原発事故とオール電化住宅
電力会社がしきりに宣伝しているものにオール電化住宅がある。
その宣伝文句は「環境にやさしい」こと、そして「ランニングコストが安い」ことである。
ではなぜオール電化はランニングコストが安いのか。それはガス料金が発生しない一方で安い深夜電力を使うからである。ではさらになぜ深夜電力は安いのか、、、
日本の電力のおよそ3割は原子力発電によってまかなわれている。今朝の一部テレビでは、柏崎原発の事故によって発電が止まった場合ということで夏のピーク時に必要な電力量を模型化し、その「上」から柏崎分の発電量のブロックを取りのぞいて説明をしていた。
話の総体としてはそれでも間違っていないのだろうが、視覚的には若干違う。
電力とはベースロード、ミドルロード、ピークロードの三つにわけることができる。ベースロードというのは文字通り必要電力のもっともベースとなる部分、そしてミドルロードは日中で電力消費量が変化する部分、さらにピークロードはいわゆる真夏のお盆休み、高校野球の決勝など瞬間的に電力消費量が跳ね上がる部分である。
この三つのうち原子力発電が担っているのはベースロードだ。その理由は原発が電力の消費量に応じて出力を調整するには向いていない発電方法だからである。
つまり原子力発電というのはいったん稼働したら最後、出力を100%にしないと炉のなかが不安定になる=制御不能になる可能性が高まるのだ。もう相当に昔の話になるが四国の伊方原発で出力調整実験をしようとする電力会社に対して強い反対運動が起きた。その理由は炉を不安定にする実験をすることによって事故が起きるのではないかという懸念があったからだ。
したがって原発というのは一日中フルに発電をしているわけだが、これだけ多くの原発が稼働し、一方で省エネ技術が発達してくると、深夜帯は需要よりも供給が上回ってしまうことになる。そこで登場したのが深夜の電気料金の割引とそれを使ったオール電化なのである。
とはいえ、それだけではあまった電力を使いきるまでにはいたらない。そこで原発とセットになって作られるのが揚水発電所というものである。これは山間部の低地と高地に二つのダムをつくり、夜間に水を下から上へ汲み上げ電力需要のピーク時にこの水を落とすことで発電するものである。
ところがまことにもって不思議なのは、この発電方法、水を汲み上げるために要する電力よりも、水を落として得られる発電量が少ないことである。この事実が揚水発電は実は電力の「捨て場」ではないかと言われるゆえんだ。実際、原発計画のあるところには揚水発電所計画もあると言われており、まさにこの二つはセットなのである。
さらに付け加えるならば、この揚水発電は山の中に二つのダムをつくるわけで環境に対する負荷が高い。そしておそらく、このようなあまり知られていない発電所を人知れず山奥につくるという工事は利権にむらがる面々にとってはとてつもなくおいしいものなのだろう。
とここまで書けばオール電化住宅が「エコ」という単語とはほどと遠い、というよりもまったく無縁な代物であることがおわかりいただけるだろう。
それにしても、、、
このたびの柏崎の問題はさすがにこれから全国各地に散在するすべての原発にも波及するだろう。少なからぬ原発が点検等のために停止に追い込まれる可能性がある。しかもその期間は相当に長引くはずだ。こうなったとき、深夜電力の割引を電力会社がいつまでも続けられるかというとこれは相当に疑問だ。また原発の耐震工事をしなければならないとなると当然、その工事費はかさむし、そもそも原発というのは動かしてなんぼの施設であるから、これが停止している間のコストは相当なものになる。
となると最終的にこのコストは電力料金に転嫁するよりほかはない。つまり、今後、電力料金に値上げドライブがかかることが十分に予想される。
私なんぞは、そもそもライフラインを電力一本に絞ることはリスクが高いのではないかと単純に思うのだが、たとえば最近ブームの高層マンションはオール電化が多いらしい。近年多発する大規模地震のリスクも考えあわせると、タワーマンションというのが本当に「買い」なのかはきわめて疑問のように思うのだが、いかがなものだろうか。
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