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2010/11/20

田中良紹の「国会探検」 ~ 大連立を否定したツケ

2008年、総理大臣だった福田康夫と民主党代表の小沢一郎の間で大連立構想というのが持ち上がった。
だが、これは表沙汰になった瞬間、民主党内からもメディアからも大批判を浴びて、結局、この構想はあえなく潰れた。
当時、私もこの大連立構想については、まったくその意味がわからずに「いくらなんでもそりゃダメだろ」と思ったものだった。
しかし、TBSラジオ「アクセス」(この番組がなくなったのは本当に残念)で田中康夫がパーソナリティの日に出演した田中良紹の解説を聴いて「なるほど、小沢一郎にはそんな意図があったのか」と思ったものだった。
その時に書いたエントリーがこちら↓。

・大マスコミが報じない政局

小沢一郎は深い。
そして、その小沢の相手だった福田康夫というのも、実は近年の自民党の総理大臣のなかでは相当マシな部類に入っていたのだと思う(もちろん菅よりもはるかに)。

いま、菅内閣は見るも無残、フラフラのヨタヨタである。
先の参議院選挙の敗北を自らの責任ではなく、小沢一郎のせいだと本気で思っているフシのある前幹事長は、「与党がこんなに忙しいとは思わなかった。政治主導などと言ったのはうかつだった」というようなことを言ったらしい。弁護士の資格を持つこの男は、秀才で正直な性格なのかもしれないが、こういうタイプの人間が与党内で未だに重要なポジションにいることの恐ろしさを日本人は噛みしめるべきだろう。

一方、小沢一郎の大連立は深い権謀術数に基づいていた。
そして権謀術数は政治の世界では悪ではない。以下は孫崎亨著『日米同盟の正体~迷走する安全保障』の第一章冒頭で紹介されているニクソンの著書の引用である。

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――権謀術数などは一般的に悪とされるが、指導者にはそれはなくてはならない。(中略)ルーズベルトは、絶対に参戦しないと公約しながら、ひそかに戦争準備を進めたのだった。(中略)権謀術数を用いなければ、大事に当たって目的を達成できない場合が多いのである。(中略)ドゴールも「真の政治家は、権謀の時と誠実の時を使い分けねばならない。……千回繰り返すことによって、全権掌握ははじめて可能となる」と言った。(中略)目的は手段を正当化するかどうかというのがある。(中略)(第二次世界大戦のときに)われわれは何千万という人間を殺し、傷つけ、不具にしたが、目的は立派に手段を正当化した。(中略)指導者は常に、ほとんど本能的なまでに、結果を考える。何の責任もないような連中が一方的に、全く異なった状況下でつくったルールには拘束されない。南北分裂というアメリカ建国いらい最大の危機に当たって、理想家リンカーンが情熱を注いだ大目的は、北部連邦の維持だった。(リチャード・ニクソン『指導者とは』徳岡孝夫訳、文藝春秋、一九八六年)
******

小沢一郎の大連立を否定していた連中が、いま政権与党内で小沢グループを切り捨てて自民党と連立を組みたがっているという噂もある。しかし、これは権謀術数でもなんでもない、自分たちの好き嫌いを優先させた上で政権を維持したいという、単なるご都合主義である。

・田中良紹の「国会探検」
大連立を否定したツケ

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コメント

お世話様です。今日のお題はこれで。

・本当の保守を実現せよ

未だにアメリカ中心主義になれば日本はずっと安全安泰で経済的にも恩恵を受け続けられるというおめでたな人間が「保守」と名乗っている様ですが、コピペですが、この方の文章に目を通していただければ幸いです。

尖閣問題 日本はアメリカからすでに見捨てられている
2010.11.09 17:00

 領土問題で迷走を重ねる菅政権。頼みの綱は同盟国アメリカだが、菅政権は、すでにアメリカから見捨てられている。ロシア、中国の増長もそれを見透かしているからだと見れば、なぜ急に外交問題が多発したのかわかる。

 クリントン米国務長官は盛んに「尖閣は日米安保の範囲に含まれる」と述べて前原氏や日本のマスコミを喜ばせているが、これが本当は「尖閣に何かあっても米軍は動かない」という意味であることは週刊ポスト10月15日号で報じて大きな反響を呼んだ。重複は避けるが、対米ポチ外交の極みだった小泉政権末期の2005年にアメリカと結んだ合意で、

