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2012/12/31

一世代享楽主義はいつまで続くのか?~ 2012年の○と☓

私は昨年の○と☓で、「今年は人生49年でもっともひどい年であった」と書いたが、今年はそれをさらに上回るひどい年だった。

それは福島第一原発破局事故の収束がまったく不明であるにもかかわらず、多くの人びとの関心が薄れ、なかんずく再び原発推進に舵を切る政権ができたからだ。これはつまり、日本で再び原発の破局事故が起きる確率が上がったことを意味する。

29日に福島第一原発を視察した安倍晋三は「民主党が掲げた2030年代の原発ゼロの目標について記者団に「希望の段階では直ちに政策になっていかない。責任あるエネルギー政策を進める」と述べ、見直しを視野に検討する考えを示し」、「安全神話の中で原子力政策を推進してきた反省のもと、我々は大きな責任を背負っている。廃炉に向け、できる限りスピードアップをしたい」(いずれも日経)と言ったそうだ。

「責任あるエネルギー政策を進める」のなら、きっと「1万年後、10万年後まで“美しい日本”であり続けるための責任ある高レベル廃棄物処理案」をお持ちなのだろう。まずはそれをお聞かせ願いたいものだし、「安全神話の中で原子力政策を推進してきた反省」をするなら、まずは2006年、自身総理大臣時代の自らの答弁の責任を自分で語るべきだろう。

吉井英勝:冷却系が完全に沈黙した場合の復旧シナリオは考えてあるのか
安倍晋三:そうならないよう万全の態勢を整えているので復旧シナリオは考えていない
吉井英勝:冷却に失敗し核燃料棒が焼損した場合の復旧シナリオは考えてあるのか
安倍晋三:そうならないよう万全の態勢を整えているので復旧シナリオは考えていない
吉井英勝:原子炉が破壊し放射性物質が拡散した場合の被害予測や復旧シナリオは考えてあるのか
安倍晋三:そうならないよう万全の態勢を整えているので復旧シナリオは考えていない

また「廃炉に向け、できる限りスピードアップしたい」とは具体的にどのよう方策をとるのか? 現状では福島第一の1号~3号炉で溶け落ちた核燃料がどうなっているかはまったくの不明であり、これを取り出すことは至難の業だ。いったいそれをどうやってスピードアップするのか? 是非、これまた自分の言葉に責任をもって説明していただきたい。

ということで、原発推進に針を戻す安倍政権に☓。

また、このような安倍政権を誕生させてしまった、前政権、なかでも野田佳彦に最大限の☓。
およそ野田こそは、史上最低の総理大臣であると私は思う。
2009年の総選挙ではマニフェストに書いてあることしかやらないとウソをつき、自らが政権をとると消費税を増税。この行為は、民主主義国家における政権交代の意味をぶち壊し、国民の政治不信を最大限に高めたという意味で、第一級の犯罪である。

・参考リンク
小室直樹のデモクラシー講座

おそらく今後、2009年のような政権交代の熱気というのは、簡単には起こらないだろう。そうしてしまったすべての責任は野田佳彦にあるが、実はそれこそが野田に課せられたミッションで、故にこの男はこれだけ民主党を破壊したにもかかわらずメディアから批判もされず、自らも恥じ入るところがないのだと私は推測している(これについてはいずれ)。

日本未来の党分裂の件で、相変わらずメディアは小沢一郎を「壊し屋」と書き立てているが、野田こそが超弩級の壊し屋である。が、もう少し敷衍すると、そもそも民主党は、ニセメール事件で前原がぶち壊した後、小沢が建て直し、そして野田がまたぶち壊した。そうしてみると松下政経塾というのは、政・財・官・メディアの既得権益集団に対抗する勢力が出てきた時のための破壊者養成機関なのかもしれない。

しかし、野田に関して言えば、この消費税増税のウソよりもさらに罪が大きいのが福島第一原発の収束宣言という大ウソで、これは歴史に残る。なにしろ現在進行形で続いている史上最大の破局事故を前にして、「収束」とのたまったのだがら大ウソもここに極まる。
この消費税増税と福島第一原発収束という二大ウソに比べれば、「近いうちに解散」などというのはまったくもって大したウソではなく、そもそも総理大臣は解散についてはウソを言っていいとこれまでさんざん言ってきたのはマスメディアである。

ところで、年末の総選挙で、なぜ原発は大きな争点にならなかったのか。
それは国民にとって原発より経済、景気が大事だったからということになっている。
そして、メディアはしきりに安倍政権によって経済が上向くかのような言説を煽っている。

しかし、である。たとえ安倍政権のとる施策によって経済の指標がたとえ多少上向いたとしても、それは一時的なものに過ぎないと私は思う。
なぜなら、福島第一原発の破局事故というのは「東京電力が何度倒産しても、たとえ日本が破産しても足りないほうどの被害」(京都大学・小出裕章助教)をもたらしたのであって、いったい収束までにどれだけのカネがかかるかまったくわからないからだ。
東京電力もそのことはわかっている。だから、補償についてはできる限り何もしないという姿勢を貫いているわけだが、それでもカネが足りないから税金を投入してくれと言い出している。これが人類が経験したことのない破局事故の破壊力であると思う。

