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2013/10/27

久米宏 vs. 池澤夏樹 ~ 原発、オリンピック

久しぶりに当ブログを更新します。
といっても、facebook版「誰も通らない裏道」の転載ですが、、、(ちなみにこちらは日々、更新しています)

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以下、昨日(10月26日)放送の「久米宏ラジオなんですけど」のゲストコーナーでの池澤夏樹と久米宏の対談の一部です。

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久米「アルゼンチンで開かれたオリンピックの招致運動で、今の日本の首相が『福島第一原発の放射線問題はアンダー・コントロールなんだ、原発自体はわれわれの意志の中にあってコントロールされているんだ』と発言をしたことは、僕は本当のことを言うと許せない範疇の発言なんですね。今、汚染水の問題ってほとんど毎日、新聞に載っているし、細かいトラブルは数限りなくあるんですけど、それでああいう発言をして、まあオリンピックをよんじゃうことも僕は反対なんですけど、汚染水問題って日本人はみんなどっかで、いいよもう面倒くさいよと思いながらも関心を持たざるをえないんですけど、あれは何十年と続く問題じゃないですか、半減期の問題も含めて。それって忘れやすい国民だと、忘れちゃったり、あれはネグレクトして生きていけるものなんですか?」

池澤「目を逸らすんでしょうね、つまり早い話が。だけどあればひと言で言えば、人の体で言えば出血が止まらない状態ですよ。どうやったって血が止まらない、どんどん出ていくんだから、それは非常に怖い不安なことのはずなんだけども、でもあそこでああ言ってしまうのが政治家ってもんなんでしょうね。この間から考えているんだけど、政治って本当だったらまどろっこしいでしょう。みんなでいろんな議論をして、余計なことをいうヤツがいっぱい出てくるし、なんとかまとめなきゃいけない、それでないと前へ進めない。時間はかかるし。だけど元々民主主義ってそういうものだと思うんですよね、まどろっこしくて効率が悪くて。それに比べると経済というのは急ぐんですよ。今やらないと間に合わない、遅れる、ズルズル下がっていく、大変なことになる、、、とそうやって煽るものでしょ。だから政治と経済を並べてみると、経済に煽られるのをぐっと抑えて、まあもうちょっと考えようというのが政治家のポジションのはずなんだけど、そういうことを言う人は誰もいなくて経済と一緒になって全体を煽る。だからそれは原発を稼働しなければ日本は大変なことになるというような言い方になる。どっちが大変かというと、出血が止まらない方が僕は大変だと思いますけどね」

久米「それはご本にもお書きになっていますけど、尖閣だとか竹島の領土問題で騒いでいる連中がいますけど、福島第一原発で人が住めなくなってしまった土地、多分何十年と住めなくなるだろう土地って国土を失ったわけじゃないですか。あの国土の広さって、とくに竹島なんて小さいですし、尖閣なんかよりもはるかに大きい土地を失ったのにもかかわらず、失った責任者を出せよと言わないけど、尖閣は渡すな、あれは日本のものだと言い張るという理屈がわからないというのは、僕も本当にそう思うんですよね」

池澤「国土というのはなんなんでしょうね。係争の地はああやってどちらもがムキになるから、それほどのことかと思いながらね。だけど福島で住めなくなった土地というのはわれわれの国土ですからね、間違いなく」

久米「そうです。かなり広いんですよ」

池澤「右翼の人たちはそれこそこの大事な日本の国の国土を失って、それは昔だったら罪万死に値するということでしょう。でも日本の右翼さんはあまりそういうことは言わないから……」

久米「尖閣だと竹島だと騒ぐんです。あんな竹島なんて小さなものは福島の土地に比べたら屁でもないみたいな、福島を返してくれたら竹島も尖閣も全部あげるよみたいな狭さですから。福島は何も騒がないんです、失われた土地に関して」

池澤「これから何十年かたって福島県という土地がどこまで元に戻れるかというと、非常に暗い数字が出てますよね」
久米「人口が随分減るという予測を福島はたてているみたいですね」

池澤「福島で会った新聞記者の方が、うちの女房がこう言うんですよと。4歳の男の子がいるんだけど、『この子がきっと大人になっても福島以外の人と結婚できないよ。本人同士が好きあって一緒になろうと思っても、きっと相手の親御さんが何もわざわざ福島の原発の、あの時に生まれた子と一緒にならなくたっていいじゃないかと反対する。そういう運命なのよ福島は』って言ったんだって。彼は男だからそういう発想はなかったのね。やっぱりうちの女房みたいな女の方が感覚的に正しいことをつかまえてますよねと言ってましたね」

久米「息子が成人した頃、まだそういうことを、あれは福島の出身よということを多分うちの息子は言われるだろうということを母親は本能的って言っていいんですかね、感じるんでしょうね」

池澤「そう、そこまでパッと考えたんでしょうね。それが福島ですよ」

久米「核の問題というのは、非常に時間がかかるっていうことを日本人は理解してないんじゃないですかね、もしかして。何十年単位のものだ、原子炉を燃やした後の燃えかすの処理にしても何万年単位のものだ、ヘタすると何億年単位のものだということは知らされていないんですか?」

池澤「そうだとしたら、今オレが考えてもしょうがないと思って目をそむけるんじゃないですか。で、やっぱりずっと3・11以来、良くないニュースがえんえんとあって、それは直視しなければいけないんだけども、つい怯むというか。で、そのうちにオリンピックみたいな派手な話題が出ると、まあそっちの方がいいやと思って、オリンピックをやることが福島に対して、あるいはそうでない日本のさまざまな問題に対してどういう意味があるかなんて、まああんまりそういうことは考えないで、わーっとひとまずお祭りで騒ごうやということになっちゃうのね」

