原発は高い
本日の日経朝刊にアル・ゴアのインタビュー記事が出ていました。
短いながらも環境問題を中心に見識を感じさせる内容で、2000年にこの人物がアメリカ大統領の地位に着いていたら、その後の世の中はいまとは相当に違ったものになっていたのではないかと改めて思いました。
おそらく2000年以降の世界中の事故、病気以外の死者の数は桁違いに少なかったでしょうし、たとえば日本における国内政治の状況も相当に違ったものになっていたと思われます。その意味で2000年の大統領選挙の結果というのは重大だったわけで、逆に言えば、だからこそブッシュ猿は死にものぐるいでどんな手を使ってでも勝ちに行ったとも言えるのかもしれません。
ところでこのインタビューの中ではゴアは「地球温暖化を止めるには何が効果的か?」という質問に対して「石炭、石油に代わるエネルギーは、環境保全と効率性が重要だ。風力は競争力がある。太陽発電もさらに重要なエネルギー源になってきている。かつては高すぎたが、最近は手ごろになってきている」と答えています。そして続く「原子力依存の高まりは不可避か」という質問に対しては、
原子力発電は高いから、限られた役割しか果たさない。太陽熱、風力などの再利用可能なエネルギー源がもっと使えるようになれば、原子力の重要性は減る。
と答えています。
おそらく日本の電力会社はこのゴアの答えに対して真っ向から反論するでしょう。これまで原子力の優位性として経済効率についてもずいぶんと電力会社は宣伝してきました。これに対してゴアははっきりと「高い」といっています。これはあくまで私の推測ですが、彼は単なる発電だけでなく、その後に待ち受ける廃棄物の問題までも含めて「高い」といっているのだと思います。そしてこれはきわめて当たり前の真っ当な意見で、これを勘定に入れれば原発は「圧倒的に高い、かつ危険」です。
ところが日本の有力政治家でこうした認識をきちんと示している人はほとんどいません。わずかに河野太郎議員が原発に関する問題を常に発言していますが、これとて大きな扱いは受けないのが現状です。
ちなみに原発は温暖化の問題に対してアドバンテージがあるという話もよく聞きますが、炉の冷却のために使う大量の海水が温まった状態で海に戻されるというのは、環境にとって相当な負荷になるのではないかと素人考えでは思うのですが、どんなものなのでしょうか。
それにしても、、、
結果的にゴアが大統領になれなかったのは、自民党にとっても非常にラッキーなことでしょう。ブッシュと小泉、あるいはアベシンゾーは2ショットにすると実にお似合いですが、ゴアとでは「日本の総理大臣は相当に落つるナ」と感じたであろうことは間違いないと思います。
ちなみに2000年にブッシュが大統領になったとき、フィデル・カストロは以下のような内容の演説をしたと記憶しています。
「おかしな男がアメリカの大統領になった。彼が見た目ほどのバカでないことをみんなで祈ろう」
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