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2011/01/07

TPP問題 ~ 記者クラブメディアにだけは言われたくない

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一般の人には、市場では強い者も弱い者も同じようにリングに上がらされるから、多くは強い者が勝つという実感があります。ところが経済学者は違うことを言う。たとえばノーベル経済学賞をもらったロナルド・コースは、長い目で見たら結果は一緒で、ハンディのあるなしは問題にならない、と言います。親からすごい遺産相続を受けて、土地も家も好きに買えるという形で登場する人間と、徒手空拳、ローンを組んでやっとわずかな空間をマイホームとして手に入れる人間とは、同じ土地市場、同じ住宅市場で相争っても長い目で見れば同じ結果を得るのだ、だから市場というのは公正なんだ、とコースは言うわけです。
この議論を、どう評価すべきか。なにせこれは、ノーベル経済学賞を授与された、権威ある議論なのです(笑)。アカデミズムが権威を認めた議論ですが、そういうアカデミズムとは何だろうと思わずにはいられません。

内橋克人編 『経済学は誰のためにあるのか~市場原理至上主義批判』(岩波書店)より
「経済学の再生を求めて 岸本重陳/内橋克人」

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メディアがこぞってTPPへの参加を提言し、菅直人もその方向へ舵を切った。

・1月1日 読売社説
「世界の荒波にひるまぬニッポンを 大胆な開国で農業改革を急ごう」より抜粋
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 日米関係と同様、日本の浮沈を左右するのが、米国やオーストラリア、シンガポールなどアジア・太平洋の9か国が年内合意を目指して交渉中の環太平洋経済連携協定(TPP)の取り扱いだ。
 ◆経済連携参加を急げ◆
 TPPの狙いは、参加国の間で原則として関税を撤廃し、貿易や投資の自由化を進め、互いに経済的利益を享受することにある。
 日本が交渉に乗り遅れれば、自由貿易市場の枠組みから締め出されてしまう。
 後追いでは、先行諸国に比べ不利な条件をのまざるを得なくなる。だからこそ早期の交渉参加が必要なのだ。
 菅首相は、いったんは交渉参加の意向を明らかにしたが、民主党内の反対論に押されて腰が引けてしまった。
 関税が撤廃されると海外の安い農産品が流入し、日本の農業が壊滅するという農水省や農業団体、農業関係議員らの圧力からだ。
 これでは困る。
 自由化反対派の象徴的農産物がコメである。
 コメは778%の高関税、減反政策などの手厚い保護政策で守られてきた。しかし、コメの国内需要は減り続けている。
 一方で稲作農家の高齢化、先細りは進み、国際競争力をつけるための大規模化は遅れている。 高い関税と補助金に依存してきた日本の農業が、その足腰を鍛えるには、思い切った開国と改革が欠かせない。
 日本の農業総産出額は8兆円余り。その中でもコメは1・8兆円で、国内総生産(GDP)の0・4%に過ぎない。
 食糧安全保障の観点から、主要農産物の自給を確保することは重要だが、農業が開国を妨げ、日本経済の足を引っ張るようでは本末転倒になる。
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・1月1日 朝日社説
「今年こそ改革を―与野党の妥協しかない」より抜粋
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 一方の自由貿易の強化は、貿易立国で生きる日本にとって要である。
 中国をはじめ、アジアの国々が豊かさへ向け突き進んでいる。近くにお得意さんが急増するのだからチャンスではないか。貿易の壁を取り払い、アジアの活力を吸収しない手はない。それが若者に活躍の場も提供する。
 TPPへの参加検討を菅直人首相は打ち出したが、「農業をつぶす」と反対されフラついている。だが手厚い保護のもと農業は衰退した。守るだけでは守れない。農政を転換し、輸出もできる強い農業をめざすべきだ。
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・1月5日 朝日社説
「首相年頭会見―本気ならば応援しよう」より抜粋
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 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加を念頭に置いた「平成の開国」、消費税引き上げを含む税制と社会保障の一体改革、政治とカネの問題へのけじめ――の3点である。
 迷走してきた政権運営を立て直し、政党政治への国民の信頼を取り戻す。その足がかりとして、TPPと消費税に政策目標を絞り込んだ首相の問題意識を私たちは共有する。
 貿易立国の日本にとって自由貿易の強化は、勃興する新興国の需要を取り込むうえでも、死活的に重要だ。衰退の一途にある農業を再生させる好機にもつなげたい。
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これに対しては、私がここでグダグダと書くよりも、以下のブログエントリーを読んでいただきたい。

・ぼくのニワトリは空を飛ぶー菅野芳秀のブログ
「ー当たり前に行きたいマチでもムラでもーTPPに反対する人々の運動」
「明けましておめでとうございます。」

とはいえ、私が言いたいのは、TPPに賛成とか反対とかいうことではない。
別にTPPに賛成する人々が、それを主張するのは当たり前のことだ。
ただし、、、

記者クラブメディアにだけは言われたくない。

上記の社説を見てもわかるが、記者クラブメディアはことのほか自由化がお好きなようだ。
「高い関税と補助金に依存してきた日本の農業が、その足腰を鍛えるには、思い切った開国と改革が欠かせない。」のであって、これが「平成の開国」なのだという。

だったら、まずは高い参入障壁に依存してきた記者クラブメディアが、その足腰を鍛えるために、思い切っ開国と改革をしろよ! そんなこともできない連中が、上から目線で自由化云々などとご高説を垂れるのは、本末転倒もはなはだしい。

記者クラブにどっぷりと浸かって、お上からいただく情報をその縛り通りに発表しているから、日本のジャーナリズムは「衰退の一途」を辿っている。
にもかかわらず、記者クラブが依然として存在しているのは、「オープン化されると優秀なフリー記者が流入し、自分たちが壊滅する」からなのではないか? 
しかし、もはやそんな「手厚い保護」を自らの手でしている場合ではない。「守るだけでは守れない」。記者クラブをオープン化して、権力に対峙する強いジャーナリズムをめざすべきである。
にもかかわらず、いつまでも↓のような姑息なことをしているから、読者や視聴者から愛想を尽かされるのだ。

・田中龍作ジャーナル
「ついに激突! 記者クラブVSフリージャーナリスト ~その1~」

「ついに激突! 記者クラブVSフリージャーナリスト ~その2~」

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