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2007/03/11

雑誌の危機 (4)

 雑誌に広告を出す場合、その効果をクライアントがどのような形で得るかを考えると、一つは当然のことながらレスポンス、もう一つはブランディングがあげられる。後者を期待するのはファッション誌系のクライアントに多く、一方、週刊誌の場合は前者への期待が大きい。
 では、週刊誌への出広というのは効果があるのか? 実はこれが見えにくいというところに雑誌の弱点がある。

 もちろん、たとえば通販のクライアントなどの場合、そのレスポンスはきわめてはっきりしている。女性誌における通販コスメ企画などはその典型で、各クライアントがそれぞれ独自にパーコストを算出しており、レスポンスの悪い媒体は切られていってしまう。
 しかし、クルマや家電などの場合、クライアント側から見て、ターゲットにどれぐらいリーチしているのかがきわめて見えにくいことは事実である(専門誌への出広はこの限りではない)。
 ところで週刊誌というのはどれぐらい売れているのだろうか。これはABC協会に加入している雑誌であれば知ることができる。いま現在発表されている最新の数字は2006年度上期の数字で、これによれば週刊文春571,460部、週刊新潮509,146部、週刊現代448,279部、週刊ポスト403,552部となっている。
 このように実売部数を公表している雑誌であれば、それを出広の際の一つの指標とすることができるのだが、一方でこの数字を公表していない雑誌も少なくない。たとえばフライデーやフラッシュがそうだ。そもそも出版業界というのは自らのデータを公表するのにあまり積極的ではなかった。しかもそれでも十分に広告のセールスが成立していたのである。
 ところがWeb広告が登場以来、この雑誌広告のレスポンスの不透明性は明らかにマイナスに作用しはじめた。そこで最近になってABC調査に入る雑誌が増え始めているのは事実で、また実売部数は公表しないものの、発行部数を印刷証明付で公表する雑誌は増えている(少し前までは印刷証明のない公称部数だけを発表していた)。
 一方、クライアント側もQRコードを広告のなかに入れることでレスポンスをはかるようなことが可能になっている(あるいはURLを入れるとか)。同じ絵柄の純広であっても媒体によってQRコードを変えれば、どの媒体からのレスポンスがいいかは一目瞭然だ。フィルムで広告原稿をつくっていた時代はこういうことは非常に難しかったが、いまやデジタル入稿が一般化しており、QRコードを変えることぐらいは簡単なのである。
 このように時代の要請によって雑誌は自らのデータを公表せざるを得なくなりつつあり、クライアントもさまざまな手段でレスポンスをはかりはじめた。そして雑誌広告はじわりと減り始めた。すでに述べたように、その影響がまず最初に出たのが週刊誌なのである。

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