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2009/08/20

「自民と民主に大した差はない」というウソ

「マスメディア発の情報はネット上の目利きにとってネタとして重要である」と喝破したのは畏兄・四家正紀氏であるが、、、、

なかでも美味しいネタを毎度提供してくれるのが日経の客員コラムニストと称する思考停止、脳味噌煮え煮え、トロトロの永田町散歩ライター・田勢康弘である。
その田勢は昨日(8月19日)の日経朝刊1面でも原稿を書いている。タイトルは「選択09衆院選 政治に期待すること 上」。ちなみに本日の「中」は別の編集委員(市場バカの見本)が書いている。さて田勢の原稿の見出しは「主権者も問われている」とあり書き出しはこうだ。

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「自民党には大いなる不満」「民主党には大いなる不安」という印象をそのまま残しながら、政権交代の是非をかけた天下分け目の衆院選が始まった。政権交代の蓋然性がこれほど高い衆院選は「55年体制」以降初めてのことである。
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つまりこの永田町散歩ライターは今回の選挙は『「自民党には大いなる不満」「民主党には大いなる不安」がある』と印象づけたいわけだ。しかし実際には、自民党に対してはもう「大いなる不満」どころではない、怒髪天を衝く怒りが充満しているのであって、その裏返しではあるが民主党に対しては、少なくともこれまでとは比較にならない「大いなる期待」がある。

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(中略)
 政権を争う自民、民主両党のマニフェストを読んだ、というか見た。
 読むというほどの内容ではないし、有権者のレベルは高くない、とふんでいるのかスーパーマーケットの売り出しの宣伝文句のように細かな話がならぶ。気になるのは「責任力」という自民党の、耳慣れない言葉と民主党の「政権交代。」という「。」は何なのかということだ。
「モーニング娘。」というのがあるが、それと同じ発想なのか、つまり人目に留まればいいというだけのことなのか。責任力とか、党首力とかいいかげんな日本語が政界から広まるのは問題だ。
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マニフェストについては次に書くとして「政権交代。」の「。」。これは今回の民主党の目指すところ、究極の主張が政権交代以外にはない、これ以上言うことはないという意味を強調するための「。」だろう。麻生太郎は「政権交代は手段であって目的ではない」とのたまったが、このたびの選挙の「目的」は政権交代だというのが民主党の主張だということであって、これを「モーニング娘。」と結びつけようとするところに、この書き手の心根、本性が見える。

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(中略)
 マニフェストを見ても何を争っているのかよくわからない。
 どういう国家や社会を創ろうとしてこのような政策を打ち出しているのかという、マニフェストのうしろにあるべき国家の姿がいくら空に透かしても見えてこない。ただただ、政権を死守しようとする勢力と、奪い取ろうとする勢力がスクラムを組んだまま、ぐるぐると回っているだけのように見える。スクラムの中にいるはずのラグビーボール、すなわち国民の姿が見えない。
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ふーむ、国民はラグビーボールなのか、、、とそれはともかくマニフェストである。
今日(8月20日)の日経では見開きのスペースをさいて各党のマニフェスト点検を掲載している。
ところで各党のマニフェストをざっと見ると、自民、民主、新党日本には、党首が署名した原稿が掲載されている。これは党首及び、その政党が目指す理念が書かれているという意味で非常に重要だろう。が、日経にはその文章は掲載されていない。
そこで麻生太郎と鳩山由紀夫の原稿を見比べてみると、、、

Photo

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麻生太郎は確かに何を言っているのか私にもよくわからない。が、鳩山由紀夫の文章には「かくありたい」という明確な理念や主張があると思う。なかでもとくに私が注目したのは、

