2014/08/17

原子力ムラの広報を掲載する朝日新聞の「原発事故前と変わらぬ体質」

本日の朝日新聞に↓のような政府広報が掲載された。

Asahi_20140817_1

スペースは15段(つまり1面)。
政府広報であるから、全国版に掲載されたものと思われる。
朝日の広告料金は5段でおおよそ1,000万であるから掛ける3で3,000万。広告代理店のマージン(20%)を引くと、おおよそ2,600万が真水で入ってくる計算だ。

キョービ、新聞広告を定価で入れてくる脳天気なクライアントなどほとんどいないが、政府広報はその数少ない一つであるから、朝日にとってはこんなにありがたい広告はない。

ところで広告というのは、カネを出せばすぐに掲載してらえるというものではく、広告局による原稿の審査を通る必要がある。
業界的に言えば、朝日はこのチェックが厳しいことで有名で、週刊誌の見出しなどに文句をつけてくるのは日常茶飯事だ。
ま、もちろんとんでもない表現は修正しなければならないが、「こんなのもダメなのかよ」というようなワードもNGということはしばしばある。
で、まあ本日の政府広報は、この朝日新聞の原稿審査を問題なく通過したわけである。

それにしても──。
朝日と言えば、一応、「プロメテウスの罠」(ま、大したものではないが)を連載し、吉田調書や関西電力の元副社長が首相経験者に政治献金をしていたという証言を「スクープ」した会社である。

たしか田中角栄らに献金した額は年間2,000万円だったが、こちらは一回の広告出稿で2,600万ということになる。
私は当ブログで、マスメディアが原子力ムラを批判するなら、まず自社に過去、どれだけの広告出稿があったかを明らかにすべきだと書いてきた。繰り返しになるが、これを調べるのは簡単で、広告局へ行ってパソコンのキーボードを叩き、過去のクライアントの「実績」を調べてプリントアウトするだけでいいのである。
にもかかわらず、それをした会社はない。
もちろん「プロメテウスの罠」の取材班もそれだけはしないのである。

ところで──。
本日の朝日新聞の1面トップは「東電と東北電、六ケ所村に「寄付」 5年連続計10億円」というものである。

Asahi_20140817_2

リードにはこう書かれている。

 東京電力と東北電力は、使用済み核燃料再処理関連施設が集中する青森県六ケ所村に対し、「漁業振興費」として近く計2億円を支払うことで村と合意した。支出は5年連続の計10億円で、今年が最後。福島第一原発事故後に両社は電気料金を値上げし、東電は実質国有化され、料金や税金で国民に負担を転嫁しながら、法定の漁業補償を超える不透明な支出を続けてきた。

さらに解説記事の見出しは「原発事故前と変わらぬ体質」。

記事自体は「ごもっとも」な内容であるが、しかし自分たちは原子力ムラ肝いりの政府広報を掲載してカネをたっぷりこと手にしているのだから(しかもこのカネは税金だ)、まさに「原発事故前と変らぬ体質」である。

私にはこの広告は、国民への広報という以上に「原子力を維持するための朝日新聞社へのつかみガネ」にしか見えないが、朝日としては広告掲載は「私企業の経営判断」ということになるのだろう。


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2014/06/02

電事連の広告復活~堂々の“あちら側宣言”をした「週刊新潮」の潔さ/2014年5月30日Facebook記事

原発とメディアの関係については、当ブログでもこれまで言及してきた。

・広告で雑誌のお里が知れる?(2008/01/18)⇒「ソトコト」

・原発広告とメディアの関係(2011/03/02)⇒「週刊現代」

3・11後には津田大介がはてなニュースで環境省のタイアップ広告原稿を書くなどということもあったが、このたびは電事連の広告が堂々の復活である。
媒体は「週刊新潮」。

私はことの良し悪しは別にして、「週刊新潮」は潔いナと思った。

おそらく電事連は広告を出したくてウズウズしていたのだろう。
したがって広告代理店を通じて、さまざまな媒体に出稿の可否をヒアリングしたはずだ。
たとえばこんな感じかな。

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ぷるる、ぷるる(電話の音)。
がちゃり。

媒体社「はい、☓☓出版広告部です。」
代理店「もしもし、○○広告の△△です。実はですね、いまうちのお得意がタイアップ広告を出したくてウズウズしていて、出稿媒体を探しているんです。カネはたっぷり持ってるんですけどね」
媒体社「いいじゃないですか~。で、クライアントはどこですか?」
代理店「それがですね、得意は電事連なんです。」
媒体社「…………」
代理店「ぶっちゃけいうと、なかなか受けてくれるところがないんですよ」
媒体社「そりゃそうでしょう。いくらカネを持っててもね」
代理店「御社の『週刊☓☓』はどうですかね?」
媒体社「う~ん、厳しいと思うけどねえ。まあどうしてもというのなら、編集長に聞いてみるけど」
代理店「是非、編集長に聞くだけ聞いてみてもらえませんか? もうカネはガッツリ取りますし、お得意もカネは惜しまないといってますから」
媒体社「わかりました。まあ一応、ダメ元で編集長に聞いてみますよ」
代理店「よろしくお願いします。あと、その場合にタイアップに出るタレントは舞の海ということで、一応、クライアントからの推薦もありますので」
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代理店から連絡を受けた媒体社の広告営業担当者は編集長に相談することになる。
そして、ここでほとんどの媒体はさすがにこの時期、NGが出るだろうと思う(多分)。

そうしたなかで「週刊新潮」はタイアップを受けたわけである。
これはある意味では大したもので、堂々たる「うちの雑誌はあちら側」宣言だ。

「週刊新潮」はこれまでもそうだったが、これからも変わらずに体制にべったりと寄り添い、反原発運動や市民運動を叩きまくる、覚えめでたいメディアとして存続していくことだろう。

で、次は「ソトコト」あたりが「食べて応援」とか始めるかな?