では、なぜマスメディアはそれをきちんと伝えないのか。
それは本当のことを伝えると、マスメディアも大変なことになるからだ。
私は今年の秋から日経(電子版)の購読を数年ぶりに再開した。その紙面を見ていてまず何よりも驚いたのは、広告の質が日経といえども下がっていたことだ。
広告というの当たり前の話だが、経済状況が悪化するれば悪くなる。
そしてNHKをのぞくほとんどのマスメディアにとって、広告収入が経営の生命線であることを考えると、経済状況がこれ以上悪化するのは全メディアにとってもよろしくない。

そうしたなかで、「福島第一原発の収束にいくらかかるのか、いつまでかかるのか、さっぱりわかりません。日本の法律をきちんと守るならば関東から東北にかけての広い地域を放射線管理区域にしなければならず、そこで暮らしている人たちは移住しなければなりません」などと本当のことを伝えれば、あっという間に日本経済は大変なことになる。
だったら、そういうことは伝えないことにしようのが、現在のマスメディアの状況だ。
ということで今年も大方のメディアに☓。

ただし、このツケはいずれ必ず来る。
なにしろ、福島第一の処理は何十年もかかる一方で日本の少子化はどんどん進む(出生率にも破局事故の影響はいずれ必ず出るだろう)。原発は永遠に稼働できるものではない以上、いつかは必ず廃炉にしなければならないが、このコストがいくらなのかもしわからない。放射性廃棄物の最終処分地はどこにもない。
したがって、原発問題は将来世代を確実に、かつ非常に苦しめる。
にもかかわらずこの問題を直視せずに先送りして、自分たちの暮らしぶりのことだけを考えるのはエゴという他はない。
かつて55年体制時代の社会党が非武装中立を唱えると、自民党は一国平和主義の平和ボケと批判したものだが、その言葉を借りれば、現在の日本は「一世代享楽主義」の「享楽ボケ」である。

すっかり長くなってしまったので、以下、それ以外の○と☓を簡単に。

まず小出裕章先生にお目にかかって一晩、話をうかがうという贅沢な時間を過ごせたことに○。

健全な法治国家のために声をあげる市民の会による検察審査会への申立の議決がまだ出ないことに☓。
ただし、この結論は来年には必ず出るので、是非とも注目してください。

中日ドラゴンズに☓。落合博満を追い出してうまくいくはずがないのはわかっていたが、それでも今年はまだこれまでの貯金で勝負できたが、来年以降、どんどんチームのタガは緩んでいくがろう。

浦和レッズに一応○。まだまだ本当の力はついていないが、来年は久しぶりのACLが楽しみ。

kindlefireHDに○。
これまでタブレットはiPad2を使用していたが、kindlefireHDを購入以降、外出するときにはKindle、仕事はiPadということになってきた。サイズがいいこと、そして音がいい。ちょっとしたメールチェック、facebookはこれで十分。あと映画鑑賞にも結構いい。

AMラジオは今年も「伊集院光深夜の馬鹿力」「久米宏ラジオなんですけど」に○。
久米宏の相方である堀井美香アナに◎。この人のラジオにおける弾け方はすごい。

吉田照美ソコダイジナトコに○。来春から吉田照美氏は夕方になってしまうそうだが、ちょっと残念。
ちなみに文化放送の朝はフジテレビ出身のアナウンサーがやるそうだが、テレビの人がラジオでうまくいくとは限らない。

ほとんどテレビは見ないのだけど、「梅ちゃん先生」に○。なかでも木村文乃に◎。

今年はあまり落語を聴く機会はなかったが、地元で独演会をやってくれた柳家小三治師匠に○。

母校のラグビー部に、村田亙氏(前7人制ラグビー日本代表監督)が就任したこと、そのポジティブさに○。今年はまだ体力作りの年だったけど、来年以降、必ず強くなるでしょう。

今年も残すところあと11時間あまり。
みなさま良いお年を!


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コメント

皆様あけましておめでとうございます
野田氏がシリアの自衛隊の皆さんを順次帰国してもらって我が家でお正月を迎えることができるようにしてくれたそうです。心から明けましておめでとうございます。無上の聖賢仁徳を御顕しになる畏れ多くもいとかしこき今上陛下の御心が野田氏をご薫陶たもうて君子豹変なされたのでしょうか、いずれにしても日本に新たなる平和憲法を守る君子政治家が生まれたこととあわせて今上陛下のおん御代に新たな御栄光が初日の出と共に地球に訪れたことをわが大君の辺にこそ死なむ一寸の通りがけ五分の大和魂のあらん限りを捧げまして心よりお慶び申し上げます。

投稿: 通りがけ | 2013/01/01 09:21

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