参議院選挙 ~ ズッコケ軍団の奇跡 その4
有田さんの前回と前々回の選挙は新党日本からの立候補であった。
私は前回の衆議院選挙から手伝っているわけだが、この時も新党日本公認、民主党推薦。ということで少数政党の悲哀を十分に味わった。
なにしろ組織がない。しかも民主党は推薦してくれてはいるが、かといって一枚岩ではない。今回同様、都議や区議は手伝ってくたれたが、民主党幹部の応援が入るわけでもない。激戦区と言われた練馬、豊島など近隣の選挙区には連日幹部の応援が入るが板橋区だけはすり抜けていく。そうしたなかで前回の選挙期間中に応援に入ってくれた民主党幹部は菅直人だけだった。
それに比べれば今回は民主党公認。党本部からも連日のように指令が来て、民主党の組織がフルに動く選挙ができるのかと思いきや、これまで書いてきた通りの状況で前回と何も変わらない。つまり、、、
放置プレイ ORZ
「公認は出したんだから、後は自分で票を取ってきなさいや」ということである。
もちろんすべての候補がそういうわけではない。谷亮子の事務所には小沢一郎の秘書軍団が入って陣頭指揮をとっていたらしいが、こちらは民主党から来るものといえばと「民主党幹部がこんな発言をしました。各候補は読んでおいてください」とゆー内容のファックスが時々ペチョンと送られてくるだけ。
後は記憶に残るところでは、選挙戦の最終盤に「民主プレス」(だったかな)とやらの号外が来たことぐらい。ちなみにその内容は菅直人の増税発言に関する弁解で「消費税を増税するときには必ず国民に信を問います」云々と書かれたものだった。これは一応、事務所にはおいてあったが、こんな火に油をそそぐようなペーパーを積極的に配ろうという人は、もちろん皆無だった。
えー、ここではっりき申し上げておきますが、今回の参議院選挙の敗因は菅直人の消費税増税発言以外にはありません!(※注 以下は私の個人的な感想、見解であって有田さんの見解とはまったくない)。
twitterでも何度かつぶやいたけれども、「菅直人はけしからん!」という人は本当に多かった。
だって民主党は「長年続いた既得権益まみれの自民党政権では、行政のムダを省くことはできない。だから政権交代をしてしがらみのない民主党が国民の生活が第一という視点から徹底的に既得権益に切り込む。この間は消費税増税はしない」といって前回の衆議院選挙で圧倒的な勝利を収めたのだから。
ところが総理大臣が官僚に取り込まれた菅直人に代わったとたん「やっぱり増税が必要だ」と言い出した。これでは国民が「話が違うじゃないか」と怒るのが当然で、だから小沢一郎は「国民との約束を守るべきだ」と主張したわけだ。ところがこの当たり前の小沢の主張に対して与党の幹事長が「大衆迎合」と決めつけたのだから、空いた口がふさがらない。
いったい、菅直人にしても枝野幸男にしても、消費税問題がどれだけ参議院選挙の立候補者に影響を与えたか本当にわかっているのか。なにしろ民主党以外の候補者はこの問題で徹底的に攻めてくる。ま、それもまたデタラメな論法なのだが、ことここに至ると国民は民主党に対して不信感を持ってしまっているから、野党の言うことを「もっともだ」と思ってしまう。しかもそれをメディアが増幅する。
にもかかわらず選挙後も菅、枝野とも続投。しかも敗因は「政治とカネ」の問題であって「小沢一郎は万死に値する」などと言う連中までいるのだから、民主党現執行部に対する私の支持率は限りなく下がっている。
ま、こんな話を書き始めると終わらないので話を進めると、、、
こうした民主党逆風の中、しかも組織的にも全国比例立候補者の中で最弱と言える候補者が、なぜ結果的に民主党内でトップ当選できたのか?
それは基本的に有田さんが強い候補者だったからだと思う。
選挙前後のテレビ番組では、いわゆるタレント候補にばかり話題が集中していたが、ワイドショーに12年間出演してきた有田さんの知名度というのはハンパではない。とくにオバちゃん層に対して圧倒的な浸透力がある。
商店街を練り歩いても、歩行者天国を練り歩いても、とにかくオバちゃんが十年来の知り合いといった感じて「あらー有田さーん!」と近寄ってくる。そうして握手をしてチラシを受け取ると、キャーキャーいって記念撮影をすることも少なくない。もう有田さんはオバちゃんのアイドルなのである(^_^;)。
私が有田さんの乗っていない、もう一台の選挙カーで街に出てチラシ配りをしていた時のこと。選挙カーを見て「あっ、有田さんだ!」と近寄ってきたオバちゃんが、いざ有田さんがいないのを知るとガッカリしている(ただしなぜか私の顔を見て「有田さん?」というオバちゃんが何人かいたのだが、これは私としてはなはだしく心外で、だってワタシもう少し髪の毛あるでしょーが!と思ったものである)。
また有田さんと一緒に埼玉県南部を回った時のこと。大宮を選挙カーで走っていると、とあるビルから突如オバちゃんの大群が出てくるところに遭遇した。するとそのオバちゃんが大げさでなく、選挙カーに向かって全員キャーキャーと手を振るのである。それはすごい光景だった(笑)。
で、こういう光景を見るにつけ、「選挙に勝つ最大のポイントは、有田さんが参議院選挙に立候補していることを認知させること。とくにオバちゃんにそれを知らせること」だと私は思った。
その点で有利だったのが「ア行効果」だろう。有田さんは名字が「ア行」でしかも民主党の候補者名簿のトップに名前が出ている。もともと、この名簿トップの効果は大きいと言われていたのだが(民主党の石井一氏も有田さんの出版記念パーティでそのことを言っていた)、私は半信半疑だった。だが、選挙に行ったオバちゃんが民主党の名簿を見てそのトップに「有田芳生」と書いてあれば、「あっ、有田さんだ、じゃあ名前を書こう」となったのだと思う。
実際、有田さんは期日前投票の出口調査でトップで、比較的早い段階で有田さん自身には「いい線をいっている」という情報がもたらされていたそうだが、それはこの名簿とオバちゃんの関係があったからだと私は見ている。
とはいえ、「後から考えてみればそうだったかな?」ということなど、選挙をやっている最中は何もわからない。
だから、ズッコケ軍団は必死になって候補者と一緒に走り回るのであった。
つづく
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コメント
有田さんの当選を心から喜んでいる者です。ズッコケ軍団シリーズ、ホントに楽しませてもらってます。
ところで。比例候補に対して党本部は基本的に公認決定と公認料を提供する程度しかしないと思いますよ。比例選挙は競争相手がどうしても他党ではなく自分の党の候補者になるから仕方ないのです。谷さんとこに小沢秘書軍団が入ったのは党の方針ではなく小沢さん個人の指示によるものでしょう。なまじ小沢軍団に仕切られると当選後いろいろ自由な活動がやりにくくなる恐れもありそうだし。やはり「ズッコケ軍団」による仕切りが正解だったでしょう。まあ、有田さんに限って言えば小沢さんの言いなりになるなんてありえないでしょうけど。
投稿: 下原智恵 | 2010/07/20 00:00