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2009/11/25

完全なイエロージャーナリズムに堕した日経

今月から日経の宅配購読は停止したが、かといってこの新聞に目を通していないわけではない。会社に行けばどこかで読めるし、営業の合間にルノアールにでも行けば置いてある。休日は近くの図書館で読めばよろしい。要はカネを払ってまで読む必要はない(=ROIが低い)という結論に達しただけなのである。そうして新聞をやめて困ったことはたった一つで、雨が降った日の晩、濡れてしまった息子の運動靴を乾かすために靴の中に入れる新聞紙がないという妻のクレームのみだ。

そういうことでここ最近は日経にはザッと目を通すだけだった。その間しばらくはゴミみたいな与党叩きの記事ばかりだったが、11月22日の朝刊2面に掲載された記事は、そのタイトルを見ただけけで「これは匂うナ」と思った。読んでみると案の定、例のバカ職人顔負け、あの岸井成格の見るに堪えない原稿もあわやというトンデモ記事であった。それが編集委員・伊奈久喜によるコラム「風見鶏」で、タイトルは「鳩山社長と役員たち」。まずは冒頭から

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 業界2位のJ社は、ことし9月、経営陣が全員入れ替わった。
 勝負師、小沢一郎率いる小沢ファンド(JDP)は、麻生太郎前社長ら旧経営陣のせいで業績が低迷していたJ社に敵対的買収をかけた。市場で株を買い集め、買収に成功した。
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書いている本人は、政権交代を企業社会になぞらえて悦に入っているようだが、そのたとえ方の下衆ぶりとこじつけぶり、レトリック、印象操作に最初から吐き気をもよおすのは私だけか。「小沢ファンド」という言葉で小沢支配を印象づけ、国民の自公政権に対する怒りの爆発による政権交代を「市場で買収に成功」と表現するセンスは、はからずもマスゴミの本音をさらしている。

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(中略)
 新経営陣にとり最大の課題は、業界最大手のA社との提携協定の扱いだった。旧経営陣はA社と深い関係にあったが、鳩山氏は急成長中のC社と仲が以前から良かった。
 C社の売上高はまもなくJ社を抜き、業界2位になる。急成長の背景には、独特の経営理念に基づく強引な営業手法があり、批判がある。J社の取引額は、対C社がA社を超えた。
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かつてエコノミック・アニマルなどと言われたJ社は、労働者を人間扱いせず、かんばん方式などただひたすらに効率のみを追及し、自社さえ良ければいいという独特の理念に基づく強引な経営をするトヨタ自動車を超一流企業だと賞賛した。その結果、会社は栄えて国民は疲弊し、自殺大国になってしまったことに対する問題意識はこの筆者にはない。

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 一方、A社は世界的な影響力を誇り、J社にとっても欠かせない存在だ。鳩山社長もA社との関係は経営基軸と語る。JA協定が結ばれたのは1960年。来年で50年だが福島常務(※福島みずほのこと)は協定に批判的だ。
 A社との間には日常業務のなかでも様々な合意がある。特にJ社旧経営陣がA社との間で13年前に合意したコードネーム「普天間」プロジェクトの扱いは、鳩山氏にとって頭が痛い。
(中略)
 10日前には、ことし1月に就任した小浜A社社長が訪れ、鳩山社長と話し合ったが、結論は出なかった。JA関係は協定ができた60年以来、最悪となった。
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日経は一貫して、「アメリカ様を怒らせるな」と主張している。もちろん、いまの鳩山政権の普天間問題でのふらつきぶりがいいとは私も思わない。が、外交交渉というのは本来、国益を最大限求めつつ、一方でリアルな落とし所を探していく作業なわけであって、その過程で多少、アメリカが強面に出たぐらいで震えあがって「日米関係は60年以来、最悪」などと主張することこそ60年以来、隷属外交に染まりきっている証拠だろう。

