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2008/03/20

大マスコミが報じない政局

今週月曜日に放送された田中康夫出演のアクセス(TBSラジオ)の録音を聴いた。ゲストは田中良紹。
両田中の話を聴いて「なるほど」と思ったのは、現在の国会が単なる「ねじれ」という言葉ではすまされないほど民主党にとって有利な状況にあるということだ。

衆議院で3分の2以上の議席を持っている与党は、参議院で法案が否決されても衆議院で再議決をすれば通すことができる。だが、この衆議院での3分の2という数は次の選挙ではまず確実に崩れるわけで、もし3分の2以下で、しかし与党がなんとか過半数をとった場合、法案は基本的に1本も通らなくなるわけだ。
考えてみれば当たり前のことだが、それだけ参議院の過半数というのは強いのである。

そこで田中良紹が言うのは、そういう状況下での例の「大連立」というのは実は案外と面白かったのではないかということだ。私も大連立の話が出てきたときには「小沢一郎は何を考えてるんだ?」と思ったクチであった。が、田中良紹は言う。
「今回の大連立構想というのは、これまでの小が大を飲み込む、自民が延命するような連立にはならなかったはず。なぜならば参議院では民主が圧倒的に強いから(単独過半数でないのが残念だが)。しかも福田は連立の条件として民主の安全保障政策を飲むといった。これは大変なことで、小沢はこれならば政権に入っても自民に飲まれることないし、単独政権への準備運動にもなる。それで喜んで党へ帰ったが、党内はそれを理解できなかった」
あの騒動の当時、ここまでの解説があれば、世論の風向きだってもう少し違ったものになっただろう。

考えてみると、かつて田中角栄-旧経政会に連なる系譜がなぜあれだけ力を持てたかといえば、そのひとつの要因に参議院議員の「数」があった。当時、最大派閥だった経政会は実は参議院議員を増やすことに力をいれ、それによって権力を握っていく。それは一般的に「参議院不要論」が唱えられるなか、現在の憲法下では実は参議院を握ることが権力の掌握に連なることを彼らが知っていたからだろう。
野党より数が多い与党の中でもっとも数が多い最大派閥が権力を握るという「数は力なり」の論理。そこにはもう一つ参議院の支配権というポイントがあったわけだ。
経政会の権力中枢にいた小沢一郎はそのことを知り抜いていた。

青木幹雄なる一介の竹下登の秘書風情があれだけの権力を握ったのも、まさしくこの「参議院の支配権」があったからに他ならない。先の参議院選挙の前に青木が「参議院で負けるとこれこれこれだけのことが起きて大混乱になる」という演説をしているビデオをテレビで見た。そのときにはいまひとつ現実味が感じられなかったが、これはまさに正論だったわけだ。
その青木の名前をここ最近とんと聞かなくなったが、それは青木の持っていた権力が小沢に移ったからに他ならない。

こう考えていくと、大メディアの好きな「政局の安定」を実現するには、次期総選挙において民主党が勝つ以外にはない。もし自公が過半数を握り、しかもそれが微妙な数だった場合、それこそ法案は1本も通らないことになり、大混乱に陥る。なにしろ衆議院で3分の2の議席を持っていてもこのありさまなのだから、それ以下だった場合はもうどうしようもないことになる。
というより、田中良紹が言うように「実は政権交代は半分実現している」のである。

そこでいま自民党が必死になって考えていることは民主の分断である。どっぷりと浸かった数々の利権を守るためには民主を分裂させる以外にはないのだ。しかもこの際重要なのは前原のような衆議院議員の連中ではなく参議院議員でなければならない。つまり現時点では民主党で与党に行きたくてうずうずしている衆議院の連中は、自分を高くは売れない状況にあるわけだ。
ま、それはともかく、いま自民党の念頭にあるのは民主の分裂のみ。自民が繰り出すあらゆる手はすべてその一点に集約されている。

と、現在の政局がそういうことになっているということがアクセスのおかげでやっとわかった。

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