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2013/01/11

日本のメディアはすでに「戦時体制」

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「原子力の世界で起きてきたことを見ると、本当に戦争とそっくりだなと思います。」(京都大学原子炉実験所・小出裕章助教)

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安倍政権誕生後、マスメディアはその経済政策に関する報道一色である。
日経の速報メールからは、やれ株価が上がっただの、2013年の経済予測を識者に聞いたところ、みんな強気の予測をしているだのとといった内容の配信が日々舞い込んでくる。
昨年末放送の『久米宏ラジオなんですけど』を聴きながら散歩をしていたら、ゲスト出演した黒鉄ヒロシが「景気は回復してますよね」と言ったのには思わずのけぞった。

そして年も改まった7日月曜日。この日は新年の実質的な始動日だったが、日経朝刊を見て驚いた。「福島第一原発」の「ふ」の字もないのである。
一方で社説は「多様な人材が革新と成長を生む」、3面「月曜経済観測 景気回復の条件とは 米国の設備投資が焦点」(メリルリンチ日本証券チーフエコノミストへのインタビュー)、4面「グローバルオピニオン 日本よ 世界に目を」(
カナダ商工会議所会頭の談話まとめ)、同4面「核心 地球視野の脱デフレ策を 名目成長を共通目標に」、、、、

もちろん「経済新聞」なのだから、経済記事一色になるのは当たり前のことではある。
そして私は経済のことはよくわからない。
しかし、一つだけ確信していることがある。
それは、今後の日本経済は、福島第一原発の収束コストを抜きには語れないということだ。

では、それがいくらになるのか? これは誰にもわからない。
何しろ現時点でも、廃炉にできるのは30年後、40年後と言っているのである。
しかし、それで終わるとはとても思えない。なにしろ現状では、1号機から3号機内の溶け落ちた燃料がどうなっていのかもわからないし、それがいつになったらわかるのかもわからない。
「原発事故が起きても誰も死んでいない」と真顔で言う人は、是非、3号機あたりの地下がどうなっているかを見に行ってもらいたいものだと思うが、これは東電でさえもロボットが必要と言っている。
そのロボットの開発費は誰が負担するのか。そして、たまさかロボットで作業ができたとしても、そのロボットは高レベルの放射性廃棄物となる。それはいったいどこに保管するのか? 

京都大学原子炉実験所の小出裕章助教は、下のビデオでこう言っている。

かつて日本は戦争をして負けましたけれども、国家が戦争で負けても土地はあった。国破れて山河在りだったわけで、人びとは生きてこられたわけですが、放射能で汚染された土地は失われてしまう。誰もそこを使うことができないという、そういう土地になってしまっているわけですね。戦争が起きても生じないようなひどい被害が、今現在生じている。
そしてその周辺に何百万人もの人たちが棄てられて、今現在も被曝をしながら生活せざるを得ないということになってしまっているわけで、そういう人たちの苦悩、重荷というようなものを、金銭的なものを含めてどうやって計ることができるのかと考えると、どうにもならないほどひどいことが進行していると私は思うのです。しかし本当に不思議なことだと思うのですが、政治の場、あるいは経済の場にいるという人たちは、それを感じない人たちばっかりのように思うのですね。
これまでだって国や電力会社は原子力発電が一番安いとか言ってきましたけれども、それは彼らが都合のいいシナリオを書いて計算しただけの値であって、電力会社の実際の経営データを使って計算すれば、原子力は元々から一番高かったのです。そんなものを選択しなければ、日本の電気代はもっともっとは安かったし、中小企業の人たちはもっともっとラクに生産活動ができたのです。それを日本の政治、あるいは電力会社があまりにも愚かな選択をしたがゆえに、高い電気代にすでになってしまっている。そして挙句の果てにこの事故を起こして、いったいどれだけの負担を負わなければいけないのか。東京電力なんていくらやったって簡単に倒産します。結局はいま政府が国のお金を注入してなんていうことをやっているわけですけれども、みんな私たちのお金ですよ。

先日、facebookのタイムライン見ていたら、ゴルバチョフが「旧ソ連の崩壊の原因はペレストロイカではなく、チェルノブイリだ」と言っていたという話が流れてきた。

・『未来へ』
ゴルバチョフ氏 「国際環境裁判所」の創設と「脱原発」を名言。日本の絆。

そして本日は↓のようなエントリーも。

・院長の独り言
原発事故があれば国家は破産する-50年前の試算

かつて第二次世界大戦中、戦局は日に日に悪化していくなかで、しかしマスメディアは大本営発表をひたすら垂れ流した。その結果、多くの国民が「日本は勝つ」と信じていたなかで、最後は広島、長崎に原爆を落とされて敗戦となったわけだが、いままたそれと同じことが起きていると思う。

福島第一原発破局事故のA級戦犯である安倍晋三が振りかざす経済政策で、あたかも日本は景気が回復し、経済成長の軌道に再び乗るかのごとき論調が横行している。しかし、この議論は人類史上、経験したことのない福島第一原発の収束コストを一切、捨象している。
そんなものに、いったい何の意味があるのかが私にはわからない。

東京都はいよいよ本格的に五輪誘致に乗り出すという。
もしチェルノブイリからわずか200キロ圏にある都市が、事故から2年後に五輪誘致に手を挙げたとしたら、多くの人は「馬鹿げた話」としか思わなかっただろう。
2020年に福島第一原発はどうなっているのか。
おそらく依然として溶け落ちた燃料はどこにあるのかもわからず、使用済み核燃料の取り出しも遅々として進んでいないだろう。
そんな国へ進んで自国のアスリートを送り出そうという国がどれだけあるのだろうか。

日経運動部の武智幸徳記者によれば、今回の五輪誘致は「下馬評ではイスラム教圏初の開催を目指すトルコのイスタンブールが有力視され、東京とスペインのマドリードが追う展開」なのだそうだ。
そういえば、そのトルコに関してはこんな記事があった。

トルコ、日本からの全輸入品を放射能検査にかける意向

ひょっとすると、これも五輪誘致合戦と関係があるのかもしれないが、いざとなればトルコは「原発の破局事故を収束できない国で五輪など開催できるわけがない」と主張する可能性は十分にあるし、それはとくに欧米諸国には十分に説得力があると思う。
だから、私は東京に五輪が来るわけがないと思っている。
そして誘致している当人たちも、実はそのことを知りつつ、金を使っているのではないかとは私は憶測している。


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