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新潮社雑誌広告専用サイトを見ますと、「週刊新潮」の4C2Pの広告料金は330万円。企画制作は新潮社のクレジットが入っておりますので、別途、1ページあたり、おそらく30万円程度のタイアップ制作料(2Pなので60万程度)がプラスオンされるものと思います(舞の海へのギャラはここから支払われているでしょう)。
今どき、電事連でこの手の広告であれば定価でしょう。
広告代理店が330万円の20%のマージンを取りますから、実際に新潮社に入るのは264万(広告掲載料)+60万(タイアップ制作料)=324万円ぐらいだと思われます。

今どき雑誌に定価で広告掲載をしてくれるクライアントというのは数えるほどしかないので、まったくもって美味しいクライアントです。
しかも、このような広告を掲載する媒体というのはほとんどないでしょうから、ふっかけ放題ふっかけられるでしょう(広告代理店も「ガッツリ取りましょう」とか言っているはず)。

しかし一方で、どれだけふっかけられても、このような広告を「週刊新潮」のような媒体に広告掲載できれば、電事連は満足です。
つまり、Win-Winの広告です。

13万人の避難者に対して「現実から逃げるな」とは、愚弄するのもいい加減にせよ。恐るべき電事連の無神経。CybershotTad: 週刊新潮今週号に電事連の原発広告。今度は舞の海。原発を無くすと日本の成長が止まるらしいです。

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2014/05/24

大飯原発運転差止判決に苛立つ読売 / 2014年5月23日Facebook記事

下のブログで批判されている読売の社説はこちら

ちなみに、小泉純一郎は「常識的な判決」と評価したとのこと。

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22年前の最高裁判例で福井地裁判決を批判する読売社説の愚」〜 永田町異聞

「未曽有の原発事故が起きた以上、最高裁の判例があるからといって、それに従っていていいのか。経済上の損得勘定と、人の命そのものにかかわる問題を、同列に論じていいのか。そういう良識が裁判官を突き動かしたといってもいいだろう。」

個人的に思うのは、3.11後に原子力ムラにお墨付きを与えるような判断を示すのは、裁判官にとってもなかなか勇気がいるのではないかということです。

再び破局事故が起これば、世界的なレベルで後世に名前が残るわけで、末代までの恥になります、それ以上に「罪」になります。
しかも、冷静に考えれば、再稼動すればその可能性は十分にあります。

同様の訴訟を担当する裁判官もその点を心して欲しいと思います。

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2014/05/14

「美味しんぼ」問題 ~ 頑張れ小学館!

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「美味しんぼ ~ 福島の真実編」の内容に対してメディアが風評被害を助長するなどと批判をしている。

・読売新聞5月13日付社説
「美味しんぼ」 風評助長する非科学的な描写

なぜ、このように反発するのかといえば、それは原子力ムラが「隠したい真実」に正確に当っているからだ。
といって私が読んでもとくに目新しい情報があったわけではない。いたって当たり前のことが書いてあるに過ぎないと思う。が、そう思うのは従来から反原発の立場にあったからでもある。

ところが「美味しんぼ」というのは長く続く人気漫画であって原発に関心のない一般の読者も多い。
これまで巧みな情報操作で眠らせていたそういう一般大衆が、目覚めてしまっては困るのである。
つまり、「美味しんぼ」問題は体制の危機の芽をはらんでいるのだ。
そして、こうした場合、全力でその芽を摘みにいく=袋叩きにするのがマスメディアの仕事で、それは過去から現在まで一貫して行われてきたことである(最近では小沢一郎バッシングが記憶に新しい)。

今週の「美味しんぼ」の最終ページには「その現実を知れば知るほど、明らかになる復興の難しさ──次号、「福島の真実」編クライマックス」と予告が書かれている。
そして原作者である雁屋哲は自らのブログで「その23、特にその24ではもっとはっきりとしたことを言っているので、鼻血ごときで騒いでいる人たちは、発狂するかも知れない。」と書いている。

・雁屋哲の今日もまた
反論は、最後の回まで,お待ち下さい

おそらく今、政府や原子力ムラは次号の内容を発売前に知ろうと必死になっているだろう(※ちなみにそれは本気になれば可能で、いくつかの方法が頭に浮かぶ)。

そして私が若干危惧するのは、発行元である小学館が最後まできちんと持ちこたえられるかということだ。
ちなみにここで「持ちこたえる」とは、原作者を守れる、作品の方向性を維持できるということ。
おそらく編集の現場は大丈夫だろう。また、「美味しんぼ」という作品の貢献度から見て編集長や担当役員クラスも大丈夫だと思われるが、小学館というのは日本を代表する大出版社だけにいろいろな人がいる。

ネット上では原作者にリンチを呼びかけた人物がいたが、今後、小学館に街宣をかける右翼が出てくるかもしれないし(もっとも本当の右翼だったら東京電力へ行くはずだ。赤尾敏氏ならそうしていただろう)、さまざまな方面から圧力がかかる可能性はある。
そうなった時に「撤退」を主張する人が出てきて、その勢力が拡大すると危ないことになるわけだが、私は是非とも小学館に最後まで頑張って欲しいと思う。
なんとなれば、真実を正しく知らせることがメディアの使命であり、しかも残念ながら日本でそれができる有力媒体は大変に希少だからだ。

頑張れ小学館! 

