男性雑誌を襲ったあるクライアント“ショック”
恐らく全男性雑誌(ファッション誌からエロ雑誌まで含む)の中で広告出稿量がベスト5に入るであろうクライアントが、その広告予算をwebに大きくシフトした。
これまで、新雑誌を創刊する場合に広告営業が何はなくてもまずは決めてこられるのがこのクライアントで、本当にありとあらゆる媒体に広告出稿していた。
ところが今春、この雑誌予算を少なからずwebへシフトして、まずはその試してみることになったという。
とはいえ、この時点では出稿を継続できていた媒体も多かった。
またwebでの結果によっては雑誌が復活するのでは?という淡い期待抱く人もいたようである。
しかし結果は、、、
webでのレスポンスがクライアントの予測以上に良かったという。
そうして雑誌予算削減の第二の波がやってきた。
これは驚くべき減り方で、最終的に雑誌予算が残った媒体は当初の4分の1。他の4分の3の媒体の出稿(=広告予算)が吹っ飛んでwebに行ってしまったわけである。
雑誌業界にとって、これはいよいよもって大変な事態といえる。
これは以前に書いたが、この時代、雑誌広告の変化の兆しはまず男性誌、なかでも週刊誌にあらわれる。なぜならばクライアントからすれば、雑誌予算のなかで一番削りやすい(=webへシフトしやすい)のがこの媒体だからだ。そして一部のクライアントをのぞけば、この男性誌の動向は必ず女性誌へも波及する。
美容外科、クリニックというのは媒体社からすると広告料金を高く設定することができ(定価からの値引き率
を低くすることができる)、さらに雑誌によっては毎号何ページ以上の出稿をするという“縛り”すらかけることができる、つまり男性誌以上に女性誌にとってなくてはならないクライアントである。
しかしこれはWeb広告が出現する以前のモデルであり、今後、クライアント側からの媒体の選別がより厳しくなることは間違いない。
もちろん同様の傾向が他のクライアントにおいてもさらに強まる。
その結果、確実に言えることは雑誌の数が減ることだ。それもアッと驚くような(知名度の高い)雑誌が休刊に追い込まれるケースが続発する。
この厳しい戦いを生き抜くためには、まずはこの危機感を全社的に共有し(編集現場というのは往々にして広告現場のことを知らないものである)、自らの媒体力を上げつつ大胆にwebへの展開をはかるしかない。
実はそれでも生き残れるかは微妙なところなのだが、現状ではそれぐらいしか思いつかないところに今日の雑誌業界の厳しさがある。
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