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2011/11/23

立川談志師匠の訃報に接して

立川談志師匠がご逝去されたとのこと。
心よりご冥福をお祈りいたします。
私が師匠の姿を拝見したのは、昨年12月26日の「年忘れ 市馬落語集」のゲスト出演が最後でした。
ご体調が悪いとの噂は耳にしていましたが残念という他はありません。

↓今にして思えば夢のような昭和の大天才の共演。

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2011/11/22

「赤文字系雑誌」衰退という世相

久しぶりにABC協会による雑誌の調査部数を見た。本年の上半期(1月〜6月)のものである。
紙媒体にとっては厳しい時代のなか、今年の前半は東日本大震災と東京電力福島第一原発の破局事故があったわけだが、それでも健闘して部数を伸ばしている雑誌もある。これは本当に大したものだと思う。
一方でもちろん部数を落としている雑誌もある。

そんななかで私の目を引いたのは、いわゆる赤文字系雑誌の部数減だ。ちなみに赤文字系というのは、JJ、Cancam、ViVi、Rayなど20歳前後の女性をターゲットとしたファッション誌を指す。
私が勤務していた光文社は、JJをベースとして、これを卒業した読者にCLASSY.(30前後のOL層)、さらにVERY(30代の子どもがいる主婦層)、STORY(40代の主婦層)、HERS(50代の主婦層)と各年代別に雑誌を用意している。つまり、若い層にブランドを叩き込んで消費を煽り、それをどんと上に引っ張っていく作戦である。
これは自動車で言えば「いつかはクラウン」をキャッチフレーズにカローラ、コロナ、マークⅡ、クラウンというラインナップを作り、カローラで得たユーザーをそのまま囲い込んだ、かつてのトヨタのようなマーケティングだ。
しかし、JJは9年前、絶好調でダントツトップを独走している時に編集長を交代して以来、転落の道を辿る。50万部近くあった実売部数はあれよあれよという間に落ち、Cancam、ViViに追い抜かれ、ついにはるか後方にいたRayにも抜かれてしまう(というかRayはマイペースで走っていただけだが、JJがどんどん落ちてきて、あっという間にRayの後ろへ行ってしまったのであった。このJJについては、それだけで本が一冊書けてしまうような話なので、いずれまとめることとしたい)。
このJJと入れ替わってトップに立ったのがCancamだ。蛯原友里、押切もえ、山田優などの人気モデルを擁して、大ズッコケしたJJを抜き去り、アッという間にトップに立つと快進撃を開始、絶頂時には70万部以上の発行部数がほぼ完売ということもあったほどである。
もちろん、広告の状況も多少のタイムラグはあるものの、部数と軌を一にする。JJからはどんどんクライアントが去り、Cancam、ViViへと流れていった。
しかし、このCancamの独走も長くは続かず、やがて部数が落ち始め(Cancamの派生雑誌としてAnecanを出したということもあるが)、やがてViViがトップになる時代が来る。といってもViViはCancamのように爆発的に部数を伸ばしたわけではなく、安定した部数を維持していたら、JJやCancamが勝手に浮き沈みをしていっただけなのだが、とにもかくにもViViがトップに立った(Sweetは外して書いてます)。

――と、これが昨年、私が会社を辞めるあたりまでの情勢だった。ちなみに、昨年の上半期(1-6月)の実売はViViが32万6,000、Cancamが21万2,000(この落ち方も凄い)、Rayが12万2,000、そしてJJが11万1,000である(ただしJJのこの数字は特殊事情(※注)によるもので、実際の平均的な実売はもっと低かった)。
そして、昨年の下半期(7-12月)はViViが30万2,000、Cancamが19万3,000、Rayが10万7,000、JJが8万6,000となっている。
で、今年の上半期は、、、

ViVi 25万1,000(前期比83%)
Cancam 14万8,000(前期比76%)
Ray 11万4,000(前期比106%)
JJ 7万6,000(前期比88%)

かろうじてRayが前期(2010年下半期)を上回っているが、そのRayにしても、昨年の上半期の部数は下回っている。そして、ViVi、Cancamの落ち方が激しく、Rayからすると、しばらく前までその姿すら見えなかったCancamが完全に視界の中に入っている。

