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2014/04/30

滋賀県知事選3選出馬を悩む嘉田知事を、「不出馬」と書き立てるマスメディア

数年前まで、NHKのBSで正月になると「大逆転将棋」というバラエティ番組をやっていた。
多くの有力棋士が出る面白い番組だったが、なかでも私が好きだったのは、プロ棋士同士の対局の投了形からアマチュアの芸能人とプロ棋士が対戦するという企画だった。

投了、つまりプロ棋士同士としては、明確な詰みがあり、その時点で勝敗の決着がついているわけだが、しかしそれはまだまだ数手先のことで、その道筋はアマチュアには難解である。

そこで、アマチュアが投了時の勝った側、プロが負けた側を持つ。アマチュアは事前に局面図を見せてもらい、プロ棋士から詰みの道筋のポイントを教えてもらう。また、もし悪い手を打ってしまった場合、一度はアドバイスをした棋士が局面を止めてやり直しをさせることができる。一方、対戦するプロ棋士側は将棋盤の前に座った時点で初めて局面をみる。

、、、とこれだけハンディがあってもアマチュアがプロ棋士に勝つのは至難の業であった。
というのも、プロの対局の勝敗というのは一手、二手の違いで決まる。したがって、アマチュアがその一手、二手を間違えてしまうと、あっという間に形成は互角になってしまうのだ。


滋賀県の嘉田由紀子知事が次期知事選(7月13日)の出馬を見送りするという報道が流れている。

・滋賀県の嘉田知事、不出馬へ…「達成感がある」(読売)

これに対して当の嘉田知事は自らのFacebookでこう書き込んでいる。

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4月29日の読売、毎日新聞記事の「嘉田三選不出馬」記事について 
           
・4月29日の読売新聞、毎日新聞の2社が「嘉田三選不出馬」と報道されましたが、その記事について、いかにも決定したような内容であり、強く抗議をします。

・そもそも政治家の出処進退は、本人が最終的に決断・公表するもので、憶測記事をだされることは政治生命にもかかわる由々しき問題です。

・まして知事という県民にとってきわめて重要な公職について、憶測記事をだすことには強く抗議をします。

・4月26日の「嘉田県政を検証する県民の集い」で、「政局より政策」、滋賀県と琵琶湖の自治のため政策集団「チームしが」を結成し、その流れの中で三日月国会議員と調整をすると公表しました。

・ その結果を5月7日に公表する、と記者会見日程も決めている矢先に、憶測記事を出すことはきわめて遺憾です。

・ 政策の合意状況、特に原子力政策などでの合意は最低条件であり、嘉田の出処進退は流動的であり、「出馬」も含めて熟慮中であることにかわりありません。
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これに対して木下黄太氏が同じくFacebookでこう呼びかけている。

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【緊急・最優先事項】

皆さんが行動してください。
木下黄太です。

日本の原発再稼動阻止につながる大きなポイントに、皆さん一人一人の行動が影響できる可能性があるので、緊急にお伝えしています。

嘉田知事が、滋賀県知事選に出るのかどうか、本当に迷っています。
5/7に結論を出すそうです。

彼女が出なければ、120%、自民党の候補、経産官僚が確実に当選します。安倍政権の意向を強く受けて経産官僚は出馬しています。なんとしてでも、安倍総理本人が滋賀県知事を取ることが、再稼動推進の重要ポイントと認識して躍起になっていると聞いています。
反嘉田のある市長が、マスコミに対して「嘉田は出ない」などといったりして誘導し、さらに推進側の意向をうけて、再稼動反対の嘉田が出ない方向で印象付けたい記事を書いていて、きょうの毎日は出馬見送りというガセ記事を平気で載せています。

本人はまだ決めていません。私も直接ご本人に確認しましたし、周りの側近からも同様のニュアンスを聞いています。
しかし、本人は出たくないわけではありません。出ることの出来る環境があるのかどうかです。

滋賀県の有識ある行政マンや経済人の多くは
「彼女が出ないと近畿は大変なことになる。」そう思っています。
本人は市民がどう考えているのかについてもかなり悩んでいると思います。そのことが大きいんです。

ご本人に一人でも多くの市民が出馬するように働きかけをしてほしいです。
直接の連絡先を知る人は直接に。
直接知らなくてもご本人はFacebookにいますから、フォローすればTLに書き込めるし、メッセージも送れます。本人が全部読んでいます。皆さんの声が大切です。近畿、日本の原発再稼動阻止のために、多分最も大切なのです。至急行動して下さい。
https://www.facebook.com/yukiko.kada.5

鹿児島2区と話のレベルが違います。彼女が出れば、現職の強みもあり、勝てる可能性が今のところまだ高いです。
小異を捨てて、大道につく。本質を見失ってはなりません。
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原発というのは冷静に見れば、少なくとも日本においては3・11で終了している。
なにしろ現時点で3つの原子炉が炉心溶融し、その収束のメドはまったくたっていない。

