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2012/10/24

暴力団と付き合っていた法相の後任が、年だから辞めたかった前法相になった理由

外国人からの献金や暴力団との交際が発覚して法務大臣を辞任する田中慶秋の後任は、前任者の滝実なのだという。この滝というのは6月の内閣改造で法務大臣に就任したが、今回の改造前に「僕自身はもう年なので、できるだけ外してもらった方がいい」といった人物だ。

滝法相「もう年なので外して」 74歳、在任4カ月弱

そもそもこの滝実の法相就任の経緯は、その前任者である小川敏夫が6月の改造で更迭されたことによるものだった。では、なぜ小川元法相は更迭されたのかというと、これはどう考えても、「陸山会事件」の虚偽捜査報告書問題に対する検察の捜査に対して指揮権発動をしようとしたことと無関係ではないだろう。

指揮権発動を首相に相談 陸山会事件をめぐり小川法相 「(了承得られず)残念」

・八木啓代のひとりごと
小川 敏夫 前法相 退任記者会見(抄録)

陸山会の政治資金収支報告書虚偽記載事件は、もはや東京地検特捜部による捜査報告書虚偽記載事件(検察が虚偽の捜査報告書を検察審査会に提出して、検審の議決を起訴に誘導した事件)に形を変えている。
これに対して健全な法治国家のために声をあげる市民の会が実行者である田代元検事を始めとして検察幹部を次々に刑事告発していったが、そのいずれもが嫌疑不十分、嫌疑なしで不起訴(したがって現在は検察審査会に申立中)。

ところが一方で、検察の犯罪を裏付ける関連文書がネット上で公開され、もはや事実は動かせなくなってしまった。そこで小川元法相は、「これだけ検察に対する不信が高まっているのだから、いい加減な幕引きをするな」という意味で指揮権発動をしようとしたのである。
きわめて真っ当な意見だと思うが、当時マスコミは社説などで一斉にバッシングし、時期を同じくして行われた内閣改造で小川は更迭されてしまった。

・「慎重さを欠く「指揮権」発言」(6月6日付 日経社説)

 小川敏夫前法相が退任記者会見で、在任中に検事総長に対する指揮権発動を検討していたことを明らかにした。野田佳彦首相の了承を得られず、見送ったという。
 指揮権発動を検討したのは、小沢一郎民主党元代表が強制起訴された陸山会事件で、捜査報告書に虚偽の記載をした検事が市民団体から告発された問題。近く不起訴となる見込みのこの検事の起訴を促そうとしたとみられる。
 検事総長への指揮権発動は捜査への政治介入を招きかねず、歴代法相は極めて抑制的に対応してきた。小川前法相がどのような判断材料をもとに指揮権発動を検討し、その影響をどの程度考えていたのか不明だが、退任時に、検討した事実だけを突然持ち出すような軽い話ではなかろう。慎重さを欠いた発言といわざるをえない。
 検察庁法では法相は検察官を一般的に指揮できるが、個々の事件では検事総長のみを指揮する。捜査への政治的影響を防ぐと同時に、検察の暴走を防止する狙いだ。
 過去に発動されたのは1954年の造船疑獄の一度だけ。当時の犬養健法相が佐藤栄作自由党幹事長の逮捕見送りを指示した。その結果、捜査は頓挫し、世論の強い批判を受けた内閣も総辞職へと追い込まれた。
 もちろん必要があれば指揮権は発動されてもおかしくない。だが小沢元代表をめぐる捜査、裁判はこれまでも政治的色彩を帯び、混乱をきたしてきた。ここで指揮権発動の検討話を明かす意図は何だったのか。虚偽報告書の捜査徹底が目的なら、指揮権を持ち出すまでもなかったのではないか。
 こうした形で政治につけ入る隙を与えている原因は検察の側にもある。大阪地検特捜部による捜査資料の改ざんなどの不祥事で、検察の信頼は失われたままだ。
 虚偽報告書問題では、国民が納得できる処分と、その判断にいたった十分な説明、さらに再発防止への取り組みが不可欠だ。自浄能力を示すことができなければ、検察の信頼回復は一段と遠のく。

そして、その後任として登場したのが滝実だ。滝は法務検察の思惑通り、指揮権発動などまったくやる気はなく、田代元検事らの不起訴処分などをいとも簡単に容認した。
ついでにいえば、たった数ヶ月の在任期間中、これまた法務省の思惑通りに死刑を執行するという、官僚にとってはまことにありがたい無能大臣であった(小川も死刑は執行している)。

今回、野田政権は、そういう人物を「経験者を起用して堅実さを優先」「法相経験者で政策通の滝氏の再登板で混乱を早期に抑えたい狙い」(いずれも日経記事)との理由で起用するのだという。だったら、ヤル気のあった小川元法相を再登板させればいいわけだが、絶対にそこには行かずにまったくヤル気のない前法相を再登板させるのだから、どこまでも国民を舐めきった政権というしかない。

私はこの滝という人物や、あるいは野田政権の面々を見ていると、ある人が昔教えてくれた「WTI」という言葉を思い出す。「WTI」とは「Well Trained Incapability」の略で、「よくよく訓練された無能力者」という意味。
官僚にとって抜群に使い勝手がいいのがこのタイプなわけだが、その「WTI度」が歴代でもっとも高いのが野田政権ではないだろうか。

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