この数字の推移をどう解釈すればいいのだろうか。
一つには単純に紙媒体離れに歯止めがかからないということがあるだろう。しかし、一方でそれだけでは説明し足りないとも思う。
わが家にも大学4年の娘がいる。彼女は入学したての頃はCancamを読んでおり、私が会社から持ちかえるJJにも一応、目を通していたようだ。しかし、しばらくしてパッタリ両誌とも読まなくなった。
親戚から「大学の入学祝いに何を欲しいか」と聞かれた時には、某ブランドのバッグなどと答えていたが、その後、ブランドに関心があるようにも見えない。
この間、世の中で何が起きたかと言えば、リーマンショックであり、そして東日本大震災と東京電力福島第一原発の破局事故である。
もともと、現在の大学生というのは、バブル崩壊後に生まれた、元号で言うならば平成世代で、1995年には阪神大震災、2001年にはアメリカの同時多発テロも経験している。
つまり高度成長ともバブルともまったく縁がなく、成長するとともに国内外のさまざまな苦難、事件、混乱に遭遇しているわけだ。しかも、その少なからぬ部分は、国内的に言えば昭和のツケである。
さらに、東京電力福島第一原発が撒き散らかしている放射能の影響は今後も止まるところを知らず、どんなに政府や東電がウソをつこうとも、彼らの人生において、本来なら楽しかるべき20代、充実すべき30代、40代、そして老後にいたっても深刻な影響を与えることは間違いない(もちろん、彼らに続く世代にとってもこれは同様である)。
そういう大変な時代を生きなければならない世代が、急速に昭和的な経済重視、あるいはカネ、モノ(ブランド)重視の価値観から離れているのではないだろうか。
だとしたら、そういう彼らに、昭和世代(なかでも高度成長やバブルの恩恵を受けた世代。以下同じ)はどう対すればいいのか。
少なくとも、それでも昭和的な価値観を押しつけるのは根本的に間違いだろう。なにしろ、今日の国難をもたらした最大の原因は昭和世代のエゴイズムにあるのだから。
京都大学の小出裕章助教は放射能で汚染された食材について、これからは40禁、50禁という表示をして、この食材は40歳以下は食べてはいけない、50歳以下は食べてはいけないというようにすべきだと一貫して主張している。これはつまり、汚染された食材は40歳以上、50歳以上が引き受けるべきだという考え方だが、昭和世代が今すべきことは、このようにわが身を削ってでも後世に残る莫大なツケとリスクを少しでも軽減することだと私は思うのである。

※注 このJJの特殊事情とは、部数低迷が続く中、東方神起を表紙にした号のみが爆発的に売れ、雑誌としては異例の増刷までかかったため、その数字が平均値を押し上げたことによる。

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2011/11/12

TPPの中身を知らない売国奴が日本の首相という悲劇

昨日、野田佳彦はTPP交渉への参加を表明した。
しかして、その直前に行われた参議院予算委員会での佐藤ゆかり議員の質疑の中で、野田がISD条項を「寡聞にして詳しく知らなかった」という事実が判明(↓の19分50秒過ぎから)。
この質疑はネットではすでに昨日から十分に話題になっているが、拡散の意味で当ブログでも貼っておく。

↓はおなじみ、中野剛志氏によるISD条項の解説。

それにしてもーー
政権交代からたった2年で、まさか佐藤ゆかりや↓の村上誠一郎といった自民党議員に「もっとやれ!」と声援を送るようなことになるとは思わなかった。


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志木電子書籍より「風流夢譚」発売のお知らせ

以下は志木電子書籍としてのお知らせです。

昨日、深沢七郎著「風流夢譚」を発売しました。

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書誌情報
書名:風流夢譚
著者:深沢七郎
定価:330円

ボイジャーストア

この短編小説は1960年12月号の「中央公論」に掲載されて以降、海賊版をのぞけば活字化はされておりません。
それは、当時、この小説の皇室表現がきっかけとなり、嶋中事件(当時の中央公論社社長宅でお手伝いの女性が殺され、また社長夫人も大ケガをした事件)が起きるに至ったからです。
今回、志木電子書籍では、この短編小説を電子化いたしました。