チェルノブイリでは石棺が事故の年の11月に完成している。福島第一も最終的には石棺にせざるを得ないが、その前に1号機から3号機に内に残る使用済み核燃料を抜き出さなければならない(現在作業中の4号機の使用済み核燃料にしても、無事、最後まで作業できるかどうかは不明)。
これらのことにいったいどれだけのカネがかかるのかわからない。何しろ今生きている人間が全員死んだ時代でも、後世の人々はこの処理に苦しむのである。

つまり原発政策というのはすでに投了しているのだ。
あとは詰み筋さえ間違えなければ再稼働は阻止することができる。

ところが、原子力ムラという「原発キ○ガイ」集団は何しろ手強く、メディアもほとんどすべてがあちら側の一員である。
したがって、国民の側が手順を間違えてしまうと、投了の局面を引っくり返すことは十分に可能だ。
そして、彼らはいまこれを必死でやっている。

今回、嘉田知事が迷っていることは事実だろう。が、不出馬と決断したわけでなはい。
にもかかわらず、すでに飛ばし記事がいくつかのメディアから出ているのは、嘉田氏の出馬、不出馬が今後の原発政策に重大な影響を与えることを、原子力ムラの面々が深く認識していることの証明である。

もし、ここで嘉田氏が出馬することなく、自公が推す経産官僚が勝ったら、一手、二手違いどころか、形成を逆転させる三手、四手にすらなってしまう可能性が高い。
ということで、嘉田氏の三選出馬を願いたい。

それにしても、嘉田氏が辞退しても勝機があるとは思えない民主党議員はどんな人物かと思いきや、松下政経塾出身なのだそうだ。
私には、この三日月なる議員もあちら側のグルに見える。

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2014/04/19

「消費税増税の影響は軽微」と大宣伝した日本経済新聞が煽る電気料金値上げの影響

通勤電車に乗っていたころ、いつも同じ車両に乗る真面目そうな青年がいた。この青年はいつも熱心に新聞を読んでいたのだが、それは巨大宗教団体の機関紙で、チラリと紙面を見ると、いつもおどろおどろしい見出しが踊っている。
私はそれをみながら、「こうやって毎日新聞を読むことで、洗脳されていくのだナ」と思ったものだった。

ということで本日(2014年4月19日)の日本経済新聞。

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原発停止、経営苦しく 電事連会長、再値上げ「あり得る」

 原子力発電所の稼働停止が長引いていることで、電力会社は再値上げを視野に入れている。北海道電力は2月、昨年9月に続く再値上げを検討していると表明。資本増強などで値上げの回避を模索するが「再稼働か値上げがなければ経営悪化は止められない」との声は業界に根強い。
 電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は18日の記者会見で、各社の再値上げについて「経営効率化で対応できない場合は苦渋の選択としてあり得る」と述べた。
 再値上げを視野に入れているのは北海道電、関電、四国電力の3社。いずれも原子力規制委員会による主力原発の安全審査が長引いており、14年3月期の経常損益が3期連続の赤字となりそうなのも共通する。(以下略)
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毎度おなじみの電力会社による値上げ恐喝の大宣伝。
確かに電気料金が上がるのは好ましくはない。
しかし、一方で原発を再稼働させないために燃料調達費の上昇分の電気料金を上げるというのなら、(いろいろと言いたいことはあるが)私は仕方がないとも思う。

それに、電気料金が今後、上がったとしても一般家庭で言えば月に数百円、まあ1000円以内ぐらいのものだろう。
もちろんそれでも大きいと言えば大きいが、同じく一般家庭の平均支出で(いろいろな計算があるが)6000~7000円になんなんとする消費税増税ついて、ついこの間まで「影響は軽微」という大宣伝をしてきたのが日本経済新聞である。

・植草一秀の『知られざる真実』
消費税増税の影響を懸命に否定する日経新聞の怪

その日経が、電気料金の話になると、とたんにその影響を声高に叫び始める。
今日の日経には、また以下のような記事もある。

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電気料金、地域差広がる  東電の家庭用、北陸電より19%高く 水力・石炭少なく割高

 家庭向け電気料金の地域差が広がっている。東京電力など大手電力9社の5月の平均的な家庭の料金を比べると、最も高い東電は最も安い北陸電力より1383円高く、19%割高になった。東日本大震災の発生前は料金差が小さかったが、原子力発電の稼働停止で格差がついた。企業向けも格差が広がると工場誘致などにも影響する可能性がある。
(中略)
 第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは「電気代の格差は消費者負担の差でもある。個人消費を通じ地域の景気にも影響する可能性がある」と指摘する。(以下略)
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1383円の格差でも「個人消費を通じ地域の景気にも影響する可能性がある」というエコノミストのコメントを紹介するということは、日経自身もその懸念があるという立場なのだろう。
だとしたら、消費税増税による影響はとてつもないことになると考えるのが普通だが、日経においてはどうやらそうではないらしい。

