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2010/01/07

クローリー国務次官補会見が証明する日米関係の今

今回書く内容に関しては、拙い英語力しかない人間が書いていることをまず最初にお断りしておきます。


たとえば自宅の目の前に集合住宅がある場合、カーテンを開けると、まるで集合住宅中の人がこちらを見ているような気がするものだが、しかし外に出て自宅を見てみると実は他の景色のなかの本当に一部分でしかなく、よほどのことがないかぎり、あるいは意図的でないかぎり、外側から自宅内を常時、見られていることはほとんどないということに気づくものだ、、、

昨日、twitterを見ていたら、

・「現代的考察日記」
[外務省] またウソがバレた!~日本の大マスコミの「米国激怒」報道

というエントリーがあることを知った。早速、読んでみると、

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怒っているのは米国務省ではなく日本人記者だった
沖縄・普天間基地移設問題で、鳩山政権の先送り方針に「米国激怒」と連日煽る大マスコミ。だが、米国務省ホームページの記者会見を見ると、ア然とする光景が映し出された。怒っているのは米国政府じゃない、日本の大マスコミの特派員記者だったのだ。
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という文章に続いて、米国務省のホームページにある昨年12月15日のクローリー国務次官補の会見映像とテキストが紹介されていた。
さらにこの会見について検索をしてみると、

・「情報流通促進計画byヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)」
普天間移転問題・怒りの追撃シリーズ第3弾~国務省記者会見でロードマップが最良と暴言した記者は誰?

というエントリーでも取り上げられていた。

で、この会見については上記二つのブログを読んでいただければそれで十分なのだが、肝心のクローリー国務次官補の会見動画への直接リンクが両ブログとも張られていなかったので、下記に張っておくことにする。
日本人女性記者(本当にこの記者がどの媒体の誰だかが知りたい)が質問を始めるのは19分過ぎから。その後、他の話題に移り、再びこの記者が話を蒸し返すのが30分過ぎから。
当日の会見録テキストはこちら

私は英語がからっきしダメなので、Yahoo!翻訳などの力を借りつつ会見録と動画を照らし合わせてみたのだが、その結果として日本のメディアが報じているように普天間問題によって日米関係がこじれるだけこじれ、危機的な状況にあるようにはどうしても見えなかった。それどころか日本人記者がしつこく自分のストーリーに嵌め込もうとしても、クローリーはまったくそれに乗らない。激怒しているどころか冷静に状況の進展を見守るという姿勢を貫いている。

これは日本のメディアが大々的に報じたヒラリー・クリントンによる“駐米大使呼び出し問題”についても同様だ。
まずは以下のブログを読んで、動画を見ていただきたい。

・「情報流通促進計画byヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)」
頭に来たので、米国務省に誰が大使を呼び出したのかを質問しました~普天間移転問題で

すると日本で垂れ流された報道とのあまりの相違にびっくりする(ここでテキストに起こされている呼び出し問題に関する「Do you have any readout of the Secretary’s meetings yesterday with the Japanese ambassador? I had heard she called him in to talk about Futenma.」という部分は40分30秒過ぎから)。

で、以上、二つの動画を見た上で感じたことは、日本で日米関係しか頭にない人間がアメリカという集合住宅を見ると、まるで普天間問題が両国間の関係を揺るがす大問題にしか見えないのだろうということ。
だが、当たり前の話だがアメリカにとってこの問題は、自分たちが対応しなければならない世界中のさまざまな諸問題の一つでしかない。
もちろん、そうしたなかでややこしいことはできるだけ少ないほうがいい。これまでアメリカは対アジアということで言えば、中国や北朝鮮対策に費やすほどの時間を日本に費やす必要はなかったはずだ。何しろ日本はなんでも言うことを聞いてきたのだから。
そういう意味ではアメリカにとって面倒くさいことが増えたのには違いないが、しかしなにしろ相手は歴史上、初めて選挙という民主主義的手続きを経て政権交代が起きたのだから、多少の混乱はしょうがない。選挙前の民主党の主張だって十分に分析しているわけで、まずは相手の出方を待とうというのがアメリカの姿勢だろう。
つまりアメリカは大人の対応をしているわけで、鳩山政権もそれは十分にわかっている。にもかかわらず、危機を騒ぎ立てる連中は、やはり日米同盟という利権を持つ既得権益者ということなのだろう。

それにしても、、、
かの地における政府とジャーナリストの会見の様子というのは、日本のそれとは相当に雰囲気が違うものですね。

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