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2009/04/08

小沢一郎、北朝鮮問題に見るメディアの病理

いま、メディアから流れてくるさまざまな情報について、それを受け取る側としてもっとも重要なことは「とりあえず疑ってかかる」ということだと思う。とくにあらゆるメディアがトップで、しかも同じ方向で報じているものについては強く疑うことが必要だ。

小沢秘書問題が一段落ついたと思ったら(細かいところでは相も変わらぬ印象操作がせっせと行われている ※1)今度は北朝鮮のロケット騒動である。
まことにもってメディアによる印象操作の種は尽きない。
ここ最近の北朝鮮関連報道は、小沢秘書逮捕報道に続いてメディアの病理をさらけ出している。
そもそも日本以外の国が人工衛星打ち上げ用ロケットだと言っているのに、いまだにどのメディアも「ミサイル」という用語を使っている。

・THE JOURNAL 高野論説
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 発射の瞬間、私はちょうど「サンデー・プロジェクト」出演中で、しかもこの日の番組はこの問題1本で、中川昭一前財務相(事件後TV初出演)、民主党の前原誠司副代表、田中均元外務審議官、田岡俊次=軍事ジャーナリスト、森本敏夫拓殖大学教授らをゲストに迎えた討論の最中というタイミングのよさだった。数分後、政府発表に基づいて「発射した模様」とのテロップが流れたので討論は中断、画面が報道局のニュースルームに切り替わって、アナウンサーが息せき切った様子で「北朝鮮が弾道ミサイルを発射した模様です。今のところ日本に着弾したという情報はありません」と述べた。もうほとんど番組時間が残されていない中で「一言どうぞ」と促されたので、私は「先ほどのニュースのように、初めからミサイルと決めつけて、まだ着弾していないというような言い方はよくない」ということだけを指摘した。

 事前に米国防総省筋は「あらゆる観察結果からして人工衛星打ち上げ用のロケットである」と断言し、韓国政府も「ロケットと呼ぶ」と呼称を統一しているというのに、日本だけは政府もマスコミも「ミサイル」と言い続け、しかもこのTV朝日のアナウンサーのように「まだ着弾していない」というような言い方をすれば、「核弾頭でも装着したミサイルが日本に向かって発射されたがまだ命中していない」かのような切迫感溢れる印象を醸し出すことになる。そこに、政府発表と一体化しながら、意図的なのか善意の無知ゆえなのか、不正確極まりない言葉を使って無闇に危機感を煽り立てるマスコミの馬鹿騒ぎぶりの一端が露呈していた。
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詳細は↓
政府・マスコミ一体のテポドン大騒動のお粗末——「発射」誤報2回で日本の信用はガタ落ちに

確かに北朝鮮が困った国であることは間違いない。だが、その北朝鮮がロケットを打ち上げたがごときでこれだけ力みかえって大騒ぎしているこの国の様子を見たアメリカや周辺諸国の人々は、「やっぱりあの国も北朝鮮と同じぐらいおかしいナ」と思っているだろう。
ところが、この国ではすぐさま軍事力を増強する必要があるだのという言説が幅をきかせ、冷静な人たちは「平和ボケ」ということになるらしい。
恐るべきことに山本一太は「対北朝鮮に関しては、自衛権の範囲内での敵基地攻撃を本気で議論することが抑止力につながる」などと言っている。ではなぜメディアは山本一太なんぞにコメントを取りに行くのか。それは突拍子もないことを言うからである。突拍子もないということはおもしろい=目立つ=数字が取れる、売りになる、とまあそんなことしか考えていないのが今日のメディアである。

それにしても、北朝鮮に対する常軌を逸した政府の対応、メディアの報道を見ていると、実はこの国の権力者は、かの国の独裁ぶり、異常性を際だたせることで、必死になって日本という国はまともなんですよということを刷り込もうとしているようにも見える。それは裏返せば、霞ヶ関という独裁者の、現状に対する危機感の表れであるかもしれない。

最後に、今回の騒動で個人的に非常に納得したのは、ホリエモンの主張である。

・六本木で働いていた元社長のアメブロ
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まさに、杞憂の語源そのものだ。

