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2012/12/31

一世代享楽主義はいつまで続くのか?~ 2012年の○と☓

私は昨年の○と☓で、「今年は人生49年でもっともひどい年であった」と書いたが、今年はそれをさらに上回るひどい年だった。

それは福島第一原発破局事故の収束がまったく不明であるにもかかわらず、多くの人びとの関心が薄れ、なかんずく再び原発推進に舵を切る政権ができたからだ。これはつまり、日本で再び原発の破局事故が起きる確率が上がったことを意味する。

29日に福島第一原発を視察した安倍晋三は「民主党が掲げた2030年代の原発ゼロの目標について記者団に「希望の段階では直ちに政策になっていかない。責任あるエネルギー政策を進める」と述べ、見直しを視野に検討する考えを示し」、「安全神話の中で原子力政策を推進してきた反省のもと、我々は大きな責任を背負っている。廃炉に向け、できる限りスピードアップをしたい」(いずれも日経)と言ったそうだ。

「責任あるエネルギー政策を進める」のなら、きっと「1万年後、10万年後まで“美しい日本”であり続けるための責任ある高レベル廃棄物処理案」をお持ちなのだろう。まずはそれをお聞かせ願いたいものだし、「安全神話の中で原子力政策を推進してきた反省」をするなら、まずは2006年、自身総理大臣時代の自らの答弁の責任を自分で語るべきだろう。

吉井英勝:冷却系が完全に沈黙した場合の復旧シナリオは考えてあるのか
安倍晋三:そうならないよう万全の態勢を整えているので復旧シナリオは考えていない
吉井英勝:冷却に失敗し核燃料棒が焼損した場合の復旧シナリオは考えてあるのか
安倍晋三:そうならないよう万全の態勢を整えているので復旧シナリオは考えていない
吉井英勝:原子炉が破壊し放射性物質が拡散した場合の被害予測や復旧シナリオは考えてあるのか
安倍晋三:そうならないよう万全の態勢を整えているので復旧シナリオは考えていない

また「廃炉に向け、できる限りスピードアップしたい」とは具体的にどのよう方策をとるのか? 現状では福島第一の1号~3号炉で溶け落ちた核燃料がどうなっているかはまったくの不明であり、これを取り出すことは至難の業だ。いったいそれをどうやってスピードアップするのか? 是非、これまた自分の言葉に責任をもって説明していただきたい。

ということで、原発推進に針を戻す安倍政権に☓。

また、このような安倍政権を誕生させてしまった、前政権、なかでも野田佳彦に最大限の☓。
およそ野田こそは、史上最低の総理大臣であると私は思う。
2009年の総選挙ではマニフェストに書いてあることしかやらないとウソをつき、自らが政権をとると消費税を増税。この行為は、民主主義国家における政権交代の意味をぶち壊し、国民の政治不信を最大限に高めたという意味で、第一級の犯罪である。

・参考リンク
小室直樹のデモクラシー講座

おそらく今後、2009年のような政権交代の熱気というのは、簡単には起こらないだろう。そうしてしまったすべての責任は野田佳彦にあるが、実はそれこそが野田に課せられたミッションで、故にこの男はこれだけ民主党を破壊したにもかかわらずメディアから批判もされず、自らも恥じ入るところがないのだと私は推測している(これについてはいずれ)。

日本未来の党分裂の件で、相変わらずメディアは小沢一郎を「壊し屋」と書き立てているが、野田こそが超弩級の壊し屋である。が、もう少し敷衍すると、そもそも民主党は、ニセメール事件で前原がぶち壊した後、小沢が建て直し、そして野田がまたぶち壊した。そうしてみると松下政経塾というのは、政・財・官・メディアの既得権益集団に対抗する勢力が出てきた時のための破壊者養成機関なのかもしれない。

しかし、野田に関して言えば、この消費税増税のウソよりもさらに罪が大きいのが福島第一原発の収束宣言という大ウソで、これは歴史に残る。なにしろ現在進行形で続いている史上最大の破局事故を前にして、「収束」とのたまったのだがら大ウソもここに極まる。
この消費税増税と福島第一原発収束という二大ウソに比べれば、「近いうちに解散」などというのはまったくもって大したウソではなく、そもそも総理大臣は解散についてはウソを言っていいとこれまでさんざん言ってきたのはマスメディアである。

ところで、年末の総選挙で、なぜ原発は大きな争点にならなかったのか。
それは国民にとって原発より経済、景気が大事だったからということになっている。
そして、メディアはしきりに安倍政権によって経済が上向くかのような言説を煽っている。

しかし、である。たとえ安倍政権のとる施策によって経済の指標がたとえ多少上向いたとしても、それは一時的なものに過ぎないと私は思う。
なぜなら、福島第一原発の破局事故というのは「東京電力が何度倒産しても、たとえ日本が破産しても足りないほうどの被害」(京都大学・小出裕章助教)をもたらしたのであって、いったい収束までにどれだけのカネがかかるかまったくわからないからだ。
東京電力もそのことはわかっている。だから、補償についてはできる限り何もしないという姿勢を貫いているわけだが、それでもカネが足りないから税金を投入してくれと言い出している。これが人類が経験したことのない破局事故の破壊力であると思う。

では、なぜマスメディアはそれをきちんと伝えないのか。
それは本当のことを伝えると、マスメディアも大変なことになるからだ。
私は今年の秋から日経(電子版)の購読を数年ぶりに再開した。その紙面を見ていてまず何よりも驚いたのは、広告の質が日経といえども下がっていたことだ。
広告というの当たり前の話だが、経済状況が悪化するれば悪くなる。
そしてNHKをのぞくほとんどのマスメディアにとって、広告収入が経営の生命線であることを考えると、経済状況がこれ以上悪化するのは全メディアにとってもよろしくない。

そうしたなかで、「福島第一原発の収束にいくらかかるのか、いつまでかかるのか、さっぱりわかりません。日本の法律をきちんと守るならば関東から東北にかけての広い地域を放射線管理区域にしなければならず、そこで暮らしている人たちは移住しなければなりません」などと本当のことを伝えれば、あっという間に日本経済は大変なことになる。
だったら、そういうことは伝えないことにしようのが、現在のマスメディアの状況だ。
ということで今年も大方のメディアに☓。

ただし、このツケはいずれ必ず来る。
なにしろ、福島第一の処理は何十年もかかる一方で日本の少子化はどんどん進む(出生率にも破局事故の影響はいずれ必ず出るだろう)。原発は永遠に稼働できるものではない以上、いつかは必ず廃炉にしなければならないが、このコストがいくらなのかもしわからない。放射性廃棄物の最終処分地はどこにもない。
したがって、原発問題は将来世代を確実に、かつ非常に苦しめる。
にもかかわらずこの問題を直視せずに先送りして、自分たちの暮らしぶりのことだけを考えるのはエゴという他はない。
かつて55年体制時代の社会党が非武装中立を唱えると、自民党は一国平和主義の平和ボケと批判したものだが、その言葉を借りれば、現在の日本は「一世代享楽主義」の「享楽ボケ」である。

