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2011/01/13

現場の危機感がトップに伝わらないもどかしさ ~ 民主党両院議員総会を見て思い出したこと

昨日の午後は、USTREAMで民主党の両院議員総会と、その後に行われた岩上安身による森ゆうこ議員のインタビューを視聴した。
この二つの映像を見て、もちろん菅直人以下、民主党幹部には腹が立ったのだが、途中からそういう怒りとは別に、いたたまれない気持ちと、そして既視感が襲ってきた。

両院議員総会では議員が次々に挙手をして発言し、壇上の幹部に自らの選挙区での風当たりの厳しさや国会対策の混迷ぶりを訴えていた。つまり、現場は悲鳴を上げている。
にもかかわらず、幹部連中にはその危機感の本質がまるで通じておらず、結果、彼らが口にするのは現場の感覚とはかけ離れた空論や精神論だった。
だから、総会終了後の森ゆうこ議員のインタビューも、怒りより呆れ、不安、困惑が強くにじんでいたように思う。
そして、私はその気持ちが痛いほどわかった。
というのも、私もまた似たような経験をここ数年、してきたからである。







私は昨年5月末に勤務していた出版社を早期退職したが、直近の7年半は広告営業をしており、したがってこの間に起きた広告環境の激変、パラダイムシフトを営業現場でリアルに経験した。
その原因は、もちろんネットの台頭によるものなわけだが、初期の段階ではここまでネット広告が数字を伸ばすとは、誰も思っていなかった。
私が営業になった頃は、まだ広告代理店にはテレビ局、ラジオ局、新聞局、雑誌局があるだけで、ITメディア局のようなものはどこにもなかった。ところが最初は徐々に、しかしある時期から爆発的にネット広告が成長し、あっという間にラジオ、そして雑誌を追い抜く。
そんななか、主に週刊誌の広告営業をやっていた私は、実は相当に早い段階で「これはヤバいな」と思っていた。
というのも、ネット広告が伸び出した時、クライアントが最初にやったのは、雑誌の、それも週刊誌、なかでも男性週刊誌、さらに言えば写真週刊誌の予算を削ってネットに回すことだったからだ。
とはいえ、最初はそれは一時的なものかもしれないという淡い期待もあった。だが、ネットにシフトした広告予算は二度と雑誌に戻ってくることはなかった。しかもそれは男性週刊誌から女性週刊誌へと波及し、さらに私が勤務していた会社の収益の柱であるファッション誌へも影響を及ぼし始めた。
この段階で、ライバル会社の中には、生き残るための次なる一手を打ち始めた会社もあった。だが、当時、私の勤務していた会社の上層部にはまったくそういう考え方はなく、広告売上が下落トレンドに入ったのはただ単に現場の営業努力が足りないからとしか見ていなかった。それは経営陣ばかりでなく、広告部の幹部も同様で、彼らは「紙媒体は依然として価値がある」と言って、夜な夜なネオン街に消えていったのである。
一方、現場は私のみならず、他の営業も一様に、「このままでは大変なことになる、、、」という危機感を共有していた。それは当然の話で、営業に出れば、同業他社の状況やクライアントの動向、考え方をつかむことができる。これまで当たり前のように自分たちのところに落ちていたクライアントの予算を他社に取られれば、否が応でも現実と向き合わざるを得ない。必然的に会社に対して、「このままでは闘えない」「新しいビジネスモデルを再構築するための手を打って欲しい」と思うようになる。
これは私の会社を担当する各広告代理店のチームも同様だった。広告代理店の中にも各媒体社別にチームがあって、それぞれが競争している。一つのクライアントが雑誌の予算を使おうとする時、各チームは自分が担当する媒体社に予算が落ちるように必死に頑張る。でないと自分たちの成績も上がらないからだ。
ところが、その自分の担当する媒体社が広告環境の変化についていくことができず、クライアントが満足するような提案をできずに他チームに負けるとなると、彼ら自身の社内での評価にも重大な影響を出る。
こうして、自社の営業現場のみならず、ビジネスパートナーからも「なんとかしてくれ」という悲鳴が上がっているにもかかわらず、それでも経営や現場の幹部は「なんとかしろ」としか言わず、さらには「このままだと、あなたたちの給料がなくなってしまう」と口にするのだった。
だが私には、眼前で起きている広告環境のパラダイムシフトは、一個人の営業努力で立ち向かえるような代物には見えなかった。何しろ敵は最新鋭のコンピューターを搭載した爆撃機である。だとしたら、こちらも少なくとも最低限の装備をし、かつ戦略を練らなければならない。にもかかわらず、相変わらず紙の地図と竹やりを持たされて「今までこれでやって来たんだから、とにかくそれで闘ってこい」と言われているようなものなのだ。
その時に感じる焦燥感と絶望感、、、

昨日の民主党の両院議員総会にもそんな空気が濃厚に漂っていたと思う。
おそらく、あの場にいた多くの議員は「自分たちは自滅の道を驀進しているのに、なぜ幹部たちにはそれがわからないのか?」という思いでいっぱいだっただろう。
このままいけば、誰もが予測しているように、統一地方選挙で民主党は壊滅的な打撃を受けることになる。そして、自民党もダメだが民主党もダメだとなれば、小沢一郎が心配しているように、おかしなナショナリズムが出てくる危険性は高い(実はこの国の独裁権力者である霞が関の真の狙いはそこにあるのかもしれないが)。
では、それを避けるためには民主党はどうすればいいのか?

私はかつて自動車評論家の徳大寺有恒氏とともに、カルロス・ゴーンを取材したことがある。
2兆円とも言われた有利子負債を抱え、瀕死の状態に陥った日産を蘇らせた秘訣はなんなのか? 徳大寺氏がそれを問うと、ゴーンの答えは実に簡単、かつ明瞭だった。ゴーンはこう言ったのである。

「私の求めていた答えは、すべて現場にあった」


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