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2008/12/16

「転向」したという中谷巌の品性

今朝の日経に中谷巌の新刊の広告が出ていた。
タイトルは『資本主義はなぜ自壊したのか-「日本再生」への提言』。宣伝文句は、

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これは私の「懺悔の書」である
「構造改革の急先鋒」といわれてきた著者は、なぜグローバル資本主義に疑問を!?
広がる格差、止めどない環境破壊、迫り来る資源不足、そして未曾有の金融危機--すべての元凶は新自由主義にあった。構造改革は日本人を幸福にしたかを検証する。
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となっている。
つまり小泉構造改革の旗振り役だった人物が宗旨替えをしたということらしい。
そこで書店へ行ってパラパラと立ち読みをしてみた。
すると、やはり自分がいわゆる新自由主義、市場原理主義といった小泉構造改革の旗振り役だったことを記した上で、しかしそれが今になって間違いだったことを認めるという内容であった。
中谷の表現ではそれは「転向」であり、宣伝文句にもあるように、だから懺悔の書としてこの本を出版したらしい。

パラパラとながめただけなのでこれ以上、内容については詳しくは書けないのだが、それにしても私の記憶でもこの中谷という人物はワールドビジネスサテライトやニュースステーションなどにも頻繁に出演し、とにかく世論を“小泉改革”支持へと導いた元凶の一人で、その結果が今日の格差社会や雇用不安を生んだことは衆目の一致するところだろう。
つまりこの人物のお陰で非常に多くの人が苦況に陥っているわけで、明らかに現在の状況に対する責任がある。
そういう人物が「転向した」といって本を出版することは、版元(集英社インターナショナル)からすれば「ウリ」となる。つまり本を売る(=金儲け)きっかけになると考えるのは自然な話だが、問題は中谷もその話に乗ったということだ。
ちなみにこの本は四六判ハードカバーで定価1,765円となっている。
世の中の人をさんざん間違えた方向に導いた末に「私は間違っていました。本当に正しいのはこうでした」ということを知らせるにあたって、この大不況のご時世に「内容を知りたければ1,765円いただきます」というのだから呆れた話である。

今の時代、ブログを開設して無料で情報を提供することなど誰にでもできる。
せめて中谷がそうやって「私は間違えていた」ということを多くの人に告白し懺悔するのならば、まだ情状酌量の余地もある。が、さんざんぱら人をだましておいて「本当のことを教えてやるから1,765円払え」というその品性、感性が理解不能である。
おそらくこの本の初版は5,000部ぐらいがいいところだろう。いまどき1,765円を出して本を買うという行為だってそうそう簡単にできるものではない。それほど世の不況感は強い。
にもかかわらず平気でこういうことをやっている中谷というのは、つまり転向しようが何しようが本質的には何もかわっていないということである。

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