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2007/09/26

久米宏、田中康夫が示すラジオの力

今朝の新聞を読んで唖然としたのは、昨日、内閣総理大臣が指名され組閣までされたにもかかわらず、認証式が遅れたために本日の午前中までアベシンゾーが総理大臣であるという記事であった。そのアベシンゾーは昨日も国会が終了すると病院へ戻ったとのことであるが、この国に「危機管理」という言葉はもはや存在しないようである。

もちろんいまの日本において急に国防上の問題が起きるということはないだろう。しかし、自然災害はいつ起こるかわからない。このところ頻繁に起きる大規模な地震はいつあってもおかしくないのである。もし昨晩、そういう事態が現出したとして、そのときの最高責任者はあのヘタレ男だったというのだから、これは何も起きなかったことを神様に感謝するしかない(といいつつ私は無神論者なのだが)。
このような状況にもかかわらず、ニュース番組で相も変わらず政局について訳知り顔で語っている大手新聞社の政治記者や東大教授という輩の感性というのは理解不能というしかない。
その輩が異口同音に語っていたのは麻生太郎の総裁選における善戦その後の処遇についてであったが、麻生をそのような存在にまで押し上げたのは間違いなく大手マスコミである。あるニュース番組に麻生が出演した時のこと、街頭でのインタビューに麻生が答えるという場面で小学校前ぐらいの子供が「麻生さんはどんなマンガが好きなんですか?」という質問を発したビデオを流し、それに対して麻生がにこやかに「ゴルゴ13とか」などと答えていた。
国会開会中の総裁選で1日に数億円の金が無駄に浪費されているという時に、こんなヌルい番組を流してスタジオ中で笑っているキャスターや番組制作者を相手に「メディアリテラシー」を云々いってももはや詮無いことなのであろう。
ちなみに私自身のものすごく大ざっぱな印象を言えば、麻生太郎の人気というのは都知事選における外山恒一のそれと同質である。

そんななかできわめて真っ当だったメディアはやはりラジオで、私の聴いた限りでは久米宏、田中康夫の言っていることがもっとも腑に落ちた。田中康夫の発言は私にとって自分がぼんやりと思っていたことを的確な言葉で表現してくれるという意味でまさに座標軸なのであるが、ラジオにおける久米宏もすごい。テレビでは絶対口にできなかったであろう、政治に対する鋭く、かつシニカルなコメントはラジオという媒体がテレビや新聞と異なり依然としてジャーナリズムとして機能していることの一つの証明である。

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