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2011/03/02

原発広告とメディアの関係

私は普段からテレビをあまり見ないので、お笑いというものには疎いし、そもそもほとんど興味はない(落語は別)。そんななかで「浅草キッド」については、時々、伊集院光のラジオにゲスト出演しているのを聴いて悪くない印象を持っていたのだが、、、

2月中旬から、中国電力が上関原発(建設計画が発表されてから30年近くがたっている)の工事を強行しようとして、反対派の住民の抵抗が続いている。その様子はUSTREAMでも生中継され、私も時間がある時には見ていた。
当ブログでは再三再四表明しているが、私は原発には断固反対であって、およそ電力会社ほどのタチの悪い企業というのはないと思っている。
で、まあ、今日は原発の是非論について書くつもりはないので本題に入ると、、、

昨日、コンビニで「週刊現代」を立ち読みした。
私は週刊誌に限らず、雑誌を見るときには広告営業時代のクセで、どうしても先に広告に目がいってしまう。まず表2、表3、表4(いわゆる特殊面)の広告銘柄をチェックし、それからパラパラと中の広告を見る。
今週の週刊現代の特殊面は相当に厳しく(これは他の男性週刊誌もまったく同様だが)、また中面の広告も媒体社が望むような金額がとれていそうな銘柄は一つだけという印象だった。
そんななか、目についたのが「浅草キッドが行った!見た!聞いた!! 原子力発電所最前線」と題された東京電力のカラー3ページのタイアップ広告で、内容は浅草キッドの二人が柏崎原発を見学に行って所長と対談するというものだった。しかも2号連続企画とのことである。

雑誌の広告営業にとって、タイアップ広告を作る仕事は非常に大事、かつ面倒くさい。雑誌広告はただでさえ厳しい状況だが、さらに近年、クライアントのタイアップ志向が強い。つまりクライアント自身が製作した純広告(媒体社は極端に言えば、指定された条件通りに印刷すればいい)を出稿するのではなく、それぞれ雑誌にあった1回限りの記事風のタイアップ広告を出稿する傾向が強くなっている。
その場合、あるクライアントでタイアップが決まると(その前段階で他社との企画提案合戦に勝たなければならないが)、まず、広告代理店を間に入れてクライアントと打ち合わせをする。その打ち合わせをもとに、ページを実際に作る担当者(その雑誌の編集者であったり、タイアップを作る専門の部署の担当であったり)にラフを描いてもらい了解を得る。OKが出たら取材、撮影をする。そしてタイアップページを作り、それをクライアントにチェックしてもらい、直しを入れてもらう。そのやり取りを何回かした後に校了、発売となるわけだが、この過程にトラブルの種がゴロゴロ転がっており、コトが最初から最後までスムースに進むことはまずない。しかも、雑誌が発売された後も大トラブルが勃発することすら少なくないのだから、タイアップ広告というのは媒体社の広告営業マンにとってまことにストレスの多い代物だ。
そんなタイアップ広告の仕事のポイントの一つは起用するタレント、モデル選びである。
女性ファッション誌であれば、その雑誌の専属モデルを使う、使わない、、、という話になるわけだが、この週刊現代のようなケースでは、まずどのタレントを使うか?というところから話をしているだろう。
ちなみに、私の感覚では「浅草キッド」というのは尖ったところのある芸人だけに、通常の広告に起用する場合はリスクが大きい部類のタレントに入ると思う。
ただ、このケースではテーマが原発であるので、逆に「こういうタレントでも原発推進派なのか」と読者にアピールすることができ、「浅草キッド」が持つ広告面でのネガティブなイメージを逆手に取ることに成功している。
実際、タイアップの誌面ではスーツを着込んでかしこまった二人が、柏崎原発の所長を相手にヨイショをしまくっており、また水道橋博士は「ボクは原発については危険だと思っていたけど、今日見て安心しました、、、」というようなことも言っていて、クライアント的には満足できる内容だろう。

一方、週刊現代(講談社)の側も東京電力という広告業界では最優良クライアントからの出稿なのだから、金銭的にも満足できる額であることは間違いなく、苦しい広告予算の中、まさに干天の慈雨、東京電力様々だろう。
週刊現代は出版不況のなかで、ここ数年、非常に部数を伸ばしたのだが、その一つの大きな要因は激しい小沢バッシング、あるいは鳩山政権バッシングだった。もちろん他誌も同様だったが、なかでも週刊現代の叩き方には迫力があった。私はその内容には同意しかねるが、しかしとにもかくにもそれで部数を上げたこと自体は大したものだと思う。
しかし、そのように激しく政権を叩く週刊現代も、こと原子力発電についてはもはや何も書けない。電力会社がどんなにデタラメをやろうとも、ひたすらスルーするか、あるいは電力会社の言い分をそのまま載せるかのどちらかしかできないだろう。

