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2009/05/20

マスゴミに注入される公的資金

ここのところメディアは新型インフルエンザのニュース一色である。もちろんこのニュースが大事であることは間違いない。が、あまりにもメディアが大騒ぎをしていると、疑り深い私なんぞは「何か裏があるのではないか?」と思ってしまう。

今朝、「とくダネ!」を見ていたら(というよりテレビがついていただけだが)、アソーが新型インフルエンザに対して「冷静に対応するように」と呼びかけるCMが流れていた。内閣府がつくったCMらしく、昨日から流れているらしい。
さて、その内容はともかくとして、政府広報のCMというのはメディアにとってありがたいものである。
いま、いわゆる4マスといわれるメディアはどこも広告収入が激減している。テレビももちろん例外ではなく、とくにスポット広告がまったく売れない。こうなると残された手段は二つしかなく、一つは自社の番宣を流すこと、もう一つは値引きすることである。
4マスの広告料金(定価)はどれもビックリするほど高い。かつてはそれでも正規料金で、あるいは値引きしてもせいぜい1割、2割といったところでセールスすることができた。これは4マスによって市場が寡占化されていたからである。ところがwebが登場したことによってこの寡占状態が崩れてしまった(これについては以前書いたものを参照されたい)。さらにこの大不況が追い討ちをかける。
結果、紙媒体にしても放送にしても、広告はどこも叩き売り状態になっていて、もはや定価だとか正規料金といったものの意味がほとんどなくなっている状態である。

ところが、、、
政府広告というのは正規料金なのである。つまり、カネ払いにおいて政府は第一級のクライアントということになる。
メディアはその多くが本業の営業利益は相当な赤字となっており、収益構造が壊れ始めている。したがって、もちろんこの程度のスポット広告の収入増でどうにかなるわけではない。が、ないよりはあった方がいい。3年後、5年後という長いスパンで見れば大した意味はないが、しかし今月、来月を乗り切っていくという意味ではまさに干天の慈雨である(これは広告代理店も同様)。
さらにこの騒動が長引けば長引くほど、緊急的に政府広報の予算が組まれるだろう。そして、もうおわかりのようにこの予算は国民の税金から拠出される、つまり公的資金なのである。

もちろん新型インフルエンザに関する情報を流すことは重要だ。が、もう一つ指摘すれば、必要以上に煽るのも問題で、要は正しい情報を的確に流していくことが求められている。とすれば、わざわざアソーが出演しての「冷静にしてください」などというCMを流す必要はない。むしろ国民の不安を煽る方向に振れる可能性が高いと私は思う。
と、こう考えていくと、このCMはメディアにとって干天の慈雨である一方、アソーにとっては自らの危機管理をアピールする絶好の機会、つまりメディアとアソーの両者にとってのみWin-Winということになる。

メディアにとっては、この騒動でしばらくスポット収入が増えれば、じきに総選挙がくる。今回の選挙は政権交代がかかっているので、ここでまた各政党ともスポット広告を打ちまくるだろう。当然、これも共産党以外は政党助成金から拠出されるはずで、つまり公的資金である。

本日の日経を見ると、例の「寸言」で「(民主党の新人事の)写真を見ると同じ人たちが写っているので、そんなもんかなと」という言葉が紹介されている。誰の発言かというと、一人で財務・金融・経済財政の大臣を担当している与謝野馨だから笑える。アソーは民主党の代表選の結果を受けて、「多少、民意とねじれがある」と発言したという。それに対して「あなた自身が総理でいることは民意と相当にねじれいないか?」と突っ込んだ記者はいないようだ。
広告業界では出広のあるクライアント、ましてカネ払いのいいクライアントの悪口を言うことはNGである。つまりこの国のメディアは結局のところジャーナリズムとは無縁のカネと利権の世界に生きているのである。

鳩山由紀夫は代表就任後の挨拶で「日本の大掃除をやろう」と述べた。その言やよし!
さらに言うなら、その駆除対象のなかには当然、「マスなゴミ」も含まれなければならない。その鳩山は記者会見で小沢と同様に、民主党が政権をとったら官邸には誰でも入れるようにするといったそうである(上杉隆の質問に対して)。もちろんこれは最低限、必要なことだが、さらに付け加えるならば、政府の広報予算の透明性を高めること、また民主党として政党助成金の使い道についても同様に透明性を高めることをあわせて公約にすべきである。

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