2010/06/01

退職後~私の経歴と今考えていること

昨日をもって25年間勤務した会社を早期退職した。
政局が緊迫していくなかで書きたいことはいくつもあったのだが、ここ最近は仕事の引き継ぎや挨拶回りなどをするだけで精一杯で、ブログを書く余裕がなかった。
しかし、これからは少なからぬ時間ができるので、できるだけ更新頻度を上げていこうと思っている。
そして現在進行形の政治やメディアの話と並行して、これまでの自分の会社員生活を振り返るエントリーも書いてみようと思っている。
ということで、以下、私の経歴と今考えていることを書きます。

私は1985年、東京都文京区にある光文社という出版社に入社した。
最初の配属はカッパ・ビジネス編集部(カッパ・ブックスグループの一部署)、その後、いろいろな組織変更があったが要するにカッパ・ブックスのグループの中でまずは15年間を過ごした。
ここで最初に担当したのが小室直樹氏であった。もちろん、この時には直属の上司(彼が小室直樹氏を世に出した編集者だった)について、いわゆるカッパ・ブックスの本作りのノウハウを学んだ。
その後、徐々に一人立ちをして、ビジネス書やハウツー本から一般のノンフィクションに至るまで、ほとんどありとあらゆる本を作った。
そして、当ブログに時折アクセスをしていただいている方からお叱りを受けることを承知で書けば、その中には小泉純一郎著「郵政省解体論」、「官僚王国解体論」という二冊も入っている。この二冊の本は、いずれも大した内容ではないが、しかしその後の日本の政治の流れに少なからぬ影響を与えたことも事実である。当たり前のことだが、これらの本ができた経緯について私は誰よりもよく知っているわけで、当時のことはこれから書かなければならないと思っている。

さて、入社から15年後の2000年、私は週刊宝石編集部に異動した。私たちの世代にとって週刊宝石は憧れの職場だったが、この頃には徐々に部数が落ち始めており、それが社内でも少しずつ問題になっていた。
しかし、私としてはやっと初めての異動を経験したことがとても嬉しかった。ただ、年齢がすでに30代も後半にさしかかっており、ここから週刊誌の生活をスタートさせるにはちょっと遅かったことも事実である。だから、週刊宝石では大した仕事はできなかった。
そしてこの2000年の夏、光文社では役員の改選があり、常務だった並河良氏が社長に就任した。この並河氏はJJ、CLASSY.、VERYという光文社の米びつとなる女性ファッション誌の創刊編集長で、その後、男性誌のBRIOの創刊編集長も務める。要するにファッション誌の天皇ともいえる存在で、その影響力は自分の担当分野以外にも広告部門にまで及び、その権力は絶大なものがあった。
そういう人物が光文社の代表取締役に就任して、「光文社はネットよりも紙媒体を中心にやっていく」と高らかに宣言して最初に乗り込んだのが週刊宝石だった。そして結局、週刊宝石は2001年1月をもって休刊になる。私の10か月あまりの週刊誌生活はあっけなく終わり、いいことはあまりなかった。ただ、一つの雑誌が休刊になる現場に居合わせるという、それはそれで貴重な体験をした。
その後、私は書籍部門に戻ったが、2002年の10月から広告部へ異動となり、昨日、早期退職するまでの8年弱、広告営業に従事した。
この間、広告営業の現場から目撃したのは、並河氏が自社の、まして自分が作った媒体の広告を含めた収益モデルをぶち壊していく姿だった。私なんぞは、高杉良氏の小説「濁流」で描かれた某経済雑誌の社長兼主幹にそっくりだなと思ったほどだ。しかしこれに対して現場の危機感は日ましに高まっていったにもかかわらず、社長に近い役職の人ほど何も言えなかった。逆らえば自分の身が危うくなることが怖かったのだろうが、それは私には不作為の罪にしか見えなかった。
一方、「並河改革」は書籍部門にも及んだ。カッパという名前が嫌いだったらしく、カッパ・ブックスというブランドは光文社から消されてしまった。光文社新書が創刊され成功するという慶事もあったが、しかし長年にわたって先人が培ってきたブランドを捨てる必要があったのかは大いに疑問が残る。
また、文芸部門に対しては、大きな収益源だった官能小説禁止令を出し、「芥川賞や直木賞作家を使え」という指示を出したという。だが、そんな路線が官能路線以上の大きな収益をもたらすはずはなかった。
そうして、まるで三光作戦のような経営を繰り広げた結果、光文社の屋台骨は揺らいだ。
ところが並河氏にしても、あるいはその指示を受けて動いた人たちにしても、誰一人として責任をとることはなかった。それどころか、並河氏の肝煎りで創刊した雑誌が大ズッコケをしても編集長は責任を取らされることもなく、むしろ出世していく。それは丸山真男が指摘するところの「天皇制の無責任体制」のようであった、、、