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(中略)
 A社との関係以外にも、鳩山社長が頭を痛める問題は少なくない。売り上げが伸びない。このままでは旧経営陣の時代と大差ないではないかとする批判が一般株主や社員からも出る。
 鳩山氏の経営理念は「友愛」。社員への福利厚生に心を砕く。費用がかかり、借入金が増えても「社員の生活が第一」と公約して就任したのだから譲れない。が、当の社員たちの間にも「借入金が増えるのは困る」の声がある。
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ま、私も鳩山政権に抱いた当初の期待からすれば不満はある。が、あの世界に恥をさらした国賊アホーの時代とは比較にならないほどまともだと思うけどね。だから世論調査をすると、まだ60%台の支持率があるのだろう。
だいたいが、「社員への福利厚生に心を砕く」というが、「企業への利益誘導に心を砕く」政権を持ち上げて、一緒になって既得権益にどっぷり浸かっていたのが日経を初めとするマスゴミである。鳩山政権はいまそのカネの流れを変えようとしていることは間違いない。しかもそもそも、国の借金がこれだけ増えたのは、この筆者が言うところの旧経営陣の責任であることがスッポリと抜け落ちている。

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 役員名簿を見ると、J社の現体制には、本格的な営業担当がいない。営業出身の岡田専務を慣れない渉外担当から外し、営業統括に昇格させ、売り上げ倍増計画を作らせ、実行させる。経営コンサルタントの報告書はそう指摘する。
 役員の担当替えにすぎないから、株主総会の議決は要らない。取締役会で決めればいい。ただし大株主の小沢氏の了解が要る。ここが厄介らしい。
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前段の部分は頭の悪い私には意味がわからない。経営コンサルタントというのはこの筆者のことなのか。勝手に報告書をでっちあげて、「取締役会で決めればいいが大株主の小沢の了解が必要でここが厄介らしい」と書く。これは報道なのか? もし真実に基づいて書いているというのならデータを出せ。それができないのなら、単なるフィクション、それも悪質な世論操作を含んだ妄想であり、まさにイエロージャーナリズムと呼ぶにふさわしい。

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 鳩山社長にとって最も深刻なのは、資産家に生まれたために生じた家庭内の金銭問題だ。社内外から真相究明を求める声が強まる。展開によっては進退問題になる。
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はからずも「家庭内」と書いている。だったら総選挙後の9月1日に2億5千万円を、この筆者の表現を借りれば会社から持ち去った旧経営陣というのは公金横領だろっ! 

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 社長に就任した9月16日のJ社の株価は1万270円77銭。11月20日のそれは9497円68銭だった。市場の直近の評価は773円09銭安だ--。鳩山ジャパンはいま買いですか、売りですか。
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それを言うなら、小泉政権で株価が下落し続けた時にも同じ主張をしたのか? 少なくとも私の記憶では日経は小泉マンセー路線をひた走っていたはずだ。
それにしても、この低俗な書きようというのはいったい何なんだろうと思う。といってこれは日経の記者だけでない。これは私の印象なのだが、マスゴミの、とくにある年齢以上の人間というのは(50代に入ったぐらいからか)完全に思考停止に陥っている。

私は一時期までの日経はそれなりに評価していた部分もあった。だから購読していたわけだが、しかしここまでレベルが下がるとこれはやっぱり購読をやめて良かったとしか言いようがない。
植草一秀は11月24日のエントリー「偏向メディアを冷ややかに見始めた日本市民」のなかで、以下のように書いている。

日経新聞の田勢康弘氏も日経新聞の意向を反映して、反小沢一郎氏、反民主党の偏向した主張を展開し続けている。田勢氏以外の日経政治部記者は、足並みをそろえて低質な民主党攻撃の文章を新聞に掲載し続けている。

その田勢某は11月23日の日経朝刊「核心」で「開いた?パンドラの箱 『普天間』鳩山首相の誤算」というコラムを書いている。これについてはもう多くは書かない。ただ私は以下の部分に腰を抜かした。