すっかり長くなってしまったので、以下、それ以外の○と☓を簡単に。

まず小出裕章先生にお目にかかって一晩、話をうかがうという贅沢な時間を過ごせたことに○。

健全な法治国家のために声をあげる市民の会による検察審査会への申立の議決がまだ出ないことに☓。
ただし、この結論は来年には必ず出るので、是非とも注目してください。

中日ドラゴンズに☓。落合博満を追い出してうまくいくはずがないのはわかっていたが、それでも今年はまだこれまでの貯金で勝負できたが、来年以降、どんどんチームのタガは緩んでいくがろう。

浦和レッズに一応○。まだまだ本当の力はついていないが、来年は久しぶりのACLが楽しみ。

kindlefireHDに○。
これまでタブレットはiPad2を使用していたが、kindlefireHDを購入以降、外出するときにはKindle、仕事はiPadということになってきた。サイズがいいこと、そして音がいい。ちょっとしたメールチェック、facebookはこれで十分。あと映画鑑賞にも結構いい。

AMラジオは今年も「伊集院光深夜の馬鹿力」「久米宏ラジオなんですけど」に○。
久米宏の相方である堀井美香アナに◎。この人のラジオにおける弾け方はすごい。

吉田照美ソコダイジナトコに○。来春から吉田照美氏は夕方になってしまうそうだが、ちょっと残念。
ちなみに文化放送の朝はフジテレビ出身のアナウンサーがやるそうだが、テレビの人がラジオでうまくいくとは限らない。

ほとんどテレビは見ないのだけど、「梅ちゃん先生」に○。なかでも木村文乃に◎。

今年はあまり落語を聴く機会はなかったが、地元で独演会をやってくれた柳家小三治師匠に○。

母校のラグビー部に、村田亙氏(前7人制ラグビー日本代表監督)が就任したこと、そのポジティブさに○。今年はまだ体力作りの年だったけど、来年以降、必ず強くなるでしょう。

今年も残すところあと11時間あまり。
みなさま良いお年を!


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2012/12/28

内閣参与、飯島勲氏は手強い

以下はfacebook版「誰も通らない裏道」に書いたものですが、こちらにも転載しておきます。

facebook版は↓です。
誰も通らない裏道facebook版

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今度、内閣参与になった飯島勲氏とは、1990年代の半ばのほんの一時期ですが、わりと深く付き合ったことがあります。
小泉純一郎の『郵政省解体論』という本を作る過程で飯島氏と付き合うようになって以降、「小泉氏よりこの人の話の方が断然面白いな」と思っていたら、ある時に「メシを食おう」と誘われました。
そこで、いい機会だから取材用のカセット録音機を持って出かけたのです。

以降、銀座のエスクァイアや寿司屋で飯島さんの話をテープを回しながら聞くということを繰り返し、それを起こしてリライトしたのが『永田町の掟』(カッパ・ビジネス)という本でした。
これは大変に面白い内容だったのですが、著者名が本名でなく豪徳寺三生(ごうとくじ・みつお)というペンネームだったのであまり売れませんでした(ちなみにこのペンネームは苗字を私が、下の名前は飯島さんがつけました)。
その後、この本を本名でもう一回出したいというオファーが飯島さんから来たので、自社の文庫編集部に問い合わせたところ「そういう本はうちにはいりません」と冷たくあしらわれてしまい、結局、とある政治評論家のツテで講談社文庫から『代議士秘書 笑っちゃうけど本当の話』とタイトルだけ改題して文庫化されました。

ところが、この出版時期が折から自民党総裁選に小泉氏が出馬した時期と重なったのです。講談社は「小泉の後ろにこの男あり」というような帯をつけたところバカ売れ。結局30万部を越えるベストセラーとなったのでした、、、

閑話休題

さて、この飯島氏ですが、基本的な立場は異なりますが、私はこれまで会った多くの人のなかでもトップ5に入るぐらいに強い印象、影響を受けました。
私は飯島氏の根底にあるのは「どんなにワイワイ騒いでも、この国は変わっりこない」というニヒリズムなのではないかと思っています(これはかつて佐野眞一氏が同様の指摘をしていて、非常に同感しました)。
飯島氏は家庭的には恵まれないなかで東京に出てきて小泉氏の秘書になりました。親分の小泉氏が福田赳夫の流れを汲んでいたのに対して「田中角栄は好きだねえ」と言っていたのも、そんな出自閲歴と関係があるのかもしれません。

私が飯島氏と付き合うなかで持った印象は、「この人には大方の人はかなわんな」「敵にしない方がいいな」「本当のワルは表向きは腰が低いんだな」、、、というようなものでした(^_^;)。
当時、飯島氏の話を一度一緒に聞いたライターは帰り道「世間ずれの極地だね」と言ったものでしたが、まったくその通りで、私は「こういう人が与党にいるのだから、こりゃ口先だけの野党なんて永遠にかなわんな」と思ったものです。
飯島氏というのは「深い人」で、人間の裏表を知り尽くしているタイプです。私は自分自身がどうしようもなく底が浅いので、こういう「深い人」に魅力を感じたのだと思います。

日刊ゲンダイで「にっぽん改国」を連載している田中康夫氏によれば、週刊文春の連載コラムで飯島氏は
「肝に銘ずべきは内閣総理大臣は公人だって事。安倍総裁はどうも私的な交友関係を人事に持ち込み勝ちだからね。たとえ過去に接点が無くとも、使うべき人材は使うのがプロでしょ。」
「ゴマスリ連中をビシッと排除できるかどうかだよ。徹底的に遠ざけて、それでも安倍政権を応援したいって言ってくる人材は本物だと初めて認定すればいい。それくらいの覚悟を見せなくちゃ」
と書いていたそうです。
とくに後段の部分が私には飯島さんらしいなと感じます。

これは推測でしかありませんが、小泉政権当時に小泉、飯島の両氏が考えていたことは、「とにかく一日でも政権を長く存続させて、記録を作る」ということだったのではないかと思っています。
総理大臣として小泉氏がとった政策は大変に問題があるものでしたが、これも突き詰めると「その方が政権が長続きするから」という理由以外になっかたのではないか。
なぜなら、「何をやってもこの国がかわるはずがないから」(このニヒリズムは小泉氏にも飯島氏と同様にあったと私は見ています)。

また飯島氏は確かにメディア・コントロールは巧みです。
ある時、某国営放送の解説委員の話を聞いたことがあります。曰く「あの人にうちの悪口は絶対に言わせないし、言わない。娘さんの就職をなんとかしてくれと言われて面倒をみてやったんだから」。

そういう飯島氏が今回、内閣参与になったわけです。
アベシンゾーが飯島氏の意見にどの程度耳を傾けるかどうかはわかりませんが、飯島氏はおそらく次の参議院選挙でどう勝つかだけを睨んで進言するでしょう。
これに対する民主党は社会人経験のない松下政経塾出身者(彼らが自党を壊滅させたのに、恬として恥じていいなことに驚きを禁じえません)を中心とする底の浅いガキレベルが生き残り、新代表の海江田万里にしても秘書出身といっても、仕えたのはタレント議員の野末陳平氏。
これでは勝負にならないように私には見えます。
もちろん、石原、橋下もイチコロです。