私は自分が長く勤務した会社が立ち直ることを強く願っている。だが、そのためには2000年から8年間続いた並河時代に何をどう間違えたのか、そしてその責任の所在はどこにあるのかをきちんと総括することが絶対に必要だと思っている。
そこで私自身が目撃したこの時代のドキュメントも折に触れて書いてみたいと思う。
ちなみにその話は週刊宝石休刊からスタートする。

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2010/04/12

午後2時の太陽

十年ちょっと前ぐらいだろうか、、、
私は当時、身近にいた50歳前後の人たちにこんなことを言っていた。

「〇〇さんは50歳になりましたか?」
「いや、まだだけど、もうすぐかな、、、」
「そっかー、でもね、ぜんぜん大丈夫ですよっ(^_^)!」
「そ、そう?」
「50歳というのはね、午後2時の太陽なンですっ!」
「ん?それどーゆー意味?」
「陽は燦々と輝いている。でも、、、急がなければ、、、、」
「(-_-;)、、、、、、」

確か沢木耕太郎がラジオで喋っていたことの受け売りだったと思うが、ま、要するにこんなことを言っている私はイヤなヤツだったのである。
ところが、、、
その50歳に手が届くところ(48歳)に自分が来てしまった。
これはなんともはや恐ろしいことで、実際にその年齢に達してみると午後2時などと言っている場合ではない。なにしろ冬場ならば午後4時を過ぎれば薄暗くなるのである。
しかも十年前とは世の中の動きのスピード感が違う。
私はiPodの初期型を持っているが、これを購入したのが2002年頃だったと思う。当時はせっせと自分のCDをiTunesで読み込んで転送しているだけで、まさかアップルが音楽市場を席巻して支配するとは思いもよらなかった。
ネットの接続にしても十年前は自宅ではまだダイヤルアップをしていたと思う。それがあれよあれよという間に常時接続となり、ブロードバンドの時代がやって来た。

そして何年か前から、書籍も電子化の時代が来ると言われたが、私にはどうもピンと来なかった。それは簡単に数十ページ前、あるいは後まで行きつ戻りつができる、あるいは気になった箇所は折り曲げるなり線を引くなりできる簡便性を電子媒体が凌ぐのは容易ではないと思っていたからだ。
しかし、昨年ニューヨークへ行ってみると当地は電子書籍の話題一色であった。
某広告代理店で聴いたプレゼンでは、「アメリカでは雑誌は厳しい媒体だと思われている。印刷媒体にとってはチャレンジングな時である」というところから話が始まり、広告投資の主軸がブランディングからマーケティングへと移行していることが説明された。
そして今後、広告予算が増えていくのはソーシャルメディアや検索で、雑誌の予算が増える見込みはほとんどなく、むしろデジタル予算を確保するための第一の草刈場が雑誌だという調査結果を見せられた。
では、この難局をどう乗り切るのか? そのときに提示されたのは3つで、

1 Digital and E-reader (Don't follow the music industry)

2 Establish a massive media BRAND

3 Diversification

つまりデジタル化、電子書籍に対応をした上で(音楽業界の二の舞となってはいけない)、メディアとしての強いブランドを作り上げ、多様化(多メディアへの対応)しなければならないというわけだ。
実はのん気な私はそれでもなお電子書籍についてはピンと来なかったのだが、それから半年後、iPhoneで佐々木俊尚著「電子書籍の衝撃」をダウンロードして、初めて電子書籍というものに触れると、これが予想以上に快適だった。混雑した電車の中でも片手でiPhoneを持って読書ができる。ページをめくるのも軽快で、途中まで読んでやめても次には読み進めたところから表示してくれる。
そうして私は電子書籍もiPodと同じようにもの凄いスピードで普及していくのだろうと思った。とくにiPadが登場すれば、書籍だけでなく雑誌のコンテンツもこれに対応していかざるを得ないだろう(成功するかどうかはわからないが)。
しかも、ここにはiPod以上に膨大なシルバー市場があるような気がする。現に私はiPadが出たら、自分の親や義理の両親に勧めてみようと思っている。
年寄りにそういったデジタルデバイスは使えるのか? 少なくともすでに多くの老人が携帯電話を使っている。少し前、親戚の法事があったとき、集まった老人たちはみんな携帯で撮影した孫の写真を見せ合っていた。つまりそれぐらいのことすでにできるわけで、そういう彼らが書店に行かなくても本を購入でき、しかもフォントを大きくすることもできるという利便性に気づけば、少しのアドバイスがあれば使いこなせるようになるだろう。もし、わからなければ多少時間をかけて教えればいい。ひょっとするとそこにビジネスチャンスがあるかもしれない。

