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2012/09/27

速報! ~ 健全な法治国家のために声をあげる市民の会が新たな告発状を最高検に提出

健全な法治国家のために声をあげる市民の会(代表・八木啓代)は、本日、新たな告発状を最高検察庁に提出し、また東京第1検察審査会に「審査申立事実の補充申立書」を提出し、その後、司法記者クラブで会見を行いました(この映像はIWJより公開されます)。
とりあえず、本日提出した告発状を当サイトでもアップいたします。

最高検察庁あて「告発状」(2012年9月27日)

東京第1検察審査会あて「審査申立事実の補充申立書」(2012年9月27日)

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2012/09/25

「プロメテウスの罠」の見当違い ~ 環境省と津田大介氏の対立は広告制作上の問題でしかない

9月21-23日の朝日新聞朝刊の連載「プロメテウスの罠」に、「はてな」に掲載された津田大介氏のPR記事に関する取材記事が掲載された。
この件については、畏友、「ざまみやがれい!」氏のサイトにfacebook経由の私のコメントも掲載されているが、過去にこの問題については自分でもエントリーを書いているので、ここで「プロメテウスの罠」に関する感想を、再度、書いておくことにする。
 まず、この記事の冒頭部分を引用する。

 ジャーナリストの津田大介は、今年2月16日、博報堂から下請けしたネットサービス会社「はてな」から、広域処理のPR記事をネットに書くように依頼された。
 依頼の主な内容はこうだった。
「がれき処理のげっ場や環境省の担当職員を取材する」
PR記事であると明記する
「うそは書かない」
取材経費と原稿料は、はてな側が支払う」
 環境省への批判を交えてもいいといわれ、津田は引き受けた。ツイートについては依頼はなかった。

この記事を書いたのは吉田啓という記者であるが、おそらく広告業界のことをまったくご存知ないのだろう(実際のところ、新聞記者や編集者にはハナから広告を馬鹿にしている、あるはいまったく無知である人は少なくない)。

まず、この記事は最初から表現が間違っている。「博報堂から下請けした」と書いてあるが、正確には環境省が博報堂を介して「はてな」にタイアップ広告を発注したのである。
これは以前のエントリーでも書いたが、「はてな」はブックマークニュースのスペースで、タイアップ広告をセールスしている。

株式会社はてな タイアップ事例集

このセールスシートの上段を見ていただきたい。はっきりと「記事広告タイアップ企画」と書いてある。
「はてな」の広告担当は、このセールスシートを持ち歩いて代理店などを営業に回っていたわけで、それが環境省の目にとまり、広告を受注することになった。つまり、きわめて真っ当な営業活動の成果であって、別に下請けをしたわけではない。

逆にこの記事を書いた記者に聞きたいが、では朝日新聞や朝日新聞出版で受けている多くのタイアップ広告は「下請け」なのか? そうではないだろうし、もしこの記者がそう思っていて、自社の広告担当に「お前らはどうせ下請けだろう」などと言ったら、広告担当者は全員激怒するだろう。「誰のお陰でお前の給料が出ているのか」と。

話を記事に戻すと、次に注目すべきは「PR記事であると明記する」という部分だ。つまり、「この記事は広告ですよ」と明記することで、きわめて当たり前の条件である。
たとえば、みなさんも手持ちの雑誌をパラパラとめくっていただきたい。その中に、「PRのページ」などと表記されているページがあると思う。これは、つまり「このページは記事ではなくて広告ですよ」ということを知らせるためのクレジットである。
編集記事と広告ページを区別することは大事なことで、だからこのようなクレジットを入れているのだ。

※注 ただし、近年はこのPR表記をせずにタイアップを掲載することも多い。つまり「記事のようにしか見えない広告」もあるのだ。これを「ノンクレジット・タイアップ」と呼ぶが、何を隠そう、私は広告営業時代、自分の担当する媒体でノンクレジット・タイアップを売りにしてセールスして歩いた。

「取材経費と原稿料は、はてな側が支払う」というのも、カネの流れを考えれば当たり前のこと。
クライアント(環境省)は広告掲載料(グロス)を広告代理店(博報堂)に支払う。そこからマージンを抜いた掲載料(ネット)を代理店は媒体社(はてな)に支払うのである。

