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2010/07/26

参議院選挙 ~ ズッコケ軍団の奇跡 その8

7月10日土曜日、選挙戦最終日の候補者のスタートは8時に東京メトロ有楽町線の平和台駅前。そこから候補者の選挙カーに伴走車、さらに長瀬達也区議の軽ワゴンの3台が連なって行動することになった(もう一台の選挙カーは都内を走り回った)。
平和台での街頭演説が終わると長瀬車、伴走車、選挙カーの順で巣鴨を目指す。長瀬車に乗り込んだY氏と伴走車の助手席にいる私はトランシーバーで連絡を取り合う。伴走車を運転しているK君に向かって「なんか最後に来て選挙っつー感じになってきたな」と私。
ちなみにこの日は、ここ最近ほどの猛暑ではないが暑い日だった。

巣鴨に到着すると、まだ時間的には早い雰囲気もあったが商店街を練り歩き。その間に周辺のマンションに全力でチラシのポスティングをすると、この時点で大汗。最初からこんなに飛ばしていて最後まで体力がもつのだろうかと思う。
巣鴨を出発すると次は上野へ。アメ横の商店街を練り歩いてから上野松坂屋の前でスポット演説をして、次はほおずき市でごった返す浅草。場所取りをする他党の候補者カーもたくさん集結中。佐藤ゆかりが選挙カーの上から絶叫しておりました。
こちらは候補者ともどもクルマを早々に降りて、雷門から人人人の商店街を練り歩くと反応は良好。

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浅草ビューホテル前まで到着すると、ここから上野方面へ戻る途中のコンビニで若干の休憩。
普段だと遊説の途中では適度に休憩を入れて昼食の時間もそれなりにあるが、今回は休憩はなし。昼食もコンビニのトイレ休憩の途中でおにぎりを買ったりする程度。あとは移動中にそのおにぎりを食べながら全力で都内を駆け巡るという強行スケジュールである。
秋葉原でチラシ配りと演説をすると水天宮、門前仲町、月島へと車を流す。月島の高層マンション街で演説中は集合住宅にポスティングをしようと駆け巡るが、こういったところの新しい高層マンションはセキュリティも厳しいのであった。
その後、月島の商店街へ行ってみよとうと私が提案。「土曜日の月島商店街は人がいるかなー」と内心不安に思いつつもとりあえず行ってみると、そこはお祭りの真っ最中なのであった。早速、選挙カーから候補者と運動員がドヤドヤと降りて練り歩き開始!

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ここらへんになってくると疲れよりも「選挙運動ができるのもあと数時間しかない」という気持ちの方が強くなる。
そして月島から銀座へ。ここは歩行者天国なので、もちろん練り歩き。するといろいろな候補者の姿が見える(ただし候補者が練り歩いているのは有田さんだけ)。
銀座4丁目交差点では某巨人のOBを応援する某都知事が街宣車の上から演説中だった。

「あっ、本物の都知事がいるよっ」

とは私。実はズッコケ軍団の一員であるI君はその名字から「都知事」と呼ばれているのであった。もっとも当陣営の都知事はもう一台の選挙カーに乗っていたので、この日、本物の都知事を見ることはなかったが、、、

銀座通りを練り歩くとそのまま有楽町へ。夕方になった有楽町の丸井前は国民新党が場所取りをしていたので演説できなかったが、それでもさらに有楽町から数寄屋橋方面をグルッと練り歩く(と、こう書いてみると、まあよくぞこれだけみんな歩いたものだ)。
さらに選挙カーで銀座を回った後は首都高速に乗って池袋へ一目散に走る。実は池袋西口で東京選挙区の小川敏夫候補の最後の演説会があり、そこで有田さんもスポット演説をすることになっていた。
ところが池袋の西口に入ると道が大混雑。そこで有田さんは急きょ選挙カーを下車して、歩いて民主党の選挙カーまで向かったのであった。

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この最後の演説会だけが「ああ、うちの候補は民主党なんだナ」と実感した唯一の機会であった(笑)。
もちろん、この時には相当数の人が集まっていたので小川陣営の人にまじってチラシ配り。そうして有田さんは10分ほど演説をすると、残り1時間弱のために選挙カーに乗り込んだ。
で、残ったわれわれはそのまま池袋で選挙活動終了時間の午後8時までチラシ配りをしたのだが、小川陣営に応援に駆けつけていた石井一代議士に居残り隊は挨拶をした。すると石井氏は、、、

「有田は大丈夫じゃ」

と言ったのだった。また私はその場にはいなかったが、やはり池袋に来ていた海江田万里代議士も「有田さんは大丈夫」と言ったのだという。

「しかし本当かね?」
「うーん、民主党の選対って結構、間違ったりしますからねえ、、、」
(※ぜんぜん関係ない話だが、石井一代議士のクルマのナンバーは「1411」なのだった)

そんな会話をしながらもチラシを配っていると、いよいよ8時に。これで一応、選挙活動は終了である。

「あー、終わっちゃった」
「お疲れさま~」
「でも、最後に駅立ちがあるけどネ」
「やりますよ!」

実はこの時点で私は肉体的にはかなりくたびれていた。足が棒になるという感覚はいつ以来のことか、、、
でも、気持ちは「まだまだこれから駅立ちをやっちゃる!」と高揚しているのであった。
そうして事務所に戻ると、他のクルマも続々と戻ってくる。そこでとりあえず用意されたお弁当を食べると、やっぱりみんな疲れているとはいえテンションは高い。
昨年の衆議院選挙の時には午後8時で選挙活動を終えたが、今回は残り数時間の延長戦がある。
この日は候補者とは別行動の2号車に乗った都知事ことI君は「オレもそっちに乗りたかった」とちょっと不満そう。
でもね、これから最後の駅立ちにみんなで一緒に行くデスヨ!
そうして食事が終わると大山組、東武練馬組、成増組に分かれて最後の駅立ちへと向かったのだった。
私は例の都知事ことI君、横浜から泊りで来ていたK子君、巨漢のK君、そして長瀬区議と一緒の成増組。