さて、しかし原発を停止すれば、前述したように電気料金が上がるのは仕方がない面もある。
だが、福島第一原発の破局事故はいまだ収束のメドも立たないのだから、原発の再稼働など論外であって、要は足るを知る生活をして電力の使用量を減らす努力をするしかない。
これは未曽有の事故を起こした当事者世代として当然の責務だと思う。

なにしろ、もしいまここで原発を稼働すれば、またまた放射性の廃棄物は増えていくわけで、実は後の負担もどんどん増えていく。
しかも、原発のコストが安いというのは、廃炉費用などに一切合切目をつぶっているからにすぎず、それを算入すれば現時点でも原発の運転コストは圧倒的に高い。

以下はロイターに掲載された城南信用金庫・理事長である吉原毅氏のインタビューからの抜粋である。

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「原発のコストの方が低いという人で、いやしくもビジネスマンや経済に携わる者ならば、会計の原則ぐらい勉強していただきたい。コスト計算には、直接原価と間接原価があり、そこで総合原価計算が行われる。原発は、今あるウランを使うだけならば直接原価は低い」

「では、その結果の間接原価はどうなのか。将来の廃炉費用や、使用済み核燃料の保管料や処理費用、工事費や人件費、地代がカウントされているのか。カウントされていない。われわれは今、時価会計で、将来に発生するキャッシュフローをすべて現在価値化し、負債計上している。原発にはそれが入っていない」

「1回事故が発生したら、天文学的なコストがかかる。貸し倒れ引当金の積み立ての考え方を入れれば、とんでもない引き当てを積まなければならない。これは、不採算というのではないか。国家ぐるみの壮大な粉飾決算だ」

「(大手銀行による東電への巨額融資は)第2の住専問題だという気がする。当時も、政府が保証するからとみんなが貸して、最後は損失となった。1980年代のバブル時も金融機関は公共性という考えを放棄し、その後、大きなツケを払わさられることになった。金融機関は、引き返す勇気を持つ必要があると思う」

引用元は↓
インタビュー:原発は国家ぐるみの粉飾決算=吉原・城南信金理事長
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日経の原発関連記事は、すべて原子力ムラによる広報、発表記事だ。
したがって、あくまでそういう視点から読む必要があるし、またそうすると、あちらが何を考えているのかわかってなかなか面白い。
ただし、くれぐれも真に受けないでいただきたいと思うのである。



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2014/04/18

日本経済新聞に見る原発中毒患者の禁断症状

嘘を100回言って真実にするためには、日々、嘘をバラ撒くことが重要だ。

ということで、本日(2014年4月18日)もまた日本経済新聞は「夏の電力融通、東西逆転 関電・九電、東電から初調達 原発再稼働の遅れ響く」という記事を掲載している。

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夏の電力融通、東西逆転 関電・九電、東電から初調達 原発再稼働の遅れ響く

 経済産業省は17日、今夏の電力需給が昨年より厳しくなるとの見通しを示した。原子力発電所が1基も動かない前提のため、原発比率が高い関西と九州電力の供給余力はぎりぎりの水準となった。関電と九電は東電から初めて大規模の融通を受けることで帳尻を合わせる。東日本大震災直後、西から東だった電力融通の流れが逆転する。
「去年より厳しい状況をちゃんと国民に示すべきだ」。経産省の電力需給検証小委員会の松村敏弘委員(東大教授)はこの日の会議で警鐘を鳴らした。電力供給が需要をどれだけ上回るかを示す「予備率」は、関電や九電など西日本エリアで3.4%。安定供給の目安となる3%は上回ったものの、昨年より2.5ポイントも下がった。
 西日本の中でも厳しいのが関電と九電。関電は昨夏は運転していた大飯原発(福井県)の再稼働が夏に間に合わない見通し。九電も原子力規制委員会による川内原発(鹿児島県)の安全審査が進むものの、再稼働が夏場の需要ピーク時に間に合うかは微妙だ。
 電力会社は電気の質をあらわす周波数別に、東日本の3社と中部・北陸を含む西日本の6社がひとかたまりとなっている。電気が足りなければ原則として東西の地域内で融通してしのぐ。今夏は長崎県にある大きな火力発電所が事故で動かなくなったため、西日本だけでは電気をやりくりできなくなった。
 助け舟を出したのが東電だ。東電は余力があるため、関電に38万キロワット、九電に20万キロワットを流すことになった。東西で電力を融通するには周波数を変える特殊な送電線を通す。送電線のほぼ半分を東電が使うことになり、これだけ大規模な融通量を見込むのは初めてという。
 これで関電、九電は予備率3%をなんとか確保できる見通しとなった。
 3年前の震災直後は状況が逆だった。福島第1原発の事故で電力不足となった東電に、西日本の電力会社が目いっぱい電気を流した。
 逆転現象を生んだ背景には、原発への依存度の違いがある。2010年度の原発比率は関電が43%、九電が39%と東電の28%を大きく上回っていた。震災後に電力危機を味わった関東で、関西より節電が進んでいるのも需給構造の違いを生んだ要因だ。
 西日本は東電から電気を調達しても、予備率はぎりぎりの水準。関電と九電は100万キロワット級の火力発電所が止まれば余力が吹き飛ぶ。原発のかわりに動いている火力は高齢化が進む。「老骨にムチを打っている状況」(九電)といい、事故のリスクは高まっている。
 西日本で夏の電力を安定供給できるか。もう一つの焦点は178万キロワットの発電力がある川内原発の再稼働だ。時期は早くて8月となる見通しだ。