※クライアントが代理店に支払う総額を「グロス」、そこからマージンを抜いて媒体社に支払う金額を「ネット」と広告業界ではいう。

おそらく「はてな」では、通常の広告掲載料金+取材費、津田氏への原稿料を含めた金額を提案し、なにがしかの金額でクライアント、媒体社の双方が折り合ったのだろう(あるいは広告掲載料金のみかもしれないが、どちらにしろ、津田氏へ支払われるギャラは、その料金からであって、「はてな」が別口で出すわけではない。こんなことは当たり前のことである)。

と、まあここまで書けばおわかりの通り、あの津田氏のはてなブックマークニュースの記事は、環境省をクライアントとした、タイアップ広告なのだ。

さて、このタイアップ広告は前編は首尾よく3月29日に掲載されたが、4月上旬に掲載予定とされた後編が実際にネットに登場したのは、6月8日だった。その間、「はてな」から掲載が遅れている旨の追記があったが、私はすぐに「揉めたな」とわかった。

以下は私の推測のまた推測だが、おそらく津田氏はこのPR記事という体裁が完全な広告であるという認識が薄かったのだと思われる(ここらへんは「はてな」の説明不足だった可能性もある)。ところが前編の掲載後にそれがわかり、後編については必死に広告原稿からの脱却(=環境省への批判を強める)をはかろうとしたのだろう。
であれば、揉めるのは当然のことで、何しろ環境省側は完全な広告だと思っているのだ。そして、この環境省の認識は正しい。
21日の「プロメテウスの罠」の締めくくりはこう書かれている。

 環境省廃棄物・リサイクル対策部は、津田と「はてな」の担当者に記事の書き直しを求めた。環境省の担当職員はつぶやいた。「PR記事なのに、なんでこんなことを載せなければならないのか」

これは当然のつぶやきだろう。なにしろこれは広告なのだから、媒体側がクライアントの要求を聞かなければならないのは当たり前のことで、朝日新聞の広告局においても日常茶飯に行われていることである(ま、この会社の広告部はいまだに殿様商売をしているのかもしれないが)。

ところが、続く22日の「プロメテウスの罠」は以下のように始まる。

 ジャーナリストの津田大介が、博報堂を通じて依頼された広域処理についてのPR記事執筆は、注文主の環境省から書き直しを求められた。
 批判もOKということだったので広域処理への異論も盛り込んだ。それがひっかかった。

21日付の冒頭でも「批判を交えてもいい」という条件があったと記載されている。それはそうだろう。
なぜなら、環境省のこの広告での狙いは、批判的な文脈がありつつも、津田氏が文章を書くことで、全体的な方向として広域処理は必要だという方向へ世論を持って行こうというものだからだ。
そして、この観点から見た場合、前編の原稿は実はなかなか出来がよく、環境省の意図した通りのものだったと思われる。

しかし、批判を交えてもいいといっても、あくまで広告なのだからNGワードに触れられては困るのも当然のことだ。
お断りしておくが、私は環境省が正しい主張をしているというのではない。しかし、広告という構図の中では、クライアントの意向を汲まないわけにはいかないのである。
「津田は批判部分を残そうと粘り、交渉は2カ月続いた。」(22付締めくくり)そうだが、私に言わせれば広告というものがわかっていないライターがグズっただけのことで、だったら最初からこんな話は受けなければいい。

最終的に、この後編は「環境省の言い分を加え」つつ「環境省への批判は残した」(23日付)とのことだが、これはクライアント的にギリギリ譲歩できる線で落ち着いたということである。

23日付の「プロメテウスの罠」では、こういう経緯の「はてな」問題と並べて、「たとえば環境省は、今回の取材にも条件をつけてきた。」と書いているが、広告とジャーナリズムはまったく別のものであって、朝日の取材と「はてな」の広告を同列に扱うこと自体、話が違う。

その朝日の取材では、細野豪志に対する取材の記事を事前に見せろと環境省がいい、これに対して記者は「新聞は官報ではない。全発言の掲載や事前検閲など問題外だ。」と勇ましい。
ま、当たり前の主張だが、二点だけ指摘しておく。
まず、津田氏の原稿に対する環境省の言い分は、事前検閲ではなく、広告原稿のクライアントチェックであるということ。
もう一つ、「新聞は官報ではない」というセリフは自社内で、記者クラブの発表情報を垂れ流している同僚に言いなさい。特捜部検事のリーク情報、東京電力の発表情報をただただ垂れ流しているのは新聞社自身であり、これぞ官報以外のなにものでもない。