久米「僕はオリンピックに関しては、一極集中をもう少し穏やかなものにできないかと前から言っていたものですから、また東京でオリンピックをやると、一極集中が間違いなくさらに進むと思うんです。で、東京都民がオリンピックをやることに喜ぶのはまだわかるですよ。僕は都民なんですけど反対なんですけどね。東京都じゃない人たちまでが、東京でオリンピックをやることにバンザイだなんて言ってたりするのが、これが理解できなくてね。いまだにワールドカップは国単位でやって、オリンピックは都市でやるというのがわかってない人がいて。今度のワールドカップはリオ・デ・ジャネイロだ、いや違うんだブラジルだと言っても、こっちは国単位だと、、、オリンピックは都市ですから、東京以外の大阪の人が賛成するのは、大阪の人は「バカ、何をゆうてんねん」と言ってしかるべきなのに、日本中がほぼ賛成しているような雰囲気が理解できないですね」

池澤「しかもまたバカでかい競技場をつくるんでしょう。あの代々木のあれは、後をどうしていいかわからないようなサイズのね。これもまたおカネがグルグル回ると景気がいいという気がするのかしら。つまりバブルっていうのは後が悲惨だということを忘れて、あの時の浮かれ具合がまた帰ってくると思うのかしら」

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ちなみに以下は9月28日に日経に掲載された記事です。
個人的に「ふしだら」以外の何ものでもない内容だと思いますが、要するに福島のことはもはや過去の話で、オリンピック景気に狂奔しようというのが、この国の主流な考え方なのでしょう。

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五輪開催で東京はプチバブル 変わる不動産市場
不動産コンサルタント・長嶋修

 2020年のオリンピック・パラリンピックの開催地が東京に決まり、住宅市場の空気は文字通り一変した。開催地点である東京湾岸地区のマンションモデルルームは連日大盛況。まだデータは出ていないが、9月は新築マンションモデルルームの来場者数・申込数・契約数・契約率共に、リーマン・ショック以降最高となるものと思われる。

■都市エリアの地価上昇は必至

 不動産経済研究所によると、首都圏の新築マンション契約率はここ数カ月80%を超えて好調だったが、さらにオリンピックという希望を伴った世界的な一大イベントが加わるわけだ。
 私は日ごろ、市場動向予測については慎重なのだが、今後、少なくともオリンピック開催まで、湾岸や東京都心エリアの地価が上昇するのは既定路線といっていいだろう。私が上昇を予測するのは15年前に不動産コンサルタントとして独立して以来2度目である。前回の上昇予測をしたのは03年。日経平均株価が7607円という底値をつけ、海外の投資家が日本の不動産を物色し始める動きや、金融緩和・低金利でマイホーム・不動産投資市場共に購入者が戻り始める動きが確認できた。その後、07年にピークを迎え、翌年のリーマン・ショックに至るまで、不動産市場のプチバブルが始まった。
 08年のリーマン・ショック、そして11年の震災の影響で長らく低迷していた不動産市況は、昨年後半から徐々に改善し、底打ちの兆しが見られていた。そこに政権交代のアナウンス、アベノミクスによるインフレ期待が加わり、完全に底を脱したといえる。
 相続税など資産課税強化の方針が打ち出されたことも課税評価額が低くなる不動産購入を加速させたし、消費増税アナウンスも少なからず影響しているだろう。

■緩和マネーが日本の不動産に注目

 海外勢にも日本の不動産は注目の的。現在は、日本はもちろん、世界的に「超」がつくほどの金融緩和状態にあること。さらには株式市場同様、リーマン・ショック後に他国が持ち直すなか、低迷していた日本の不動産は相対的に割安感があると見られていることなどが挙げられる。
 コストアップも価格上昇要因だ。オリンピック決定以前から震災復興などの影響で原材料費や労働人件費が高騰し、建設費は15~20%程度上昇していた。ここにオリンピック特需が加わることで、さらなる高騰は必至と見られる。
 政府は五輪招致を起爆剤として本格的な景気回復を狙っているし、民間企業もやはりこれを契機として売り上げ・利益の増大に努めたいと考えている。わけても建設業・不動産業などは大変な騒ぎになっている。オリンピックの経済波及効果の予測は、東京都の3兆円から大和証券の150兆円までさまざまだが、1万7000人を吸収する選手村は、後に住宅として利用される予定だし、新築マンションデベロッパーのマンション分譲も目白押し。住宅ができれば生活に必要な飲食や日用品などのショップもできる。

■交通インフラの整備も加速

 交通網の整備も加速しそうだ。例えば鉄道。現存する大江戸線、ゆりかもめとりんかい線、そしてバス路線のみでは輸送力に限界があるのは明らか。
 成田空港~羽田空港間の移動を現状の92分から50分台に短縮する押上~泉岳寺間の路線、東急・京急蒲田駅間を結ぶいわゆる「蒲蒲線」、環状8号線の下を走らせる「エイトライナー」などの構想もある。鉄道といえば、来年から山手線の30番目となる新駅も、高層の商業施設やオフィス街が建設される東京ドーム15個分の開発を伴って田町・品川間にできる予定だ。
 道路については「中央環状線」が14年に全線開通、6割程度の完成割合である「首都高速中央環状線」、「東京都外郭環状道路」、「首都圏中央連結自動車道」といった3つの環状道路などは、20年までに9割の完成を目指すとされている。銀座と湾岸部を結ぶバスの高速システムや次世代型路面電車システム(LRT)の導入が予定されている。
 こうした構想にからむ地域の価値が上昇するのは既定路線といっていいだろう。
(以下略)
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