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2010/06/03

ドキュメント出版社 その1

 業績の落ちる会社に不思議の落ちなし

いきなり最初から話は脱線するが、野村克也という野球人は、人によって好き嫌いがはっきり別れると思う。
私は好きなタイプで、かつてこんなエントリーも書いた。
その野村が発する語録の中で私がとくに好きなのは「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」で、これは企業経営、組織のマネージメントにも通じると思っている(この言葉自体は剣道用語の引用らしい)。
この言葉を企業経営に置き換えれば、「伸びる会社に不思議の伸びあり、落ちる会社に不思議の落ちなし」というところだろうか。つまり伸びる会社には実力だけでは説明できない幸運が伴うものだが、業績が落ちていく会社には、組織の中に必ずその原因となる要素があると私は思う。
で、私が何を言いたいのかというと、並河社長の後を継いだ高橋基陽(もとはる)現社長は、この2年間の経営的苦境を常に外的要因、つまりwebの登場による出版環境の変化、そしてリーマンショックに求めた。そして並河時代の経営的失敗を認めることについては極めて消極的だったと思う。つまり、今ある状況は天災であって人災ではないというわけだ。
確かにwebの登場によって出版のみならず新聞社もテレビ局も経営的には苦しくなっているし、リーマンショックによる広告の落ち込みはすべての媒体を直撃している。
しかし、その結果として光文社が苦しいのなら、他社も光文社とほぼ同等の苦しさでなければならない。だが、実際にはそうではない。着々と次への布石を打っている会社もあるし、今のこの状況に動じることなく、落ちているとはいえそれ相応の業績を上げている会社もたくさんある。
つまりwebの登場やリーマンショックは言い訳に過ぎないのである。
したがって光文社を再建するためには、まず何よりも組織の内部で抱えている問題、ダメになった要因を究明することが必要だと思う。そのためには、並河時代の経営を総括し、責任を明確化しなければならない。

 並河氏と初めて話した日

さて、私は先日のエントリーで書いたように1985年に入社してカッパ・ビジネスに配属されたため、雑誌、まして女性ファッション誌などとの接点はまるでなかった。当時は編集部が入っているビルも別れており、もうまるで別会社のようなものだった。私の同期に一人、当時、並河氏が編集長をつとめていたCLASSY(創刊は1984年)に配属された男がいて、彼は相当に苦労しているらしいという話は風の噂に聞こえてきたが、なにしろ顔も合わせることもないのだから、いったい何が大変なんだかはさっぱりわからなかった。
その並河氏と、しかし私は入社してから3、4年後、一度だけ昼食を一緒に食べたことがある。場所はホテルニューオータニのなだ万だった。
この頃、私が所属していたカッパ・ビジネス編集部は上司と私の二人だけで、あとは一人、入社したばかりの女の子がいるだけだった。当時の上司は自動車評論家の徳大寺有恒氏と親しかったため、徳大寺氏の本を作るために氏をホテルニューオータニに缶詰めにしていた。そこへ並河氏がやって来たわけだが、その要件とはCLASSYの書評ページを担当して欲しいという依頼だったと記憶している。私は初めて並河氏と話す機会を得て興味津津だった。
この時に記憶しているのは、徳大寺氏と並河氏のいくつかの会話である(ちなみにこの二人は以前より面識があった。お互いに個性が強いので、仕事をするとその都度、意見が対立するのだが、しかしウマは合うというようなことを二人ともが言っていた)。
その一つは年齢についてで、徳大寺氏が「並さんってもう50になったの?」と訊くと「もうなってるよ」とぶっきらぼうに答えた。すると徳大寺氏は「おれさあ、もうすぐ50になるんだけど、どんな気分なの?」と訊いた。で、その先の並河氏の答えについては覚えていない(当時のこの人たちの年齢に今の自分が近づきつつあることには正直、驚く)。
そしてもう一つ覚えている会話は、徳大寺氏が「並さんさ、なんで取締役にならないの?」と訊いたことである。当時、まだ並河氏は編集長であったが、すでにJJを成功させ、CLASYYを軌道に乗せていた。それを考えると確かに取締役に昇進していも良さそうなものであった。すると並河氏はこれまたぶっきらぼうに「(当時の役員が)させたくないんだろっ」と答えた。
こんな会話を聞いてからしばらくした夏の日、社内に役員改選についての社告が貼り出されており、それを見ると並河氏は取締役に昇進していた。

※実は今日は週刊宝石休刊の前段となる女性自身のリニューアルについて書こうと思っていたのだが、そこへたどり着く前に長くなってしまったので、続きは次回に。

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コメント

このブログは以前から時々拝見させていただいていましたが、光文社の方だったと知り驚きました。大変興味深い内容です。続きを楽しみにしております。

投稿: なまこ | 2010/06/05 15:39

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