話を元に戻そう。
はてなブックマークニュースにおける環境省と津田氏のトラブルは、ジャーナリズムをめぐる問題ではない。
タイアップ広告の制作進行上で起きた問題だ。そして、この種のことはタイアップ広告を作るうえではきわめてよく起こる。
つまり、この件から唯一の教訓を学び得るのは広告営業マンだけで、しかしてその内容は「タイアップ広告における事前の打ち合わせ、ライター選びはしっかりやらないといけない」という当たり前の事実だけである。

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2012/09/13

石原伸晃の「サティアン」発言について

11日、12日と大阪へ行き、京都大学の小出裕章先生にお目にかかってきた。
そのことについて書きたいと思っていたのだが、バタバタしているのでそれは次の機会に回すとして、石原伸晃の「福島第一第一サティアン」発言について。

これは、もう正真正銘の問題発言であって、石原伸晃は「クズ野郎」というしかない。

少し前に鉢呂吉雄が経産大臣になった直後、「放射能をつけちゃうぞ」と発言したとマスコミが大騒ぎし、結果、鉢呂は早々に大臣を辞任することになった。

・当ブログ
「鉢呂叩き」という情報操作

ところがこの「放射能をつけちゃうぞ」発言というのがそもそもメディアのでっち上げだったことが、今になってわかっている。にもかかわらず、メディアは全社一丸となって鉢呂を袋叩きにしたのだ。

一方の石原伸晃は、TBSの番組でしゃべっているのだから、この発言は疑いようのない事実である。

いやしくも野党第一党の総裁選に名乗りを上げ、当選すれば次期衆議院選挙の結果次第では総理大臣にもなりうるという人物が、このような発言をするのは、好き嫌いという枠をこえて、愕然、いや慄然とするしかない。

マスメディアは、この鉢呂どころではない発言をもとに、徹底的に石原の資質を問うべきで、それこそがメディアの仕事というものだろう。
もしそれをしないというのなら、これもまた悪質な情報捜査である。

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2012/09/11

本日、「9.11小出さんと温泉だら飲みオフ」開催
当ブログ主も参加します!

本日、19:00より「9.11小出さんと温泉だら飲みオフ」が開催されます。

詳しくは↓
・ざまあみやがれい!
>「9・11小出さんと温泉だら飲みオフ」開催! 小出裕章さんとブロガーが、原発事故とネットについて語り尽くします!

私もこの会に参加するべく、ただいま会場に到着しました。
USTREAMでの中継もあるのですが、なんとカメラ4台! それも4台の映像をすべて流すのではなく、スイッチャーで切り替えていくという本格ものです!

ま、私なんぞは末席に座りますが、個性の強い面々が集合しておりますので、是非、ご覧ください。

なお、この中継中は、私もtwitter(@kappaman)を流しております。

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2012/09/07

もし、細野豪志が総理になるなら、試されるのは日本人自身である(追記あり)
+お知らせ

細野豪志の民主党代表選出馬が取り沙汰されている。
現時点では朝日が「見送る方向」と書き、読売は「出馬の意向」と書いていおり、どうなるかは予断を許さない。
ただ、次期総選挙で惨敗必至と言われ政党としては(とくに候補者)、とにかく選挙に有利な代表を選びたいという意識があるのは当然で、となれば野田<細野ということになるのだろう。

少し前、テレビかラジオのニュースで、アナウンサーがさらりと、まるでもうそれが既定事実であるかのごとく「国民的人気の高い細野氏が、、、」と言っていた。
私は瞬間的に「その根拠はなんなんだよ」と思ったが、普通にこのニュースを聴いている視聴者は、「細野=国民的な人気」という何の根拠もない情報を「そんなものかな」と刷り込まれることになるわけで、実に巧みな印象操作である。

しかし、では政治家としての野田と細野は何が違うのか?
福島第一原発の破局事故は収束したと、閻魔大王も腰を抜かすウソをつき、福島、及びのその周辺地域の人びとのことなど一つも顧みずに原子力ムラのパペットと化しているという点については何も違わない。
野田は原子力規制委員会の人事を国会の承認なしに自らの一任で決めるらしい。
民主主義もヘッタクレもない、なりふり構わぬ原子力ムラに対する忠誠ぶりだが、細野とてこのスタンスに変わりはない。

