« 雑誌の危機 (1) | トップページ | 雑誌の危機 (3) »

2007/03/05

雑誌の危機 (2)

 電通が最近発表した数字によれば、昨年のネット広告は前年比3割増の3630億円で3887億円(1.5%減)の雑誌に迫る勢いだという。ちなみにこの金額はすでにラジオの2倍以上に達している。
 最初から脇道にそれてしまうが、しかしながら私はラジオという媒体の現状、あるいは将来は決して捨てたものではないと思っている。なぜならネットとの親和性が紙媒体よりはるかに高いからだ。また、ラジオには災害時における緊急放送、あるいは平常時でも常に交通情報を流しているなど社会的インフラの側面を強く持っている。
 しかもこのブログでも少し触れているが、現在のラジオ番組は(私の聴いているのは主にTBSだが)ジャーナルの観点から見ても、テレビ、新聞、雑誌に比べてきわめて真っ当である(さらに脇道にそれてしまうが、田中康夫前長野県知事の書類送検報道はとくにテレビ、新聞において、実は前知事送検の根拠となった証言を証言者自身が覆したという事実がその後出てきたにもかかわらず、完全スルーしている。田中康夫のこの問題に関しては県議会や信濃毎日新聞が騒いでいた時点でもすでに話として成立していなかったのであり、それがいよいよもって明らかになっただけである。にもかかわらず、あたかも田中康夫が知事時代に不正をしたかのごとく報道するマスコミ。これは「誤った情報を記者クラブを通じて報道し世間に印象づける→あとでひっそりと訂正」という官僚独裁の得意技ではあるのだが、しかしまあそれをここまで露骨にやっても唯々諾々と従う報道機関とは常日頃、彼らが批判している北朝鮮の報道機関となんら変わるところはない)。

 話を雑誌に戻そう。
 私はこれから週刊誌の話をするわけだが、最初にお断りしておくことがある。それは私がいう週刊誌の中にフリーペーパーは含まれないということだ。フリーペーパーについてはもちろん考察が必要である。なによりも雑誌全体が厳しい状況にあってただ一つの例外、飛躍的に伸びているのがフリーペーパーであるという側面は見逃すことができない。したがって、いずれフリーペーパーについて述べたいと思うが、まずはいわゆる既存の有料週刊誌である。
 ひとくちに雑誌といってもその形態はさまざまで、週刊誌もあれば隔週刊もあり、月刊誌、あるいは季刊もある。あるいは女性誌、男性誌、情報誌などなどジャンルが細かく分かれている。そうしたなかでネットの影響をまず最初に受けたのは週刊誌の広告営業担当者ではないかと思う(これはネットの脅威に気づいたともいえる)。
 全体の広告予算が横ばいのなかでネットが前年比30%増で伸長しているということは、既存媒体の予算をネットにシフトしているわけで、雑誌広告の場合、まずシフトの対象となったのは週刊誌の予算なのである。なかでも最初に直撃をくらったのが男性週刊誌、次いで女性週刊誌となる(もちろんこの両者ではクライアントソースが異なるのだが)。
 そこでまずは男性週刊誌を見てみると、現在、部数的に見ると週刊文春、週刊新潮、週刊ポスト、週刊現代の順になる。また新聞社系では週刊朝日、サンデー毎日、アエラ、読売ウィークリーがあり(日経ビジネスなど日経BP系の雑誌もあるが、これもやや特殊なのでここでは考察から外す。ただし日経BP系は広告的には安定した媒体である)。出版社系ではさらに週刊プレーボーイ、SPA!があり、写真週刊誌ということでフライデー、フラッシュもある。この他にまだまだ雑誌はあるが、いわゆるナショナルクライアントが出広を考える対象となる週刊誌は以上だろう。
 では、このなかで広告面か見て順調なのはどの雑誌か。私見ではAランクが週刊文春、ちょっと落ちるが週刊新潮、アエラ、さらに落ちるがプレーボーイ、SPA!といったところがまあまあなのではないかと思う(最後の2誌は微妙な線だが)。
 逆に苦しいのは写真週刊誌2誌、ポスト、現代だ。週刊朝日、サンデー毎日、読売ウィークリーはもちろん広告的には苦しいが、新聞社系という部分で出版社系とはまた異なった存在理由がある。

|

« 雑誌の危機 (1) | トップページ | 雑誌の危機 (3) »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 雑誌の危機 (2):

« 雑誌の危機 (1) | トップページ | 雑誌の危機 (3) »