注 太字は引用者

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いちいち突っ込むのもバカバカしいが、松村敏弘という東大教授はネットで検索すると2010年に総合資源エネルギー調査会で「原発の稼働率目標が80%というのは低すぎて恥ずかしい数字だ」と発言した、つまりムラ社会にお住まいの人物である。

それにしても東電はずいぶんと余力があるのですね。柏崎刈羽の再稼働なんてぜんぜん必要ないではないか。3.11直後から続けられた東電による「電力不足恐喝」も全部嘘だったわけだ。

で、火力発電所は高齢化が進んで「老骨にムチを打っている状況」だそうだが、原発は「40年で廃炉」の原則を「老骨をムチ打って」60年まで伸ばそうとしている。

・原発40年超運転 容認へ 規制委 特別点検で20年延長

原発が事故を起こせば火力発電所の比ではないことは、すでに福島第一原発が証明したところであるが、、、

さて、本日の日経にはもう1本原発関連の記事がある。こちらは「ニュースな科学」という面でタイトルは「原発ゴミ 地底に10万年  日本など安全な処分探る 天災や風評被害が難題 」。
こちらは放射性廃棄物の処理問題についてムニャムニャと書いているものだが、ここで驚いたのは「科学のことば」いう補足欄。そこにはこうある。

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科学のことば 原発のゴミの管理と処分
 ▼原発のゴミの管理と処分 原発のゴミを埋めてしまうのは、何万年も人間の手で安全な管理ができないと考えるからだ。国でさえ存続しているかわからない。人の手を離れても安全が確保できそうな場所に埋める(処分する)方が安心できるとの立場に立つ。
 これに対し、万一の汚染リスクを将来世代に押しつける無責任な考えだとの批判がある。人間の手でどこまでも安全に管理していくべきだという主張だ。こちらは管理のコストとリスクを将来世代につけ回しているとも言える。どちらをとるか難しい判断だ。少なくとも世界の大勢は前者だ。

注 太字は引用者

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人間の手で管理すると、コストとリスクを将来世代につけまわしすることになるので、先行きどうなるかはわかるが埋めてしまうえというのが世界の大勢であり、イコール日経の立場というわけだ。
ちなみに日本では、学術会議でさえ、最近は「最終処分に適した地層は国内にはない」と言い出している。

それにしても──。
連日掲載される日経の支離滅裂な記事を見ていると、原子力ムラはもはや麻薬や覚醒剤の中毒患者が禁断症状に陥り、半狂乱になって「クスリをくれ!」と喚き立てているのと同じ状態であると私は思う。
このような場合、きちんと監視をしておかないと、中毒患者は暴走して何をしでかすかわからない。

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2014/04/17

大飯原発再稼働時の経緯を無視して、電力不足恐喝の片棒を担ぐ日本経済新聞

本日(2014年4月17日)の日経朝刊1面には「夏の電力、西日本厳しく 融通で最低限の供給力確保 」という記事があった。

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夏の電力、西日本厳しく 融通で最低限の供給力確保

 経済産業省が17日に公表する今夏の電力需給見通しで、西日本を中心に需給が昨年より厳しくなることが明らかになった。電力の供給力が需要のピーク時をどれだけ上回るかを示す「予備率」は、関西電力など中・西日本6社で3.4%と昨夏の見通しより2.5ポイント下がる。原子力発電所の再稼働が見込めないため、東京電力からも電力の融通を受け、安定供給に最低限必要な3%をかろうじて確保する。
 17日の電力需給検証小委員会で、大手電力9社から集めた電力需給の見通しを示す。昨夏は運転していた関電大飯原発(福井県)の再稼働が今夏は見込めないため、原発稼働はゼロと想定した。
 電気が特に足りないのは、もともと発電に占める原発の比率が高かった関電と九州電力。今夏は東日本の東京電力が計58万キロワットを関電と九電に融通することになった。
 融通がなければ、中・西日本の予備率が2.7%、関電は1.8%、九電は1.3%と安定供給の目安の3%に満たない。大型の火力発電所が停止すればさらに需給が逼迫する恐れもある。
 政府は検証委で議論した見通しをもとに、今夏に全国でどれくらい節電要請をするかを判断する。昨夏は数値目標なしの節電要請でしのいだ。
 電力不足は東日本大震災後に表面化。2011年3月には東電管内で10日間の計画停電を実施した。11年度夏は東日本で予備率がマイナスとなり、政府は東京、東北電力管内に15%の節電を求めた。12年度夏は大飯原発が当初は動かない想定だったので西日本の予備率をマイナスとしたが、再稼働後に節電要請を緩和した。