対抗できるのは小沢一郎だけだと私は見ますが、しかし現状では数があまりにも少なく、打つ手が限られます。
もちろん、私はアベ内閣には一刻も早く消えて欲しいですが、その道筋が見えない2012年、年の暮れです。
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2012/12/17

平成の大政翼賛 〜 改憲勢力455議席という時代の到来

「これだけの事故が起きて、それでも変わらないというのであれば、この国はダメだと思います」
(京都大学原子炉実験所助教 小出裕章)

今回の選挙結果で私がなによりも驚いた、というよりも恐ろしいと感じたのは、自民(294)、公明(31)で再議決に必要な3分の2の勢力を獲得したことではない。
これに民主57、維新54、みんな18、国民新1を加えると455議席になることだ。

私は11月22日のエントリーで、「いま野田がやっているのは、選挙後に、より自公と連立しやすくするための、いらない連中の振り落としと見ることもできる。」と書いたが、民主の残留組は元々自民と組むことに違和感のない、まさに自民党野田派といった面々だ。
これに元々タカ派丸出しの維新、さらに与党志向のみんな、国民新を入れると、実に衆議院480議席の94.7%が自民の政策に違和感のない勢力となる。

一方、「確かな野党」は共産党のキャッチフレースだが、それを拝借すれば、衆議院で「確かな野党」は未来、共産、社民、大地のトータル20議席しかない。

では自民の政策とは何か?
まず原発は推進。

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改憲。
自民党憲法改正草案

そして消費税増税ということになる。

ところで、今回の選挙結果に一番安堵しているのは、原子力ムラの面々だろう。
何しろアベシンゾーは福島第一原発破局事故のA級戦犯(総理大臣時代に原発の破局事故は起こらないようにしているので対策は考えてなのだから、お仲間中のお仲間だ。

福島やその近県では、日本の法律に照らせば住んではいけない地域が広大にある。そこに住む人びと(小出裕章氏は1千万人近くになるのではないかと指摘している)は民主党政権時においては棄てられた存在だ。
自民党はその政策を間違いなく継続する。
そして放射能汚染による被害など何もないというスタンスをとり続けるだろう。

福島第一原発の事故処理、既存原発の廃炉、放射性廃棄物の最終処分場探しとその処分方法、、、
あらゆる面で行き詰っている原発政策をそれでも継続すればどうなるか? もはや想像もつかないが、旧ソ連ではチェルノブイリ原発一基の事故で5年後に崩壊したという事実は、歴史の教訓として記憶しておいてもいいだろう。

最後に。
今回の総選挙をもって、2009年3月(小沢秘書の架空事件での逮捕)から始まった既得権益勢力による「政権交代潰し作戦」は完了した。その最大の功労者は、総力をあげて世論操作をしたマスメディアである。


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2012/12/15

田中角栄「戦争嫌いの思想」を受け継ぐ94歳の無所属新人と小沢一郎

先週末、埼玉12区で94歳の方が総選挙に出馬するというニュースが流れた。
リンク元(スポーツ報知)はすでにないが、以下のような記事だった。

94歳無所属新人、蓄えた葬式代つぎ込み出馬…埼玉12区
 埼玉12区に無所属新人で立候補した川島良吉氏は、御年94歳。今選挙の最高齢候補者となるおじいちゃんは
「葬式代としてためていた年金を選挙資金に充てた」と覚悟を口にする。
 一方の最年少候補者は群馬4区の民主・青木和也氏。投票3日前の13日に25歳となる。
 94歳ながら、視力1・2を誇る両目は鋭い眼光を放つ。国の行く末を憂う川島氏は、立候補の理由を明快に語る。
「オレの出番だと思ってしまったんですよ」。
 供託金300万円は葬式代にと、ためていた年金から捻出した。まさに不退転。覚悟の初出馬だ。
 政治家を志したことはなかったが、各党の主張を聞くうちに闘志がたぎった。
「右傾化する安倍(晋三・自民党総裁)や石原(慎太郎・日本維新の会代表)から『軍』なんていう言葉が普通に出る。
 橋下(徹・同党代表代行)もムチャクチャ。無条件降伏したのに。日本はどうなっちゃったんだ、という不安がありました
」。
 耳は少し聞こえにくいが、話し出したら止まらないマシンガントークが武器だ。
 第1次世界大戦が終結した1918年に生を受け、第2次大戦勃発の39年に徴兵。中国での7年間の戦闘では多くの仲間を失った。
「オレは戦争で死なず、散々いい思いをした。このままじゃ死んでいった仲間に申し訳ないと」。そんな思いが出馬へと背中を押した。
 先月30日に自宅に親族を集めて「出馬表明」。最初は反対した親族も熱意に負けた。
「友だちに手伝ってもらおうと思ったけど、もうみんな死んでいなくなってた」
 カマド販売業、金融証券業などさまざまな仕事に従事した。今は埼玉県羽生市の自宅で一人暮らし。腰は真っすぐ。足取りは軽快だ。
 炊事、洗濯、掃除から車の運転まで自分でこなす。総務省選挙部管理課によると、94歳は今選挙の立候補者1504人の最高齢となる。
 埼玉12区は民主・本多氏と自民・野中氏の対決に、自民を離党した元県議・森田氏が加わる激戦の構図だ。
「正直勝てるとは思っていない。でも訴えたいんですわ」。
 公約は憲法9条順守、原発反対、天皇を「象徴」ではなく「元首」とすること。
公示直前の出馬決定で活動は出遅れたが、ようやく7日、チラシとポスターの作製に着手した。今後は街頭演説も行う予定だ。
「男ってのはね、やるときゃやんないといかんのよ」―。

※太字下線部はブログ主

この記事を読んだ時には、「素晴らしいジイちゃんだナ、オレが埼玉12区なら応援するナ」と思いつつツイッターに記事を流した(ちなみに私は埼玉4区で、立候補しているのは民主、自民、維新、共産の4人。まったく選択肢がない)。

ところが今週になってから『田中角栄の昭和』(保阪正康著)という本を読んで、この川島さんの居ても立ってもいられない思いがいかなるところから湧き出ているのかがわかり、さらに94歳の出馬に納得したのである。

同書によれば著者の保阪氏は、かつて田中角栄がロッキード事件の一審判決を受ける直前、角栄の地元後援会・越山会の機関紙『越山』の投書欄に投稿していた熱烈な「角栄ファン」32人に会って取材したという。
その中の一人に角栄と同い年の山岸政孝(仮名)という人がいた。この山岸さんの部分を以下に引用する。

