北朝鮮よりタチの悪い会社
昨日の日経朝刊社会面にこんな記事が出ていた。
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福島第一原発 放射能汚染 測定ミス
警報鳴らす設定 100倍緩く
東京電力は三日、福島第一原子力発電所(福島県)で、作業員の放射能汚染量を調べる計測器の一つに設定ミスがあり、基準値を超える汚染レベルを検出しても警報が鳴らない状態だったと発表した。本来の設定値より百倍緩く設定していた。放射能汚染の管理について定めた保安規定に抵触していると判断し、経済産業省原子力安全・保安院に報告した。
作業員の被曝(ひばく)はなかったという。今後、原因を調査する。
東電によると、三月三十一日、福島第一原発5号機の圧力抑制プール水貯蔵タンクのポンブ室内に設置した放射線計測器の点検中に、計測器の設定値が誤っていることを作業員が見つけた。
計測器はポンプ室から作業員が出る時に身体や衣服に付着した放射能を調べるための装置。設定値を超える汚染を検出した場合、警報が鳴る仕組みだが、設定値が規定の百倍だったため、警報が鳴るべき値を見逃した可能性があるという。いつから設定値が誤った状態になっていたかは、分からないという。
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わずか40行程度であったが、驚くべき内容である(と私は思う)。
もう少し詳しいことが知りたいが日経ではこれが限界なのか。そう思って出社してから朝日、読売、毎日をザッと眺めてみたが、このことに関する記事はなかった。これは一昨日の夕刊で日経が特オチしたものなのかナと思い、3紙の夕刊を見てみたがやはり見つけられなかった、、、
つまり日経だけが書いたようなのである。
それにしても不思議な記事だ。「放射能を検出する測定器の設定が基準の100倍」で、しかも「警報が鳴るべき値を見逃していた可能性」があり、「いつから誤った状態になっていたか分からない」にもかかわらず、「作業員の被曝はなかった」というのである。
もちろん原発で働く下請け、孫請け、そのまた下請けの労働者が過酷な労働環境下で多量の放射能を浴びながら作業をしていることは、原発に関心がある人には知られた事実である。実際問題として測定器が正確に動いてしまったらおよそ作業らしい作業をするような時間もないまま引き返して来なければならないという。つまりこの問題も現場では常識的なことで、それをいままで隠蔽してきたに過ぎない可能性が高い。その結果原発の現場では被曝した労働者を多数生み出してきたにもかかわらず、これが公になることはほとんどなかった。
電力会社というのは表向きは超優良企業である。にもかかわらず実際はきわめて差別的な構造に根ざした下請け業者に過酷な労働をさせておいて徹底的な情報統制をする。これは社会構造として見るならば多くの日本人が大嫌いな北朝鮮とまったく同じである。あるいはいくつかの宗教団体とも。
しかし私は北朝鮮やいくつかの宗教団体よりも電力会社のやっていることの方がタチが悪いと思う。なぜならば、もし原発が破局的な事故を起こした場合、日本という国そのものが滅亡する可能性がきわめて高いからである。そのような会社のトップだった人間に与えた叙勲などというものはすべて今上天皇の名において剥奪すべきである。
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