※ちなみに「美味しんぼ」と真逆の位置にいるのが講談社の「島耕作」である。
・誰も通らない裏道(2008/06/17)
週刊朝日、島耕作のダメっぷりとSPA!の健闘

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2014/05/02

「「ゴルフで人脈」首相の交流術 芝の上なら好アプローチ」
~日本経済新聞「秦明日香」記者が書いた、読むに耐えない与太記事

以下は昨日(5月1日)の日経の政治面に掲載された「記事」である。
「秦明日香」という署名が入っているが、ぶら下がりの番記者だろうか。

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権力の鍵 「ゴルフで人脈」首相の交流術 芝の上なら好アプローチ

「初めまして、ミスターアベ。お手柔らかに」。4月13日朝、山梨県富士河口湖町の富士桜カントリー倶楽部。駐日英国大使のヒッチンズが、首相の安倍晋三に語りかけた。
 この日が2人の初顔合わせだった。日英は米国の同盟国同士であり、安全保障や成長戦略で結び付きを強めようとしている。5月1日に英首相、キャメロンとの会談を控えていた安倍は、ゴルフが英国生まれであることも計算し、初会談の舞台にあえて選んだ。
「日本の経済政策は評価できるが、集団的自衛権の議論が分かりにくいと思う」とヒッチンズ。安倍は「今度、首相に会うときにしっかり説明したい」と答えた。
 4月23日夜、安倍は来日した米大統領、オバマを東京・銀座のすし店で接待したが、ゴルフもおもてなしの小道具に使ったことがある。昨年2月、有名選手も愛用している山形市の「山田パター工房」製パターを、左利きのオバマに贈った。
 3月15日、神奈川県茅ケ崎市のスリーハンドレッドクラブ。安倍が向かい合ったのは経団連の名誉会長、御手洗冨士夫と、会長への6月就任が決まっている榊原定征だった。
 安倍政権は現会長の米倉弘昌と必ずしもしっくりといっていなかった。榊原経団連への移行は、政権と二人三脚で成長戦略を進める好機にもなる。賃金水準引き上げへの協力に加え、法人税の実効税率引き下げに向けた論議を後押ししてもらわなければならない。
 思惑通りにならないときもある。4月6日のスリーハンドレッドクラブのプレーでは意中の人に誘いを断られた。公明党国会対策委員長の漆原良夫だ。
 安倍が意欲を示す集団的自衛権の行使容認に消極的な公明党。支持母体の創価学会の信任も厚い漆原は2月に安倍の姿勢をメールマガジンで批判したこともあり、ゴルフで打ち解けた雰囲気をつくりたかった。
 結局、一緒にプレーしたのは公明党副代表の北側一雄だった。現副総理兼財務相の麻生太郎とともに、第1次政権では与党の幹事長として安倍を支えた。いまも親しい仲間だ。
「桜より芝だよ」。4月7日、首相官邸の中庭で安倍と花見をした麻生はこう語った。利害が絡む問題も、芝の上で育んだ人間関係を糸口に解きほぐすことができるかもしれない。そんな淡い期待を込めて安倍のゴルフ政治は続く。
=敬称略
(秦明日香)
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ハッキリ言おう。
こんなクソ記事を書いて恥ずかしくないのか?
こんな与太原稿を通したデスクは恥ずかしくないのか?

こんなものを書くのなら、「新聞記者」などとっとと辞めて、安倍のファンクラブを作って会報誌でも作ってろ。

たとえ自分と立場は違っても、読むに耐えうる原稿はある。
が、これは単なる与太の垂れ流しである。
いったいこの記事は何を言いたいのか? 左利きのパターをオバマに送ったら、日米関係が改善されるとでも言いたいのか?
ゴルフをやれば、集団的自衛権の行使容認に消極的な公明党が変わるとでも言うのか? だとしたら、公明党もずいぶんとなめられたものだ。

ここからわかるのは、安倍という人間はつまりそういうレベルの人間であり、この記事はそれを批判の対象にするどころか、好意的に書いておだてているわけだ。
おそらく秦明日香記者は、「安倍が喜ぶだろう」と思ってこの記事を書いているだろうし、現に安倍は喜んでいるのだろう(以上は推測であるが、間違いないと確信している)。

ま、日経の政治面など最初から期待していないが(期待しているのはスポーツ面の記事だけ)、それにしても堕ちるところまで堕ちたとはこのことだ。

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2013/03/21

NHKを退職する堀潤氏に期待すること

以下はfacebook版「誰も通らない裏道」に書いたことですが、当ページとしてはわりと閲覧数の多かったものなので転載しておきます。

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NHKの堀潤アナウンサーが退社することがネット上では話題になっています。
この件で私がなによりも期待したいのは、3.11当時、NHKの局内でどのような規制がかけられていたかを具体的に語ってくれることです。

1995年1月17日、つまり阪神淡路大震災の当日、神戸・三宮で講演の予定があった永六輔さんは、地震の後、滞在先の大阪のホテルから知り合いのいるNHKへ行ったそうです(とりあえず地震の様子を知りたかったので)。
すると、当然、ニュースがどんどん入ってくるわけですが、それと同時に「あれは放送してはいけない、これもダメ」という規制もどんどん入ってきたそうです。
これは永さんから直接聞いた話です。

