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2012/12/14

日本原電が経営破綻した場合の廃炉コスト負担者は誰か?
〜 原発と預託金会員制の共通点

日本原電・敦賀原発の件について。
原子力規制委員会が、敦賀原発2号機の直下に活断層があると判断し、再稼動断念→廃炉になる公算が高まっている。「そんなことは前からわかっていた」(京都大学・小出裕章助教)のであって、今さらという気もするが、当然のことだろう。

さて、もしこの敦賀原発が廃炉になると、日本原電は破綻する可能性が現実味を帯びてくるわけだが、その場合の廃炉にかかるコストは誰がどういう形で負担するのだろうか?
なにしろ原発の廃炉というのは、まだ誰も経験したことがなく、放射性廃棄物、使用済み核燃料をどこにどうやって保管するかも決まっていない。つまり廃炉のコンプリートまでにいくらかかるかわからないのである。

産経は「経済産業省の試算では、原電が今年度中に全3基を廃炉にした場合、資産の目減りや廃炉費用で2559億円の損失が出る。23年度末の純資産1626億円を差し引いても、933億円の債務超過だ。そうなれば金融機関から新たな借り入れができなくなり、経営破綻が現実味を帯びる。」と書いているが、この廃炉費用の根拠はまったくもって定かでなく、恐らくは兆円単位になるはずだ。

・産経ニュース
廃炉の可能性 日本原電、破綻に現実味

では、その負担は誰に回ってくるのか。
結局は国民、それもいまの私たちだけでなく、孫子の代にいたるまでということになる(しかも後者の方がより大変な負担になる)。
そういう原発が日本には50基以上ある。この廃炉コストは、おそらく何百兆円となるだろう。しかもそこに福島第一の処理費用(これはもう天文学的といっていいだろう)ものしかかる。
こうなるともう経済成長どころの話ではない。
いまに生きる日本人は後世までのことまで考えて、この現実を見る必要がある。

今回の総選挙で、原発推進派は脱原発を無責任だと言い、メディアを脱原発を掲げる政党を具体的な道筋がないと攻撃する。

↑の動画斑目サンが指摘する「もの凄く儲かる」「今の路線」とは何か。
それは、常に新しい原発を建設するという前提なのではないだろうか。
日本原電の例を見るまでもなく、原発を廃炉にするだけだと会社は明日にも潰れる。しかし、そこに「もの凄く儲かる」原発の新設がセットになれば、この廃炉コストを吸収できるし「たかがしれてる」と原発推進派は考えていたのだろう(それでも国民負担は免れないが、最終的に彼らは自分たちの死後のことは一切知ったことではない)。

これは考えてみると、ゴルフ場の預託金会員制のようなものだ。

かつてのバブル期、ゴルフ場のデベロッパーはこの制度を駆使してカネを集めまくった。私の会社の先輩でも、まだ土地の造成も終わっていないゴルフ場の預託金会員となった人が何人かいた。その額は500万円。開発会社からは時折、「ここまで出来ました」という写真が送られてくるが、バブル期が終了するとともに、それも少なくる。
結局、そのゴルフ場は「完成」はしたがとんでもないコースで、しかも預託金は帰ってこなかった。何回かプレーしたらしいがまあひどいコースで、しかも預託金をプレーの回数で割ると、1回のプレー代は百万円近いという笑えない話だった。

では、なぜ彼らはそんなものにカネを出したのか。それは、カネ集め→造成→カネ集めの循環が永遠に続くと思っていたからだ。ところが、実際は自分たちが出したカネはそれ以前のコース造成資金に投入されていたのが実情で、それでもさらにまた次のコースの資金が集まれば、自分たちのコースもきちんと完成するのだが、バブルが弾けてこのサイクルが途切れ、話はおじゃんとなった。

原発もこれと同じで、とにかく新たな原発を新設することで、それ以前の原発の廃炉コストを吸収しようとしたのだろう。それゆえ、地球温暖化やらエネルギーの安全保障やらという理屈をくっつけて原発の際限のない増設計画がつくられたわけだが、ひとたびこのサイクルが破綻するとあっという間に電力会社は債務超過になる。
そして福島第一原発の破局事故によって、現にこのサイクルは破綻してしまった。
となれば後に残るのは膨大な負債で、それは最終的に後世の人びとまでを巻き込んだ国民負担となるのである。

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コメント

確かに東京電力の現在の為体は借金返済のループにはまってしまった多重債務者の姿と重なる。BSフジだったと思うが、日経新聞の主幹が <原発はただ恐怖いと言う議論だけで廃止論が続いているが、もっと前向きな安全性の議論をしなければならない> との趣旨のことを述べていたが私に言わせば、3.11以前と以後とでは前提条件のフェーズが変ってしまったと言うことを認識すべきだ.
あべの答弁のとおり以前は過酷事故を想定しない安全対策をとって来たのだと思う。福島のオフサイトセンターの地理的条件がその典型だ。3.11の様な過酷条件を想定していればあの様な場所には設置しなかったはずだ。今後再稼働するについて関係者は3.11の事故を教訓に世界でも例を見ない万全の安全対策をとりましたとのたまうのは明らかだ。
原船むつやエンタープライズを囮に国民の目をそらし、気がついたら54基もの原発を建設していた過去の自民党の姑息な手法をまた踏襲するのだろう。軍部に絶対に沈まない戦艦を作りましょうと持ちかけたMSIT財閥と一緒に。

投稿: tristan | 2012/12/23 17:29

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