注 太字は引用者

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「経済産業省が17日に公表する今夏の電力需給見通しで、西日本を中心に需給が昨年より厳しくなることが明らかになった」

要するに、経産省が発表する内容を事前に教えてもらって書いたわけだ。

「昨夏は運転していた関電大飯原発(福井県)の再稼働が今夏は見込めないため、原発稼働はゼロと想定した。」

したがって、当然のことながら教えてもらったことを検証するなどということはせず、3.11以降、原子力ムラが繰り返してきた、「電力不足恐喝」を垂れ流しているだけである(これもだんだん初夏の風物詩的になってきたので、そのうち「電力不足」は季語になるかもしれない)。

それにしても──。

「12年度夏は大飯原発が当初は動かない想定だったので西日本の予備率をマイナスとしたが、再稼働後に節電要請を緩和した。」

とはよく書いたものだ。
この2012年の大飯原発再稼働時にどんなことがあったのか? この記者が知らないはずはあるまい。

とはいえ、すでに忘れてしまった方もいるやも知れないのでここで書いておけば、関西電力は大飯3、4号機(合わせて270万キロワット)を再稼働したとたん、300万キロワット分の火力発電所を停止したのである。

・京都民報Web
火電停止は電力余剰だった! 関電京都支店広報が明かす

このようなことがあったにもかかわらず、2年前の経緯を何一つ検証しないままに経産省の発表情報を垂れ流すのは、単なる広報であってジャーナリズムではない。

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2014/04/15

今日もまた原発推進を社説で煽る日本経済新聞

植草一秀氏は、「消費税増税の影響は軽微である」とするキャンペーン記事を頻繁に1面に掲載する日経を問題視している。

・植草一秀の『知られざる真実』
消費税増税の影響を懸命に否定する日経新聞の怪

これはもちろん、原発問題についても同様で、消費税問題で財務省の意向を汲んだ記事を書きまくっているように、原発についても原子力ムラの意向を汲んだ記事を書きまくっている。

ということで本日(2014年4月15日)の社説。

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CO2削減へ議論を深めよう

 地球温暖化の防止策について話し合う国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第3作業部会が最新の報告をまとめた。
 二酸化炭素(CO2)など温暖化ガスの排出を世界で大幅に減らすため、太陽光や風力、原子力などCO2排出が少ない「低炭素エネルギー」を最大限活用する必要があるとした。
 高効率の火力発電所やハイブリッド車などエネルギーを効率的に使う技術が世界的に普及しつつある。しかし人口増加と経済成長が効率改善を上回り、CO2は増え続けている。このままだと、世界の平均気温は今世紀末に産業革命前に比べて4度ほど高くなり、豪雨や干ばつが頻発し食糧供給などが脅かされる。
 悪影響を最小限に抑え気温上昇を2度未満にとどめるには温暖化ガスの排出を2050年時点で今より40~70%減らし2100年にはゼロか、マイナスにしなければならないという。
 なまやさしいことではない。木材などのバイオマス発電の拡大やCO2を回収して地中に埋めるCCS(炭素回収・貯留)の実用化にも挑まねばならない。原子力も含めた低炭素エネルギーを3~4倍に増やす必要がある。
 原子力には放射性廃棄物の処分問題があるなど、エネルギー技術はそれぞれに課題を抱える。導入を拡大するには、社会が受け入れやすいよう新たな技術開発や改良に努め、課題を克服する必要がある。環境にやさしいエネルギーを消費者が選べるなど円滑な拡大を促す仕組みづくりも重要だ。
 削減努力が足りず温暖化が進む場合に備えて悪影響の軽減策も今から考えておかねばならない。
 世界各国はIPCC報告を参考に、30年ころまでの中期的な温暖化ガス削減目標を決め来年3月末までに国連に提出する。
 日本も改めて議論を深めるべき時だ。産業構造や生活スタイルの将来像を描き、世界とともに温暖化を抑止する日本にふさわしい目標づくりを進める必要がある。

注 太字は引用者

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個人的にCO2悪玉説については疑問ではあるが、今は触れないでおく。

私がこの社説で問題だと思うのは、国連がどのような報告をしようとも、未曽有の原発破局事故が現在進行中であるという認識がまるでないことだ。

「このままだと豪雨や干ばつが頻発し食糧供給などが脅かされる」というが、すでに福島第一原発事故により、首都圏への食糧供給を支えていた福島の農業、漁業は大変なことになっている。
まあ、この国はでは、これを「風評被害」ということにしたいようだが、しかし今もって広大な地域は立ち入ることができず、ここでの農業、畜産業は壊滅したわけだし、漁業も汚染水の問題が深刻になる一方のなかで、ますます厳しくなることは間違いない。

こうした事実をまったく捨象して「原子力も含めた低炭素エネルギーを3~4倍に増やせ」と言うのである。
しかして前エントリー(嘘を100回言ってデッチ上げた“真実”の大嘘がバレても、また新たに100回嘘をつく日本経済新聞)で書いたように、日経は「太陽光や風力は発電効率が悪く、原発のように一日中発電できない。」と主張している。