「縦に結びつく利権社会ではなく、横につながり合う「きずな」の社会をつくりたい。すべての人が、互いに役に立ち、居場所を見出すことのできる社会をつくりたいのです。」

という部分である。これは私の解釈では「国民すべてに平等に光を当てる」、水平的な視点を持つということである。
といって別に社会主義的な平等を目指すとういことではない。
当ブログでは一貫して主張しているつもりだが、貧富の差はあってもいいが、しかし貧困はあってはならない(そもそも「金銭的に豊かであること」と「精神的に豊かであること」はイコールではない)。
もともと霞が関と自民党は自分たちの身の回りにある利権関係者を徹底的に優遇してきたが、これだけ長く自民党政権が続いた理由は、国民を貧困に突き落とすことのないようにある程度、分け前をコントロールしたところにある。それによって国民の不満を抑えて、その分、裏でデタラメ放題をやってきた(年金はその典型)。
ところが、小泉-竹中&自民党の世襲偽員や奥田碩などの財界連中などが中心になって推し進めた新自由主義は、その国民へのおこぼれさえも取り上げて、「競争に勝てばどれだけ上に伸びてもいいが、負ければそれは自己責任」という方向に強烈に舵を切った。しかも、せめてその前提となる競争条件、ルールが公平ならばいいが、この連中のやり方は利権関係者に有利なように最初からルールが設定されていた(その象徴、典型が世襲偽員だろう)。
そうしたデタラメかつ垂直的なやり方を鳩山由紀夫は根本から改めると言っている。
それは奇しくも、インターネットというフラットで相互的なインフラの登場によって個人が多様な発信をできるようになる一方、これまで競争とは無縁な状態でドップリと既得権益に浸かっていた既存メディアが奈落の底へ一直線に落ちていくのと軌を一にしているという意味で、歴史的必然だと思う。

永田町散歩ライターに話を戻すと、この男はまたこうも書く。

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 党首の論争を聞いていて不満に思うのは、もはや小さな政府論を捨てたのかという疑問に答えるものがなかったということである。
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ま、さすが小泉ベッタリの黒河小太郎といったところか。
が、鳩山由紀夫が言っているのは大きい、小さいという問題ではない。

「民主党は、『国民の生活が第一』と考えます。その新しい優先順位に基づいて、すべての予算を組み替え、子育て・教育・年金・医療、地域主権、雇用・経済に、税金を集中的に使います。」

つまり国民が納めた税金の使い道、金の流れを根本的に変えるといっているのである。そしてそれは田中康夫が主張するところでもある。

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鳩山由紀夫や田中康夫はなんでもかんでもバラマキをすると言っているのではない。一部の既得権益者に集中して流していた予算を幅広くフラットに国民に行きわたらせると言っているのだ。
これまで自民党は「企業が儲かるれば、国民も豊かになる」と言い続けてきた。それを信じた日本人は徹底的に企業に隷属させられてきたわけだが、結果、現実問題として豊かにならなかった。
それどころか一生懸命に働いても老後の年金が保障されるわけでもなく、挙句の果てに「高齢者は働くしか能がないんだから働いて納税者になれ、いまさら遊びを覚えてもしょうがないだろ」などと暴言という言葉でもまだ弱いセリフを総理大臣の地位にいる人物が吐く。

そんな社会になってしまったそもそもの原因であるカネの流れを変えるというのが民主党や新党日本で、これはまた日本人を長らく支配してきた企業中心の社会から脱却して、個人が結びつく社会に作り直すということでもあるだろう。

田勢や田原総一朗(この男は根本匠と石原伸晃の共著の新聞広告に「進取の気性に富んだ二人の政治家が描き上げた“新しい日本”に私は鳥肌が立った」とコメントを出していた)を初めとして、マスゴミに登場する評論家やキャスターは「自民にしても民主にしても政策は大して変わらないんだから、、、」ということをしたり顔で言う。が、もし民主党中心の政権ができ、鳩山由紀夫や田中康夫が主張する方向性が実現したら、日本はWEB上で起きている変化とも相まって、劇的に変わるだろう。
であるならば、鳩山政権ができた場合のメディアの役割は、彼らが官僚や既得権益者に取り込まれないかを徹底的に監視することだが、いまのマスゴミにはできそうにない。

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コメント

小泉の応援団でこんな国にした責任を感じてない上、ぬけぬけと評論してますね、彼ら

自民党より先に退場しろ

投稿: 田勢と田原 | 2009/08/21 10:18

こんばんは。
いつも拝見しています。

メディアの政権交代の不安を煽るような報道や自民も民主もどっちもどっちと印象付けようとするいかがわしさには、感性&”勘”性の鈍い私でさえも気づく程、あからさまで、悪質きわまりない。
なりふり構っていられないほど、追い詰められてるということなんですね。

18日のデイ・キャッチでゲストの田原総一朗氏は「全メディアは野党の味方」と2度!も言っていましたが、よくもまぁそんな妄言が吐けるものかと、、、。

あっ!政権交代を見据えての発言かもしれません。あ~やだやだ。

投稿: Linus | 2009/08/20 21:23

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