 山岸は初対面の挨拶を終えるや、「わしは田中さんと同じ、大正七年生まれなんや。だからその考えがよくわかるんや」とせわしげに話し、そのあとは、「田中さんはそんなわるい人やない、五億円もらったなんて嘘や、いやたとえもらっていてもかまへんやないですか、むしろアメリカから外貨を獲得した功労者や」と矢継ぎ早に話を進めていった。私は時折、メモをとりながら、これまでと同じ田中ファンの類か、と心中でうんざりもしていた。山岸は髪の薄くなった頭の汗をぬぐい、音をたててアイスコーヒーをすすり、田中を感情的に礼賛し続けた。
(中略)
 ひととおりの話が終わって、雑談に移ったが、私に年齢を尋ねるので、四十三歳(当時、昭和五十八年)だと答えると、「兵隊の苦しみはわからん世代やな」と失望の表情になった。しかし、私が昭和陸軍に関心をもち、その内実について詳しく調べていると知るや、山岸は「これはわしらの世代ならみんな心で思うていることなんやが……」と声を低めて、「わしが田中さんを好きというより、尊敬しているというのは、あの人は戦争が嫌いだったと思うからや。あの人は、仮病を使ってでも軍隊を離れた人と思うからや」と言葉を足した。
 その意味はどういうことか、と執拗に尋ねると、「いいか、これはあんまり広言したらあかんことや。あの人は『兵隊なんかやっとられん、戦争なんかで死んでたまるか』というタイプや。だからわしらは信じるんや」という意味の言をくり返した。それをまた私は、メモをとらないという約束で質していくことになったが、山岸との対話がしばらく堂々めぐりを続けたあとに、彼は意を決したように次のような言を吐いた。
「わしらの年代が兵隊検査を受けたのは、昭和十二年から十三年だった。支那事変がはじまったころや。支那に鉄砲かついで送られるなんてまっぴらごめんや。兵隊になったら、でもそんなこと言ってられん。そうすれば、兵隊から抜けだすには三つの道しかあらへんやろ……」
(中略)
田中さんは自分の軍隊体験を克明に話していないし、書いてもいない。わしは断言はせんが、田中さんが好きなのはわしと同じような『戦争なんかで死ねるか』という意思をもっていたように思えるためだ。あの人は、決して日本を軍国主義にはしないよ。それだけは断言できる
(中略)
 田中の年代は、二十歳(大体は昭和十四年か十五年に入営)で兵役に就いた。すでにはじまっていた日中戦争、それに呼応するかのように対ソ連を意識した張鼓峰事件、ノモンハン事件、そしてアメリカ、イギリスとの正面からの衝突では末端の兵士として戦場を体験している。敗戦時はまだ三十歳前だが、それ以後は国土再建という社会の中枢に身を置き、ひたすら物量経済の肥大化の尖兵の役割を担った。この大正七年生まれは、戦争によって九%近くが亡くなったとの統計もあるが、近代日本の軍事政策の犠牲者としての数は、とびぬけて多い世代なのである。
 田中の心中に、自らの世代に課せられた歴史的辛苦が、決して天災ではなく人為的な結末だったとして、その怨念がひそんでいたか否か、私には正確には判断できない。だがこの世代の人びとは、田中の軌跡のなかに自らの人生の苦衷や憤懣を代弁しうると仮託されていたように思えてならないのだ。田中もまたそのことを自覚していた節がある。
 田中の七十五年の人生に凝縮していた真の思いとは一体何だったのか。それをさぐるには、田中は戦争を体験した世代の記憶をどのように共有していたか、あるいは拒否していたかを丹念に見ていかなければならない。そこから〈田中角栄〉の実像が浮かんでくるはずである。

※太字下線部はブログ主。

1918年は大正7年、つまり川島さんと田中角栄は同い年なのだ。
そして、恐らくは川島さんと角栄、そして保坂氏の著書に出てくる山岸さんにはこの世代特有の「戦争はいかん」「戦争は嫌いだ」という共通の思いがあったのだろう。
そういう世代の生き残りである川島さんから見ると、今の世の中は危なっかしいことこの上ないのだと思う。

なにしろ戦争を煽る言葉が「政治家」から普通に出て、それをマスメディアがさらに煽っている。
石原慎太郎というのは、前回の国会議員時代はごく一部の素っ頓狂なタカ派で相手にする人はほとんどいなかったが、いまや「戦争をするぞ!」と喚きたててそれなりの脚光を浴びている。

・くろねこの短語
街頭演説で「戦争するぞ!」と喚く日没の太陽族・・・哀れなり&敦賀原発廃炉となれば、「廃炉こそ新しい公共事業」(田中康夫)の絶好のテストケースになるんだが・・・。

一方、第二次大戦のA級戦犯の孫(この人物自らは福島第一原発破局事故のA級戦犯)は憲法を改正して自衛隊を国防軍にしたいのだそうだ。この男が現状では次期総理大臣の最有力候補だというのだから、恐ろしい世の中である。

そうした中で、田中角栄の流れを汲む小沢一郎は、日本の右傾化に対して強い懸念を表明しているが、マスメディアは相変わらずこのことをまったく伝えない。

しかし、私は今、「戦争嫌い」という田中角栄の思想はとてつもなく重要だと思う。

ある時期まで、朝日新聞や朝日ジャーナルを読むことですっかり洗脳されていた私は、恥ずかしながら田中角栄を長らく悪の金権政治家だと思っていた。

しかし、一方で確かに田中角栄は自民党の中でも軽武装派で、どことなくリベラルな雰囲気があったと思うし(当時はそこに着目しなかったが)、軍隊経験を持つ竹下登にも確実にその雰囲気があった。
さらに竹下派七奉行と言われた政治家の中にも、この角栄の遺伝子を受け継いでた政治家はいた(私見ではそれは、梶山静六、奥田敬和、羽田孜、小沢一郎)。
あるいは後藤田正晴。この人の晩年の発言は、およそ旧内務官僚、警察庁長官経験者とは思えないほどリベラルだった。

こうしてみると、かつて自民党内の最大派閥だった田中派に集まった面々というのは、もちろん角栄がくれる選挙資金や利権のみが目当ての議員もいただろうが、一方で「戦争嫌い」の角栄の思想に共鳴していた議員も少なくなかったのだと思う。

ところが田中角栄はロッキードで潰され、竹下登はリクルートで潰され、いま小沢一郎が潰されようとしている。
つまり保守の側の良質なリベラル勢力は常に検察とマスメディアの標的となり続けたのである。
小沢の場合、対検察との闘いはほぼケリがついたが、それでもマスメディアの攻撃はとどまるところを知らず、手を変え品を変えのバッシングと印象操作が今も続いている。
なかでもその先頭に立っているのが朝日新聞だが、第二次大戦の重大な戦争責任があるこの会社にとって、「戦争嫌い」だった角栄の後継者は仇敵以外の何者でもないのだろう。