つまり日経の真意は、「とにかく原発をドンドコ増やせ」という以外にないわけで、これはイコール原子力ムラの悲願だ。そして、その悲願の根本にあるのは、エネルギーの安定供給ではなく、単に電力会社の経営問題であって、それはつまり麻薬中毒の患者が麻薬をやめたら死んでしまうから、とにかくクスリをくれというのと同じである。

いま求めれられるのは、CO2の議論を深めることではなく、目の前で起きている原発事故が現在から将来にかけてどれだけの影響を及ぼすのかについての議論を深めることだろう。

私は電子書籍データの校正、検品をしているので、いろいろな分野の本を読まねばならず、なかには日本経済について書かれた本もずいぶんある。
こういう本を読んでいてなによりも不思議なのは、福島第一原発事故が経済にどれだけの影響を与えるのかということがどこにも記されていないことだ。

小出裕章先生は「東京電力が何回倒産しても、たとえ日本の国家が破産しても贖いきれない被害がすでに出ている」とおっしゃっている。
原発に対してはいろいろな立場があり、小出先生はもちろん有名な反対派だ。
3.11前は、推進派と反対派が「破局事故は絶対に起きない」「絶対に起きる」という点で対立していたわけだが、これは事実によって後者が正しかったことが証明された。
であれば、少なくとも反対派の声を傾聴することが正しい姿勢であり、また将来に対する責任でもあると私は思う。

日本のメディアは日経のみならず、電力の安定供給=経済成長のためには原発稼働するしかないという立場である。が、一方で福島第一原発の収束、処理だけでいったいどれだけのカネがかかり、それがどれだけの経済的損失なのかということ、言ってみれば「原発破局の経済学」がまったくといっていいほど研究、検証されていない。

したがって、議論を深めるならば、まずここからなのであって、それは「原子力には放射性廃棄物の処分問題があるなど、エネルギー技術はそれぞれに課題を抱える」などというように他の技術と軽々しく比べるようなものではない、ずば抜けて大きな問題である。

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2014/04/12

嘘を100回言ってデッチ上げた“真実”の大嘘がバレても、また新たに100回嘘をつく日本経済新聞

本日(2014年4月12日)の日経朝刊に「エネルギー、将来像見えず  基本計画「原発ゼロ」は撤回 当面は火力に依存」という記事が掲載されている。
この記事はまずこう始まる。

「政府は11日に閣議決定したエネルギー基本計画で、民主党政権が掲げた「原発ゼロ」を撤回した。安全が確認された原発を動かす方針も記し、全基が止まっている原発の再稼働に一歩踏み出した。ただ、原子力、ガス、石炭などの電源構成の明示は先送りした。当面は化石燃料を燃やす火力に依存せざるを得ず、エネルギー政策の将来像は描ききれていない。」

日経は原子力の比率が書かれていないことにいたくご不満のようだ。

「政府が新指針で原発を「重要なベースロード電源」と位置づけたのは重要な一歩といえる。発電コストが安く一日中動かす電源という意味だ。

嘘も100回言えば真実になるというが、その嘘がバレてもまた100回、嘘を言い続けるという姿勢。

「発電コストが安く」→廃炉や放射性廃棄物の処分費用を計算に入れずに、まだ与太話をするというのか。ためしに福島第一原発の最初の運転から今日時点での発電コストを出してみればいい(もちろんここには何十年後かに石棺にした時までにかかると予想される費用も入れる必要がある)。これは黒字ですか?

「一日中動かす」→出力を落としたら危ないから、常にフルパワーで動かさざるを得ないだけ。

「もっとも太陽光や風力は発電効率が悪く、原発のように一日中発電できない。
→原発で作った熱の3分の2は海に捨てて、海水の温度を7度も上げてしまう原発のどこが発電効率がいいのかご教示願いたいもの。

「結果的に、火力への依存構造が続く可能性が大きい。発電に占める火力の比率は足元で9割を占める状況にある。政府試算によれば、13年度の液化天然ガス(LNG)など燃料費の増加は3.6兆円に達するといい、電気料金は震災前より全国平均で2割超上がった。日本全体の貿易赤字の拡大要因でもある。」
→そりゃ円安になればコストが上がるのは当たり前だ。

老朽化した火力発電所の利用は事故の原因になるので設備の新設や更新が不可欠。だが二酸化炭素(CO2)の排出量の多い火力発電所の新設には慎重な意見も根強い。」
→老朽化した原発をコストを下げるために使い続けた挙句、とんでもない破局事故を起こしたことは捨象するらしい。

「今回の基本計画も火力依存の副作用に事実上、目をつぶった格好だ。電力確保は日本経済の生命線だが、地球温暖化対策を巡る世界との政策協調では課題を残した。」
→いま目の前で起きている、とてつもない原子力の副作用には一切目をつぶった格好だ(笑)。