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 古くは島津藩による琉球侵攻から、沖縄決戦、米国支配、そして日本の米軍基地の7割が沖縄に集中している現実。なぜ、沖縄だけが犠牲になるのか、という沖縄びとの思いと、それを理解しながらもどうにもできないじれったさを感じるヤマトンチュ(大和人)の距離感。筆者にはそのことをいやというほど思い知らされた忘れがたい思い出がある。2000年の沖縄サミット(主要国首脳会議)の前の年、沖縄の講演でこういう話をした。
「沖縄サミットのスローガンにいささか違和感がある。『世界の目を沖縄へ 沖縄の心を世界へ』というが、このサミットは決して沖縄のために行うものではない。これは日本のサミットであり、たまたま開かれた場所が沖縄というだけのことだ」。会場から激しいブーイングにあった。
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こんな人物が政治ジャーナリスト、なかでも職人だと堂々と自称しているのだから呆れ果てる他はない。

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コメント

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「沖縄サミットのスローガンにいささか違和感がある。『世界の目を沖縄へ 沖縄の心を世界へ』というが、このサミットは決して沖縄のために行うものではない。これは日本のサミットであり、たまたま開かれた場所が沖縄というだけのことだ」。会場から激しいブーイングにあった。
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田勢某の上記発言で、以前お世話になったシマンチュの方が、「沖縄サミットもインフラ整備とか振興とか言いながら、結局、ヤマトンチュが持っていくだけ持っていっただけ。いつものパターン」と話されていたことを思い出しました。


現実を知らない大馬鹿ブンヤが、激しいブーイングを浴びて、演壇で鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしていた姿が目に浮かびます。

恐らく今もなおブーイングの理由をわかっていないのでしょう。

彼には「職人」ではなく、「自爆テロリスト"Suicide bomber"」という肩書きが相応しい。

投稿: 悪代官 | 2009/12/01 02:21

おっしゃるとうり。
なぜ、マスコミというのは現象だけをただただ知らせるだけしか能がないのでしょうか。
少しはその本質にせまり、考えてもらうような記事をかけないのでしょうかと思います。
私は、長く朝日を自宅購読していましたが半年前にやめました。かんぽの宿の記事で。
やはり新聞は地理的条件が許せば自宅配達での購読はやめるべきです。その日その日コンビニなどで見比べて買えばいいとも思います。
逆にバかな記事を見ればただ読みしてもいいのでは。
貴重な記事ありがとうございます。

投稿: ゆきぼー | 2009/11/27 09:57

今月9日をもって20年近く続いた日経の宅配購読を辞めました。貴殿同様、ここ1年ほどの紙面の低俗ぶりが目に余り、産経新聞かと見まがうほどの偏向報道は、とうにジャーナリズムと呼ぶにはほど遠い域に達してしまっていると感じたためです。
現在は、東京新聞を購読していますが、そのスタンスはブロック紙というよりも日本で唯一、まっとうなジャーナリズム精神を持った編集方針、記者たちの気概が熱くほとばしっており毎朝紙面を開くのが楽しみでなりません。
お子さんの靴の乾燥用には東京新聞をお薦めいたしますよ。

投稿: モトヤマ | 2009/11/26 23:47

世界で著名な経済紙と呼ばれる媒体は、様々な政治経済事象に対するカバレッジの広さと多角的な分析を売りにしています。
WSJもFTも多少の政治的なバイアスはあるにせよ、この売りが読者の信頼を得ています。

わが日本を代表する経済紙は、この程度です。
ソビエト時代のプラウダやFOXニュースレベルのプロパガンダ媒体に過ぎません。

政財界「重鎮」の意識や思考のレベルも、この程度なのかもしれません。

投稿: 悪代官 | 2009/11/26 06:49

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色々引用させていただきました。どうぞ、よろしくお願いします。 [続きを読む]

受信: 2009/11/27 07:27

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