なんともとりとめのないことを書き連ねているが、、、(アルコールのせいということでお願いします)

とにかく電子書籍の時代(なかでもiPadだと思うが)というのは、これはもう生やさしい変化しではなく、メディアのありようを完全に変えるパラダイムシフトである。
であるならば、夕暮れ近い午後2時のオッサンであっても、残り時間を新しいパラダイムへの取り組みに使うのは悪い選択ではないように思える。それは少なくとも古いパラダイムにしがみつくよりはチャレンジングである。


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2010/04/08

WEB時代の失業ビフォーアフター

読売ジャイアンツの木村拓也コーチがくも膜下出血のため、この世を去った。試合前の練習中にノックをしていた時に突然、倒れたという。享年37歳はあまりにも若い。
そして今週はもう一人のスポーツマンの訃報にも驚いた。
ラグビーの元日本代表で東芝府中でも大活躍をした渡辺泰憲選手。東芝ファンの私のお気に入りの選手の一人だった。恵まれた体格に走力を持ち合わせたフランカーで、その突進力で東芝、そして日本代表を勝利に導いた。享年35歳。
お二人のご冥福を祈りたい。

それにしても、改めて人の命というのはまことに儚いものだと思う。
昨日まで元気だった人が突然、倒れて不帰の人となる。明日、自分の身にも起きるかもしれない出来事を、しかし事前に予測することはできない。病気を患ってから、「あの時、もう少しきちんとした生活をしていれば、、、」と思っても、時計の針を元に戻すことはできない。
このような訃報を聞くたびに私が思い出すのは、「橋のない川」の著者である故・住井すゑ先生の言葉だ。
住井先生は唯物論者だったが、もし神様がいるとすればそれは“時間”だとおっしゃっていた。
曰く「どんな金持ちでも身分が高いという人でも、時間の流れに逆らうことはできない。人間は時間の下に平等であって、神様は“時間”である」。

さて、、、
私の会社員としての残された時間もあとわずかである。
それは何をどうやってもあがいても、正確に時を刻んでやって来る。
失業後はどうするか? な~~~んにも決まっていない(失笑)。
ちなみにこのような状況、無所属の時間を迎えるのは人生で3度目のことである。
最初は幼稚園入園前!(爆笑)。これはさすがに記憶にない。
そして2度目は大学入学前の浪人時代(1年間)。この20歳前の無所属の時間というのはもちろん不安も大きかったが、一方で物心ついて初めて手にした自由でもあり、今思い出してみると悪くない時期だった。
で、今回が3度目。

「とりあえずワールドカップは結構テレビ観戦できるナ、、、、」

などと言っている場合ではない。
ホリエモンが書いているがごとく、必至になって仕事に集中しなければならないのである。
といいつつ、私の場合はその仕事自体も決まっているわけではないので(苦笑)、とりあえず失業後に向けて職探しをしながらいろいろな手を打っていかなければならない。
そのなかで考えていることが一つある
佐々木俊尚さんによれば、「ネットがあれば履歴書はいらない」そうだ。


しかし、そのためにはWEB上でセルフブランディングをしなければならない。そしてその場合、個人情報を出すことが有益であることは間違いない。私という人間がこれまでどのような仕事をしてきて、どんな人とつながりがあるのかということを多くの人に知ってもらうには、それがもっとも手っ取り早い手段である。そして、おそらく私のやった仕事のいくつかについては、その内容をもうちょっと詳しく聞いてみたい、、、というニーズがあるような気がする(あくまで「気がする」だけだが)。
しかし、そのためには相当程度の個人情報を出す必要があるだろう。
これは正直言って迷う。
当ブログで偉そうになんやかんやと書いてきたのも匿名であればこそだったことは否めない。かといって、失業後は石にかじりつかなければならず、そんなことでグダグダと悩んでいる場合ではないという気もする。
ということで、、、
現時点では、失業を機に当ブログで個人情報を出すことを考えている。
ただしどの範囲まで出すかはまだ決めておらず、ネットに詳しい何人かの友人、知人とも相談してみようと思う。
その結果、どういうことが起こるのか? 
怖がりの私としては相当に不安もあるが、たとえ結果が悪くても、いずれ必ず時間が解決してくれるはずである。

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