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2012/12/14

政党広告は血税のメディアへの再分配

ラジオから政党広告が流れてくると、いつも思い出すことがある。
それは前回、2009年の総選挙でのこと。

当時、私は出版社で週刊誌の広告営業をしていたのだが、いよいよ総選挙となった途端、同僚が嬉しそうな顔をしている。というのも、この選挙は政権交代を賭けた大一番なので、必ず政党広告のオーダーがあるという読みがあったからだ。
雑誌広告の場合、月刊誌だとおおよその広告本数は発売日の2カ月、遅くても1月半ぐらいまでには決定していないといけない。ところが週刊誌だと発売2週間前までに本数をフィックスすればいい。したがって、突発的な広告出稿に雑誌媒体で対応できるのは、断然、週刊誌なのである(このケースは他に年度末の気余り予算がクライアントに生じた時などがある)。
ということで同僚は手ぐすねを引いて政党の広告出稿を待っていたのだが、思いがけないことが起きた。
なんと三つの政党からオーダーが来たのである。
もちろん代理店は異なる。そして、各代理店ができるだけ「前付(まえづけ)」を希望してきた。

ちなみに雑誌の広告というのは、より前の方がいいとされている。
広告オーダーの際に「前付編集対向」という条件がついていた場合、その意味は総ページ数の半分より前で、さらに編集ページの対向面に掲載して欲しいということ(なかには「前付30%以内」などという条件をつけるクライアントもいる)。

話を戻すと、しかし一冊の雑誌ですべての政党広告を前付するわけにはいかない。
レギュラーのクライアントだっているし、カラー広告というのはザラ紙の入る週刊誌の場合、きわめて場所が限られるからだ。
困った同僚は「とても前」「半分より前」「半分より後」と3つの掲載スペースを作った上で広告代理店の営業担当者を呼んで、くじ引きをしたのだった、、、、、

さて、では政党広告というのは広告営業担当者にとってなぜ嬉しいか。
それは定価で取引できるからだ。
当ブログでは時々書いていることだが、マス媒体の広告料金というのは下落の一途を辿っている。

誰も通らない裏道 「マスメディアこそが虚業だった」

かつては考えられないような殿様商売をしてきたマス媒体の広告も、いまやそういうわけにはいかない(もちろん本当に視聴率のいいテレビ番組、あるいは売れている雑誌は別だが)。

たとえば私の経験で言えば、当時、担当していた雑誌のカラー1ページの広告料金は180万円だったが、これを定価(実際は9掛け、8掛け)で買ってくれるクライアントは2000年代半ばにどんどん減っていった。

広告の場合、クライアントが広告代理店に支払う総額をグロス、そこから代理店のマージン(通常は2割)を引いたものをネットという。私の事例で「クライアントが半グロスなら出稿すると言ってます」と代理店が言ってきた場合、ネットだと72万円ということになる。
これがさらに下がっていき、、、

「グロス50万なら出稿するそうです」

なんていうことになる。さらに苦しくなると、、、

「30万なら、、、」
「それってグロス? ネット?」
「もちろんグロスです」
「なんとかネットにならない?」

などという会話になり、さらに、、、(とこれ以下のことは書きません)
と、まあそういう会話が日常茶飯なわけだが、これはテレビ、新聞、ラジオにしても事情は同じだ。

そういうなかにあって政党広告は定価で商売できるのだから、マスメディアにとってはまことにありがたく、「選挙バンザイ」と叫びたくなるほどだ(しかも今回は年末なのでさらにありがたいだろう)。

しかし、、、である。
私は営業マン時代から、実は内心この商慣習に疑問を感じていた。
なんとなれば、政党広告の原資は共産党を除けば、そのほとんどが政党助成金から拠出されているわけで、突き詰めればそれは税金である。
その税金が、メディアに対して実勢価格よりもはるかに高額な形で投入されているのだから、これは無駄遣い以外のなにものでもない。
マスメディアは子ども手当てをバラマキだというが、政党広告のように「市場」をまったく無視した価格の取引こそバラマキだろう。

また一方でこんな問題もある。
たとえば、山本太郎の「新党今はひとり」が雑誌に広告を出そうと考えたとする。
しかしまったくカネがない。そこで、「グロス30万円で〇〇誌に出稿したい」と広告代理店に相談したら、おそらく代理店は即座に「政党広告は定価でないと出稿できません」と断るはずだ。
なぜなら業界にとって政党広告(あるいは政府広告)ほど美味しいものはなく、ゆえに絶対に値崩れさせたくないからだ。したがって、この商慣習は業界横一線で守られることになる。

既存政党からすればこの商習慣は政党助成金があるから問題はない。しかも、新規のカネのない勢力の広告展開を防ぐことができるのならば、むしろ続けて欲しいだろう。

つまり、政党広告の定価取引という商慣習は、既存政党、業界の両者ともがWin-Winなのである。
だが、これは結果的に立候補者の平等性を著しく阻害することになるし、何よりも血税の垂れ流しだ。
しかも、それでいてカネのかからないネット利用は制限するというのだから、これはもうまともな民主主義国家のやることではない(ま、昔から日本は民主主義ではないのだが)。

私はこの選挙期間中のマスメディアの凄まじい偏向ぶりは(知人が朝日の世論調査を受けたらしいが、恐ろしく恣意的な質問のオンパレードだったそうだ)、見方を変えれば各政党の出稿量の差の反映なのではないかとも思う。
つまり、メディアはたくさん出稿してくれるクライアント政党のことは良く書き、少ない政党のことは悪く書く、さらにまったくない政党は無視。
もちろんそれを意図的にやっているとは思わないが、案外、自分たちも無意識のまま、そういう行動に走っている可能性はある。なぜなら、それががマスメディアの基本的習性だからだ。

最後にひとこと。
政党広告の中で群を抜いてムカツクのがアベシンゾーが「日本を取り戻す」とわめいている自民党のCMだ。なにしろ、日本が安心して暮らせないようになってしまったのは、この男の責任なのだから。以下、何回でも繰り返すが、アベの総理時代の共産党吉井議員(残念ながら引退)に対する答弁。

吉井英勝:冷却系が完全に沈黙した場合の復旧シナリオは考えてあるのか
安倍晋三:そうならないよう万全の態勢を整えているので復旧シナリオは考えていない
吉井英勝:冷却に失敗し核燃料棒が焼損した場合の復旧シナリオは考えてあるのか
安倍晋三:そうならないよう万全の態勢を整えているので復旧シナリオは考えていない
吉井英勝:原子炉が破壊し放射性物質が拡散した場合の被害予測や復旧シナリオは考えてあるのか
安倍晋三:そうならないよう万全の態勢を整えているので復旧シナリオは考えていない

安倍が自民党の総裁となり、再び総理大臣を目指すならば、なによりもこの答弁に対する責任をメディアは問わなければならないだろう。
ところがそれを指摘するメディアは皆無である。
その理由は、、、
自民党のマスメディアへの出稿量が多いからなのかもしれない。
ただしその原資は、繰り返しになるが血税である。

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日本原電が経営破綻した場合の廃炉コスト負担者は誰か?
〜 原発と預託金会員制の共通点

日本原電・敦賀原発の件について。
原子力規制委員会が、敦賀原発2号機の直下に活断層があると判断し、再稼動断念→廃炉になる公算が高まっている。「そんなことは前からわかっていた」(京都大学・小出裕章助教)のであって、今さらという気もするが、当然のことだろう。