そういう規制が3.11時にどの程度、どのようなレベルで行われていたのかを国民は知る権利があると私は思います。
ただし、堀氏にそれを喋られるのがNHKとしては一番怖いはずですので、必死の対策を講じていることも間違いありませんし、相当に強い引き止め工作をしたのではないかと思います(あくまで推測ですが)。
にもかかわらず退社を決意した堀氏の情報発信に期待したいと思います。
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2013/03/17

オリンピック誘致、遠隔操作ウイルス事件、陸山会事件判決
~ますます退廃するメディア

私は2020年の東京オリンピック誘致が成功するとはハナから思っていない。
なぜなら、東京電力福島第一原発がその時、依然として苦境のままで、おそらくさらに厳しい現実、将来が見えていることは間違いないからだ。
そんなところへ日本人よりはるかに福島の状況をよく知っている、海外(とくにヨーロッパ)のアスリートや観光客が来るわけがない。

ところが、昨日、「久米宏ラジオなんですけど」のオープニングトークを聴いて、オリンピックが東京に来ないもっと大きな理由、最大のネックがあることを知った。
不覚にも私は知らなかったのだが、2018年の冬季オリンピックは韓国の平昌(ピョンチャン)で開催されるのである。
だったら──
その2年後に再び東アジアでオリンピックが開催される可能性などまったくないだろう。
久米宏はこの点にふれて、「これが最大のネックだということを、なんで(マスコミが)言わないのか、不思議なんですよね」といっている。

・久米宏ラジオなんですけど
3月16日オープニングトーク
※オリンピックに関する話は7分過ぎから。

さらに付け加えるならば、2019年には日本でラグビーのワールドカップが開催される。
となると、カレンダーは以下のようになる。

2018年 韓国 冬季オリンピック
2019年 日本 ラグビーワールドカップ
2020年 日本 夏季オリピック

普通に考えれば、このようなスケジュールはあり得ない(ついでにいえば、ラグビーは7人制ではあるが、リオデジャネイロ五輪から正式種目になる)。
そして、メディアを含めて誘致関係者もみんなそれをわかっているはずだ。
にもかかわらず、なぜ誰もそれを言わないか? その理由は「カネの匂いがする」からである。

この不景気のさなか、オリンピックの誘致となれば大きなカネが動く。当然、広報予算もつくわけで、それはメディアへと流れる。そして、この手の予算(政府広告やそれに準ずる広告)は当ブログでは何度も書いているがごとく「定価」で出稿される。

しかして広告を出す方も、「東京にオリンピックは来ない」と本当のことを書くメティアにはカネを出すはずがない。
そこでメディアの側は「どうせ来ないことはわかってるけど、そんなことを言ったらせっかくの広告を取れなくなる。そんな野暮なことはしないで、もらえるものはもらっておこう」となるわけだ。

しかし、、、この五輪誘致の予算も、結局のところ都民の税金だ。久米宏は、「自分の納めた税金を、五輪誘致にだけは使って欲しくない」と言っているが、世界一情報操作されやすく、しかも素直で、かつ諦めのいい国民は、そんなことぐらいでは怒らない。
つまり、徹底的になめられているのである。

それにしても、、、
ここのところのマスメディアの退廃は、ますますもって呆れるばかりだ。

逮捕時点であれだけ大騒ぎして、容疑者のプライバシーを暴きまくった「遠隔操作ウイルス事件」。
だが、その後の経過はほとんど報道されない。
なぜなら、この事件は冤罪の可能性が高くなっているからだ。

逮捕されたK氏は、江ノ島で猫に首輪をつけたと言われた。
警察としては、一度、誤認逮捕をしているたげに失敗が許されない案件。そこに浮上した容疑者には前科があり、しかもその風貌や行動がマスメディアには「久々に叩き甲斐がある」と映ったのだろう。
一斉にスイッチが入り、逮捕前から狂乱の取材合戦を始めた。

では、その逮捕された案件はどうなったのかといえば、拘留期限が来ても警察は立件できず、処分保留で釈放されたが、その後、即座に別件で逮捕された。

この間、メディアはどうしていたかというと、容疑者に佐藤博史弁護士(足利事件で無罪を勝ち取った主任弁護人)、さらに木谷明弁護士(東電OL殺人事件でゴビンダ氏の勾留請求を拒否した元判事)がついたあたりから、ほぼ一斉に撃ち方止めに入った。
というのも、もし容疑者が無罪だった場合に名誉毀損の訴訟を起こされるのが怖くなったからである。

およそ、メディアにとって人権などというのは二の次だが、唯一怖いのがこの訴訟で、逆にいえばそこで負ける可能性がある時にだけ取材に歯止めがかかる。
つまり今回は、メディアから見ても相当に危ない案件なわけで、であれば警察の手法も当然ながら厳しく問われべきだ。
ところが、メディアはそれもしない。なんとなれば、ここで警察批判を書けば情報がいただけなくなるからだ。
かくて彼らはただ沈黙する。

私に言わせれば、この遠隔操作ウイルス事件というのは、検察が西松事件で吹っ飛び、あわてて陸山会事件に転進したがあえなく撃沈。最後は検察審査会への捜査報告書虚偽記載事件で自爆した経緯に酷似している。

そこで、最後はこの陸山会事件について。
先週、石川知裕氏らに対する控訴審判決が出た。結果は控訴棄却。
一審の「推認有罪」を追認した、この高裁の裁判長は、東電OL殺人事件で一審無罪のゴビンダ氏に有罪判決を下した判事の一人である。
そんな人物がまだのうのうと裁判官をやっていることが驚きだが、そういう人物を陸山会事件の裁判長にするシステムは、民主主義的手続きをも飲み込んだ上で成立する霞ヶ関独裁の真骨頂だ。

