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2012/10/18

池内タオル株式会社
~ 東京電力とは真逆の経営理念を持つ「正しい会社」

今回は久々のラジオネタを(当ブログは元々は政治や原発、メディア問題だけでなく、ブログ主が聴いたラジオの感想などを好き放題に書きなぐっていたのです)。

先週土曜日(12日)の久米宏ラジオなんですけどのゲストコーナー「今週のスポットライト」に、今治市にある「池内タオル」社長の池内計司氏が出演した。
これが大変に面白く、かつ興味深い内容だったので紹介したい。

この池内社長は、池内タオルの二代目。
元々は一橋大学を卒業して松下に入社してテクニクス(かつての松下のオーディオブランド)で12年間オーディオ開発をした後に退社(池内氏はテクニクス・ブランドがなくなってしまったことを大変に残念がって「僕にちょっとお金さえあればブランドごと買い取ったのに」と言っていた)。家業を嗣ぐことになった途端に父君が急逝されたという。

タオル産業というのは、そもそもOEM生産がメイン。したがって、池内タオルもさまざまなデザイナーズ・ブランドのライセンス生産が主力だったそうだ。
しかし、それだけだとアジア勢のコスト競争に打ち勝てないので、自社ブランドを立ち上げることを決意して「IKT」ブランドを設立した。その際のモットーは、

・最大限の安全
・最小限の環境負荷

2つ

「最大限の安全」については、まずオーガニック・コットン(遺伝子操作のなされた種子を使わず、3年間無農薬で育てる)を使用。というのも、綿花というのは食べるものではないので、野菜ではやってはいけない遺伝子操作や農薬使用などが全部やり放題なのだそうだ(枯葉剤も使われているとのこと)。
私はこの話を聞いて「なるほどナ」と思った。
官民あげてコスト第一主義に凝り固まっているこの国では、そもそも食料に対する規制も非常に緩いものだが、さらにやりたい放題となったら、これはわれわれが知らないだけで相当すごいことになっていることは間違いない。
それが巡り巡って国民の健康を害している。ただし、その因果関係を証明することは不可能なので、結果、やりたい放題になるわけだ(ここらへんは原発と同じ構造)。
とはいえ、私にも子どもが2人いて、幼児時代は野菜を中心に食料品にはそれなりに気をつかったが、まま口にするタオルの安全性についてまでは考えもしなかった、、、

「最小限の環境負荷」については、自社で使用する電力を100%風力発電の売電という形で秋田県(能代発電所)から購入。その電気で作られるゆえに、IKTのタオルは「風で織るタオル」と呼ばれている。
といっても、秋田から今治まで送電しているわけではない。能代発電所の発電コストは1キロワットあたり12円。だが東北電力は8円でしか買ってくれないので、その差額の4円分を負担することで、環境負荷分のコストが池内タオルのものになる。
したがって、池内タオルは四国電力(この会社は原発依存率が高い)に電気代を支払い、さらに能代風力発電所に4円のプレミアムを払っているのである。
で、これは久米宏も驚いていたが、このような形で通常より高い電気代を支払うことになった途端、社内で使用する電気の量が40%減ったのだそうだ。というのも、当然のこととして、通常より2割高い電気を買う分をそのままコストに転嫁するわけにはいかない。したがって社員全員でエレベーターに乗らない、あるいはできるかぎり電気を消すといった節電を実行した結果がこれ。
地道な努力をすれば、それだけの節電を実現できるという実例がここにある。

こうして出来上がったタオルは2002年にニューヨークで賞を受賞。その後、2003年初頭の小泉純一郎が総理大臣の施政方針演説で池内タオルのことを触れたり、久米宏のニュースステーションが特集で取り上げたことがきっかけで熱烈な顧客(社長は「IKTマニア」と呼んでいる)を開拓しつつあった。ところがその矢先に卸売先の倒産のあおりを食って連鎖倒産。10億の借金を背負いこむことに。

ところが、この池内社長の凄いところは、ここで会社の売上げの99%を占めていたライセンス生産の事業を捨てて、1%しかなかった「風で織るタオル」一本に絞って会社の再建を決意するところ。
幸いなことにほとんどすべての債権者の同意を得て、以来8年、自社ブランド一本で頑張った結果、見事に会社は立ち直り、かつては1%だった売上げが、現在は倒産前にほぼ戻ったそうだ(倒産時には一般ユーザーから「タオルを何枚買えば、会社が助かりますか?」という問い合わせも殺到したという)。

企業にとって、もっとも重要なことは儲けることである。しかし、それと同じくぐらいか、あるいはそれ以上に重要なのは、いかなる企業理念を持っているかということだ。
かつて本田宗一郎さんは、カネを儲けるために自動車を作ったわけではない。もちろんカネ儲けもしたかったろうが、それ以前に「エンジンは必ず人を幸せにする」という信念があった。ゆえに本田さんはあれほどまでにクルマ作りに熱中したのである。そしてその理念が今日も本田という会社を支えている。

一方、東京電力を始めとする電力会社は(沖縄電力をのぞく)ただひたすら自分たちのカネ儲けだけを追及し、今の自分たちさえ良ければ、国民の生命、あるいは後世のことなど知ったことではないという考えで原発を推進してきた。その結果として起きたのが、福島第一原発の破局事故である。

100%安全なタオルを、できる限り環境負荷を抑えて作る。
それは素晴らしい企業理念であり、それが正しかったゆえに池内タオルは倒産から立ち直った。
こういう経営者がいて、しかもそれを支持する多くのユーザーがいるのだから、日本もまだまだ捨てたものではない。

※ちなみに聴取率調査週間の今週、「久米宏ラジオなんですけど」のプレゼント企画は、この池内タオルのタオルです!

池内タオル会社案内

・ブログ
『風で織るタオル』社長の部屋

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