数十年に一度の偉業?
昨日の日経の1面は「昭和天皇が靖国神社のA級戦犯合祀に強い不快感を示していた」という発言メモがあったという内容の大スクープでした。
朝日、読売、毎日の3紙すべてが夕刊の1面トップで後追い記事を書かざるを得なかった(朝日、毎日は社会面もトップ)ことが、このニュースがいかに大スクープであったかを証明しています。
ところで私は埼玉県民のため、このスクープを読むことができませんでした(;_;)。私のところに届く新聞は13版で最終版(14版)の1版前です。新聞各社は自社のスクープ記事は最終版にしか入れないため(言わずもがなですが、他社に追いかけられないためです)時々、このようなことが起こります。
毎月の新聞代というのはどんな地域でも均一だと思いますが、読めるニュースの内容が違うというのはいたって不公平だと思いますが、まあこれは仕方がないことなのでしょう。
それにしても、日経といえば経済事案でのスクープはこれまでにも多々ありましたが、このようなネタでのスクープというのは、私の記憶ではありません。
元・読売新聞記者の大谷昭宏氏の著書「事件記者(デカとブン屋のデスマッチ・シリーズ)」は、事件記者たちの抜きつ抜かれつのスクープ合戦の現場を描いた好著ですが、この本に照らし合わせると、今回の日経のスクープは他紙の記者にはほとんど驚天動地の出来事だったと思われます。
「事件記者」には、朝日、読売、毎日、産経(本の中での社名は違っているが)のたたき上げの記者に混じって日経の若い記者が奮戦している姿も描かれています。特オチ(特ダネの反対。あるニュースが1社だけオチていること)寸前の日経記者に主人公の谷記者(大谷氏)が助け船を出すシーンもありますが、そこには強者記者相手に連戦連敗の日経の若手記者といえども、やっぱり特オチすればデスクから大目玉を食らうし、逆にそんな日経にもし抜かれでもしたことがあったら、それこそ大変なことになるという記述があります。
今回の日経のスクープはまさにその状況が出現したということでしょう。もちろんスクープした記者はベテラン記者なのかもしれませんが、少なくとも経済以外の記事で日経にこれだけの大スクープ食らったら現場の記者はしばらく立ち直れないほどのショックだと思われます。早刷りの新聞を見た各社の当直のデスクは腰を抜かして記者の携帯に連絡を入れたのではないでしょうか。
ま、それはそれとして、、、
この記事が今回、日経のスクープだったというのは、なんとなく意味深のような気がします。このご時世に第一報が朝日、毎日のスクープだとしたら、反靖国参拝媒体からの記事ということで、またちょっと違った反応があったような気がします。かといってこの内容を読売、産経が最初に報じるというのもどことなく不自然(もっともナベツネ氏の靖国に対するスタンスは朝日、毎日と同じですが)。
その点、こういうテーマではどことなく中立っぽく見える日経から記事が出たところに、この記事のネタ元になった人物の深い配慮、思慮があるように思います。朝刊社会面の識者のコメントが半藤一利氏であるところも絶妙のバランス。
これは案外、小泉→安倍シンゾーがぐんぐん巻続ける右バネに憂慮した非常にレベルの高い保守陣営の、考え抜いた末の乾坤一擲なのではないかというのが私の推測です。
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