そして、こういう事実には一切触れぬまま、「しごく当然の判断である。」と社説に「当然のごとく」書く朝日新聞社は、退廃したメディアの象徴だと思うのである。

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2013/02/21

アベノミクスに感じる国家的「シナリオ営業」の臭い

昨日の日経1面に「原発ゼロ修正 米に表明へ」という見出しの記事があった。
内容は以下のようなもの(太字、下線部は筆者)。

********************
 日米両政府は資源・エネルギー分野で包括的に協力する方向で最終調整に入った。22日にワシントンで開く安倍晋三首相とオバマ米大統領の会談で合意する見通し。首相は「2030年代に原発稼働ゼロ」をめざすとした民主党政権の目標の見直しを伝えるとみられ、原子力分野での協力関係を維持する方針を確認。再生可能エネルギーなどの開発、投資でも協力する。北朝鮮の核実験などを踏まえ、核不拡散体制を堅持することでも一致する見通しだ。
 首相は21日に羽田空港を政府専用機で出発、現地時間22日に大統領との初の首脳会談に臨む。就任後、初の訪米になる。安全保障・経済分野で幅広い課題を話し合う予定で、首相は強固な日米同盟を確認したい考えだ。
 資源・エネルギー分野では、原子力や再生可能エネルギーでの協力、米国産シェールガスの対日輸出などが議題になる。原子力政策を巡っては、首相が原発ゼロを含む民主党政権の「革新的エネルギー・環境戦略」を「ゼロベースで見直す」と表明しており、大統領にも同様の説明をするとみられる。
 民主党政権の原発ゼロ目標には、米政府から「使用済み核燃料の再処理で取り出したプルトニウムの使い道がなくなる」「米原子力産業は日米合弁が基礎。原子力技術が失われる」などの懸念が水面下で寄せられた。目標見直しを大統領に伝えることで、日米間の原子力協力を進めるとあらためて確認したい考えだ。
(以下略)
********************

将来世代にわたっての最重要問題であり、懸念材料である原発問題は国論も大きく分かれている。そして脱原発の声がより大きいことは事実だ。
私は即刻全原発停止派なので、民主党が掲げた「2030年代に原発稼働ゼロ」という方針も容認はできないが、しかし民主の方針には、少なくともベクトルを脱原発へ向ける程度の意味はあった。
ところがこれを撤回するというのであれば、とてつもなく大きな政策転換である。
それを国民に問うことなしにアメリカの大統領に表明するというのは、最高レベルの従米である(そして「アメリカと約束したから民主時代の方針は撤回します」と国民に説明するのだろう)。

そして、原発の推進、中止の立場の違いはおいても、このような総理大臣の売国行為を何の批判もなく垂れ流すこの記事は、日本政府の官報どころかアメリカ政府の官報に堕したといっても言い過ぎではない。

それにしてもこの記事は呆れを通り越して笑える。
「北朝鮮の核実験を踏まえ、核不拡散体制を堅持する」というが、この国では「東京電力が起こした破局事故によって(しかもまだそれはまったく収束していない)、全世界に核を拡散中」である。

私は北朝鮮の核実験を断じて容認しないが、世界有数のプルトニウム保有国であり、しかも有史以来最大の原発破局事故を起こしたにもかかわらず、活断層の上に建てられた原発をいまなお動かしたがっており、なおかつ政治姿勢としては徹底的な対米従属で原子力の協力を進めるという国家が、日本海という狭い海域を隔てた目と鼻の先にあるのならば、誤解を恐れずに言えば、「こっちもなんかやっておくか」ぐらいのことを考えるのも致し方のないことだと思う(浅はかなやり方だとは思うが)。

日本というのは本当に不思議な国で、中国の大気汚染の影響については大騒ぎをするが、現に東京電力が撒き散らかした放射能についてはその影響を最小限に見積もり、従来の日本の法律に照らせば「放射線管理区域」となるべき地域に多くの人(それは小出裕章氏によれば1000万人になんなんとするのではないかという)が普通に暮らしている。
なんとも凄まじい倒錯ぶりである(もっとも最近はそんなことを考えている自分の方が倒錯しているのかとさえ思ってしまう)。

世間ではアベノミクスとやらがもてはやされている。日経の速報メールを見ていると、株価が上がっただの円安になっただのと大ハシャギだ。
私はこれを見ていると、「シナリオ営業」という言葉を思い出す。
シナリオ営業とは証券会社の営業手法の一つで、つまり事前に一握りの優良顧客に対して株を仕込んでおいて、それを一般投資家に売り歩いて株価を釣り上げるという手法である。

かつてバブルが華やかなりし頃は、投資本というのがたくさん出ていた。著者は株式評論家である場合が多かったが、それらの人びとが証券会社の紐付きであるケースは少なくない。つまり株式評論家は証券会社から情報もらって個別の銘柄を勧めるのである。
これも形を変えたシナリオ営業なわけだが、私が聞いた話では以下のようなものがある。

ある出版社でのこと。投資関連の本が出ると、普段は自社の刊行物など気にもとめない役員がゲラの段階で取り寄せて、そこに書かれている銘柄を買っては儲けていたというのだ。
とんでもない話だが、おそらくこのようなことはマスメディアのあちらこちらで行われていたのだろう。
それでも一般投資家が何の疑問も持たなかったのは、経済全体が右肩上がりで、彼らもまたそのおこぼれを頂戴することができたからだ。

