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2011/11/12

志木電子書籍より「風流夢譚」発売のお知らせ

以下は志木電子書籍としてのお知らせです。

昨日、深沢七郎著「風流夢譚」を発売しました。

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書誌情報
書名:風流夢譚
著者:深沢七郎
定価:330円

ボイジャーストア

この短編小説は1960年12月号の「中央公論」に掲載されて以降、海賊版をのぞけば活字化はされておりません。
それは、当時、この小説の皇室表現がきっかけとなり、嶋中事件(当時の中央公論社社長宅でお手伝いの女性が殺され、また社長夫人も大ケガをした事件)が起きるに至ったからです。
今回、志木電子書籍では、この短編小説を電子化いたしました。

東日本大震災による甚大な被害からの復興もなお道が険しく、しかも東京電力福島第一原子力発電所で破局事故が起き、三機の原子炉がメルトスルーし、甚大な放射能による被害が出ているにもかかわらず、被災地以外では表向き、これまでと変わらぬ日々が続く現在の日本。
そうしたなかで、この小説がいかに読まれるのでしょうか?
以下は、この小説の一部分です。

*****
 その夢は私が井の頭線の渋谷行に乗っているところからだった。朝のラッシュアワーらしく乗客は満員だった。客達はなんとなく騒いでいて「今、都内の中心地は暴動が起っている」とラジオのニュースで聞いたとかと話しあっていて、私の耳にも聞えていて、私もそれを承知しているのだった。渋谷の駅で降りて私は八重洲口行のバスに乗ろうとするのだが、何の用事で私は八重洲口に行くのか知らないのだ。これは、夢というものはそんなことまで考えてはいないものだ。バス乗り場の大盛堂書店の前へ行くと、バスを待っている人がずーっと道玄坂の上まで並んでいてしまいはどこだかわからないのである。どうしたことか私はその一番先頭へ立ってしまったのだった。私が変だと思うのはこんな秩序を乱すようなことをふだん私はしないのに、そんなことをして、また、まわりの人達も文句を言わないのはどうしたことだろう。そこで私は立っている間にまわりで騒いでいる話を聞いていると、都内に暴動が起っているのではなく、革命の様なことが始っているらしいのだ。
「革命ですか、左慾(サヨク)の人だちの?」
 と隣りの人に聞くと、
「革命じゃないよ、政府を倒して、もっとよい日本を作らなきゃダメだよ」
 と言うのである。日本という言葉が私は嫌いで、一寸、癪にさわったので、
「いやだよ、ニホンなんて国は」
 と言った。
*****

なお、志木電子書籍では、「風流夢譚」を巡って起きた事件について書かれた本も電子化しております。

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書誌情報
書名:一九六一年冬「風流夢譚」事件
著者:京谷秀夫
定価:350円

ボイジャーストア

また、12月には中村智子著「『風流夢譚』事件以後 編集者の自分史」もリリースいたします。
この二冊の著者は、いずれも1960年当時、中央公論に在籍した当事者の編集者です。

なお、現在、志木電子書籍の刊行物はボイジャーストアのみでの扱いとなっておりますが、12月より、紀伊国屋BookWeb Plus、ReaderStore、dマーケット、他さまざまな書店での販売を開始し、それに伴い、ソニーリーダー、アンドロイドスマートフォン、GALAPAGOSなどでも閲読が可能となります。

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