さて、この記事では3人がコメントをしている。

「電源比率示さず経済にマイナス 橘川武郎氏
橘川武郎・一橋大教授 原子力、石炭、再生可能エネルギーなどの優先順位や将来の電源構成が書いていないのは日本経済にマイナスだ。将来像がわからないから企業も火力発電所などの建設投資に動きにくい。焦点の原子力も「可能な限り依存度を下げる」としながら「重要電源」とするのは矛盾しており、将来どうしたいのかわからない。政治の決断力のなさが表れている。」

驚いたことに、このコメントがいちばんまとも(失笑)。
次がこれ。

「「重要電源」明記、料金安定に期待 塩田英俊氏
塩田英俊・SMBC日興証券シニアアナリスト 原子力を「重要なベースロード電源」と明記したことは評価できる。1日中動かす「ベースロード」と強調したことで再生可能エネルギーとは役割が違い「再生エネが普及しても原発が必要」というメッセージになる。安全性を確認した原発の再稼働を進める方針も示したことで、産業界は電力確保や電気料金が安定するとの期待を持てる。」

この人物は現在の産業界が良ければ、後のこと、将来のことは知ったことではないらしい。
そして唖然とするのが最後。

「原発建て替え産業の育成を 柏木孝夫氏
柏木孝夫・東工大特命教授 原発の再稼働を進めるリアリズムは評価できるが、いまある原発の再稼働だけでは原子力産業が育たない。国内でも原発の建て替えをすすめて技術と人材を育成しておくべきだろう。アジアを中心に原発の新増設は進んでおり、技術開発の競争に取り残される恐れがある。」

「原発キ○ガイ」とでもいうのか、頭が完全にイカれてます。

私は長らく日経を読んできたが、数年前に購読をやめた。
その後、しばらく新聞はとっていなかったが、評判のいい東京新聞を1年ほど購読。が、これもやめて再び日経を読むことにした。

権力の広報紙を読むことで、相手が何を考えているかを知ることは重要である。
その意味では、日経とNHKの報じていることは、よく精査しなければならないと思うのである。

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2014/04/10

集団的自衛権に反対する保守政治家 その2 ~ 玉澤徳一郎氏

前エントリーにつづいて、もう一つ転載します。
こちらは斎藤貴男氏の新刊『戦争のできる国へ──安倍政権の正体』(朝日新書)に掲載されている玉澤徳一郎氏のインタビュー記事です。こちらも「facebook版 誰も通らない裏道」でよく読まれてシェアされています。

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斎藤貴男氏の新刊『戦争のできる国へ──安倍政権の正体』(朝日新書)を読みました。
ページが進むにつれて暗い気持ちになっていきましたが、興味深かったのは最後に出てきた自民党の元衆議院議員でタカ派で鳴らした玉澤徳一郎のインタビューです。
その発言のいくつかを以下に抜き出してみます(小見出しは「憂えるタカ派」)。

「そこで外国からの誤解を生むのが、麻生(太郎)副総理のナチス発言なんだよ」

「撤回するだけでは意味がない。ああいう発言が出たということを(安倍首相が)どう受け止め、どう処理するのか。本来であれば麻生さんは辞任すべきだと思います。最低でも(首相が)厳重注意せないかん。喩えにせよナチスという言葉を使って憲法改正と結びつければ、対外的には、ああ、じゃあ日本はナチスと同じような考え方で(集団的自衛権の)憲法解釈をやるのかと受け取られるでしょう。そこのところを心配しているのです、私は」

「米国は日本の防衛力増強は要求してきますが、だからといって九条の改正は支持してくれません。私も防衛庁長官になって初めてわかった」

「一番よくないのは、疑惑を持たれたままでいることです。そういう時にナチスはないぜ。日本が戦時中に過ちを犯したのかどうか、ということよりも、世界の人々が戦後、どういう思いで今日を築いてきたのかということも理解しないで喋る国際感覚、歴史感覚のなさというか、あまりにもデリカシーが欠けておる。日本人の独り善がり、知ったかぶりばかりを見せつけてしまっているのが現状ではないかね。
 政治家に限ったことではないが、今の世の中は軽すぎるよ。イケイケドンドンばっかりで、あまりにも単純だ。まあ私も時間がかかったが、安倍さんは反対のことばかりやっている。米国もハッキリ言ってよこせばいいんだが。
 マッカーサーが占領軍の最高司令官を解任されて帰国して、向こうの聴聞会で、『日本人の民主主義の成熟度は十二歳程度』とやったのは知ってるよな。あれも日本で戦後の右翼が台頭し始めた頃の話です。彼らは当時から懸念していたということなのか」

「あれ(引用者注・憲法第九条)も米国に押し付けられたというのではなく、時の幣原喜重郎総理が言い出したというね。九条の精神は大切ですよ。世界が日本に期待してくれているのは『平和』だ。私は防衛庁長官時代、そのことを実感した経験がある」