東日本大震災による甚大な被害からの復興もなお道が険しく、しかも東京電力福島第一原子力発電所で破局事故が起き、三機の原子炉がメルトスルーし、甚大な放射能による被害が出ているにもかかわらず、被災地以外では表向き、これまでと変わらぬ日々が続く現在の日本。
そうしたなかで、この小説がいかに読まれるのでしょうか?
以下は、この小説の一部分です。

*****
 その夢は私が井の頭線の渋谷行に乗っているところからだった。朝のラッシュアワーらしく乗客は満員だった。客達はなんとなく騒いでいて「今、都内の中心地は暴動が起っている」とラジオのニュースで聞いたとかと話しあっていて、私の耳にも聞えていて、私もそれを承知しているのだった。渋谷の駅で降りて私は八重洲口行のバスに乗ろうとするのだが、何の用事で私は八重洲口に行くのか知らないのだ。これは、夢というものはそんなことまで考えてはいないものだ。バス乗り場の大盛堂書店の前へ行くと、バスを待っている人がずーっと道玄坂の上まで並んでいてしまいはどこだかわからないのである。どうしたことか私はその一番先頭へ立ってしまったのだった。私が変だと思うのはこんな秩序を乱すようなことをふだん私はしないのに、そんなことをして、また、まわりの人達も文句を言わないのはどうしたことだろう。そこで私は立っている間にまわりで騒いでいる話を聞いていると、都内に暴動が起っているのではなく、革命の様なことが始っているらしいのだ。
「革命ですか、左慾(サヨク)の人だちの?」
 と隣りの人に聞くと、
「革命じゃないよ、政府を倒して、もっとよい日本を作らなきゃダメだよ」
 と言うのである。日本という言葉が私は嫌いで、一寸、癪にさわったので、
「いやだよ、ニホンなんて国は」
 と言った。
*****

なお、志木電子書籍では、「風流夢譚」を巡って起きた事件について書かれた本も電子化しております。

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書誌情報
書名:一九六一年冬「風流夢譚」事件
著者:京谷秀夫
定価:350円

ボイジャーストア

また、12月には中村智子著「『風流夢譚』事件以後 編集者の自分史」もリリースいたします。
この二冊の著者は、いずれも1960年当時、中央公論に在籍した当事者の編集者です。

なお、現在、志木電子書籍の刊行物はボイジャーストアのみでの扱いとなっておりますが、12月より、紀伊国屋BookWeb Plus、ReaderStore、dマーケット、他さまざまな書店での販売を開始し、それに伴い、ソニーリーダー、アンドロイドスマートフォン、GALAPAGOSなどでも閲読が可能となります。

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2011/11/07

非常時に普通であることは普通でない 〜 自衛のための暴動も起きない国

ここ最近、何人かの方とお目にかかって、同じようなニュアンスの言葉を聴いた。
ちなみに、その方々は私とは比べものにならないほど見識が高く、話をうかがうたびに勉強させていただいている、そういう方々の言葉。

A氏
「私の周りの外国人は、どの国の人もみんな、『日本人は頭がおかしいんじゃないか』と言ってますよ。これだけメチャクチャなことを国や東京電力がやっているのに、暴動すら起きないいんだから呆れてますよ」

B氏
「国会や政府を間近で見ていると、クーデターでも起きない限りこの国は変わらないんじゃないかと思うよ。この期に及んで何もしないで“焼き肉の会”だかを作って焼き肉ばかり食べに行って、国会ではいびきかいて寝ている議員がいるんだから」

C氏
「原発でこれだけひどいことになって、TPPで暴走して、このままいったら数年後には大変なことになっているだろうな。オレは最近、宮本顕二の暴力革命論というのは、あながち間違いじゃなかったような気さえするよ」

D氏
「中南米あたりで政治や社会がいまの日本のようになったら、間違いなく暴動が起きているね。とっくの昔に東京電力のトップは殺されて首でもさらされてるだろうし、それ以外の社員だって東京電力の人間だと周りの人に知られたら怖くて外を歩けないというような状況になっているはずだよ」

