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2008/01/09

偽装、ミドリ十字、、、(1)

年末、掃除をしていたら再読したいと思っていた本が出てきた。その本のタイトルは『偽装[調査報道・ミドリ十字事件]』。編著は毎日新聞大坂本社編集局遊軍である。
偽装という言葉は昨年1年を象徴する言葉であり、ミドリ十字(現:田辺三菱製薬)は薬害肝炎問題で薬害エイズ問題以来、再び登場した問題製薬会社だ。
ここ最近のニュースのキーワードを散りばめたタイトルのこの本の初版は、奥付を見ると1983年6月13日、つまり25年前である。

薬害エイズ問題が浮上したときにも再読したはずのこの本を再び読んだ後の感想は、暗澹たる気持ちに尽きる。
今日、現在進行形の薬害肝炎問題の本質(それは薬害エイズの本質でもある)、つまりはミドリ十字という会社の持つ恐るべき体質、また厚生省との癒着ぶりが余すところなく描かれている同書を読むと、ミドリ十字が起こしたいくつもの事件はすべて必然であり、しかも25年も前に提示された根本原因がいまだ解決されていないことがわかる。

この本の第1章は昭和48年にミドリ十字が採血ミスで1人の労働者を死なせてしまいながらそれを隠して葬ったところから始まる。この偽装を追いかけた毎日新聞の遊軍の報道により最終的にミドリ十字はこの偽装を認めざるを得なくなる。この章の最後はミドリ十字が社内調査を結果を伝える記者会見を行ったときの一問一答で終わるのだが、このときミドリ十字の副社長(当時)として答えているのが松下廉蔵。元厚生省薬務局長だったこの男は、薬害エイズ事件で起訴され実刑判決を受けている(この会見では同じく薬害エイズ事件で実刑判決を受けた川野武彦も同席している)。
この会見で松下は「こういう事件がおこるのは、ミドリ十字の体質そのものに問題があるのではないか」という記者の質問に対して「故・内藤会長ら退職した社員がからだ問題がたまたま表面化したが、やはり当社の体質に悪い面があると思っています。(「急成長企業のウミか」という質問に対し)改善したいという腹案は持っているので、すぐにでも取りかかるつもりです」と答えている。

ところで松下のコメントにある「故・内藤会長」とはミドリ十字の設立者である内藤良一だ。この男はあの悪名高き731部隊で石井四郎の右腕だったことで知られる。第2章でこの内藤に触れたあと、本書はミドリ十字のもう一つの偽装を追いかける。
以下は記事化された最初の調査報道のリードである。

「血液製剤のトップメーカーミドリ十字など製薬会社四社が、毎月数万体にのぼるヒトの胎盤を国内で組織的に買占め、医薬品の原料に使っている事実が、五日までの毎日新聞社の調べで明らかになった。メーカーの中には第二次大戦中、中国人らに人体実験を行った旧関東軍細菌戦部隊七三一部隊と人的につながり、当時の研究実績を胎盤の商品化に生かしてきた社もある。遺伝子操作や臓器移植など医療技術の進歩に伴い人間の尊厳と医の倫理が問題になるなか七三一の影を引きずったこの商法は、胎盤が人体の一部でありながら母親や妊産婦がなんの同意も与えていないところで続けられており、厚生省も法的検討を含め、実態調査に乗り出した」

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コメント

ブログ読ませていただきました。ありがとうございました。

文章は結論を述べてから、要点だけ書かないと読みずらい、伝わりにくかった。

重要なことは冒頭で書いてほしかった。

福島の会見など知らないことが知れました。

投稿: 通りすがりの人 | 2011/04/24 13:08

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