ここ最近、雑誌を立ち読みしてみると、電力会社、あるいは電事連の出稿が非常に目につく。ま、単純に他の広告が減っているから目立っているのであって、雑誌に対する出稿金額が増えているのかどうかはわからないが、しかし少なくとも電力会社が雑誌にまだまだお金を投下していることは間違いない(しばらく前には週刊朝日にも出稿していたと思う)。
そしてこれは値崩れが激しい雑誌広告業界にとっては悪くない、、、どころか非常にいい話で、電力会社の出稿がない媒体社は当然、「ウチもあのタイアップを取れないのか? どうやったら取れるんだ?」となるだろう。
こうなってくると、原発を取り巻くさまざまな問題、これこそ本来、ジャーナリズムが取材して掘り起こしていかなければならない問題を広告出稿がない会社までが書けなくなる。

電力会社にしてみれば、雑誌(テレビ、新聞、ラジオも同様だが)に定価で広告を出しても(そのようなクライアントは、もはやあまりいない)、その見返りとして自分たちを批判する勢力を押さえ込むことができ、事故や不祥事が起きた時にも報道を都合のいいようにコントロールできるのならば、これはお安い投資といえるだろう。しかも、浅草キッドのような、ちょっと危ない芸人も、こういう形でお金を渡せば、原発をネガティブなネタに使うことは絶対にないし、他の芸人も「ああいう仕事もあるのか、、、」と意識するかもしれない。
一石二鳥とはこのことだ。

そして残念ながら、、、
この電力会社の意図をメディアの側から断ち切ることは不可能である。

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コメント

現実というものが何となく見えてきている。人間は今あるものが現実と認識する傾向にあるが、現実とは仮定された想像力の蓄積である。想像の方向性、その方向性への動的誘導(時代の流れ等)の作用によって現実という場面が出現しうる。
現実のプロデュースが替わることによって如何ようにも現実は作り出される。
残念ながら人類史においては大多数の人々が本来の生活を行うプロデュースは行われていないようである。
日本において、今回の災害(人災を含む)を決起に人類初のプロデュースが可能となる状況が見えてきた。
もう少し人類をみてみたら答えが出てきそうだ。2011.04.09

投稿: 舟 | 2011/04/09 12:18

地位協定と原発即時全面破棄

地位協定ある限り思いやり予算があり、思いやり予算ある限り軍費にめどが立つ米軍は、アフガニスタン、イラクに続き今回も国連を無視して躊躇無くリビアに米国益確保だけを理由に倣岸不遜に軍事介入するであろう。

今回リビアに米軍が軍事介入したら、日本がテロの重要な標的になるであろう。敵の兵站を断つことが兵法の常道だからである。日本が核武装米軍の牧場であることがこの2,3年のネットの発達で全世界の知るところとなったいま、日本列島は米軍の起こす戦争で相手国にとって最重要の軍事目標のひとつであり、軍事攻撃する際にはかつて海上に孤立した島国ゆえに躊躇なく原爆投下実験した米軍と同じく、核攻撃原発攻撃さえも辞さないであろう。

日本列島をふたたび核の炎で焼き尽くしたくなければ、日本国民は直ちに憲法第九条にもとづき日米地位協定を一方的に破棄し即日「非核三原則」を厳正に細大漏らさず日本列島にくまなく施行し、あわせて国内すべての原発を今後廃棄することを全世界に発表すべきである。

いまの日本列島は世界一危険な核の火薬庫なのである。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

日本国内の原発テロ発生の危険性はブッシュの対テロ戦争に小泉が全面的に肩入れしたときから飛躍的に高まった。日本のテロ対策能力はオウム真理教事件以来穴の空いた破れザルの低レベルであることが明らかになったが、それが今日まで行政の怠慢でなんら改善されぬまま続いている。

それなのに現実にテロが発生していないのはひとえに、ブッシュの対テロ戦争の相手国アフガニスタン、イラク、イランはいずれもそれまで日本が友好的通商関係を保ってきた国であったからである。
この三国には親日本の心情を抱く多くの国民が存在するゆえ、対米侵略軍撃退の戦略として米軍の前線補給基地である日本を破壊する軍事作戦の有効性はわかっていても、これまでの日本人の友誼への親近感が対米過激派の日本国内テロ攻撃を抑止する助けとなってくれていた。