いやー、この最後の駅立ちは本当に疲れた。
けれど心地よい疲れでもあった。
成増の駅前は土曜日の夜とはいえ人通りも多く、みんながチラっと見ていく。なかには「なにやってんの?」という感じで見ていく人もいなくはない。でも、やっている方はそんな視線はまったく気にならない。なぜなら本当に最後の気力を振り絞って頑張ったから。
一方で「頑張ってね」と声をかけてくれる人もいる。参議院選挙の全国比例の仕組みを知ら人が声をかけてきたので説明をすると、「じゃあ名前を書かないといけないんだね。明日はそうするよ」と言ってくれる人もいる。そうやって駅立ちをしたからといって、いったい何票ぐらい増えたのかはわからない。それは神のみぞ知ることである。
だが、この選挙戦を通じて(とくに最終日)、そして最後の駅立ちの数時間して「石にかじりついてでも頑張る」ということの大切さを私は改めて学んだように思う。それは25年間、なんとなく会社員として過ごしてきて、いま50歳を目前にして失業者になった私にとって貴重な経験であったことは間違いない。
この選挙期間中、世の中はサッカーのワールドカップで沸いていた。前評判の悪かった日本代表は、一戦一戦勝つことでまとまっていったという。しかも勝てば世間の評価も変わるし自信にもなる。
ズッコケ軍団は確かにズッコケていた。でも最後に候補者とともに勝った。しかも民主党の比例区候補でトップという思いがけない勝利を味わったことは、ズッコケ軍団一人ひとりにとっても自信になったのではないかと思う。私はそのズッコケ軍団の一員に加われたことが心から嬉しかった。
そして、もちろんこんな機会を作ってくれた有田さんにも心から感謝する次第である。

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投票日の夕方は昨年の衆議院選挙の投票日と同じく雨が降っていた。
「なんとなく昨年と同じっぽくてイヤだな」と思いながら事務所へ行くと、すでにTBSがカメラを設置しに来ているという。そしてほどなくNHKもやって来た。「どうなってるの?」と私がY氏に訊くと、

「期日前投票の出口調査で1位らしくて8時直後に当確を出すらしいんです」
「ええっ?マジ? でも衆議院選挙だって出口調査は勝ってるっていう話だったしなあ、、、」

だから私はなおも半信半疑だった。もちろんそう思っていたのは私だけでなく、「おそらく当選するにしても結果が出るのは深夜に及ぶのではないか、、、」とみんなが思っていた。だから、ズッコケ軍団は「ワールドカップの決勝を見ながら開票を待とうぜ!」などと言っていたのである。
ところが本当に8時が過ぎて開票速報が始まった直後に当確が出てしまう。これはもちろん嬉しかったが、反面、拍子抜けといった感じもなくはなかった。
昨年、有田さんの落選が決まった瞬間に泣き崩れたO君。彼は今回、有田さんが当選しても泣くのではないかと思っていたのだが、そのO君もあまりに早い当選確実に笑顔しかない。
しかし、それでも万歳の味は格別だった。実は有田さんは天皇制と結びつく万歳はやりたくないと言っていたのだが、最後は後援会長が有田さんを説得して万歳をすることに。でもそれで良かった。みんな心の底から嬉しくて万歳をしたのだから。

ところでこの開票を待つ会場は選挙事務所ではなかった。選挙事務所はあまりにも狭くて人が大勢入るようなスペースはない。そこで隣のビルの2階のレンタルホールを昨年同様に借りたのである。このビルがまた古い建物で、あまりドスンドスンやると1階に入っている洋食屋さんの天井から埃が落ちてクレームが来るという。

「だから、とにかく静かに歩くように」

と口を酸っぱくして言うY氏。しかしそこはズッコケ軍団。やっぱりなんだかんだでドスンとやってしまう。
するとしばらくして洋食屋さんのマスターが事務所へやって来たそうだ。
「いかん、クレームが来たか」と思いきや、このマスターはこう言ったそうである。

「当選おめでとうございます」

おわり

※ということで普通の失業者に戻った私は、今のところ次の職がまだ見つからないので、とりあえず「ドキュメント出版社」や「郵政省解体論ができるまで」を再開しつつ、これまでのように政治やメディア、広告のことをグダグダと書いていきます。

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コメント

最終回のずっこけまでよませていただきました。私も今年の12月で50歳。有田さんのスタッフの顔を知ってるだけに、読み終わった後感涙してしまいました。

投稿: 小田原早雲 | 2010/07/27 11:16

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» ジャーナリスト・有田芳生さんの参議院選挙(4) [psw_yokohamaの第2ブログ]
ジャーナリスト・有田芳生さんの参議院選挙に関しては、有田さんがツイッターで紹介されていましたが、草野仁さん、「kappaman」さんのブログでも取り上げられています。 http://kusanohitoshi.com/hibikore/archives/2010/07/post-121.html http://fusenmei.cocolog-nifty.... [続きを読む]

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