さて、もしこの敦賀原発が廃炉になると、日本原電は破綻する可能性が現実味を帯びてくるわけだが、その場合の廃炉にかかるコストは誰がどういう形で負担するのだろうか?
なにしろ原発の廃炉というのは、まだ誰も経験したことがなく、放射性廃棄物、使用済み核燃料をどこにどうやって保管するかも決まっていない。つまり廃炉のコンプリートまでにいくらかかるかわからないのである。

産経は「経済産業省の試算では、原電が今年度中に全3基を廃炉にした場合、資産の目減りや廃炉費用で2559億円の損失が出る。23年度末の純資産1626億円を差し引いても、933億円の債務超過だ。そうなれば金融機関から新たな借り入れができなくなり、経営破綻が現実味を帯びる。」と書いているが、この廃炉費用の根拠はまったくもって定かでなく、恐らくは兆円単位になるはずだ。

・産経ニュース
廃炉の可能性 日本原電、破綻に現実味

では、その負担は誰に回ってくるのか。
結局は国民、それもいまの私たちだけでなく、孫子の代にいたるまでということになる(しかも後者の方がより大変な負担になる)。
そういう原発が日本には50基以上ある。この廃炉コストは、おそらく何百兆円となるだろう。しかもそこに福島第一の処理費用(これはもう天文学的といっていいだろう)ものしかかる。
こうなるともう経済成長どころの話ではない。
いまに生きる日本人は後世までのことまで考えて、この現実を見る必要がある。

今回の総選挙で、原発推進派は脱原発を無責任だと言い、メディアを脱原発を掲げる政党を具体的な道筋がないと攻撃する。

↑の動画斑目サンが指摘する「もの凄く儲かる」「今の路線」とは何か。
それは、常に新しい原発を建設するという前提なのではないだろうか。
日本原電の例を見るまでもなく、原発を廃炉にするだけだと会社は明日にも潰れる。しかし、そこに「もの凄く儲かる」原発の新設がセットになれば、この廃炉コストを吸収できるし「たかがしれてる」と原発推進派は考えていたのだろう(それでも国民負担は免れないが、最終的に彼らは自分たちの死後のことは一切知ったことではない)。

これは考えてみると、ゴルフ場の預託金会員制のようなものだ。

かつてのバブル期、ゴルフ場のデベロッパーはこの制度を駆使してカネを集めまくった。私の会社の先輩でも、まだ土地の造成も終わっていないゴルフ場の預託金会員となった人が何人かいた。その額は500万円。開発会社からは時折、「ここまで出来ました」という写真が送られてくるが、バブル期が終了するとともに、それも少なくる。
結局、そのゴルフ場は「完成」はしたがとんでもないコースで、しかも預託金は帰ってこなかった。何回かプレーしたらしいがまあひどいコースで、しかも預託金をプレーの回数で割ると、1回のプレー代は百万円近いという笑えない話だった。

では、なぜ彼らはそんなものにカネを出したのか。それは、カネ集め→造成→カネ集めの循環が永遠に続くと思っていたからだ。ところが、実際は自分たちが出したカネはそれ以前のコース造成資金に投入されていたのが実情で、それでもさらにまた次のコースの資金が集まれば、自分たちのコースもきちんと完成するのだが、バブルが弾けてこのサイクルが途切れ、話はおじゃんとなった。

原発もこれと同じで、とにかく新たな原発を新設することで、それ以前の原発の廃炉コストを吸収しようとしたのだろう。それゆえ、地球温暖化やらエネルギーの安全保障やらという理屈をくっつけて原発の際限のない増設計画がつくられたわけだが、ひとたびこのサイクルが破綻するとあっという間に電力会社は債務超過になる。
そして福島第一原発の破局事故によって、現にこのサイクルは破綻してしまった。
となれば後に残るのは膨大な負債で、それは最終的に後世の人びとまでを巻き込んだ国民負担となるのである。

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2012/12/03

「小沢体制」を腐すことしかできない日経のお粗末記事

今日の日経朝刊2面(総合・政治)には「未来「小沢体制」で選挙戦 執行部、5人が旧生活 政策も引き継ぐ」という見出しの記事が社説横にある。リードは、

 嘉田由紀子滋賀県知事が結成した新党「日本未来の党」は2日、都内のホテルで衆院選公約と公認候補を発表した。先月28日の結党からわずか4日、公示まで2日しかない状況でつくった急ごしらえの選挙態勢は盤石とは言い難い。準備不足が指摘されるなか、選挙戦は小沢一郎氏が事実上、取り仕切ることになりそうだ。

そして小沢一郎は表には出ないが、幹事長は空席で、「小沢氏は表に出ないが、実質的な幹事長役を担うとみられる。」、「他党は事実上の「小沢体制」に矛先を向ける。」として、以下のように書いてある。

 「未来も小沢氏支配がはっきりしてきた。嘉田氏は選挙用の顔として利用されるだけ」。民主党の菅直人前首相は先月30日、ブログにこう明記した。その上で「小沢氏の『かいらい』でうまくいった例は過去に一つもない」と断じた。自民党の石破茂幹事長も街頭演説で「顔を変えた小沢党が未来だ。そういう政党を支持しますか」と語る。

これには笑ってしまった。なにしろ菅直人は、2010年の参議院選挙で大負けをし、衆参のねじれ解消→政局安定の最大のチャンスを逃した大戦犯だ。つまり、事実は菅直人で「うまくいった例は過去に一つもない」のである。
もちろん、それ以前の代表時代に選挙に少し勝つことはできたかもしれないが、政権を獲ることはまったくできなかった。
そして民主党は前原代表時代に偽メール事件でボロボロになる。それを引き継いだ小沢は2007年の参議院選挙に勝って政権獲得の礎をつくり、2009年の総選挙で政権交代を実現したわけだ。
しかし、小沢自身は検察とメディアが仕掛けた捏造事件によって代表、幹事長の座を追われ、代表の座が鳩山→菅→野田と引き継がれていくうちにどんどんボロボロになっていた。
有権者もそれを知っているから、今回の菅の選挙では、以下の画像のようになる。

2

にもかかわらず、そんな菅のブログをネタにして記事を書くのだから、アホらしいとしかいいようがない。
そもそも選挙を目前にして、そのノウハウを熟知した実力者の手腕に頼るのは、組織論として当たり前のことだ。それがなぜ悪いのか私には理解できない。

石破の「顔を変えた小沢党が未来だ。そういう政党を支持しますか」という問いには、「はい、支持します」と答えるしかない。
なぜなら、小沢一郎の福島第一原発破局事故に対する認識(どれだけカネがかかっても放射能を封じ込め、100万人いるともいわれる被災地域の人たちを移住、避難させるべきだというもの)は、非常に正しいからだ。