しかし、今日の状況は右肩上がりとはほど遠い状況である。
そんななか、アベノミクスは、とにかく経済を良くすることに専念すると喧伝されている。
ところが、このアベノミクスは福島第一原発のリスクを一切勘定に入れずに捨象している。
私は経済のことはよくわからないが、一つだけ断言できるのは、福島第一原発の破局事故による被害総額(発生から将来における収束費用にいたるまで)は天文学的な数字になるということだ。
なにしろ現時点でさえ、「東京電力が何度倒産しても、日本がたとえ破産しても足りない」(小出裕章氏)ほどなのだから、トータルでいったいどれだけの額になるのかはわからない。

いまは多くの日本人が福島第一原発の破局事故を過去のものとしつつある。
しかし、実際はこの破局事故はまったく収束していない。メルトスルーした燃料がどうなっているのかもまったくわからず、汚染水はどんどん溜まっていく。
手の付けられない状況がどんどん進行しているのである。
そして、どんなにこれを隠しても、いずれはこの問題は顕在化し、国民の間にも広く知れ渡ることになると思う。そうなった時、日本経済はどうなるのか? これについてはわからないが、過去に一つだけある例を繙くと、旧ソ連はチェルノブイリの事故から5年後に国家そのものが消滅した。

もちろん日本がソ連と同じ道を辿るかどうかはわからないが、少なくともアベノミクスが最大級のリスクを捨象する限り、多少、株価が上がったとしても、その先に大きな落とし穴があることは間違いない。
だが、原子力ムラと一心同体の安倍政権は、それを承知の上で一時的な経済回復を狙っているのではないか?というのが天邪鬼である私のうがった推測で、つまりここに国家的な「シナリオ営業」の臭いを感じるのである。

原子力ムラの面々は、自分たちが起こしてしまった破局事故がいかに大変なものであるかということを、小出氏と同じレベルで実は知っている。
したがって、いずれ経済的に大変な局面を迎えることもわかっているはずで、その前に逃げ切りをはかろうとする面々が、いまアベノミクスを推進しているのではないかと思うのである。
もちろん前述したとおり、これがうがった見方であることは百も承知だが、要は自民党政権と、それを煽るマスメディアを私はそれだけ信用していない。

とここまで書いたところで、谷垣が3人の死刑を執行したというニュースを見た。
霞ヶ関が完全に政権を取り戻したということだろう。


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2013/02/15

「小沢一郎の政治資金事件」は日本版・金大中事件である

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「今日において新聞を引っくるめてマス・コミの勢力は、ある意味で政治以上に強力であるということができる。マス・コミが協力すれば、一政権を倒すぐらいは易々たるものであるが、政治の力では、右にせよ左にせよ、ファシズム的専制政治が出現しない限り、一新聞を倒すこともできないであろう」(前掲)
 こういう事実を正しく指摘する人は案外すくない。マス・コミが独自の権力機構を形成しつつ、社会の既成支配権力──政府・官僚・財閥──に拮抗し、一つの支配権力を優に凌駕する実力を貯えてきているといういい方は、けっして誇大な表現ではない。

丸山邦夫著『遊撃的マスコミ論』 「ジャーナリストと戦争責任」より


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数日前の日経に掲載された石破茂のなかで、「今度は何年ぐらい与党でいられますか」という質問に、 「20年は続けたい。それぐらいやっていないと時代に合ったシステムはつくれない。10年では短い」と答えていた。
1955年以来、ほんの数年をのぞいて自民党がほぼ一党独裁を続けてきた。その結末が原発破局時代なわけだが(民主党政権時代に事故は起きたが、その原因となる原発政策を続けてきたのは自民党である。そして安倍晋三は前回の総理大臣時代に、「全電源喪失による炉心溶融事故というようなことは起きない」と断言しているのである)、それでもまだ20年続けたいというのだから、暗澹たる気持ちにならざるを得ない(しかもこの党は原発推進を依然として目論んでいる)。

私に言わせれば、一党独裁がこれだけ続き、これからも続こうとしているということ自体、日本がまともな民主主義国家ではないことの証拠だ。

そうしたなかで、わずかな期間、自民党が下野した時には、いつも野党側に小沢一郎の存在があった。ところが、その小沢を日本のマスメディアは「壊し屋」という。これはまったくもって真逆のレッテル貼りで、真の「壊し屋」は今回、政権交代をぶち壊した野田佳彦を筆頭に、枝野幸男や前原誠司(この男はニセメール事件でも民主党をぶち壊した)といった面々だ。ところが、野田を「ぶち壊し屋」と批判するマスメディアは皆無であるのは、誠にもって不思議なことである。

先日、雑誌「世界」の「政治を立て直す」という別冊に目を通す機会があった。いろいろな論点が出ていたが、私としては一つ重要な視点が抜けているのが残念だった。
それは、「小沢一郎はなぜ総理大臣になれなかったか?」の検証だ。

小沢が総理大臣になったら民主党政権はいまも続いていたか? 世の中は少しはマシになっていたか?
これはわからない(ただし2010年の参議院選挙には確実に勝っていただろう)。
しかし、次期総理大臣の最有力候補者だった野党第一党の党首が、検察の仕掛けた捏造事件によってその座を追われたという事実は、政治の歴史を国民の手ではなく、検察という国家権力が変えたということである。
つまりこれは立派なクーデターであって、そのクーデターのお先棒を担ぎまくったのが、検察のリーク情報を徹底的に垂れ流したマスメディアだ。

