、最悪の中でも結果は少しは良くなると思うのだがいかがだろうか。
というか、そもそも私に言わせれば東京電力はオウム真理教すら足下にも及ばない、巨大な犯罪者集団であって、少なくとも経営者は即刻、逮捕するべきなのである。
その上で、東京電力を政府の監視下において、いま現在、社内でやっている原発対策のすべての会議に第三者を入れるべきだろう。

あまりにもグダグダで、かつ長くなってしまったので、稿を改めます。
本日中に、できればもう一つエントリーを書きたいと思います。

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コメント

「被災者は避難してコロニーを作るべし」

被災者を孤立させてはならない。衣食住通信交通の便のあるところへ避難コロニーを作って受け入れ、そこで一人当たり老若男女の区別無く一律50万円の一時金を国家が支給する。各地からの義捐金はその一時支出した財源を埋めるために国庫へ入れる。時機を見て2回目3回目の一時金給付を国の責任で行う。まず国庫の支出ありきで現金を被災者へ配らないと義捐金の意味がないのである。よって現行の義捐金制度ではいくら送金しても全額を役人が抱え込んで役人の都合だけで利殖運用してしまい、本当に困窮している被災者へはただの1銭たりとも配られない。公務員による義捐金詐欺の実態が厳然としてわが国に存在する。
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参考>>住民至上主義 裁判官まで泥棒の国で
>>http://www5.diary.ne.jp/user/521727/
>■2011/03/28 (月) 非常事態でもお役所は 2
・義援金の集め方にも大いに問題がある。様々な機関が義援金を募っている。しかし、皆さんはその使途について考えたことがあるだろうか。私は元公務員であるから、役所の実態を裏の裏まで知っている。その上で断言するが、役所は全ての機関で裏金を作っている。つまり、普段から我々の税金をネコババしているのである。あの警察ですら多額の裏金を作って税金をネコババし、幹部が贅沢三昧しているのである。これは紛れもなく真実である。現に、各地の役所や警察で裏金作りが発覚し、例えば北海道警察も裏金作りの事実を認めて謝罪し、職員やOBが計11億円もの金を国に返還している(本当は11億円どころではない。発覚した分だけ返還したに過ぎない)。
このような状態で、何の疑いも抱かずに漫然と義援金を送ってはいけない。現に、私が知る限りでも、某医療団体が義援金の多くを「必要経費」と称して被災地支援以外に流用している事実が発覚している。(後略)
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阪神大震災のときの教訓がまるで生かされていないのが泥棒官僚国家わが国の顕著な特徴である。
現行制度の下では義捐金は1円でも決して公的機関へ送ってはならない。
被災者受け入れ避難コロニーを各県に作って、支援者国民が最寄のコロニーへ直接持っていき被災者へ現金を自分の手で手渡しするべきである。泥棒官僚の手から被災者国民を守るためには現時点ではそうするより他に方法がない。

「泥棒官僚霞ヶ関法匪の汚れた手から国民の大切な命を守り抜け」

投稿: 通りがけ | 2011/04/01 07:21

「竹原信一救国内閣」

国会議員が国会を開きたくない理由は、誰一人としてこの国難に重責を担う首相となって対処してやろうという気概をもたない、菅をやめさせても新首相に立候補すらできない腰抜けぞろいだからであろう。
言語道断、士道不覚悟である。

ならば民主党衆議院議員比例代表選出議員をひとり辞めさせて、竹原信一氏を民主党衆議院議員比例代表名簿の最上位において衆議院に送り込み新首相に立候補してもらえばよい。彼なら即日小沢一郎外相兼官房長官、仙波敏郎法相、大河原宗平総務相を柱に救国内閣を組閣してくれる。