一方自民は↓。

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日経のこの記事は「選挙の争点は未来が掲げる「卒原発」か、それとも「小沢体制」の是非か――。他党との攻防は16日の投開票まで続く。」と締めくくられるが、この選挙は同時に「原発、消費増税推進で、前回の総理大臣時代は原発は万全で事故は起きないと断言した「安倍体制」の是非(しかも最後は政権を放り投げた)」、「消費増税、福島第一原発の収束という歴史に残る大嘘をついた「野田体制」の是非」もまた問われている。そしてむしろ「小沢体制」というのは、政策論でもなんでもなく、ただ「好きか嫌いか」という問題でしかない(それはマスメディアの連中が「小沢が嫌」と言ったことが証明している)。

つまり、この記事は全体として小沢を腐すためのものでしかなく、しかも「政治とカネ」というかつての得意ネタは小沢無罪確定で使えなくなってしまったため、残ったネタは「小沢体制」という「問題」だけだったというお粗末な代物だ。もちろん、これは日経だけでなく各媒体とも同様で、マスメディアはこれから「投開票まで」ひたすらこの路線で騒ぐのだろう。

※ちなみにこの記事の下には「首相「最後は自民との戦い」 第三極のブレ批判」という記事もある。「最後は自民と組む」大嘘つきが「ブレ批判」するのは片腹痛いが、それを批判するでもなく書いているこの記事もまたお粗末というしかない。

※本日の関連記事
・誰も通らない裏道(2009/05/08)
小沢関連~日経の「粘着」3連発!

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2012/12/02

嘉田由紀子氏の「再稼動容認発言報道」は、「小沢が嫌」なメディアの捏造

日本未来の党の嘉田由紀子代表が「原発再稼動を容認」というニュースが流れた。
これを見た時には私も「あれっ?」と思ったが、結論から言うと捏造報道だった。

東京新聞

「再稼働今は困難」 嘉田氏 あらためて強調
 日本未来の党代表の嘉田由紀子滋賀県知事は一日、原発の再稼働について「放射性廃棄物の処理が担保されないまま、毎日使用済み核燃料が出ることをどうするのか。今は困難で必要もない」と、認めない考えを示した。都内で記者団に語った。
 これに先立つ民放番組で「原子力規制委員会が安全性を担保し、政府が必要と判断した場合は再稼働になる」と発言し、再稼働容認との見方が一部で出たことに対しては「規制委が安全基準をつくり、(現在の)政府が必要性を判断したら、という手続きの説明をした。誤解を与えたら、おわび申し上げる」と釈明した。
 嘉田氏は安全基準が作成された後の稼働の是非は明言してこなかった。
 今後示す「卒原発」の具体的なプロセスでの再稼働の可能性については、安全面や経済面の上で「そう簡単ではない」と否定的な見通しを述べた。

日刊スポーツ

嘉田知事「再稼働あり得ない」
 日本未来の党代表の嘉田由紀子滋賀県知事は1日、原発再稼働について「今の段階ではあり得ない」と明言した。東京都内で記者団の質問に答えた。これに先立ち民放番組でも「『安全基準があるなら永久に動かしたらいい』というのは理屈として正しそうだが、核のごみは処理できない。私たちはごみをこれ以上、増やさない」と訴えた。
 ただ番組では同時に「原子力規制委員会が安全を担保し、政府が認めれば」とも指摘。政権が判断すれば、再稼働を阻止することは難しいとの認識を示した。この発言について、都内で記者団に「再稼働を容認すると誤解を与えたならおわびする」と語った。(共同)

要するに嘉田氏が言いたかったのは、「再稼動の手続き論はあるが、現実にはこれ以上核のごみは処理できないから再稼動はできない」ということだ。
ところがその前半だけを切り取ってフレームアップする。この編集手法こそマスメディアの得意中の得意技だ。
当ブログではいつも主張していることだが、「事実と真実は異なる」。
ところがメディアは「事実」のみを切り貼りして、あたかも「真実」のごとく報道する。
しかもその際、たとえあとで訂正を出さなければならないとわかっていても、平気でこの手を使うことはよくある。つまり、一度洪水のごとくウソの情報を流して、あとでこっそり訂正しても、すでにこのウソの情報に一般読者はハマってしまうことをメディアの人間はよく知っているのである。
そしてこれを印象操作という。

思い起こすのは2009年の総選挙。
当時は新党日本だった有田芳生氏が東京11区から出馬したが、参議院議員だった田中康夫氏が衆議院に鞍替えして出馬したことで、前回の参議院選挙で新党日本の比例名簿2位だった有田氏に繰り上げ当選の権利がきた。すると有田氏にはまったく取材することなく、関係者の話として(もちろんそんな関係者はいない)「有田さんは衆議院選挙出馬をとりやめて参議院議員になる」とメディアが報じたのだ。
このダメージは大きく、それを打ち消すだけに大変な労力が必要だった。結果的に有田氏は3700差で負けたが、あの捏造報道がなければな、、、と当時は思ったものだった。

今回、嘉田氏の発言は読売系のメディア内で放送されたものだ。
読売は「小沢がイヤ」だから叩くという、ジャーナリズムとしての体をなしていない媒体である。それだけに、今後も選挙終了まで、あらゆる手段で日本未来の党の足を引っ張ろうとすることは間違いない。
十分な監視と注意が必要だ。

・永田町異聞
日本記者クラブの品格とは?

しかし、ホントに「小沢問題」ってなんなのかね。

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2012/12/01

2012年総選挙情報 〜 小沢一郎ラジオ出演、安倍&石原原発推進表明、野田佳彦重複立候補

これから総選挙までは、個人的に気になった情報を当ブログにアップしていきたいと思います。


・田中良紹の「国会探検」
大政局一歩手前の総選挙


・大竹まことのゴールデンラジオ(11月30日) 小沢一郎前衆議院議員出演部分


・東京新聞(12月1日)

安倍氏「原発新設も」 自民総裁 規制委基準満たせば
 自民党の安倍晋三総裁は三十日、本紙などのインタビューで、原子力規制委員会が新たに定める安全基準を満たした場合、原発の新設を認めることもあり得るとの考えを示した。
 安倍氏は、政権復帰した場合、今後三年間再生可能エネルギーの導入に向けて最大限努力する姿勢を強調する一方、「イノベーション(技術革新)による脱原発依存が、なかなか進まないことも起こり得る」と指摘し「最新の技術をつぎ込み、非常に安全な場所に(新たな原発を)つくるのがいいか、当然検討すべきだ」と述べた。
 既存の原発の再稼働は「国民に選ばれた議員で構成する政府が判断すべきだ」と述べた。
 消費税増税については、来年秋に実施するかどうかを最終決定する際、「デフレが深く進行し、好転の兆しがみられないなら、当然(税率を)上げない」と明言した。
 旧日本軍の従軍慰安婦をめぐる政府の強制性を認めた「河野談話」見直しについては「急ぐものではない。有識者の知恵を借り、中身も時期もこれから検討する」と述べるにとどめた。九月の党総裁選では、強制性を否定する新たな談話を出す意向を示していた。


・毎日新聞(12月1日)