そうしたなかで私が怖いなと思うのは、細野が民主党代表→総理大臣→総選挙勝利となったケースだ。
霞が関や原子力ムラにとって、現状、野田民主党ほど使いやすい政権はない。しかし、次の選挙結果がどうなるかわからない。
そうしたなかで、メディアが風を吹かせて細野総理で民主党中心の政権を継続させれば「細野の政策が承認された」ということになる。
これは恐ろしい事態だと思う。

木下黄太氏は本日更新のブログの冒頭で「細野環境相⇒細野民主党代表⇒細野総理になるのなら、この国は行きつくところまで行ったということになる。」と書いている。

私もまったく同感だが、さらに言えば、細野が総理大臣になった場合、試さられるのは有権者である国民自身だろう(橋下のケースもすでにそうだが)。
次の総選挙は福島第一原発の破局事故後、初めて行われるものだけに、霞が関や原子力ムラは死に物狂いの勝負を仕掛けてくるはずだ。当然、メディアもその意向に沿った「風」を吹かすだろう。
その「空気」に惑わされることなく、きちんと真贋を見抜くことができるか。
まさに日本人が試される局面だが、個人的には甚だ悲観的にならざるを得ない。なぜなら、日本人というのは、世界一、言論操作に弱いから。

※田中康夫「にっぽん改国」(9月6日付)
(下線強調部分はブログ主)
********************
「チェルノブイリ事故後、ウクライナでは健康影響を巡る訴訟が多発し、補償費用が国家予算を圧迫した。そうなった時の最終的な被害者は国民だ。日本という国が崩壊しないように導きたい」。
8月26日付「毎日新聞」掲載の、山下俊一日本甲状腺学会理事長の“呆言”です。「国民の安全を保証する」よりも「行政の面子を優先する」トンデモ“誤用”学者です。
「放射能の影響はニコニコ笑ってる人には来ません。クヨクヨしてる人に来ます。これは明確な動物実験で判っています」と「3・11」直後に講演した彼は、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーとして県内の子供の甲状腺検査を「差配」しているのです。8月30日、その御仁が副学長を務める福島県立医科大学で開催された「私的懇談会」終了後に細野豪志環境大臣は、来年度から福島県民を対象に「ゲノム=全遺伝子情報」解析調査に着手、と語りました。
翌31日、県内の子供からDNAを採取し、「通常と異なる塩基配列や遺伝子の異常を見付ける」経費を来年度予算の概算要求に盛り込み、「被曝が人間の遺伝子に与える影響について調べる」と環境省は発表します。
平均年齢10歳の県内の子供の3割以上に甲状腺異常=嚢胞が発見されているにも拘(かかわ)らず、「政府としてしっかりと(福島に)向き合っていく。遺伝子の調査は直ぐに不安の解消には繋がらないかも知れないが、人間の根源的な遺伝子を調べる事で将来への予防になる」と胸を張る細野“二股番長”は即刻、霞が関から程近い虎の門病院で、オツムの思考回路をX線CT検査すべきです。
喩(たと)えたなら、洪水の危険性が高い地域にも拘らず、即時実施可能な住民避難も堤防補強も家屋移転も敢えて怠り、数十年後に完成予定のダム建設に向け多額の調査費を計上するが如き。実に本末転倒です。彼も又、「国民の安全を確保する」よりも「業界の利権を優先する」トンデモ“二股大臣”なのでした。
静岡県三島市が選挙区にも拘らず、福島と並んで原発銀座の福井で後援会「福井・豪志の会」が発足、と9月2日付「福井新聞」に意味深な記事が掲載されました。「将来、党代表選に出馬する際には応援する態勢を作りたい」と「設立総会には企業の役員、市議、発起人の後援会関係者ら約120人が出席」しています。電力業界のディープ・スロートが以前、「物心両面で支援したくなる人物だ」と僕に囁いたのを想い出しました。
********************

<<<追記>>>
その後、細野は民主党代表選出馬を見送るというニュースが流れた。
本人的には伸るか反るかの大勝負を今回は避けつつ、しかし将来の総理候補としての価値は十分に上がったのでそれで十分ということだと推察する。
いずれにしろ、どこかでまた細野待望論が出てくる可能性は十分にある。