しかしリビアとはそのような友誼を通じ合ったという国際関係は過去になかった。ゆえにリビア国民が米英侵略軍を撃退しようと考えたとき日本に対して先の三国のように親近感だけから躊躇自制する要素はほとんど考えられないのであり、目前の敵米軍の兵站をたたくという戦略的有効性だけが日本列島攻撃を加速する可能性のほうが現実に飛躍的に高いのである。

また、米国本土への核攻撃は米国の非常な警戒心からほぼ不可能に近いが、日本列島への攻撃はたやすくしかも駐留米軍は基地以外の日本領土への攻撃は安保条約どおりまったく防御しないから、米軍の前線補給地である日本列島破壊攻撃作戦はいっそう容易な成功が見込めるのである。


こうしてみれば戦後自民党政権が主張してきた「核の傘」とは日本を外国の核攻撃から守るものでは全く無くて、ほんとうは日本列島を核攻撃の犠牲にして米国本土を守るおとりに使う「米国を守る核の傘」だったという、対米隷属戦後日本にとって最大限皮肉な真実が見えてくるのである。

人類にとって常に世界政治とはすなわち戦争であり、戦争とは常に無慈悲冷酷そのものなものなのである。

ゆえにこそ現世界唯一の被爆国である日本国日本列島に住む

「日本国民は直ちに憲法第九条にもとづき日米地位協定を一方的に破棄し即日「非核三原則」を厳正に細大漏らさず日本列島にくまなく施行し、あわせて国内すべての原発を今後全廃することを全世界に向け宣言表明すべき」なのである。

投稿: 通りがけ | 2011/03/04 22:43

原発を無くせば電力不足に陥るから畢竟無駄な電力を食う馬鹿テレビ番組を電源きって誰も見なくなって、一億総賢人化が簡単に達成できる。
コロンブスの卵より簡単なこと。
ネットは太陽電池でも十分だしねw

投稿: | 2011/03/03 22:01

処理不能の事故がすでに起きている (通りがけ)
2011-03-03 06:08:49
原発や核関連施設で事故が起こった国内の実例

>>東海村JCO臨界事故
>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E6%B5%B7%E6%9D%91JCO%E8%87%A8%E7%95%8C%E4%BA%8B%E6%95%85#.E4.BA.8B.E6.95.85.E3.81.AE.E5.BD.B1.E9.9F.BF

この事故後コンクリートで固められたJCOの敷地はどんな再開発もできず再利用できない土地となった。日本の国土が失われたのである。

>>日本原子力史上初の刑事責任
国の役人が責任逃れのために罪の無い現場に刑事責任を押し付け、役人仲間の検察裁判官が冤罪判決で一方的に民間を罰し国の責任を不問にした。
>>http://www.nuketext.org/jco.html

投稿: 通りがけ | 2011/03/03 07:57

民主政権になってから、原発推進が加速している印象があります。党内に原発関係産業の労組から送り込まれている議員がたくさんいます。

投稿: ルーピー | 2011/03/03 00:01

お世話様です。
この書き込みを見たときに様々な要素で廃刊になった雑誌や記事の抗議に屈服した雑誌の事を思い浮かべました。

何といってもホロコーストの件であっという間に広告を引き上げられた「マルコポーロ」、先日亡くなったJRの革マルのボスとも言われた松崎明氏の記事を書いてキヨスクから全部締め出されて屈服した「週刊文春」でしょう。

雑誌を「殺す」には広告の減少と店頭の引き揚げが最も効果的ですから。

前に「NHKスペシャル」で原発の事がやっていましたが、核廃棄物が生まれる事はいうまでもなく、まともな処理方法も決まっていない・役目を終えた原子炉や建物の解体にとてつもない費用や時間がかかる事・そして解体した建築廃棄物も核のゴミとなる事といずれの問題を抱えたまま、世界各国では「クリーンエネルギー」と称して原発ラッシュが続いていることは異常といわざる得ない。いまだに「核のゴミ」はきちんとした処理方法が確立されていないからです。

原発関連と言えば、かつての東芝の子会社「東芝EMI」は、忌野清志郎が「ラブミーテンダー」や「サマータイムブルース」のメロディーに原発批判ソングとして作成したCDの発売を中止にした事はあまりにも有名な話です。それでも清志郎は後に、しっかりと別のレコード会社から発売しましたが、原発の批判に関してはそれくらいの圧力をかけてくるのが現実です。清志郎や「噂の真相」の様な権力や圧力にも屈しない編集長がいる様な雑誌ならともかく、「広告」という重石がのしかかっている限りは雑誌もまた「大新聞」と同じなのでしょう。

投稿: 阿部 裕 | 2011/03/02 17:39

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