〈日本は、弾道ミサイル攻撃やゲリラ、特殊部隊による攻撃、島嶼部への侵略といった、新たな脅威や多様な事態への対処を含めて、自らを防衛し、周辺事態に対応する〉

 と定め、つまりは「(尖閣を含む)島嶼(とうしょ)部の問題は自衛隊が対処する」と決めたのである。 だから、「安保通りに対応する」とは「合意の通り、日本が動いてね」という意味なのだ。

 オバマ政権の外交政策に関わるシンクタンクの日本問題専門家はこう指摘する。「もちろん状況にもよるが、無人島である尖閣諸島の領有問題くらいでアメリカが中国と戦争状態に陥るなど馬鹿げている。それを支持するアメリカ人は皆無だろう。考えてみてほしいが、アメリカはイギリスがアルゼンチンとフォークランド紛争(1982年)を起こした時でさえ中立を守った。尖閣で動くなどあり得ない。むしろこの問題があったので、共同コミュニケも見送られた。中国を刺激したくないからだ」

※週刊ポスト2010年11月19日号

宮台真司氏いわくアメリカの国債の6割は中国が所有している現実を考えれば当然の論評でしょう。

次にこの方の文章です。原爆と言う言葉に過剰反応を示す方もいるかもしれませんが、これもぜひ読んで欲しいです。アメリカが日本に原爆を落とし多数の人の生命を奪った事について公の謝罪(それをすれば生き返るという話でもないですが)の一つもないのはなぜかと言うことを。私自身は非核三原則支持派ですがこの文章には納得させられ、他国家のずるがしこさを改めて思い知りました。


「原爆さえあれば日本はバカにされない」元・銀行取締役指摘

NEWS ポストセブン 11月13日(土)10時5分配信
 日本はアメリカの圧力により膨大な米国債を買わされてきた。それは、アメリカに金を貸しているということだが、にもかかわらず日本は何も担保を取っていないとはおめでたい。元・日本長期信用銀行取締役で、現・社会貢献支援財団会長の日下公人氏は、そう指摘する。

 そして、いずれアメリカも日本も国家財政は火の車になり、国有資産を処分することになるが、そのときになってはじめて貸した金が返ってこないことに気づくことになるという。ではどうするか。以下は日下氏の指摘である。

******************************
 アメリカが日本に米国債を買えと圧力を掛けてきたのは竹下登政権の時だ。当時、私は米国債を買うのはいいが、担保を取るか、または日本国民に説明できるよう「冷戦勝利のための特別債権」とかの条件をつけるようアメリカに要求すべきだと主張した。

 この意見が取り入れられなかったのは言うまでもない。かつて1ドル=240円だった為替レートは今や80円。資産価値は3分の1になった。本来、借金の担保とは「借り手にとって辛いものか、または貸し手が欲しいもの」である。では日本人が欲しいものとは何か…。 

 言い切ってしまえば、その当時は「石油と土地と女」だった。女性というのは冗談にしても、「アラスカのガス田を担保によこせ」とアメリカに言ってもおかしなことではない。むしろ、それが総理大臣の仕事というものだ。

 他にも日本人が欲しいものはある。原爆である。「何をバカなことを言っているのか」と多くの人が思うかもしれない。だが、世の中が「赤字」だらけになって、これまで常識とされてきた価値観が否定されれば、原爆やガス田を借金の担保に要求することの正当性に気づくはずだ。

 日本が金を貸しているのはアメリカだけではない。官民合わせれば500兆円もの金を世界中に貸している世界一の債権大国だ。でも、ほとんどの国から感謝されていない。そして、「借金はなるべく返さない」というのが国際慣例だから踏み倒される可能性が大だ。

 一方、借金を踏み倒す国には軍隊を駐留させるのも国際常識である。日本は軍隊を出すこともなく、それを他の国々から見透かされている。

 だからこそ、原爆は日本がバカにされないための力となりうる。「貸し金を踏み倒されたくなかったら原爆を持て」と言いたい。

 私の主張を極論と思うのは古い常識にとらわれている人だ。若い人はそんな先輩がいずれ右往左往する時が来ることを知っておくべきである。赤字が日本中に蔓延して混乱がはじまった時は世直しのチャンスだ。

投稿: 阿部 裕 | 2010/11/20 20:00

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