こういう記事に引っかかる
今朝の日経朝刊に「原発災害時 住民の避難経路算出 原子力安全基盤機構などがシステム 被害情報を管理」という見出しの記事が出ていた。
リードを読むと「原子力発電所の安全技術の開発に取り組む原子力安全基盤機構と防災科学研究所は、地震などで原発が被害を受けた際に情報共有や被害対策を瞬時に進められる防災システムを開発した。道路の被害状況や放射能の汚染情報から、自動的に住民の避難経路を提示する。九州で実証試験を実施するほか、国際原子力機構のプロジェクトとして発展途上国で運用を開始する」という。
ちなみにこの原子力安全基盤機構というのは経産省系の独立行政法人である。
記事の本文の冒頭は「新システムは自治体のコンピューターや、原発周辺に設置した放射能センサー、携帯情報端末などで構成。自治体は地理情報や道路状況、住民の年齢などを登録。地震が発生すると揺れの大きさから建物や橋の築年数、構造などをもとに倒壊の有無を自動予測する。放射性物質が漏れ出た場合は、原発周辺のセンサー情報から汚染の広がりを判断し、避難経路を割り出す」となっているのだが、これを読んでまず思うのは、、、
「地震で原発が被害を受けた場合に被害対策を瞬時に進められる防災システムはこれまでなかった」ということを国は認めているんだナということだ。ま、この国では少し前まで原発の事故というのは起きないことになっていたから、そんなマニュアルもなかったのだろう。
では、少なからぬカネ(税金)を投入して出来上がったというこのシステムは本当に役に立つのだろうか?
私のつたない知識では、地震によって放射能が漏れ出すような破局的な事故が起きた場合、はっきりいって住民ができることは限られている。被災した原発よりも風上に逃げるのは有効だろうが、道路の状況がそれを許すかどうかはわからない。だとしたら家の中の気密をとにかく保って最初の何日かを過ごすという手もあるが、それとて家屋が損壊すれば不可能だ。
そもそも原発を推進している側というのは、前提となる被害規模を想定するにしてもその見積もりがきわめて甘い。もともと非現実的な想定からスタートするからおよそ役に立つシステムとはほど遠いはずで、おそらくはこれも独立行政法人が税金を使うための手段、つまり形をかえた箱モノ行政なのだろう。
ただ、この記事でちょっと気になるのは、「自治体が持つ防災システムは独自運用タイプが多く、役所のホストコンピューターが被災すると使用不能になるなどの課題がある。新システムでは原子力基盤機構などが運用し、自治体は情報を登録するだけで使える」という部分である。
つまり自治体が管理している住民データや地理情報をこのシステムの使用者は自由に閲覧でき、ひとたびことが起きればこのデータをもとに地域住民を誘導できるというのである。それは被災時にこのシステムの管理者が住民をいかようにもコントロールできるということであり、突きつめていえば被災者の誘導よりも封じ込めを目的として運用することも可能ということだ。
とまあ私のような天の邪鬼は、こういうシステムにどうしても違和感を感じてしまう。
そして考えすぎといわれればそれまでなのだが、この何気ない記事が実は原発を推進する連中(=官僚=権力)の意図、本心を露骨に見せているように感じるのである。
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Tracked on December 04, 2007 at 11:10 AM

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