私はこの一件は日本版の「金大中事件」だと思う。
1971年の韓国大統領選挙で朴正煕に97万票差にまで迫った金大中は、1973年に日本で拉致された。命はとりとめたが、有力な大統領候補だった金大中は、その後、数々の弾圧を受け、米国に亡命していた時期もあり、韓国の政界に復帰したのは1995年、大統領に就任したのはなんと1997年のことである。

金大中事件が起きた時、私はまだ小学生だったが、とんでもない事件が起きたという強烈な印象が今でも記憶に残っている。そして、隣国であるにも関わらずあまり関心のなかった韓国が日本とは異なる軍事独裁政権であるということを知った。
その後、社会人になってから、ちょくちょくホテルグランドパレスへ行く機会があったのだが、そのたびに「ここで金大中は拉致されたんだよな」と思ったものである。

今になって考えてみると、野党の有力政治家が謀略によって失脚させられるのはよくあることだが、そういう国は民主主義国家ではない。
つまり、日本もまた民主主義国家ではないということである。

2009年以降、小沢一郎の身の回りで起きた政治資金に関する「問題」は、完全に検察の捏造である。ところが、これをマスメディアが煽って世論操作することで、本来、来るべき政治の歴史を変えてしまった。
ここ最近の「アベノミクス」とやらをめぐる報道を見ていると、私はつくづく「日本のメディアは自民党政権が心の底から好きなんだなあ」と思う。

昨年末の衆議院選挙時、嘉田由紀子の会見で「(われわれは)小沢が怖いのではなく、嫌なんです」と堂々と言い放った大新聞の論説委員がいたが、これは心からの告白で、彼らは小沢が民主党代表時代、「もし総理大臣になったら」と考えると、不安で不安で仕方がなかったのだろう。
その民主党も小沢がいなくなれば、赤子の手をひねるようにぶっ潰すことができ、無事、「自民党を取り戻す」ことに成功し、すっかり心の安寧を得ることができたということか。

今後、いつまた2009年のような政権交代を求める声が湧き上がるかはわからない。
なにしろ、それ以前は50年間も耐えてきたという国民性だから、ひょっとすると私の生きているうちには、そういう時代は来ないのかもしれないと思うほどである。
もちろん、あきめらてはいけないのだろう。
しかし、実は私は大変に悲観的で、というのも「マスメディアという独裁権力維持装置」が壊れないかぎり、小沢一郎のような政治家が再び出てきても(あるいは小沢が復活しても)、必ずメディアに潰されることは確実だからだ。


追記 1
健全な法治国家のために声をあげる市民の会
による検察審査会への申立は、依然として議決が出ていないが、マスメディアはいたって無関心である。

・八木啓代のひとりごと
検察審査会:なかなか苦しんでいらっしゃるようです

追記 2
IP偽装事件について

・八木啓代のひとりごと
どこまでトンデモなんでしょうか:IP偽装事件にしても東電にしても

やっぱりね:IP偽装犯人は馬鹿じゃありませんです

・産経ニュース
片田珠美(23)世の「非モテ男」に捧ぐ

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2013/02/05

『プロメテウスの罠』 ~ 自分を棚に上げる人びと

中国の大気汚染について大騒ぎをしているメディアを見ていると、日本というのは誠にもって不思議な国だなと思う。なにしろ福島県を中心に関東にかけての広い範囲が、東京電力の撒き散らかした放射能で汚染され、本来ならば放射線管理区域にしなければならない場所に多くの人が住んでいる。
にもかかわらず、こちらの件に関する報道は一切ない一方で、中国の大気汚染が大問題だというのだ。
こうなると、「ただちに問題はないんじゃね?」と皮肉の一つも言ってみたくなる、、、

さて、本日の本題。
昨日、書店へ行ったところ、『プロメテウスの罠3』という新刊が出ていた。
朝日新聞連載の「プロメテウスの罠」は順次単行本化され、すでに3巻目まで刊行されているというわけだ。
手にとって目次を見てみると、この3巻にははてなブックマークニュースのタイアップ広告について書かかれた例のトンチンカンな記事も掲載されている。

・「プロメテウスの罠」の見当違い ~ 環境省と津田大介氏の対立は広告制作上の問題でしかない

で、まあそれは別にどうでもいいのだが、驚いたのは「おわりに」の下記の部分である。そこにはこう書いてあった。

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 第17シリーズ「がれきの行方」は、東北のがれきを全国で広域処理するという問題に焦点を当てた。放射能を理由に反対する人もいて世論は割れていた。丹念に取材するなかで、広域処理の根拠があいまいなこと、処理期間を少し延ばせば広域処理は必要ないこと、広域処理推進に巨額のPR費が使われ、それが大手広告代理店に流れていることを明らかにした。
※太字はブログ主
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これには思わずのけぞった。
なぜなら、「巨額のPR費」は広告代理店を通じてマスメディアに流れているからである。
ところが、この「プロメテウスの罠」の取材班は、広告代理店から先のカネの流れについての「丹念な取材」はしないらしい。

そこで、今一度、当ブログの昨年3月7日のエントリーをご覧いただきたい(ちなみに、このエントリーは、おそらく環境省の広報業務について触れたものとしては当時、結構、早い部類に属していたと思う)。

さあ!「除染広報15億円」+「災害廃棄物の広域処理広報15億円」計30億円争奪戦の始まりです!