──── ! お 知 ら せ ! ────

来る9月11日の夜、複数のブロガー、ライター、ジャーナリストが、京都大学の小出裕章先生を囲んでひと晩、話を聞くという会が催されます。
この模様はUSTREAMで生中継され、またアーカイブもされる予定です。

参加予定者は

ざまあみやがれい!さん
日々坦々さん
@動画さん
たむごんさん
ジャック・どんどんさん
おーちゃんさん
本間龍さん
小野原雅夫さん
鹿島潤さん

といったメンバーで、当ブログ主も参加いたします。
詳細は順次、お知らせいたしますが、お時間があれば、是非、ご覧ください。

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2012/09/04

『検察崩壊 失われた正義』とクーデターに加担したメディアの責任

『検察崩壊 失われた正義』を読んだ。

東京地検特捜部の虚偽公文書作成事件とは、元々は2009年3月、東京地検特捜部がでっち上げた小沢一郎(当時・民主党代表)に対する西松事件に端を発する。
この事件は公判の途中で、検察側の証人が検察の構図を否定して吹っ飛ぶという驚くべき展開を見せたが(ただしこれについて時間を割いて詳しく報道したマスメディアはなかった)、それでも懲りない東京地検がさらにでっち上げたのが小沢一郎の資金管理団体である陸山会の政治資金収支報告書虚偽記載事件だった。
この事件名だけを書けば何やらおどろおどろしいが、要するに収支報告書のちょっとした記載ミスで、訂正すればいいだけの事案であり、実際、他の多くの政治家の事務所はそのようにして対応していた。
ただ金額が4億円で、そのなかに水谷建設からの裏金5000万円が入っているのではないかという見立て(妄想)を検察はしたわけだ。が、これについてはまったく根も葉もないくことで(ただしこの件についても検察から検審へ渡った捜査報告書のなかに「小沢側が5000万円を受け取ったのは間違いない」という記述がある)、「虚偽記載」に関する小沢の関与も含めて、さしもの検察も不起訴にせざるを得なかった。
ところが、それでもあきらめなかった(というか最初から起訴できないことはわかっていた)検察は、検察審査会制度を利用して、法律に素人である検察審査員に小沢を起訴させようと目論見、まったくインチキの虚偽捜査報告書を特捜部長が陣頭指揮して作成、これを検察審査員に見せることでまんまと起訴へと持っていったのである。
これは本来ならば完全犯罪となるはずだったが、石川議員が一回目の検審議決の後の再捜査の中で受けた事情聴取をICレコーダーで録音していたことから問題が発覚、日本の法治国家としての根幹を揺るがす検察の一大疑獄へと発展した。


「陸山会」土地購入事件 石川知裕被告... 投稿者 w5656100

そこで健全な法治国家のために声をあげる市民の会が、この捜査報告書を作成した田代政弘元検事やその上司にあたる特捜部長らを告発したけれども、最高検はすべて不起訴にし、デタラメの報告書を出して頬かむりをしたのである。

同書の各章は郷原信郎氏と小川敏夫(前法務大臣)、石川知裕(衆議院議員)、大坪弘道(元大阪地検特捜部長)、八木啓代(健全な法治国家のために声をあげる市民の会代表)の各氏との個別対談から成り立っている。
その一つひとつが驚きに満ちているが、個人的にはとくに郵便不正事件で犯人隠避で逮捕された大坪氏の話が興味深かった。というのも、大坪氏を逮捕した論理がすべてブーメランのように最高検に戻ってきているからだ。