党首討論会:石原維新代表ちぐはぐ 「原発消滅、見直す」
 日本維新の会の石原代表は30日の党首討論会で、「原発は30年代までにフェードアウト(消滅)する」との方針を見直す考えを表明した。維新は29日に発表した衆院選公約「骨太」の付属文書の「政策実例」に盛り込んだが、石原氏は「それは違う。公約は直させた」と主張。重要政策でちぐはぐさを露呈した。
 石原氏は記者から「フェードアウトは意に沿わないのか」と問われ、「フェードアウトってどういうことか? シミュレーションして原発をトータルで考えていく」と強調。記述を修正する考えも明言した。
 公約策定にあたり、石原氏ら旧太陽の党側は「30年代」の削除を主張していた。だが橋下徹代表代行側の浅田均政調会長が28日夜、「橋下氏が石原氏と話して決める」と引き取り、政策実例に格下げしたうえで押し込んだ。そのうえで「フェードアウト」の対象は「既設」に限定し、新設は認めるとも受け取れる表現にした。維新の松井一郎幹事長は30日、「橋下氏と石原氏が発表した。党としての決定だ」と見直しを否定した。
 また、石原氏は政権獲得時の首相候補について「(旧太陽出身の)平沼(赳夫・維新国会議員団代表)君を推挽(すいばん)したい」と述べた。橋下氏は街頭演説などで、石原氏を首相にしたいと述べており、ここでもズレが出た。


・産経web(12月1日)

埋没した首相 崖っぷち、自らも重複立候補
 30日の党首討論会で野田佳彦首相(民主党代表)は見せ場を作ることができなかったばかりか、発言の機会は少なく埋没気味となった。その存在感のなさはまるで野党の党首。今回の衆院選では、首相自らが「復活当選」が可能となる重複立候補に踏み切ることも同日、判明した。民主党は確実に野党転落への道を歩んでいる。
(中略)
 求心力の低下に歯止めがかからない首相は、自らの選挙戦さえも苦戦を覚悟したのだろうか。地盤の千葉4区に加え、比例代表南関東ブロックとの重複立候補することになった。現職首相の重複立候補は極めて異例だ。
 野田首相は、政権与党の党首としてどころか、一人の政治家としても崖っぷちに立たされている。


↑に対する三宅雪子候補の連続ツイート。

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原発は憲政史上最大の争点である

11月29日の日経朝刊を見ていたら、『「国土」喪失。なぜ日本は領土を守れないのか』という本の発売広告が出ていた。日本の領土を守るための「国家」危機管理のノウハウが書いてあるらしい。
現在、東京電力福島第一原子力発電所が撒き散らかした放射能によって、日本の広大な地域が喪失されつつあるので、てっきりこの問題に取り組んだ書籍なのかと思ったら、「尖閣諸島、竹島、北方四島……。いま日本の国土が喪われようとしている」とあり、「日本国民よ、いますぐ目を覚ませ!」と書いてある。
この著者には「お前が目を覚ませ!」と言うしかない。

日本未来の党が誕生以降、「原発だけが争点なのか」という意見があるが、私に言わせれば原発は憲政史上最大の争点である。
なぜならば、福島第一原発の破局事故は日本の歴史始まって以来最大の事故であり、世界史的にもチェルノブイリと並ぶ大事故であるからだ。しかも福島の場合はまだ収束すらしていない(野田佳彦がついた大ウソといえば消費税ばかりが取り上げられるが、もっと罪が重いのは福島第一原発の収束宣言で、これほどのウソというのはちょっとなかなかお目にかかれないと私は思う)。

この処理にいったいどれだけのカネがかかるのか? また原発を運転する限り出てくる放射性廃棄物はどの場所にどのような形で建設してどのように保管するのか? また狭い国土に所狭しと並ぶ原発の廃炉費用はどのぐらいになるのか?
今後の日本経済を議論するにしても、ここにかかるコストを無視しては意味がない。

東京電力は早くも福島第一の負担が大きすぎるから税金を投入して欲しいと言い出しているが、そもそもこの破局事故だけでもきちんと賠償しようとすれば、東電が何度倒産しても、日本が破産してもカネは足りない(京都大学原子炉実験所・小出裕章助教)のであって、さらにトータルで原発の処理コストがどのぐらいになるのか見当もつかない。

朝日新聞は「未来の党―脱原発の工程を示せ」(11月29日社説)、読売新聞は「日本未来の党 「卒原発」には国政を託せない」(同日)というが、だったら朝日は原発推進勢力に放射性廃棄物処理、廃炉の処理方法とコストについての具体的考えを問うべきだし、読売新聞はその問いに答える必要がある。

原発はトイレのないマンションだ。どんなに素晴らしい内装であってもトイレがなければ暮らせない。にもかかわらず、なぜそんなものを50基以上もつくってしまったのか。
それはあの斑目サンも言っているとおり、ものすごく儲かるからである(↓2分30秒あたりからその発言があるが、この動画は是非最初から見ていただきたい)。

だが、トイレのないマンションをつくれば当然、製造物責任が出てくる。ところが原子力ムラの連中でその責任を問われた人物は一人もおらず、破局事故の際の証拠はすべて犯罪者である東電が握っているのだから驚くべき話だ。

そして今現在、本来、日本の法律に従えば放射線管理区域にして無人にしなければならない面積が東北から関東にかけて2万平方キロメートルあり、そこに住んでいる人は1000万人に達するのではないかと小出裕章氏は言う。汚染地帯に残れば被ばくをし、必ず健康被害を受ける。

それが日本の現状である。
これだけ悲惨、かつ不条理をもたらした原発が総選挙の最大の争点になるのは当然のことだ。

私は原発推進を公言する政党やメディアは徹底的にそれを主張すればいいと思う。そして反対する勢力もまた徹底的に反論すればいい。
それをやればやるほど、これまで国民が知らなかった原子力発電の実態が明らかになり、誰が言っていることが正しいのか、ウソなのかがハッキリするのだから。

ちなみに安倍晋三は総理大臣時代に、「原発は万全の態勢を整えている」と国会で答弁している。当然、その責任は厳しく問われなければならないし、安倍はこれについてきちんと説明する義務がある(以下はくろねこの短語さんのエントリーから拝借)。

吉井英勝:冷却系が完全に沈黙した場合の復旧シナリオは考えてあるのか
安倍晋三:そうならないよう万全の態勢を整えているので復旧シナリオは考えていない
吉井英勝:冷却に失敗し各燃料棒が焼損した場合の復旧シナリオは考えてあるのか
安倍晋三:そうならないよう万全の態勢を整えているので復旧シナリオは考えていない
吉井英勝:原子炉が破壊し放射性物質が拡散した場合の被害予測や復旧シナリオは考えてあるのか
安倍晋三:そうならないよう万全の態勢を整えているので復旧シナリオは考えていない

これまで原発問題はマスメディアの高度な情報操作によって隠されてきた。
結果、残念ながら福島第一原発の破局事故が起きてしまったが、その代わりにパンドラの箱はついに開いたのである。

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