ここには、「平成24年度東日本大震災に係る災害廃棄物の広域処理に関する広報業務」という公示が掲載されている(以下は除染広報も同様)。
これは、クライアントである環境省が、「今度、がれき処理に関する広報業務に予算をつけたので、その一般競争入札をします。ついてはその説明会をしますよ」という公示だ。

応募資格のある広告代理店は、この説明会に出席をして、環境省がどういう意図で広報をしたいのかをヒアリングする。その際の事前の資料が↓。

「平成24年度東日本大震災に係る災害廃棄物の広域処理に関する広報業務の概要及び企画書作成事項」

この仕様書の「2.業務内容」の「1)個別業務事項」の(1)は「メディアを使用した広報」と書かれている。以下7項目まであるわけだが、当然、もっとも優先順位の高いものから順番に書いているはずだろう。
つまり、環境省がまずやりたいのは「メディアを使用した広報」なのである(また(2)で「環境省及び国の関係機関の政策を正確に理解し、これをわかりやすく表現できるライターを用意して業務を行うこと」と書いてあるのも興味深い)。

話を進めると、この説明会を聞いて、資料をもらった各広告代理店は会社に戻り、指定日までに予算に見合ったプラニングをしていく。その際にはもちろんメディア選択もあり、たとえば純広告については朝日新聞を使おうとか、雑誌については「週刊☓☓」を使おう、テレビのCMはこういう形でいこうというようにプランを練り、企画書を作っていくわけだ。
そしてコンペとなり、勝った代理店が企画書に基いて30億円を使っていくという寸法である。

ちなみに上記のエントリーの際の落札代理店は電通だったという。
予算規模は、除染15億、がれき処理15億の30億円。
これを『プロメテウスの罠』では「流れる」と表現しているが、その内容の是非をひとまず脇におけば、きわめて真っ当なビジネスの流れでしかない。

ところで、通常、クライアントがメディアに広告を出す際、広告代理店のマージンは2割だ。
広告業界ではクライアントが代理店に支払う金額をグロス、広告代理店がマージンを引いて媒体社に支払う金額をネットという。
つまり通常は、グロス30億であれば、広告代理店には2割の6億が入ることになる。
しかし、このようなコンペともなれば競争が激しい。しかも一方で、媒体社側には政府広告は「定価」という商慣習がある。したがって、たとえば朝日新聞に広告を出すといっても、彼らは「政府広告はビタ一文も負からない」という姿勢を貫く(したがって、昨年3月に朝日新聞に掲載された30段〈見開き〉の広告も定価だろうから、朝日新聞にはネット5000万ぐらい入っていたはずである)。

・関連エントリー
朝日新聞社のみなさまへ ~ 震災瓦礫広告についての質問

となると、競争に勝つためには結果として自分たちのマージンを削るしかない。
したがって、「コンペには勝ちたいけど、勝てば勝ったで、大して儲かるわけではないです」(知り合いの広告代理店関係者)というのは、代理店の肩を持つわけではないが、あながちウソではないだろう。

さて、なぜこんなことをグダグダと書いてきたかというと、要するに環境省の巨額のPR費を問題とするならば、そのもっとも肝心な部分は、各メディアににどのようにカネが流れているかなのである。

はてなブックマークニュースのタイアップ広告にしても、広告代理店は予算をクライアント(環境省)から預かり、それをもとに広告を制作していくわけで、最終的にその予算はマージンをのぞけばはてなや、原稿を書いた津田氏へと「流れる」。

ま、はてなに「流れる」カネなど大したことはないが、問題は大新聞社やテレビ、雑誌といった大手メディアに流れるカネである。
これは3.11以前からの私の主張であるが、日本の原発問題を考える際にもっとも大事なことは、原発推進の原動力となったメディアの役割だ。

かつて、第二次大戦の際、メディアが流す大本営発表を多くの国民が最後まで信じていたがごとく、原発においてもメディアが垂れ流す安全神話が、「原発は必要」という世論形成に大きな役割を果たす一方、使用済み核燃料の問題については「ほとんど報道しない(=国民に知らせない)」という対応に終始した。
それが、巡り巡って福島第一原発の破局事故につながった。
第二次大戦時には敗戦でいったん国民は「すべてがウソだった」ということに気づいたわけだが、3.11後の国民はまだウソに気づかない(思考停止しているとも言えるが)。
つまり、8.15がひとつの「終わり」だったのに対して、3.11は「原発をめぐる次なるステージへの始まり」だったのだ。
したがってメディアは今後ますます統制を強めていく。

昨年、9月に小出裕章氏にお目にかかった後、御礼のメールと一緒に無礼を承知で私の作成した電子書籍『東京電力福島第一原発事故とマスメディア』をお送りした。
するとお忙しいにもかかわらず、短いながら丁重なご返事をいただいた。
そこにはこう書いてあった。

 まだ中身を読めたわけではありませんが、「日本が民主主義とは真逆」であり、官僚中心の独裁国家で、マスメディアもそのシステムに組み込まれている」というご指摘に共感します。
 ただ、それに気付いている人があまりに少なすぎます。

政府が一つの政策において広告することを考え、それに予算をつけて一般競争入札をするのは当たり前の話である。その結果、どこかの広告代理店が落札するのもこれまた当たり前の話。どのクライアントでもやっていることで、カネの流れは誰にでもわかる単純明白な「事実」でしかない。
繰り返しになるが、問題はそこから先で、どこのメディアにどのぐらいのカネが流れているかこそが大問題で、
それを取材してこそ初めて調査報道の名に値する。

朝日新聞によれば『プロメテウスの罠』は新聞協会賞を受賞したそうだが、この程度の「報道」が協会賞だというのだから、新聞業界のレベルも推して知るべしということだろう。

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