さて、しかしこの本を読んでいる間中、私の頭の中を支配していたのは検察の犯罪とは別に「メディアの問題」についてだった。
同書の中で八木氏はこう言っている。

 私の視点でお話しします。日本で、歴史的な政権交代が二〇〇九年にありました。日本の場合は大統領制でなく、衆議院で一番多く議席をとった政党の代表が総理になるという形をとりますから、あの時点で、もし西松建設事件での検察捜査がなかったら、民主党が政権をとった段階で、おそらく小沢代表が総理になっていたのは間違いないと思います。それが喜ばしいことか、小沢氏が好きか嫌いかという問題は全く別として、民主主義の下で、選挙で民主党が選ばれた以上、代表の小沢氏が総理になるというのが当然です。
 ところが、検察の捜査によってそれが阻まれてしまった。しかも、この検察の捜査自体に非常に大きな問題があったということになると、これは私の見方からすれば、クーデターです。
 日本でそういった視点を持っている方はあまりいないと思いますがこれはどう考えても、日本という国で検察が起こしたクーデター、民主主義が踏みにじられた問題です。これが許容されるということになると、検察はこれから気に入らない政治家に対していくらでも起訴立件を試みることによって、本当に、思い通りに政治を動かすことができる。逆に政治家の方も、それを恐ろしいと思ってしまうと、絶対、検察に逆らうことができなくなってしまいます。日本の検察の起訴有罪率は、世界的に見れば信じられないほど高い九九・七%という高率ですから、これは行政が、司法と立法を完全に支配しているという状態です。
(太字下線はブログ主)

私の視点も八木氏とまったく同じなのだが、にもかかわらず日本のメディアは、このクーデターの当事者である検察のリーク情報を2009年3月の「西松事件」以来、徹底的に垂れ流してきた。

2009年3月5日の当ブログエントリー
・小沢秘書逮捕報道~いま問われているのはメディア自身である

東京地検特捜部にしても、このメディアの全力バックアップによる世論操作がなければ、この無理筋の捜査をここまで展開することはできなかっただろう。
つまり、マスメディアは東京地検特捜部と一体化してクーデターへの道を驀進したのであって、これはまさに戦時中の大本営発表垂れ流しと同じレベルの犯罪だ。。

もちろん、さしものマスメディアも最後の最後にきての最高検の不起訴処分に対しては批判的である。

・2012年6月29日 朝日新聞社説
検事の処分-国民の不信がふくらむ

これは朝日の社説だが、毎日も、読売も、日経も、なんと産経までが同様の社説を掲載している(詳しくはこちらへ)。
それはそれで結構なことだが、しかしでは、「国民の不信がふくらむ」ばかりの検察と一体化して「小沢一郎=悪」という“風を吹かせてきた”のはどこの誰なのか? それについて省みることはないのか?

一方で朝日は小沢が民主党を離党して新党を結成した時、「小沢新党-「人気取り」がにおう」という社説のなかで、「小沢氏は政治資金をめぐる刑事裁判の被告である。一審判決は無罪だったが、国会や国民に対するいっさいの説明責任から逃げ続けている。」と書いた。検察審査会の起訴議決をめぐってこれだけ問題が噴出しているにもかかわらず、依然として「刑事裁判の被告」というレッテル貼りはやめないのである。

また、これは昨日のことだが、突然、わが家のポストに販促と称して産経新聞が投げ込まれた。

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東京新聞購読者にとっては余計なお世話としかいいようがないが、どれどれと思って紙面を見てみると、社会面に「小沢氏系団体を提訴 都内不動産業者 手数料3300万円未払い」という記事があった。大したこともないクソ記事だが、さらに続く解説記事は以下のようなものだった。

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なんといまだに「西松建設の偽装献金事件では、」などと書いて、見出しに「西松事件」などと入れているのだ。

現在、健全な法治国家のために声をあげる市民の会では、田代政弘元検事を虚偽有印公文書作成及び行使と偽証、佐久間達哉元特捜部長、木村匡良元主任検事を虚偽有印公文書作成及び行使の共犯で、検察審査会に申し立てている。
陸山会事件では、素人相手に虚偽の捜査報告書をでっち上げて小沢を起訴に持って行こうとした検察は(そもそも本来、検察は起訴できなかったのだから、何故起訴できなかったかを説明しなければならない)、今回はこの、誰が見ても犯罪としかいいようのない虚偽報告書記載事件を、何故、検察は起訴しなかったかを全力で素人の検察審査員相手に説明するのだろう。

結果、起訴議決が出るのか不起訴議決が出るのか──。
現状ではまったくもって予断を許さないが、もし起訴議決が出た場合、マスメディアは枕を並べて検察批判を展開するのだろう。
しかし、では彼ら自身の責任はどうなるのか?
検察のクーデターに加担したマスメディアは「社会の木鐸」どころか、ただの戦犯である。その点について「国民に対するいっさいの説明責任から逃げ続け」ることは、もはや許されない。

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