杞憂 - Wiktionary

このカラ騒ぎ。テレビのニュースは「普段どおりに行動してください。政府の迎撃体制は万全です」と言いながら、政府の誤報をそのまま報道してしまうこの姿勢。臨時ニュース速報でやるこっちゃないだろー。こうやって、ミサイル防衛など無駄なところに、多くの国民の血税が投入されるのだ。

意味の無さについては、このエントリを参照してください。
「北朝鮮のロケット?ミサイル?」

[北朝鮮]「衛星」すぐに打ち上げ…朝鮮中央通信が発表

そんなに落ちてくるのが、怖いなら、種子島の射場を北朝鮮に貸してやれ。東南海上が広大な領土か、公海でない国は永遠にロケット開発ができないだろう。また、ならず者国家はロケット開発していけないが、まともな国はロケット開発してもいいという理屈は、アメリカがイラクを侵略したのと同じ理屈だ。いじめられっこが、通常どういう行動をとるのか考えてみると良い。アメリカだったら最悪銃乱射だ。日本だってトラックで繁華街に突っ込んだ事例だってある。愚策である。

追記:この場合、いじめられっこだからといって、悪いのは北朝鮮なのは間違いないと思うんですけど、追い詰めて、銃乱射をするかのように、周りの国に戦争なり、拉致なり仕掛けるのも、彼らが悪いですよ。もちろんですけど。でもさ、実際にやられたら困るのはわれわれじゃないですか?
だから、彼らが暴発しないように丁寧に扱わざるを得ないと私は考えますよ。銃乱射の被害者になりたくないですもん。正直、悪いやつを懲らしめられないのはイライラすると思いますが、それはぐっと我慢ですよ。
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詳細は↓
北朝鮮の「飛翔体」杞憂

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いつまでたっても、ロケットは戦争の道具と表裏一体のままというのは非常に残念なことである。というのが私の思いだ。今やジェット航空機が戦争の道具である戦闘機などと表裏一体である、などとは言わないだろう。北朝鮮だって普通にロケット開発が出来る時代になってほしいだけなのである。だから、国民は北朝鮮の「飛翔体」の実態を正確に理解し、日本政府が必要以上に軍事費を増やすことを監視しないといけないと思うのだ。ミサイル防衛など何の意味ももたない。弾道ミサイルは外交交渉を有利に進めるためのカードの一つであり、外貨獲得の手段にすぎないだろう。実際に撃てるものでもない。撃ったものを迎撃したところで、着弾する可能性をほんの少し減らすだけに過ぎない。そんなものに大金を費やすのは無駄以外の何者でもない。

追記:コストパフォーマンスの観点から私は発言しているのではない。そんなことに使う金があるなら、福祉なり国民生活の向上に使うべき、あるいは税金を減らせということだ。というよりむしろ、その金で、北朝鮮を豊か過ぎる国にしてしまえばよい。そしたら彼らが、外部に悪態をつくこともなくなるだろう。「飛翔体」が仮に東京の頭上を通ろうが、無視するのが最適だよ。もし東京に落ちるような事態があれば、それこそ北朝鮮は崩壊するだろうしね(私が住んでいるところが「飛翔体」のルートでないから、迎撃など無駄だと発言していると誤解されている人がいるようなので)
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詳細は↓
検察官の正義などなど。

※1 今日の日経の朝刊に「小沢氏 強気の4年目」という見出しの記事が出ている。締めくくりの文章は「三月三十日昼。小沢氏に近い石井一副代表、西岡武夫参院議員運営委員長、田中康夫新党日本代表、平野貞夫もと参院議員がひそかに都内のホテルに集まった。小沢氏が続投に意欲を示している間は支えるが、辞任を選んだ場合も邪魔をしない方針を確認した。側近たちも最終的な小沢氏の真意は読み切れない。」となっているが、これってきちんとウラは取れてるのだろうか?

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コメント

彼はイラクがどこかわからないマヌケで、大量破壊兵器も最後まであると断言していた。小沢代表の件も虚偽記載以外に何かあると断言、しかも自民党のことは棚に上げ、巨額な資金を何故受け続けたのかと繰り返していたが、収支報告書を見ろよ。言うことが支離滅裂

投稿: 山本一太の恥 | 2009/04/08 18:49

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