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2010/12/29

昭和20年代と平成20年代

26日に柳亭市馬の落語会、「年忘れ 市馬落語集」に行ってきた。
プログラムは2部に分かれていて、1部は市馬、柳家三三、立川志らくによる落語競演。そして2部は昭和歌謡大全集と題して、市馬得意の昭和歌謡をたっぷり聴かせるという構成である。
しかも、この2部には立川談志がスペシャルゲストとして登場。昭和歌謡の話といくつかのジョークも披露して場内はやんやの喝采。さらに志らくも一曲、歌うというオマケつき。立川談春著の『赤めだか』を読むと、志らくの歌というのはその昔、聴いている人が転げ回って笑ってしまうようなものだったらしいが、フルバンドをバックにして、志らくはいたく真っ当に「東京の空青い空」昭和歌謡を歌っていた。
フィナーレは歌いあげる市馬に舞台袖から談志、志らく、三三、さらに市馬の弟子の市江まで登場して、みんなで手を振ると、やんややんやの大喝采の中で緞帳が下りたのだった。

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この市馬、私の大好きな落語家なのだが、生まれは1961年の12月。私は1962年の3月だから同級生ということになる。そして、これは市馬自身が言っていたが、昭和歌謡というのは子供時代にすでに十分、懐メロだった。しかし、市馬はこの昭和歌謡が好きで好きでしょうがなっかたという。一方、私はというと、やっぱり子供の頃はそういう懐メロは好きじゃなかったし、昭和歌謡の歌番組というのは祖父母が見るものだと思っていた。

だが、昨日、九段会館という歴史を感じるホールの中で怪しいスポットライトに照らされた市馬が歌う昭和歌謡を聴いていると、「終戦後の日本というのは、現在とは比較にならないほど厳しく貧しい時代だったけれども、しかし今よりも希望に満ちていたのかもしれないナ」と思い始めた。
まあ観客もほぼ100%昭和の人というシチュエーションの中、ノスタルジーと言われてしまえばその通りなのだが、しか「貧しかったけれども、希望や夢があった」昭和20年代と「物質的には豊かだけれども、先行きが見通せない」平成20年代のどちらが息苦しいかといえば、私は後者だと思う。

この年末に来て、菅政権はその本性を恥ずかしげもなく、かつ余すところなく曝け出している。
法人税を減税する一方、普天間移設を拒否している名護市に対しては再編交付金を不交付にしたという。北沢なる防衛大臣とやらは「(普天間飛行場移設に)反対は(不交付という)覚悟の上でやるものだ」と述べたそうだ。
小沢一郎を国会へ引きずり出すべく目の色を変える一方で、「国民の生活が第一」という政治姿勢とは真逆の政治勢力に連立をもちかけたあげく拒否られる始末。
都議会に目を向けると、民主党がこれまで反対してきた青少年健全育成条例の改正案(といっても別に内容が大きく変わったわけではない)を石原慎太郎が提出するや、コロリと態度を変えて賛成に回り、この法案は成立した。民主党都連は菅直人のお膝元であり、かたや石原慎太郎はたちあがれ日本という党名の命名者。なんともわかりやすい構図である。このままだと築地市場の移転も時間の問題だろう。

こうして見てみると、菅直人がやっていることは政策の針を自民党時代に戻すこと、つまり霞が関独裁と既得権益者のための政治に戻すことであり、その言動は逆コースの先導役であるマスメディアとピタリと一致する。
私は昨年最後の当ブログのエントリー「2009年の○と×」で「まずは政権交代に○。」と書いたが、驚くべきことに事態は政権交代前よりも悪くなっている。
しかもそう思っているのは私だけではない。
作家の小林信彦氏は少し前の週刊文春のエッセイで「敗戦後の六十五年を見てきたぼくは、最悪の時代に突入したと思っている。」と書いていた。
このところ私は、「これまで生きてきた48年間の中で、いまがもっとも悪いのではないか」と思っていたのだが、小林氏が同じように感じていたことに背筋が寒くなる。
あと数日後には2011年がやって来る。間違いなく言えると思うのは、後から振り返った時、この年が大きな分岐点になっているのではないかということだ。

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コメント

本当に。
今や、民主党支持者の殆どが、「もう、イイわ」と思っているのではないでしょうか。かく言う私も、そうです。
真面目な小沢さん(勿論、政略もあってのことでしょうが)のように、「民主党の政権に拘る」意味が無いという人が多数派だと思われます。
勿論、小沢さんが表舞台に立って、現状を打開するコトは、夢に見ていますが。

投稿: | 2010/12/29 18:12

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