この未曾有の国難に身命を捨ててかかれる勇猛なる政治家は竹原信一氏しかいない。

投稿: 通りがけ | 2011/04/01 01:43

雪裏の梅花ブログさまから

>脱原発はすでに菅・仙谷の利権
>やや食傷気味になりながらも、なお菅直人と宇部興産と原発利権の関係を調べていたら、少しそれに近いものを発見(・へ・)
>>http://seturibaika.blog72.fc2.com/blog-entry-491.html

まあ山口県二井知事は原発利権と米軍基地利権に深々と食い込んだ日本一金に汚い人非人官製談合犯罪者ですが、ユニクロといい宇部興産といい中国電力といい安倍しんぞうといい空き缶といいよくもまあこれだけ人非人が同窓してますな、過疎県のくせに。

過疎県だけどここまで守銭奴搾取企業が集中して金だけは人非人の私腹にたっぷり貯めこんでるんだから、それを全部吐き出させりゃ福島県宮城県茨城県からの被曝難民100万人の1~2年の生活くらいは一手に引き受ける余力がじゅうぶんにありそうですね。福島事故原発放射能難民はいっせいに山口県へ集団疎開で強引に押し掛けて人非人どもから憲法にある国民として文化的な生活を送るための生活費を取り戻そう!

直ちに国会を開いて地位協定破棄、内閣不信任総退陣、新首相選挙で救国内閣即日組閣、霞ヶ関解体を1日といわず半日で議決して即施行すべし!

投稿: 通りがけ | 2011/03/31 06:17

まったく正鵠を射た論説だと思います。
NHKもテレビ朝日も出てくるのは曲学阿世の学者ばかり、おまけに前者の場合、メガネの解説委員やぎょろ目の科学文化部記者は嘘っぱちばかり垂れ流してる。一体、どっちを向いて仕事してるんだ、お前らは。いい加減にしろ!

投稿: プーさん | 2011/03/30 23:35

>第2号炉のタービン建屋内にたまっている水の表面から発せられる放射線濃度は、1000mSv/hを超えている
(>>http://risingsun-kiri.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-6716.html)

中性子線が検出されたということは2号炉がメルトダウンして臨界に達したということである。JCO臨界事故が数百倍の規模でふたたび日本に出現した。チェルノブイリと化した福島原発に近づく人はみな死んでしまう。今後の事故処理はすべて無人操縦の軍用ヘリコプターでモニター画面を見ながら行うべきである。ドライアイスの投下、ホウ酸冷却材の投下、鉛粒の投下などを行いまず中性子線を発する臨界反応をなんとか止めることに全力を傾注しなければならない。付近住民は最低限半径80kmの全員避難が必須であろう。これも国民の総力を挙げて住民避難を達成しなければならない喫緊の課題である。国は放射能安全基準を捏造変更している場合ではない。基準改変詐欺は重大な犯罪であり国際犯罪でもある。重大犯行の達成を防ぐために基準改変にかかわる者全員を即逮捕して収監すべきである。

被曝からの住民緊急避難については長周新聞の記事の原爆被爆者の声をおおいに聞くべきである。

最高裁裁判官は国民審査で全員罷免する。具体的には黒ボールペン持ち込み投票作戦を実行すればよい。国政選挙にも地方選挙にも住民投票にもおよそ投票があるときは必ずすべて「持ち込み黒ボールペンで白紙投票をせず必ずなにか書き込んで投票する」という国民主権行使を行えばよい。
>>http://ihara-k.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-e99a.html

「日本国憲法に随い」
直ちに国会を開いてまず

1.地位協定破棄緊急可決
2.内閣不信任案緊急可決
3.その場で首相選出選挙を行い震災対策危機管理内閣を即日組閣させ発足させる。緊急時につき天皇認証は省略。

以上をこの順で行う。最大の緊急時であっても国会ならたったの1日でできることだ。

投稿: 通りがけ | 2011/03/30 17:33

いつも拝読させていただいております。
「グダグダ」とご謙遜されていらっしゃいますが,かえって,それだからこそ思いがよく伝わってまいります。
非常に共感できました。

投稿: tatsuya_ds | 2011/03/30 14:44

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