辞任によって「必至」をかけた小沢一郎
私は将棋については駒の動かし方しかわからない。したがって数手先の変化もわからない。
にもかかわらず、将棋の番組を見るのは好きだ。とくに名人戦を初めとするタイトル戦の中継は大好きで、ヒマがあると局面はまったくわからないのに見ている。
棋界の最高峰レベルの棋士が、盤面を見ながら脳みそに汗をかくほど考えている。その様子をモニタを見ながら解説する棋士たちも十分にレベルは高いが、それでも「これは必至がかかったのか?」とか「詰めろか?」などと検討する。何しろ最高峰の戦いだから、勝敗の帰趨はプロ棋士でも見えにくく、まして素人にはまったくわからない。
小沢一郎が民主党代表を辞任した。
小沢が戦っていた相手は与党でも自民党でも、まして麻生でもなく、日本を独裁支配する霞が関の官僚である。この戦い、将棋にたとえると小沢が序盤の後半から(偽メール事件後の最悪の状況下の民主党の代表に就任してしばらくしてから)中盤にかけて相当なリードを奪った。
これに対して追い込まれた霞ヶ関は、通常ならば禁じ手とされる奇手を放って逆転を狙った。この一手を霞ヶ関の取り巻きの観戦記者も大絶賛。しきりに「流れがかわった」という報道を垂れ流した。普通の棋士ならばここで投了してしまう。しかし、さすがに相手の手の内を知り尽くしている小沢は粘りに粘る。そうこうしているうちに、ネットで観戦している一般のファンが「これって観戦記者が言うほど小沢の形成は悪くないんじゃね?」「必至も詰めろもかかってないんじゃね?」と言い出した。あわて始めた観戦記者は根拠も示さないまま「勝負は決している。とっとと投了しろっ!」という大合唱を始めた。
しかし、プロ棋士が検討に検討を重ねるほど、局面は難解で優劣をつけられる状況ではなくなっていた。
そうしたなかで小沢が自ら「辞任」という一手を放った。もちろん対局者の霞ヶ関にとっては願ったりかなったりのはずだったが、そのタイミング、自分たちの傀儡であるアソーの能力のあまりの低さを鑑みたとき、実は気がつくと自分たちが必至(即詰みの状態)をかけられていた。つまりこれは小沢の考え抜いた一手であり、これまで小沢側の駒でありながらも独裁権力側に有利に効いていた、働いていた(前原一派などの)駒が、この小沢の一手によって完全に封じられてしまった。
今回の小沢の辞任の決断はこういう意図があったということが、田中康夫と田中良紹が出演したアクセスを聴いたことでわかった。
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コメント
どうにも困ったことですが、従前「熱烈な民主支持者」の間に、「前原グループを許すな」という意見が多くなっていたのが、今回の小沢氏の代表辞任で断然その勢いが強くなっているように感じます。
中には「前原グループを当選させるぐらいなら、自民に勝たせる」という輩まで出る始末。自民の連中がアジっている可能性も高いだろうと思いますが、困ったことです。
この民主党分裂圧力が、現状での民主党の時限爆弾とならないように、何とかならないものでしょうか?
投稿: 悲観論 | 2009/05/12 16:36