「集団的自衛権を軽々しく口にしてはならんよ。自衛隊は日本を、日本国民を守る範囲内で活動すればいい。国際秩序維持のための戦争だって? 申し訳ないけれどもね、それは友好国に助けてもらうしかないと私は思う。世界は戦前と戦後を区別してはくれません。わが国は世界の目を意識して行動しなければならない」

私は自民党という政党は一貫して大嫌いですが、しかし一昔前は真っ当な保守政治家がいたのもまた事実だと思います。
そして、そういう政治家には根本的なところで「戦争はしてはいけない」という考えが根付いていました。
ところが、世襲が進むにつれてどんどん人材が劣化していったのだと思います。
その極めつけの象徴が安倍晋三ということでしょう。


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集団的自衛権に反対する保守政治家 その1 ~ 村上誠一郎氏

以下は、「facebook版 誰も通らない裏道」にアップしたところ、思いの外多くの人に読まれ、またシェアされたので、引用を少し付け足して、こちらにも転載しておきます(その2もあり)。

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「世界」(岩波書店)5月号の特集は「集団的自衛権を問う」です。このなかで、自民党の村上誠一郎代議士のインタビューが掲載されています。是非、詳細はご一読いただきたいですが、こちらも少しだけ抜き出してみます。

「閣議の決定で解釈を変え、それに基いて自衛隊法を改正するということは、下位の法律によって上位の憲法の解釈を変えるという、絶対にやってはけいけない「禁じ手」です。これは誰がどう言おうと認められない。仮にこのような「無理筋」のやりかたで自衛隊法などを変えたとしても、違憲訴訟が続発することになるでしょう。
 なぜ私がこの動きに反対しているかというと、学生時代に読んだ『ワイマールの落日』という本のことが記憶にあるからです。加瀬俊一さんという戦時中から外交官だった方が書いた本です。ここに書かれていることは、民主的であったワイマール憲法のもとで、ナチス・ドイツが全権委任法を議会で成立させ、実質的にワイマール憲法を葬り去っていった歴史です。安倍さんの解釈改憲は、それと同じ愚を繰り返す危険性がある。だから私は反対しているんです。
 多くの方は、今回の集団的自衛権の問題を憲法九条だけの関係で考えていますが、私はこの問題は決してそれだけではないと思う。安倍さんは「憲法は不磨の大典ではない」と言うけれども、「平和主義」と「基本的人権の尊重」、そして「主権在民」、この三つはアンタッチャブルであり、絶対に変えてはいけない基本原則です。その「平和主義」の核心にかかわる問題においてすら、閣議決定で解釈が変えられるなどという前例が作られてしまえば、他の分野にまでこの手法は及んでいきます。結果として、憲法の基本原則が機能しなくなってしまう。それは立憲主義が崩れることを意味します。

「我々には憲法を尊重し遵守する義務があるんです。政治家が守らなければならないのは、立憲主義であり三権分立です。安倍さんがやろうとしていることは、その三権分立や立憲主義の基本を無視し、それを壊す危険性を持っている。だから反対せざるをえない。これば右とか左とかではなく、民主主義や法律をまっとうに学んだ人間であれば誰でもわかるきわめて当然のことを言っているにすぎないと私は思っています。その当然が当然のこととして通じなくなり、むしろ異端のものとして扱われるようになれば、もはやファシズムの危機です。

「(略)集団的自衛権を認めてしまえば、本格的な軍事協力や武力行使を求められることになる。それでいいのですか、ということです。
 そもそも、憲法九条は戦争放棄と戦力不保持を定めていて、自衛権の発動による武力行使は、わが国への武力攻撃があった時、他に適当な手段がない場合に、必要最小限度の範囲で認められるされてきたわけですが、その「必要最小限度」をいくら緩めたところで、わが国への直接攻撃がなければ武力行使はできないのです。

「(略)何百、何千という若者が犠牲になるかもしれない決定を、憲法論議を回避し、閣議決定で解釈を変更して行うことは、日本の将来を担う若い人たちに対して大変に失礼なことではないでしょうか。人の命の大切さを考えれば、正々堂々と憲法改正を主張し、徹底的に国民に説明、議論すればいい。そのうえで憲法改正は国民の判断に委ねるしかないと思う。」

「『ワイマールの落日』と同じ轍を踏むようなことは、歴史から学ぶ者として、また政治家として、断じて認められません。集団的自衛権については、秘密保護法の時のように与党から一人の反対ということにはならないと思います。そう願っていますが、しかし、たとえ一人であっても、かつて斎藤隆夫が軍隊の横暴に議会で声をあげたように、自分の信念を貫こうと思っています。自分が現職の政治家として、ドイツがワイマール憲法を葬り去った一九三〇年代のような局面に立ち向かうことになるとは思いませんでしたがね。」

孫崎享氏の『小説外務省』の中に登場する外務事務次官は「『力の強い者の考えを自分の思想とする』ことになんの躊躇もしない」人物として描かれていますが、現在の日本では政界からメディアにいたるまで「安倍晋三という権力を握ったバカの考えを自分の思想とすることになんの躊躇もしない」人びとが溢れかえっているということなのでしょう、、、


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