「原発事故の被害者に対する賠償を円滑・迅速に進めるため」という名目で、9000億円の公的資金が東電に投入されのだという。ところが、この会社は冬のボーナスを支給されており、その平均は200万だという。
東京都が受け入れた瓦礫の処理をするのは、東電の子会社。焼け太りである。そのことを東電は認めたが、記者会見で質問した記者は東電から締め出された。
東日本には、福島を中心に日本の法律をあてはめれば放射線管理区域になる地域が多数あり、それは千葉、埼玉、東京にまで及ぶ。本来、そこで人は生活してはならない。にもかかわらず、この現実に対して政府は無視を決め込んでいる。それどころか、福島では今週末に女子駅伝が行われるのだという。
これからの日本を背負う若者が高線量の地域を走る、つまり息を深く吸い込みながら駆け抜けるのである。狂気の沙汰とはこのことだろう。
私はこれまでそんなことは一度も思ったことはなかったが、第二次大戦中に学童疎開を当時の政府というのは、今の政府よりもなにがしかマシだったと思うようになった。

一方、やらせメールで大揺れの九州電力では、トラブルで停止していた玄海原発を再稼働した。その根拠は、事故の再発防止策をまとめた報告書を国が「おおむね妥当」だとしたからだそうだ。
福島であれだけの事故が起きながら、再稼働をするにあたっての基準は「完全」ではなく「おおむね」でいいというのである。
その九州電力のやらせメール問題。郷原信郎氏が中心になってまとめた第三者委員会の最終報告書の作成に参加した委員の一人は、なんと今になって自分で記者会見を開いて「九電が知事をかばおうとする行為は人であれば立派な人格。一般市民の目から見れば、信頼するに足る企業ということ」とのたまった。この人物は東洋英和女学院の教授だという。

TPPについては、もはやその交渉参加が日本にとってなんの国益ももたらさないことは明々白々だ。
当初はTPPとは農業問題に矮小化されていたが、実はそうではない。それはすでに明らかにされたが、私はあえて農業にこだわると、相変わらず「日本の農業は甘やかされている。バラマキの最たるものだ。日本の米は高い」などという言説をふりかざす輩がいる。私は以前から不思議に思うのだが、それだけ“甘やかされたオイシイ産業”だというのなら、なぜ就農人口はドンドン増えないのか。
農業への甘やかしはケシカランという人物に限って、電力料金が世界に比して高いこと、東京電力ほど甘やかされている企業はないことは指摘しない。
ついでにいえば、自動車産業がなぜ日本でこれほどに発展したかと言えば、国を挙げてこの産業をバックアップしたからである。

前エントリーでも中野剛志氏がブチ切れている動画を紹介したが、なぜ私がこの動画を貼り付けたかといえば、中野氏が怒っているからである。
公共の電波でああいう態度は良くないという意見ももちろんある。
しかし、これだけメチャクチャなことが目の前で展開されて、それでも怒らないのはむしろ心がどこか壊れているとしか私には思えない(あるいはドMか)。

その昔、日本社会党は憲法第9条の解釈として、非武装中立を主張していた。これに対して政府自民党の側は、自衛権はあると主張した。つまり、他国が攻めて込んで来た時には、こちらも丸腰でいるわけにはいかないのであって自衛のために戦う権利はあるというである。
私は、自衛隊というのは、田中康夫が言うように国際救助隊的な機能を持つ組織にするべきだと思うけれども、少なくとも自民党政権時代も、そして民主党による現政府も自衛のための戦争をする権利はあるという立場にある。
結果、自衛隊は大規模な軍事力を持つ軍隊となった。
だったら、政府や東京電力による暴行に対して自衛のための暴動を起こす権利もあるんじゃないの?と私は思う。
実際のところ、現状、日本で暴動が起きるとはとても思えないが(つまりそれだけ国民は飼いならされているわけだ)、しかしもう少し真剣に怒らないと後世に残る禍根はひたすら拡大していく一方であるーー。

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