世界が笑う-田中良紹の「国会探検」
田中良紹の「国会探検」
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通常、国民の審判が下ったその日から前政権が掲げてきた方針は停止する筈である。前政権の方針を主権者である国民が拒否したのだから、そうならなければおかしい。前政権は自分たちの方針を新政権の方針に切り替えるのに齟齬がないよう新政権に協力する。それが国家国民のために政治家や行政官になった人間の最低の努めである。「私」を封じて「公」に殉ずる。国益を守るとはそういうことである。
ところが昨日からの動きを見ていると日本の政治家や官僚はそうではない。その不思議さを世界はどう見ているのだろうか。例えば消費者庁が前政権の方針のまま9月1日からスタートした。一体何を考えているのか、民主主義国家の有り様に逆らう話である。国土交通大臣のごときは、民主党がマニフェストで建設中止の方針を掲げた八ツ場ダムについて「再考して欲しい」と注文を付けた。全く選挙の意味を理解していない。
そしてもっとみっともないのが自民党だ。選挙惨敗の責任を取って辞意を表明している麻生氏を特別国会で総理候補に担ぐと言う。総裁選挙が間に合わないというのが理由だが、間に合うか間に合わないかは「私」の事情である。「公」を重んじるなら間に合わせるようにすれば良い。それが出来ないなら、議会制民主主義の政党足り得ない非力さを謝罪して解散すれば良いだけの話である。
辞意を表明している人物を国会の首班指名選挙に担ぎ上げ、それに党員が投票させられる政党など先進民主主義国のどこにあるだろうか。おそろしく馬鹿馬鹿しい話である。選挙後に国民が注目しているのは、民主党の官僚操縦力と自民党の再生力だが、これでは自民党に再生の力が全く残っていない事になる。どこからこんな判断の誤りが生まれてくるのだろうか。
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