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2009/03/02

小沢発言を支持する

小沢一郎の「駐留米軍は第7艦隊で十分」という発言が波紋を広げているという。
アソーはこの件について「防衛に少なからず知識がある人はそういう発言はしないのではないか」と言ったそうだが(どうでもいいが、低俗な言い回しだ)、与党やあるいは外務省も批判的で、新聞やテレビの報道も「民主の政権担当能力が問われる云々」という書き方をして、さもこの問題が民主党の弱点であるかのような論調である。久々に与党に野党を攻撃する材料ができたということらしい。
もちろんこのやり方は日本のマスコミが得意の空気作り(世論誘導)で、政府や自民党、官僚の言いたいことを垂れ流しているだけだ(アメリカ側からも批判が出ていると新聞は書くが、そんなの当たり前のこと)。
驚いたのは社民党もこの発言に批判的だそうで、その理由は小沢の言うとおりにしたら軍事力増強につながるからということらしい。
だとしたら社民党は駐留米軍が縮小するよりも、現状の方がいいというのだろうか。
どうもなんだかよくわからない。

が、小沢は「だから日本の軍事力を強化する」というようなことは現時点では言っていないようだ。
だとすると、少なくとも米軍の駐留規模が縮小することはいいことだし、同時に長年にわたって続いてきたアメリカ隷属外交から方向転換することもいいことだと私は思う。
しかし一方でたとえば核兵器を持つことが普通の国だとはまったく思わない(軍事力をこれ以上増強する必要はなく、むしろ田中康夫がいうように現在の自衛隊は「国際救助隊」のような形に再編成するのがいいと考えている)。
これは以前にも書いたが、憲法第九条の真意というのは、軍事力で国を守ることを優先するのではなく、口先で国を守る、つまりしたたかな外交力で国を守るということを第一義とすることなのだと私は思っている。
ま、これはどこの国でも(あるいは企業でも)やっていることで、表では対立しているように見えても裏でつながっている、交渉しているなどということは当たり前のこと。リスク管理の基本である。
そうやってリスクヘッジをしながら有事に備えるのが外交というもので、とくに日本の場合、地政学の観点から見てもそれが重要だと思う。
ところが現実には日本の外交というのはアメリカ一本やりでやってきた。それでもひと昔前は、閣僚が「日米は運命共同体」などといったらそれなりに騒動になったものだが、いまやそんなのは当たり前というぐらいにこの国はアメリカべったりである。そうしていまや当のアメリカからも馬鹿にされている。
この関係を小沢一郎が変えたいと考えており、それを単純な軍事力の増強によらない手段で行うというのであれば私は支持する。
もちろん小沢が本当にそんなふうに考えているのかは現状ではわからない。けれども、少なくともヒラリー来日時における小沢の行動や発言、あるいは会談内容は、与党や麻生のそれよりもはるかに真っ当なもので、政権交代が実現した暁には日本の外交も少しは変わるのではないかという期待を抱かせるには十分なものだったと思うのである。

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